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正しくきれいな字を書くための 漢字筆順ハンドブック 第三版」の内容より

まえがき

まえがき

 『漢字筆順ハンドブック』の初版が発行されたのは、昭和55年2月です。それから現在に至るまでの長い間、おかげさまで多くの方々にご活用いただいた本書でありますが、この度、平成22年11月の「常用漢字表」の改定をうけて、第三版を刊行する運びとなりました。

 第三版では、改定により新たに常用漢字となった漢字で、これまで収録されていなかったものを増補し、全2864字の筆順を収録してあります。また、これまで特殊編に収録されていた旧字体を一般編に移し、新字体と並べて示すなど、使いやすさに工夫を加えてあります。2色刷りにするなど、見やすさも心がけました。

 本書が皆様の学習においてはもちろんのこと、日常の文字を書く場面でお役に立ちますことを願ってやみません。

 平成23年6月、大変残念なことに、江守賢治先生が逝去されました。追加の執筆や内容の整理においては、私塾講師・伊藤文生先生にご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

平成24年5月 三省堂編修所
まえがき(初 版)

 私たちが日常文字を書く場合、やはり漢字の形や筆順は大切なことであり、それは小さい時にしっかり身につけておくことが必要です。この点で小学校教育には大きな使命があります。もちろん、現在の小学校における国語教育、文字に関する指導は立派に行われています。しかし、問題がないわけではありません。

 戦後の一時期、国語教育の中では、どうしたわけか筆順など全く顧みられませんでした。そのため、当時の子供たちは大人の思いも及ばない書き順で字を書いていました。たとえば、東の字は、まず短い横画4本、短い外側の縦画2本、左払い・右払いの順で書いてから最後に長い縦画を書いたり、ひらがなのすの字は、カタカナのナを書いてから○を書き加えたり、などの書き順です。

 当然のことながら、このような事態に対して筆順の指導をすべきだとの反省がなされ、文部省に対しては指導の手引になるものをつくってほしいとの要望がおこりました。(『筆順指導の手びき』が出されたのは昭和33年のことでした。)そして、この文部省が出した手引では、一つの漢字は一つの筆順で教えるという方針になっていました。これは当然のことです。

 ところが、その手引には「本書に取りあげた筆順は、学習指導上の観点から一つの文字については一つの筆順に統一されているが、このことは、本書に掲げられたもの以外の筆順で従来行われてきたものを誤りとするものではない。」と明記されているにもかかわらず、その後の指導が徹底しすぎたとでもいいましょうか、その指導やテストの評価などで、手引に掲げられているもの以外の筆順はすべて誤りとされるようになってしまいました。

 学校教育における筆順の指導は、時計の振子のように、全く指導されなかったという極端から、筆順をきわめて狭く考えて指導するという極端に振れたわけです。

 漢字というものは、その形にしても、その筆順にしても、そんなに狭い考えで書くべきものではないのに、また、どうせ大人になればどっちでもよいことを一つを正とし他をすべて誤りとして処理され、入学試験や教員採用試験までもこのように処理されて人の進路が左右される、それでは困るという考えに立って、この本を書きました。

 本書は、日常よく使われる漢字2500字を選び、それによく見かける旧字体や特殊な字も加えて、その筆順のすべてをわかりやすく示しました。また、見出しの文字は毛筆で書きましたので、毛筆細字の手本となり、また、分解的に示してある筆順の文字はペン字で書いてあるので、よくわかり、親しみをもって見ていただけると思います。そのほか、漢字を美しく書くコツや、ひらがな・カタカナ・ローマ字の筆順もつけ加えてありますので、皆さんには便利に使っていただけると思います。

昭和54年12月 江守賢治