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「絵で見る現代生活のマナー事典」について

はじめに

 社会生活を円滑に営んでいくために身につけておきたい約束ごと、人間関係を快適に維持していくために心得ておきたい気配りや常識といったものを、一般的にマナーと呼んでいます。そしてさらに、このマナーは、他者とのかかわりのなかで、互いに気持ちよく暮らすことができるよう、しかも合理的な日常生活を営んでいくことができるようにという、一種のトラブル回避の方法を提示したものとしてとらえることもできるでしょう。

 ところで、一口にマナーといってもその分野は多岐にわたっていますが、最近は、冠婚葬祭に伴うおつきあいのスタイルも過渡期を迎えて流動的です。また、社会生活の規範が短いサイクルで変化し、職場やビジネスの環境も多様化の方向へ向かって、ダイナミックな動きを加速させています。このほか、携帯電話やメールなど新しいツールの普及によって生じたマナーも加わり、その守備範囲はますます増大しているのが現状です。

 一方、共同体の機能が弱まり、核家族化やシングル志向の進んでいる現在、日常生活に欠かせない基本的なマナーを習得する機会はたいへん少なくなってきています。したがって、社会人の常識について総合的に網羅されたマナーブックの必要性は、今後しだいに大きくなっていくと考えられます。本書は、そうした背景をふまえて作成しました。

 時代の変化に適応しながらも、人を思いやる気持ちを大切にという原点を忘れることなく、さまざまな場面において、本書を活用していただければ幸いです。

三省堂編修所