文字サイズ変更

「川柳 五七語辞典」の内容より

はしがきより

「川柳 五七語辞典」のはしがきより

     五七語辞典は、名句・名歌の五音七音表現を集めた「お手本集」です。初心の人や独学の実作者の役に立ちたいという思いで作りました。これまでに、俳句を中心にした『五七語辞典』と、和歌を中心にした『雅語・歌語 五七語辞典』を出版しています。

     定年を迎えて、ゆとりある時間を持てた人が、長年の思いを込めて、さあ一句と思ったものの、はて、言葉が浮かんで来ない。実作者からは、実作をして数年たつと言葉がマンネリ化してしまうという悩みを聞きます。上達の近道は、豊富な表現に触れることです。五七語辞典は、先人の残してくれた名句・名歌のエッセンスに、誰もが容易に触れられるようにと考えました。

     この『川柳五七語辞典』では、川柳の出発点となる江戸時代の作品集「武玉川」「柳多留」から始まり、明治・大正・昭和前期までの作品集から表現を採集し、感情・動作・生活・仕事など二十六の分野に分類しました。引用した作者名は約千四百名、主な作者名は井上剣花坊、近藤飴ン坊、高木角恋坊、骨皮道人、山川花恋坊、田中五呂八、西島〇丸、西田当百、前田雀郎、吉川英治、そして、14章(性)には葛飾北斎、15章(思想)には鶴彬の句を多く引用しています。結果、俳句や和歌とは一味違った川柳独特の表現がぎっしり詰まった本になりました。

     今、川柳はサラリーマン川柳をはじめ様々な形式で時代を切り取り、批評する楽しい短詩形文学として人気を集めていますが、戦争・貧困・格差社会を背景とした大正・昭和の川柳からは驚くほど現代に通じるものを感じます。

     時代によって言葉はちがっても、日常生活の喜怒哀楽などには相通じるものがあります。むしろ、時代を越えて一堂に会した「言葉の競演」として新旧の言葉たちを楽しんでくださると幸いです。(「はしがき」より)