辞書引きでことばとじっくり向き合い、 
英語力の基礎を鍛える!

…学習語増加やオールイングリッシュ授業など、学習指導要領はゆとり教育から大きく舵をきりました。また、電子辞書に加えてアプリやウェブ辞書なども増え、辞書の利用形態はますます多様化しています。さらに、学習語の意味が巻末にリストとして載っている高校検定教科書が増えており、日常の学習で辞書をまったく引かない高校生も現れています。

 今改訂に際し、各社の中高教科書をコーパスにしたてて、語彙分析して判ったことがあります。それは、ある1種類の教科書が収録する全語彙のバランスは完全ではないということです。初学者が学んでおくべき重要語が未収録の場合がある一方で、まだ学習する必要がない高難度の語が多くみられるのです。教科書は文法シラバスで編集されており、近年では題材も非常に多岐にわたっていますので、これは当然の結果といえます。一方、このような語彙バランスを補正する教材として単語帳がありますが、それぞれの語が持つ多様な言語実態は、用途の性質が違うため詳しくは示されません。

 学習法・学習段階にかかわらず、さまざまな観点で、あることばを正確に使いたいときに点検できる「道具」が辞書です。つづり、発音、語義、用例、語法文法…さまざまな用途で使える道具です。流暢さに重きをおく学習をしつつも、必要に応じて辞書を引き、正確さを確認しながら意識的に語彙を増やしていただきたい。意味調べだけでなく、語義と用例の有機的なつながりや基本的な語法、コラムまで読むくせをつけてほしいものです。

  あるいは、辞書を開くまえに意味を推測してみたり、用例を声に出して読んでみるなど、感覚を総動員して、ことばとじっくり向き合ってください。英和辞典の辞書引きは、語感を養うだけでなく、知らずに日本語の鍛錬にもつながりますし、いつか英語以外の外国語を学ぶときにも役に立ちます。辞書は、あなたの学習欲と知識欲にきっとこたえてくれるはずです。

 

(「はしがき」より抜粋・加筆)