日本語「起源」論の歴史と展望 日本語の起源はどのように論じられてきたか

定価
3,410円
(本体 3,100円+税10%)
判型
A5判
ページ数
360ページ
ISBN
978-4-385-36508-4

日本語の起源をめぐる日本言語学史の光と影

長田俊樹 編

日本語の起源がどのように議論されてきたのかを、日本言語学史にそって検証し、また、比較言語学のみならず国語学史や人類進化学などの領域からの考察も収める。国際日本文化研究センター共同研究「日本語の起源はどのように論じられてきたか――日本言語学史の光と影」の報告論文集。

特長

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編著者プロフィール

長田俊樹(おさだとしき)

1954 年神戸生まれ。総合地球環境学研究所名誉教授、神戸市外国語大学客員教授、国立国語研究所客員教授。1991 年、インド・ラーンチ-大学博士号取得。専門は言語学、南アジア研究。主要業績は『日本語系統論の現在』(国際日本文化研究センター刊行。2003 年。アレキサンダー・ボビンとの共同編著)など。

福井玲(ふくいれい)

1957 年岐阜県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻博士課程単位取得退学。
専門は言語学,韓国語学。主要業績は『韓国語音韻史の探究』(2013,三省堂)など。

安田敏朗(やすだとしろう)

1968 年神奈川県生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。1996 年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了、博士(学術)。専門は近代日本言語史。主要業績は『漢字廃止の思想史』(平凡社、2016 年)など。

林範彦(はやしのりひこ)

1976 年大阪府生まれ。神戸市外国語大学教授。
2005 年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(文学)。専門はチベット・ビルマ諸語研究、記述言語学、東南アジア地域言語学。
主要業績は『チノ語文法(悠楽方言) の記述研究』(神戸市外国語大学外国学研究所、2009 年) ほか。


伊藤英人(いとうひでと)

1961 年東京都生まれ。専修大学特任教授。1989年東京外国語大学大学院修士課程修了。1992 年ソウル大学人文大学院国語国文学科博士課程単位取得退学。専門は朝鮮語史、中韓言語接触史。主要業績は「「高句麗地名」中の倭語と韓語」『専修人文論集』105 号,2019 年,pp.365-421。

千田俊太郎(ちだしゅんたろう)

1974 年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科准教授。2006 年、京都大学大学院博士号取得。専門は言語学、シンブー諸語研究、朝鮮語研究。主要業績は「ドム語の移動表現」(松本曜編2017『移動表現の類型論』159–187、くろしお出版) など。

平子達也(ひらこたつや)

1985 年東京都生まれ。南山大学人文学部日本文化学科講師。2015 年、京都大学大学院博士号取得。専門は言語学、日本語の歴史と方言、アクセント史。主要業績は「外輪式アクセントの歴史的位置づけについて」(『アジア・アフリカ言語文化研究』94: 259-276, 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所刊行。2017 年)など。

永澤済(ながさわいつき)

名古屋大学国際言語センター准教授、2010 年、東京大学大学院人文社会系研究科博士(文学)。専門は言語学、日本語史研究。
主要業績は「近代民事判決文書の口語化―ある裁判官の先駆的試み―」(『東京大学言語学論集』37: 147-160, e55-86, 東京大学言語学研究室刊行。2016年)など。

児玉望(こだまのぞみ)

1959 年鹿児島県指宿市生まれ。熊本大学大学院人文社会科学研究部教授。1986 年東京大学大学院人文科学研究科(言語学専攻)修士課程修了。専門は言語学、ドラヴィダ語・南アジア語学、アクセント史。主要業績は「アクセント核はどう変わるか」(『人文科学論叢』1:43-60(予定)、熊本大学人文社会科学研究部刊行、2020 年)など。

狩俣繁久(かりまたしげひさ)

1954 年沖縄県生まれ。琉球大学島嶼地域科学研究所教授。1979 年 琉球大学卒。専門は琉球語学。主要業績は「人間言語の起源」『琉球アジア論集』など。

斎藤成也(さいとうなるや) 

1957 年福井県生まれ。国立遺伝学研究所教授。
1986 年、テキサス大学ヒューストン校生物学医学大学院修了、Ph.D.。専門は人類進化学。主要業績は『核DNA解析でたどる日本人の源流』(河出書房新社、2017 年)など。

風間伸次郎(かざましんじろう) 

1965 年東京都生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1992 年北海道大学大学院文学修士取得。専門はアルタイ諸言語の現地調査による記述研究、言語類型論。主要業績は『ウデヘ語テキスト』など。

目次

まえがき

第I部 日本語の起源論から見た日本言語学史

第1章 借用語を中心とした古代の日韓の音韻の対応について(福井玲)

第2章 1940 年代の日本語系統論——「放埒」と「禁欲」のあいだ——(安田敏朗)

第3章 日本語の起源とチベット・ビルマ諸語——パーカーと西田龍雄の研究——(林範彦)

第4章 古代朝鮮半島諸言語に関する河野六郎説の整理と濊倭同系の可能性(伊藤英人)

第5章 パプア諸語と日本語の源流(千田俊太郎)

第II部 日本語の比較言語学研究

第6章 日本語アクセントの史的研究と比較方法(平子達也)

第7章 日本言語学史上の言文一致——司法界における思想・実践との比較——(永澤済)

第8章 日本語アクセント史の再建をめざして(児玉望)

第9章 琉球語の起源はどのように語られたか——琉球語と九州方言の関係を問う——(狩俣繁久)

第III部 日本語起源論にむけた様々なアプローチ

第10章 ゲノムデータと言語データの関係(斎藤成也)

第11章 アイヌ語はどの言語と似ているか——対照文法の試み——(風間伸次郎)

第12章 日本言語学史序説——日本語の起源はどのように論じられてきたか——(長田俊樹)

あとがき

事項索引

人名索引

言語名索引

執筆者紹介