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この辞書の漢字でなければ表せない、そんな感情もあるのです。阿木 燿子

 

笹原さんにはNHKのドキュメント番組の対談でお会いしました。まだお若いのに、漢字の第一人者としてご活躍とのこと。漢字への情熱がほとばしるお話しぶりに引き込まれました。

このたび刊行された『当て字・当て読み 漢字表現辞典』には、私の歌詞からもたくさん用例がとられているとのこと。字数の制約のある、歌の詞という表現形態のなかで、試行錯誤しつつ、つかみとった「漢字表現」のかずかず――「淡雪(めれんげ)」「真紅(まっか)」「何処(どこ)」「つむじ旋風(かぜ)」「悪戯(いたずら)」「魅(み)せられて」などなど。

今では当たり前に使われるものもありますが、当時、表現したい想い、形にしたい感情に向かって模索した漢字達が懐かしく思い出されます。「この漢字でなければ、この感情は表せない」、まさにそうして綴られた詞でした。

笹原さんは中学生の頃から漢字表現としての「当て字」に魅了され、大学ノートで「当て字辞典」を作っていらっしゃったとのこと。「当て字を専門に、というつもりではなかったのですが、いつのまにかライフワークになりつつあります」とお伺いしました。

1500年以上も前に先人が出会って以来、脈々と続く漢字と日本語の、表現をめぐる営み。私たち日本人のDNAに刻み込まれた文字達が、この辞書にはちりばめられています。

まさに玉手箱。ページを開くたびに、その言葉の持つ輝きに心を揺さぶられることでしょう。

阿木 燿子