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「必携 漢字辞典」について

まえがき

 手紙を書いたり文書をまとめたりしているとき、漢字が思い出せなくて辞書に手を伸ばした経験を誰もがもっていることでしよう。そればかりか、あやふやな記憶で書いた漢字の確認を怠ったがために、誤字のあるまま公にされて顔から火の出るような思いをした人もあることでしよう。また、現代人の必需品となりつつあるワープロやパソコンの変換ミスに気づきながら、正しい漢字が浮かんでこなくて仕事の能率に多大な支障を覚えた人も大勢いることでしよう。これは、多字種の漢字を用いている民族の宿命かと思います。

 そのようなときに、手近にあって億劫がらずに活用できる漢字中心の辞典があったら、どんなに助かることでしょう。日本人が物を書くうえで一番のウィークポイントである漢字、それを中心に必要度の高い情報から順次、簡潔に構成してあるのが、この漢字辞典です。

 本書の編集にあたっては、広野昭甫先生(文教大学講師)に、ご尽力いただきました。また、楷行草の三体の毛筆は、江守賢治先生にお願いいたしました。あわせて、お礼申し上げます。

1992年 7月

三省堂編修所