時候のあいさつ

ぼ しゅう 【暮秋】

2007年10月10日

どういう意味?

『大辞林 第三版』には「①秋の終わり頃。晩秋。暮れの秋。[季語]秋。②陰暦九月の異名。」とあります。

もう少し詳しく…

「初秋」(バックナンバー8/24)「仲秋」(バックナンバー9/12)でも書きましたが、四季のそれぞれの三か月を「孟(または初)」「仲」「季(または晩)」をつけて呼ぶ場合、「季(または晩)」はその終わりの月をさします。「暮」も同様にその終わりごろをさし、「暮春」といえば陰暦三月の異名になります。季語で「暮れの秋」と言えば「暮秋」と同じ意味になりますが、「秋の暮れ」といえば「秋の夕暮れ」のことで、「枕草子」のころから詠まれた情景となります。

いつごろに適したことば?

陰暦九月は今年にあてはめると10月11日から11月9日です。11月10日になると暦の上では「冬」です。

使用例は?

「暮秋の候」「暮秋の砌(みぎり)」など

似た表現は?

「季秋」「晩秋」などがあります。「季秋の候(みぎり)」「晩秋の候(みぎり)」も時候のあいさつとして使えます。

ちなみに…

陰暦九月の異名

『三省堂WebDictionary』(*)は全文検索が可能です。語釈の中に「陰暦九月」と出てくるものを探してみます。まずは検索窓に「陰暦九月」と入れて、全文検索をチェック、辞書はひとまず『スーパー大辞林3.0』をチェック。すると23件が該当します。重陽の節句やほかを表す語もひっかかるので、それらを目で振り分けると「色取り月」「菊月」「季秋」「玄」「梢の秋」「太衝」「長月」「寝覚め月」「晩秋」「涼秋」などが該当します。『大辞林』に出ているだけでも、こんなにもいろいろな言い方があるんですね。こういう探し方は冊子体の辞書では難しかったのですが、辞書が電子媒体の世界にひらかれ、「検索」という方法と結びつくようになって可能になりました。
(*)『三省堂WebDictionary』は年額¥3,150(半年なら¥1,575)で見出し語総数170万語、17タイトルのWeb辞書検索サービスをご利用いただけるサービスです。先月末に待望のリニューアルを果たし、より利便性の高いサービスとなりました。『三省堂WebDictionary』では複数の辞書を同時にひくことができ、また、『スーパー大辞林3.0』『グランドコンサイス英和』『グランドコンサイス和英』の3タイトルについては、随時更新を行っているため、最新の情報を得ることができます。まずは『デイリーコンサイス国語辞典 第3版』『デイリーコンサイス英和辞典 第6版』『デイリーコンサイス和英辞典 第5版』が検索できる無料版をお試しください。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

「時候のあいさつ」では、手紙やビジネス文書でよく使う季節のことばを取り上げ、その語の意味や、どんな時期に適したことばかを解説します。