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【今週のことわざ】洛陽の紙価を貴む

2008年 9月 8日 月曜日 筆者: yama

今週のことわざは「洛陽の紙価を貴む」です。

洛陽(らくよう)の紙価(しか)を貴(たか)

出典

晋書(しんじょ)・左思(さし)

意味

出版した本がよく売れること。「洛陽(らくよう)」は、晋(しん)の都で、今の河南(かなん)省洛陽市。「紙価」は、紙の値段。原文には「価」の字はない。「貴」は、値段が高くなること。評判の作品はみな争って筆写したので、紙の値段が高騰したということ。紙は、晋のころは、まだ貴重品だったことを思うと、この句の意味がいっそう深く理解できよう。

原文

司空張華見而歎曰、班張之流也。使之者尽而有余、久而更新。於是豪貴之家競相伝写、洛陽為之紙貴。〔司空(しくう)の張華(ちょうか)見て歎(たん)じて曰(いわ)く、班(はん)・張(ちょう)の流(りゅう)なし。これを読む者をして尽くして余り有り、久しくして更に新ならしむ、と。是(ここ)に於(おい)て豪貴の家、競いて相(あい)伝写し、洛陽(らくよう)これが為(ため)に紙貴(たか)し。〕

訳文

(晋(しん)の文人左思(さし)は、あらゆる芸術にすぐれた才能をあらわしていた。口は重く、容貌(ようぼう)も醜かったが、とくに辞賦(じぶ)という文体にすぐれた才を発揮していた。かつて後漢(ごかん)のころ、班固(はんこ)が「二都(にと)の賦(ふ)」を作り、張衡(ちょうこう)が「二京(にけい)の賦」を作って評判になったが、彼は、蜀(しょく)の都成都(せいと)、呉(ご)の都建業(けんぎょう)、魏(ぎ)の都?(ぎょう)の三つの都のことをうたった「三都の賦」を作ろうとし、十年の間努力して、これを書き上げた。当時の人々は、最初あまりこの作品を重視しなかったが、皇甫謐(こうほひつ)という学者をはじめ多くの人々が、しだいにその価値を認めるようになった。そして、当時の宰相張華(ちょうか)が、これを絶賛してから、大いに世にもてはやされた。)宰相の張華はこの作品を読んで感嘆して言った。「これは班固の『二都賦』、張衡の『二京賦』に比肩するものだ。これを読む者は、読み終わって余韻が残り、しばらく日がたって、また感銘を新たにすることができる。」と。これを聞いた上流の人々は、先を争って互いに筆写し合った。そのため、洛陽(らくよう)の町では紙の値段が急激に高くなった。

三省堂「中国故事成語辞典」金岡照光編より
2008年 9月 8日