ドイツのお菓子(2)
2009年 6月 1日 月曜日 筆者: 石井 正人クラウン独和辞典―編集こぼれ話―(53)
先年ドイツに滞在したときにうちの子どもが気に入っていたのが、プディング・プレッツェルという奇妙な菓子パンであったが、あんなものは一時の流行で、もうなくなったかもしれない。この名前だけ聞いて、どんなお菓子か想像が付くだろうか?
Brezelというのは、本来「腕」を表すラテン語から来ていて、あの独特の八の字型を、腕を組んだ形に見立てたところからきた名称なのだそうだ。あの形は、パリパリのところと、モッチリしたところと、両方のおいしさが味わえるように工夫された形なのだと聞いている。いずれにしても、ブレツェルというのは、あの八の字型を指す。
だからプディング・プレッツェルというのは、甘くて柔らかいパン生地を八の字型にして、二つの丸いくぼみにプリンがたっぷり入っている。どうも最初これがピンとこなかった。Brezelの特徴といえば、独特の八の字型もさることながら、あの焦げ茶色で、独特の風味と食感の生地だからだ。
だがあれはLaugen(アルカリ液)の生地といって、普通より固めに捏ねて整形したイースト生地を、数%の濃度の苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)溶液=Laugenに浸してから焼くと、ああいう風になるのだそうだ。だからあの生地で焼いたBrötchenだとか、Zopfだとか、はてはCroissantまである。日本のドイツパン屋(たとえば東京・神楽坂のBäcker)でも手に入る。これはこれで子供たちも好きだったから、日本でも手に入るとなると喜んで食べている。
Bienenstichという、クリームをはさみ、飴がけのスライスアーモンドを表面にのせた伝統的なケーキは、表面が蜂の巣に似ているところから名前が来ているのだそうで、蜂蜜は使っていないが、素直な味で日本人にファンが多い。私の妻も大好きだが、妻からそれを聞いたドイツ人の友人がたいそうびっくりし、「だってあんなお菓子はお婆さんの…」と言いかけて、慌てて口を押さえていた。
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【筆者プロフィール】
石井 正人(いしい・まさと)
千葉大学教授
専門はドイツ語史
『クラウン独和第4版』編修委員
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【編集部から】
2008年2月に『クラウン独和辞典』(第4版)が刊行されました。日本初、「新正書法」を本格的に取り入れた独和辞典です。編修委員の先生方に、ドイツ語学習やこの辞典に関するさまざまなエピソードを綴っていただきます。







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2007年









