地域語の経済と社会 第52回
2009年 6月 13日 土曜日 筆者: 井上 史雄地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第52回「お菓子のバーチャル方言博物館」
京都で、包み紙に方言が書いてあるので、お菓子を買いました。開けてみたらミニカステラまんじゅうで、1個1個に焼印で方言が記してあります。真空包装で字がつぶれて読み取りにくいですが、「おいでやす」「おへん」「そうどすえ」「ごめんやす」で、あいさつことばでした。
冷凍庫に入れて永久保存しようかと思いましたが、スペースがありません。包み紙に書いてあることばと同じなので、記録写真を撮って、食べてしまいました。
方言みやげの大部分は保存できるので、誰かが手元にとどめてくれるでしょう。しかし保存できないお菓子の実物は困ります。飾っておくわけには行かないし、冷凍庫に入れて永久保存しても、取り出して眺めるたびに解凍が進むのでは厄介です。
写真に撮るのが一番で、このカラー写真も貴重な記録になります。それに、インターネットで公開すれば、バーチャル方言博物館ができます。
(この続きの大阪の話は、5週間後、第57回に続きます。)
* * *
そういえば、この稿の筆者の社会言語学・計量方言学に関する英語論文が、三省堂のホームページに載りました。インターネットでバーチャルな本が出版されたようなものです。もっともこの日本語記事を読んでいる人は、英語論文に興味がないでしょうから、世の中うまく行かないものです。
English Papers on Sociolinguistics and Computational Dialectology
――Language Market, New Dialect and Dialect Image――
(社会言語学・計量方言学英語論文――言語市場・新方言・方言イメージ――)
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/index_eng.html
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

井上史雄(いのうえ・ふみお)
明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)、『日本語は年速一キロで動く』(講談社現代新書)、『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語ウォッチング』(岩波新書)、『その敬語では恥をかく!』(PHP新書)、『言語楽さんぽ』『社会方言学論考―新方言の基盤』(ともに明治書院)、監修に『方言と地図』(フレーベル館、最新刊)などがある。
* * *
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
2009年 6月 13日









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