2009年 6月 のアーカイブ
『三省堂国語辞典』のすすめ その71
2009年 6月 10日 水曜日 筆者: 飯間 浩明アイシテルヨ、アルティショ。

【アーティチョークのつぼみ】
『三省堂国語辞典』は、小型ながら、わりあい図版が多いのが特長です。主幹だった見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)によれば、〈図版の最初が“アーケード”というパターンはこの辞書に始まる〉ということです(『ことばの遊び学』)。
『三国』の本文第1ページ目には、この「アーケード」とともに、もうひとつ、「アーティチョーク」の図版が載っています。この名前を聞いてぴんと来る人は、かなりのグルメでしょう。〈大形のアザミ。西洋料理で、つぼみを食べる。和名チョウセンアザミ。〉と説明してありますが、どんな外観か、図版があれば助けになります。そこで、松ぼっくりの化け物のような(?)つぼみのイラストが添えてあります。

【びん詰めのアーティチョーク】
アーティチョークを日本の人びとに紹介した功績のあるひとりが、伊丹十三さんでしょう。『ヨーロッパ退屈日記』(1965年)の中で、次のように記しています。
〈一見、緑色をした巨大な百合根の如きものであって、〔略〕日本では五月から六月が季節〔略。味は〕一等近いものはそら豆じゃないかな。〉(文春文庫版 p.96-97)
おそろしい外観の割には、食べ方は、そうむずかしくはありません。塩水に漬けて、柔らかくなるまでゆでて、鱗片(りんぺん)や、幾重もの層になった中身を食べます。味は、伊丹さんの言うように空豆のようでもあり、苦みのあるじゃがいものようでもあります。
もっとも、日本で一般に入手しやすいのは、生のものよりもびん詰めのほうでしょう。オリーブオイルと酢、塩に浸けたそれは、たけのこのような歯ざわりです。薄い層が球状に重なっているので、京料理の湯葉をも連想させます。

【ピザに載せてもうまい】
ゆでたものも、びん詰めのものも、ピザやスパゲッティなどによく合い、食欲を増進します。パスタ店でもトッピングに使っている所がけっこうあります。
ところで、語形についてですが、フランス語ではこれを「アルティショ」と言います。中島梓さんも次のように書いています(「ウマいもんじゃない」は、ことばのあやです)。
〈アルティショ(朝鮮あざみ)だって、枝豆、ソラ豆だって、あーた、大してウマいもんじゃないよ。〉(『にんげん動物園』角川書店 1981年 p.53)
また、伊丹さんは上記のエッセーの中で「アーティショー」の形も使っています。『三国』の第六版では、これらの語形も「アーティチョーク」の項に書き添えました。
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筆者プロフィール
飯間浩明(いいま・ひろあき)
早稲田大学非常勤講師。『三省堂国語辞典』編集委員。
早稲田大学文学研究科博士課程単位取得。専門は日本語学。古代から現代に至る日本語の語彙について研究を行う。NHK教育テレビ「わかる国語 読み書きのツボ」では番組委員として構成に関わる。著書に『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波書店)、『NHKわかる国語 読み書きのツボ』(監修・本文執筆、MCプレス)、『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』(ディスカヴァー21)がある。
URL:ことばをめぐるひとりごと(http://www.asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/kotoba0.htm)
【編集部から】
生活にぴったり寄りそう現代語辞典として定評のある『三省堂国語辞典 第六版』が発売され、「【サンコク】メディアでの紹介」の記事にある通り、各方面で取り上げていただいております。その魅力をもっとお伝えしたい、そういう思いから、編集委員の飯間先生に「『三省堂国語辞典』のすすめ」というテーマで書いていただいております。
「四字熟語と太宰」(その2)
2009年 6月 9日 火曜日 筆者: 円満字 二郎過渡期の犠牲者
四字熟語とはどんなものか? 漢字が4つ並んでいれば、四字熟語なのか?
その定義は、なかなかむずかしい。たとえば、「自己」のあとに漢字2文字がくっついたことばは、たくさんある。「自己矛盾」「自己満足」「自己嫌悪」「自己否定」「自己崩壊」などなど。
これらは四字熟語と呼べるのか? そう思えるものもあれば、そうは思えないものもある。その線引きをするのは、きわめて困難だ。
太宰の作品の中にも、「自己○○」はたくさん出てくる。中でも出現回数が多いのは、「自己弁解」の15回、「自己嫌悪」の13回。自分を取り繕おうとしたり、ことさらに嫌ってみせたり。このこと自体、太宰の自意識のありようを物語るようで、おもしろい。
では、自分を積極的に評価するような「自己○○」は、太宰は使わないのだろうか。そう思って見てみると、「自己満足」は1回しかない。「自己肯定」は5回あるけれど、批判的な文脈で用いられることが多いようだ。
自信のなさと自信の強さとは、たいていの場合、表裏の関係にある。太宰だって、例外ではない。それにしては、「自己○○」については、バランスが悪い。
そんなことを考えていて、「自己犠牲」ということばがあることに思い至った。いかにも太宰好みじゃないか! 勢い込んで調べてみたが、これもまた、2回しか使われていないのだ。
そんなことがあってからしばらく経って、ふと、『斜陽』のラストシーンを思い出した。主人公のかず子は、デカダン生活を送る流行作家の上原とたった1度だけの不倫の関係を持って、望み通り、彼の子を宿す。彼女は、上原への手紙の中で、次のように書く。
「こいしいひとの子を生み、育てる事が、私の道徳革命の完成なのでございます。」
太平洋戦争の敗戦という古今未曾有の国難。それまで信じられてきた価値観が、すべて崩壊してしまった中で、しかし、「古い道徳はやっぱりそのまま、みじんも変らず、私たちの行く手をさえぎっています」。だから、彼女は言うのだ。
「犠牲者。道徳の過渡期の犠牲者。あなたも、私も、きっとそれなのでございましょう。」
偽善に充ち満ちた「古い道徳」に対して、「道徳革命」を挑むかず子。その完成のためには、「もっと、もっと、いくつもの惜しい貴い犠牲が必要のようでございます」。
彼女の言う「犠牲」は、「自己犠牲」ということばでイメージされるような、やわなものではない気がする。自己を犠牲にすることで、他者を幸福にしようというような、そんな甘いものではない気がする。
死に物狂いの戦いの中で、傷つき、倒れ、「犠牲」となる。その行為、その過程そのものが目的となっているような、ギリギリした中での、自己中心的だと言いたくなるほどの「犠牲」の感覚。
これまで、ぼくは『斜陽』を何回も読み返してきたが、そんなものを感じ取ったことはなかった。
すぐれた文学作品は、ちょっとした「ことば」をきっかけにして、いろんな世界をかいま見せてくれる。だから、文学はおもしろいのである。
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【著者プロフィール】
円満字 二郎(えんまんじ・じろう)
1967年兵庫県生まれ。大学卒業後、出版社にて高校国語教科書や漢和辞典などの編集に従事。
現在は、フリーの編集者兼ライターとして多方面に活躍中。著書に、『大人のための漢字力養成講座』(ベスト新書)、『人名用漢字の戦後史』(岩波新書)、『昭和を騒がせた漢字たち』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『心にしみる四字熟語』(光文社新書)、『漢和辞典に訊け!』(ちくま新書)がある。
【編集部から】

本年は、太宰治の生誕100年にあたります。このたび刊行されました『太宰治の四字熟語辞典』は、実際に用いられた四字熟語の意味や背景を解説しながら、作品世界を自由に読み解く異色の太宰文学案内です。著者の円満字二郎さんに、執筆時のこぼれ話を隔週で連載していただきます。
『枕草子日記的章段の研究』発刊に寄せて(6)
2009年 6月 9日 火曜日 筆者: 赤間 恵都子(6) 『枕草子』の読み方
前回と前々回は、『枕草子』の本がさまざまな形態で現代に伝えられていることについてお話ししました。そして、その内容をとらえるために章段を3種に区分する方法をご紹介しました。ところが、『枕草子』の中には、次のような困った章段があります。
A 病は、胸。物の怪。あしの気。はては、ただそこはかとなくて物食はれぬ心地。
(病気といえば、胸の病。物の怪によるもの。脚気。最後には、ただ何となく食欲のない気分の状態。)
B 十八、九ばかりの人の、髪いとうるはしくて、たけばかりに、裾いとふさやかなる、いとよう肥えて、いみじう色白う、顔愛敬づき、よしと見ゆるが、歯をいみじう病みて、額髪もしとどに泣き濡らし、乱れかかるも知らず、面もいと赤くて、おさへてゐたるこそ、いとをかしけれ。
(十八か九歳くらいの女性で、髪が大変美しくて背丈ほどに長く、裾がとてもふさふさしているその人は、よく太ってすばらしく色白で、顔立ちが上品で美人に見えるのだが、歯をひどく痛がって前髪を涙でぐっしょり濡らし、それが顔に乱れかかっているのも気にせず、顔面を真っ赤にして患部を手で押さえて座っている様子は、たいそう心が引きつけられる。)
C 八月ばかりに、白き単衣、なよらかなるに、袴よきほどにて、紫苑の衣の、いとあてやかなるをひきかけて、胸をいみじう病めば、友だちの女房など、数々来つつとぶらひ、…
(八月ころに、白い着慣れた下着に袴がきれいな感じで、その上に紫苑色(薄紫)のとても上品な衣をはおって、胸の病気をひどく患っていると、友だちの女房たちがたくさん見舞いに訪れて…)
この章段は、「病は」という標題が選ばれたこと自体が現代人には不思議に思われるのですが、内容がさらに問題です。まず、当時の病のうち文学的題材になりそうな代表的なものを並列した類聚部Aに始まり、次に、誰とも分からないけれど歯痛に苦しむ美女の姿態を観察した随想部Bが続き、さらに、初秋に重い胸の病に罹って友人の見舞いを受ける女性の回想部Cが続いています。そのCの女性は、この後に天皇の見舞いも受けており、実際の出来事を記したものと考えられます。
つまり、本来性質の違う3種の文章が一つの章段内にまとめられているのです。その証拠に、内容によって章段を分類編集した前田家本と堺本では、A、B、Cが別種の章段としてばらばらの位置に配置されています。一方、「病」という共通の主題のもとに形の異なる文章が集められた雑纂(ざっさん)形態本の章段は、文章の流れとしては自然に展開しており、作者が「病は」の段の記事を次々と書き継いでいったものと考えられます。同様に、異なる種類の文章が一章段内に含まれる例は、他にも複数見つけられます。
このことから確認されるのは、『枕草子』の章段を類聚段、随想段、日記段と3分類する方法は、あくまでも後世の研究者の便宜によるものだということです。原作者の意識の中には3種の区別はなかっただろうと推測されます。したがって『枕草子』は、章段の区分もその種類も、本来、非常に流動的な作品であると考えておくのがいいと思われます。
その事を前提として、今回、私が研究テーマとして選んだのは、『枕草子』の日記的章段です。これは日記段の中に他の種類の文章が含まれるケースをも含めての呼称です。日記的章段は、作者が仕えた定子の後宮生活で起こった出来事を扱った部分で、記録的な内容を持っています。しかし、日記段が集められた類纂形態の伝本においても、章段は決して時間の流れの順に並べられていません。
章段区分が曖昧なうえに時間的な順序を無視した『枕草子』という作品を、私たちはどのように読んでいったらよいのでしょうか。その一つの答えが、日記的章段をあえて時間の流れの順に並べて読んでみるという方法でした。時間の順に並べて読むということは、歴史に沿って作品を読むことにもなります。そうすることによって、日記的章段をばらばらに読んでいたときには気付かなかったたくさんのことが見えてきました。
それが、作者が何を書こうとしたのか、『枕草子』はどんな作品なのかという課題に繋がっていったのです。
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【著者プロフィール】
赤間 恵都子(あかま・えつこ)
十文字学園女子大学短期大学部文学科国語国文専攻教授。博士(文学)。
専攻は、『枕草子』を中心とした平安時代の女流文学。研究テーマは、女流作家が輩出した西暦1000年前後の文学作品の主題や歴史的背景をとらえること。
【主要論文】
「枕草子研究の動向と展望―年時考証研究の視座から―」(『十文字学園女子短期大学研究紀要』2003年12月)、「『枕草子』の官職呼称をめぐって」(『枕草子の新研究―作品の世界を考える』新典社 2006年 所収)、「枕草子「二月つごもりごろに」の段年時考」(『百舌鳥国文』2007年3月)など。
【編集部から】

このたび刊行いたしました『枕草子日記的章段の研究』は、『枕草子』の「日記的章段」に着目して、史実と対照させ丁寧に分析、そこから清少納言の主体的な執筆意志をとらえるとともに、成立時期を新たに提案した『枕草子』研究者必読の一冊です。著者の赤間恵都子先生に執筆にいたる経緯や、背景となった一条天皇の時代などについて連載していただきます。(隔週掲載)
日本語社会 のぞきキャラくり 第42回 キャラクタは万物に宿る
2009年 6月 7日 日曜日 筆者: 定延 利之キャラクタは万物に宿る
行動の痕跡からキャラクタが窺える例として、文字や文章、美術品を取り上げてきたが(第39回・第40回)、キャラクタの「ありか」はそれだけではない。私たちが何気なく使っている日用雑貨や消耗品にも、キャラクタが宿ることは珍しくない。
歯形のついた鉛筆。一点の曇りもない眼鏡。抜け殻のように脱ぎ捨てられた寝間着。「履歴」をクリックすると怪しいサイトがいっぱい出てくるブラウザソフト。これらは持ち主の行動を語り、結果として持ち主の「人となり」つまりキャラクタを雄弁に語る。(そういえば何かの拍子に学生に電子辞書を貸したら、途端に履歴を調べられたことがあった。ドキドキしたなあ。)
専門家の鑑定や名探偵の推理にたよらなくとも、私たちはこのような人物プロファイリングを日頃よくやっている。「これこれこういう奴って、たいていこんな感じなんだよなあ」「そうそう、で、こうなんでしょ」「わかるわかる」という具合である。
ベースボールマガジン社から出ていた雑誌『月刊プロレス』には読者の投書欄「読者のリング」があり、そこにはいつも、プロレスへの愛と情熱に満ちた投書がひしめいていた。中でも「アンケート募集」はすごかった。これは読者が、たとえば「アンケートにご協力ください。①好きなレスラー、②好きな団体、③嫌いな団体、④好きなレフェリー」のような投書を通じて、他の読者にアンケートを募るものである。
そんなアンケートに誰が回答するものか、と思うのは間違いで、「327通の回答ありがとうございました。その内訳は……」というような集計結果もけっこう普通に投書されていた。以上は私が子供の時分に実際に目のあたりにしたことでもあるが、ここでは椎名誠(1979)『三二七通五分間の孤独な“熱中時代”』の描写をなぞる形で書いていることをお断りしておく。
官製ハガキを用意して宛先とアンケート項目を書き写し、各項目に自分なりの回答を記入するという、5分ほどの手間を惜しまず、いやそれどころか熱中して、アンケートを成立させる人物は、単なる「プロレス好き」では片付けられまい。一体どのような人たちなのか? 椎名氏によれば、たとえばその一人は、次のような人物である。
台東区のほうの運河沿いにある、従業員17人、資本金700万円ぐらいの運送会社に勤める勤続27年の経理課長。部下は2人だけ。基本的に無口。自分のことを「あたし」と言う。家ではキリンのお正月ラベルビールの残ったやつを一本飲んで、夕刊を読み、NHKの『ニュースセンター9時』を観る。今年23才になり来年結婚予定の娘に「お父ちゃんそこのおしょうゆとって」などと言われて醤油をとってやりながら空咳が出てしまう。ちなみに好きなレスラーはラッシャー木村。といっても、新日本プロレスでの「こんばんは」事件でキャラ立ちのきっかけをつかみ、全日本プロレスで大ブレイクした後年のラッシャー木村ではない。ここでのラッシャー木村とは、地味でマイナーな国際プロレス時代のラッシャー木村であり、それをまたこの人は見事な楷書で「ラッシャー木村」とハガキに書いてくる。そういう人なのである。
ここでは、「プロレス雑誌の読者主催アンケートに回答する」という行動を手がかりに、ほどよく統制された肉付け作業によって、ニッポンの正しい『お父さん』(おとなしい系)の像が見事に結ばれている。見事に、と言っても、これが執筆されたのは一昔前なので若い世代の読者はいまひとつピンとこないかもしれないが、こうしたキャラクタの盛衰、消長は致し方ない。キャラは世につれ、世はキャラにつれ、である。
いやいや日用品どころではない。「『田舎者』はこれだから困る」「天敵は『B型』です」「いいえわたしは『サソリ座の女』」等々、キャラクタのありかは行動や行動の痕跡にとどまらない。キャラクタは万物に宿る。
と書いてきて気付いたが、ここは辞書を作っている三省堂という会社のサイトであり、「日本語社会 のぞきキャラくり」という、ことばから見た社会の断層を述べていくはずのコラムであったのだ。万物の話は措いて、ここらで少し、ことばの問題に戻ってみよう。
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◇この連載の中国語版と英語版
中国語版⇒角色大世界――日本
英語版⇒An Unofficial Guide for Japanese Characters
【筆者プロフィール】
定延利之(さだのぶ・としゆき)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。博士(文学)。
専攻は言語学・コミュニケーション論。「人物像に応じた音声文法」の研究や「日本語・英語・中国語の対照に基づく、日本語の音声言語の教育に役立つ基礎資料の作成」などを行う。
著書に『認知言語論』(大修館書店、2000)、『ささやく恋人、りきむレポーター――口の中の文化』(岩波書店、2005)、『日本語不思議図鑑』(大修館書店、2006)、『煩悩の文法――体験を語りたがる人びとの欲望が日本語の文法システムをゆさぶる話』(ちくま新書、2008)などがある。
URL:http://ccs.cla.kobe-u.ac.jp/Gengo/staff/sadanobu/index.htm
【編集部から】
「いつもより声高いし。なんかいちいち間とるし。おまえそんな話し方だった?」
「だって仕事とはキャラ使い分けてるもん」
キャラ。最近キーワードになりつつあります。
でもそもそもキャラって? しかも話し方でつくられるキャラって??
日本語社会にあらわれる様々な言語現象を分析し、先鋭的な研究をすすめている定延利之先生の「日本語社会 のぞきキャラくり」。毎週日曜日に掲載しております。
近刊案内(2009年6月)
2009年 6月 7日 日曜日 筆者: 辞書ウェブ 編集部英語談話表現辞典

内田聖二 編
B6変型判 704ページ ¥5,040 ISBN 978-4-385-10622-9
語用論的な情報をふんだんに盛り込んだ、日本初の本格的な発信型会話・談話表現辞典。約1,000項目の日常的会話表現を、談話分析の手法を用いて徹底解析。発話文脈状況を詳細に解説し、対話例を中心に約5,000の用例を収録。和英索引付き。書籍購入者はウェブ版辞書が無料で使用できる特典付き。
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ビジネス実務総合英和辞典

菊地義明 著
A5判 816ページ ¥6,510 ISBN 978-4-385-11030-1
最新の経済・ビジネス用語満載!英語を使った実務に携わるビジネスパーソンや経営学・経済学を学ぶ学生に必携の一冊。定訳をはじめ豊富な訳例を提示。激動の経済動向を反映する最新の表現もカバーした約26,000項目の見出しに、生きた用例5,000を収録。和英索引付き。書籍購入者はウェブ版辞書が無料で使用できる特典付き。
⇒『ビジネス実務総合英和辞典』のページへ
地域語の経済と社会 第51回
2009年 6月 6日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第51回「日用品の方言グッズ」
この連載も前回が50回,今回から新たな50回となります。できるだけ回を重ねることができるよう,精一杯頑張りますので,みなさん,よろしくお願いします。
さて,今回の話題は,「みやげ」でない「方言グッズ」です。
この連載の題名(副題)のように,私たちは「みやげ」と「グッズ」の二つをひとまとめにして,「方言みやげ・グッズ」と呼んでいます(第1回また第31回で説明)。その理由の一つに,「みやげ」と「グッズ」の区別が付けにくい,ことがあります。

【写真1】「とうほくのことば」
ティッシュペーパー側面
(クリックで全体を表示)

【写真2】「とうほくのことば」
ティッシュペーパー底
(クリックで全体を表示)

【写真3】「とうほくのことば」
トイレットペーパー
(クリックで全体を表示)
そういうところ,私の専属研究助手~世間では「妻」と呼ばれます~が,「みやげ」でない「方言グッズ」を見つけてきました。
「nacre」ブランドの,「とうほくのことば」と題されたティッシュペーパーとトイレットペーパーです。発売元は三菱製紙(家庭紙事業室,所在地:岩手県北上市)です。
ティッシュペーパーは,『箱』の「側面」と「底」に東北地方の方言がたくさん載っています。このティッシュペーパーは,5箱1パックで,「側面」は5箱の長辺側の2面つまり10面に,各面3例ずつ計30例の方言が載せてあります【写真1】。
また,「底」には,5箱共通で,東北地方6県各々の代表的な方言が,各県5例ずつ計30例,共通語の意味とともに一覧になっています【写真2】。
トイレットペーパーは,12巻1パックで,そのパックのビニール外袋の2面に,1面6例ずつ計12例の方言が示してあります【写真3】。
さらに,各県の象徴のイラストもあわせて載せられています。青森:リンゴ・ホタテ,岩手:南部鉄瓶・わんこそば,秋田:なまはげ・きりたんぽ,などです。
これらは日用の消耗品ですし,また,上で述べたとおり,かなり『かさ』の張る商品ですから,製造者に,観光地でのおみやげにする意図はなく,地元の人に『ふるきよきふるさと』を思い出してもらいたい目的で製作されたものだというのはすぐに分かります。他社製品との差別化,という販売戦略のなかで,方言が採用されたのですね。
「方言グッズ」には,こういう日用品もあるわけです。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,諸方言の形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
明解PISA大事典:読解力の問題と素材文「素材文はひとつ 解釈も…
2009年 6月 5日 金曜日 筆者: 北川 達夫第5回 素材文はひとつ 解釈もひとつ?
フィンランドの教育がそれほど有名ではなかったころの話である。
私はフィンランド中西部の人口800人ほどの村にいた。「国際理解週間」ということで、村の唯一の小学校に招かれたのである。その村に外国人が来るのは10年ぶりのこと。しかも珍奇なる日本人である。てんやわんやの大騒ぎとなった。
一連の行事の途中で長大な空き時間ができた。なにごともユルユルのフィンランドではよくあることである。そこで中学年の複式学級で物語を語ることになった。語ったのは『スイミー』。小さな赤い魚のきょうだいの中で一匹だけ黒いスイミー。きょうだいをみな大きな魚に食べられてしまったスイミー。大きな魚をみんなで追いはらったスイミーの物語である。そのときは特に思惑があったわけではない。いきなり日本の昔話を語っても理解しにくいだろうと思った程度のことだ。
語り終えたとき、ひとりの男の子が手をあげた。
「スイミーは指揮官なんだね」
「なぜ?」と私が問う。子どもが何か考えを述べたとき、「なぜ?」と問うのはフィンランド教育のきまりのようなものだ。
「みんなを率いて大きな魚を追いはらったから」
「でも、あんまりいい指揮官じゃないよ」とほかの男の子が言う。
「なぜ?」
「『外に出ると楽しいよ』なんて軽薄な理由でみんなの命を危険にさらしたから」
話が思いがけない方向に進んだものである。スイミーは指揮官――それまでの私にはまったくない発想だった。
この経験をきっかけとして、私はフィンランド各地の小学校で『スイミー』を講じた(*)。すると多くの子どもたちがスイミーをリーダーとして認識したのである。物語『スイミー』から「集団にはリーダーが必要だ」という教訓を読み取ったのである。
日本でも各地の現場の協力を得て、フィンランドと同じ流れで(高学年の児童を対象に)『スイミー』をやってみた。すると日本では「協力することの大切さ」を教訓として読み取る場合がほとんどだったのである。
同じ素材文であっても、それを異なる文化的背景を持つ子どもたちが読むとき、その解釈は大きく異なるのである。
私はフィンランドの子どもたちに語った。
「日本の子どもたちは、この物語から『協力することの重要性』を読み取るんだよ」
日本の子どもたちにも語った。
「フィンランドの子どもたちは、この物語から『リーダーの必要性』を読み取るんだよ」
どちらの国の子どもたちも最初は変な顔をする。それまでの自分たちにはまったくない発想を示されたからだ。だが、きちんと説明すれば納得する。自分たちはそう考えないが、ほかの国の人たちがそう考えるのも分かるというのである。しかし、そのあと――
フィンランドの子どもたちは言った。
「たしかに協力することも大切だけど、だれのもとで協力が成り立っているのかを考えれば、やはりリーダーが大切なんだと思うよ」
日本の子どもたちも言った。
「たしかにリーダーも大切だけれど、リーダー1人だけでは何もできないのだから、やはり協力することが大切なんだと思うよ」
この一連のプロセスに異文化コミュニケーションの要諦がある。
文化が異なれば、考えかたも異なる。考えが異なるからといって、それを全否定したらコミュニケーションは成り立たない。それを全肯定しても相手に迎合しただけのことである。肝心なのは、まず相手の考えをよく理解し、その正当性を評価すること。正当性を評価したうえで、改めて自分の考えを主張することなのである。
PISAの読解力で求められているのも、まさにこの能力である。
いわゆるPISA型の読解問題を「コミュニケーション型の読解問題」ということがある。それは異文化コミュニケーションにおいて必要とされる能力が求められているからなのである。すなわち、素材文に示された考えをよく理解し、それに対する多様な解釈の正当性を客観的に評価し、そのうえで自分の主張を構成していく力――これこそがPISAの読解力で求められている能力なのだ。
* * *
(*)『スイミー』をウラル語圏共通の言語教材の素材文として提案したこともある。そのときの経緯については
⇒『三省堂 国語教育 ことばの学び』vol.17「ヨーロッパで読解教材をつくる」
(http://tb.sanseido.co.jp/kokugo/kokugo/magazines/lang-edu/pdf/017_pdf/017_002.pdf)
* * *
◆この連載を最新記事からお読みになる方は⇒「明解PISA大事典」アーカイブへ
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【プロフィール】

北川達夫(きたがわ・たつお)
教材作家・教育コンサルタント・チェンバロ奏者・武芸者・漢学生
(財)文字・活字文化推進機構調査研究委員
日本教育大学院大学客員教授
1966年東京生まれ。英・仏・中・芬・典・愛沙語の通訳・翻訳家として活動しつつ、フィンランドで「母語と文学」科の教科教育法と教材作法を学ぶ。国際的な教材作家として日芬をはじめ、旧中・東欧圏の教科書・教材制作に携わるとともに、各地の学校を巡り、グローバル・スタンダードの言語教育を指導している。詳しいプロフィールはこちら⇒『ニッポンには対話がない』情報ページ
著書に、『知的英語の習得術』(学習研究社 2003)、『「論理力」がカンタンに身につく本』(大和出版 2004)、『図解フィンランド・メソッド入門』(経済界 2005)、『知的英語センスが身につく名文音読』(学習研究社 2005)、編訳書に「フィンランド国語教科書」シリーズ(経済界 2005 ~ 2008)、対談集に演出家・平田オリザさんとの対談『ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生』(三省堂 2008)、組織開発デザイナー・清宮普美代さんとの対談『対話流―未来を生みだすコミュニケーション』(三省堂 2009★新刊★)など。
『週刊 東洋経済』にて「わかりあえない時代の『対話力』入門」連載中。
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【編集部から】
学習指導要領の改訂に大きく影響したPISAってなに?
PISA型読解力ってどんな力なの?
言語力、言語活動の重視って? これまでとどう違う?
現代の教育観は変わってきたのか。変わってきたとしたら、そこにどんな経緯があるのか。
国際的に活躍する教材作家である北川達夫先生がやさしく解説する連載「明解PISA大事典」。金曜日に掲載しています。
アルバムディクショナリーWebギャラリー開展中
2009年 6月 4日 木曜日 筆者: ogm『コンサイスアルバムディクショナリー』刊行記念
読者(?)参加型Webギャラリー開展中
辞書なのか、アルバムなのか、この本はなんだ――
業界の内外をちょこっとお騒がせ中、本邦初[アルバム×辞書]コンサイスアルバムディクショナリー。『新明解国語辞典編 しろ版』『新明解国語辞典編 くろ版』『四字熟語辞典編 一期一会』『年中行事辞典編 いちねん』の4点同時刊行を記念して、Webギャラリーを開設しています。そうそう、少し前に投稿募集をお知らせしていたアレです。
少しずつ、ギャラリーの写真も増えてきました。今日はそこから少しご紹介。
『新明解国語辞典編 くろ版』から「私としたことが」を。
左は東京都三鷹市のオギノさん、右は東京都葛飾区ののらおさんからの投稿です。
どちらもラブリー☆ のらおさんみたいに子どものころの写真や若かりしころの写真を貼って、自伝的・自分史的アルバムディクショナリーっていうのもいいですね。
皆さまもどうぞお気に入りの一枚を貼って、お送りくださいませ。かわいいものも笑えるものも募集中です。詳しくは以下を↓↓↓
★コンサイスアルバムディクショナリー ウェブギャラリー出展作品募集のお知らせ★
応募期間は2009年8月31日まで。応募にあたって、注意していただきたい点がいくつかありますので、詳しくは下記をご覧ください。
募集要項詳細はこちら。
⇒「コンサイスアルバムディクショナリー ウェブギャラリーへの出展作品募集のお知らせ」へ
応募の際のご参考に。開展中のウェブギャラリーはこちら。
⇒「コンサイスアルバムディクショナリー ウェブギャラリー」へ
……というわけで、コンサイスアルバムディクショナリーのご案内
自分で本をつくる楽しみも味わえてしまう!
写真とことばを合わせて、そのマッチ/ミスマッチに笑いましょう。
結婚式にも、子どもの成長記録にも。夏休みの絵日記の代わりにも。
『新明解国語辞典編 しろ版』
三省堂編修所 編 1,260(1,200)円 四六変型判 48頁
ISBN 978-4-385-36407-0
〈うっとり〉〈きらきら〉〈情熱〉〈ロマン〉など美しいことば、夢のあることばを『新明解国語辞典』から22項目。ほかの項目はこちら⇒総目次 見本はこちら⇒見本+写真付きサンプル
『新明解国語辞典編 くろ版』
三省堂編修所 編 1,260(1,200)円 四六変型判 48頁
ISBN 978-4-385-36408-7
〈悪魔〉〈ぎらぎら〉〈疑惑〉〈ぐれる〉などブラックなことば、辛口な表現を『新明解国語辞典』から22項目。ほかの項目はこちら⇒総目次 見本はこちら⇒見本+写真付きサンプル
『四字熟語辞典辞典編 一期一会』
三省堂編修所 編 1,260(1,200)円 四六変型判 48頁
ISBN 978-4-385-36409-4
〈感慨無量〉〈完全無欠〉〈和気藹藹〉など、老若男女問わず愛される国民の文化的財産、四字熟語を22項目。ほかの項目はこちら⇒総目次 見本はこちら⇒見本+写真付きサンプル
『年中行事辞典編 いちねん』
三省堂編修所 編 1,260(1,200)円 四六変型判 48頁
ISBN 978-4-385-36410-0
〈お正月〉〈ひな祭り〉〈運動会〉など一年間の思い出写真を撮り集め、親子で楽しむかわいい年中行事辞典編。実はうんちくもしっかり。項目一覧⇒総目次 見本はこちら⇒見本+写真付きサンプル
ちなみに……。一つの見本のカタチ
『うめ版 新明解国語辞典×梅佳代』
写真 梅 佳代/文 新明解国語辞典
1,470(1,400)円 四六変型判 128頁
ISBN 978-4-385-36319-6
独特な観察眼に基づく写真とことばが、真面目で妙ちくりん、イミフメイでカワイイ、微笑ましくもどこか切ない……そんな〈人間とことば〉のセカイ。
人名用漢字の新字旧字:「滝」と「瀧」
2009年 6月 4日 木曜日 筆者: 安岡 孝一第36回 「滝」と「瀧」
新字の「滝」は常用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。旧字の「瀧」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。つまり、「滝」も「瀧」も出生届に書いてOK。でも、旧字の「瀧」は、微妙なタイミングで人名用漢字に追加されたのです。
昭和23年1月1日の戸籍法改正時点では、当用漢字表には新字の「滝」が収録されていて、直後にカッコ書きで旧字の「瀧」(4画目が「一」)が添えられていました。つまり、「滝(瀧)」となっていたわけです。ただし、旧字の「瀧」はあくまで参考として当用漢字表に添えられたものでしたから、子供の名づけに使ってはいけない、ということになりました。この時点では、新字の「滝」はOKだけど、旧字の「瀧」はダメだったのです。その後、常用漢字表の時代になって、新字の「滝」は常用漢字になりましたが、旧字の「瀧」は人名用漢字になれませんでした。ここまでは、「歐」や「學」と良く似たパターンですね。でも、この後が違うのです。
平成16年4月30日、広島家庭裁判所は、「瀧」を含む出生届を受理するよう大竹市長を相手どった不服申立てに対し、これを却下しました。旧字の「瀧」は、「常用平易」とは認められなかったのです。この審判に対して、親の側は、広島高等裁判所に即時抗告しました。
ちょうどこの頃、法制審議会のもと発足した人名用漢字部会は、当時最新の漢字コード規格JIS X 0213(平成16年2月20日改正版)、平成12年3月に文化庁が書籍385誌に対しておこなった漢字出現頻度数調査、全国の出生届窓口で平成2年以降に不受理とされた漢字、の3つをもとに、人名用漢字の見直しを審議していました。旧字の「瀧」は、JIS X 0213の第1水準漢字で、出現頻度数調査の結果が244回でしたから、文句なしに人名用漢字の追加候補となりました。そして平成16年6月11日、人名用漢字部会は、「瀧」を含む578字の追加案を公開したのです。ただし、この追加案での「瀧」の字体は、JIS X 0213に掲載されている字体に合わせて、4画目が縦棒になっていました。
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翌々週6月23日、広島高等裁判所は大竹市長に対し、「瀧」を含む出生届を受理するよう命じる決定をくだしました。人名用漢字部会が「常用平易」だと認めた「瀧」に対して、裁判所がそれを認めない理由がない、という判断でした。親の側が「逆転勝訴」したのです。この決定を受けて、平成16年7月12日、法務省は戸籍法施行規則を改正し、「瀧」「毘」「駕」の3字を人名用漢字に追加しました。法制審議会の答申が出ていないにもかかわらず、旧字の「瀧」(4画目が縦棒)を人名用漢字に追加したのです。この結果、現在に至っても、新字の「滝」と旧字の「瀧」の両方が、子供の名づけに使えるのです。
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【筆者プロフィール】
安岡孝一(やすおか・こういち)
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター准教授。
京都大学博士(工学)。JIS X 0213の制定および改正で委員を務め、その際に人名用漢字の新字旧字を徹底調査するハメになった。著書に『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)、『文字コードの世界』(東京電機大学出版局)、『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。
http://slashdot.jp/~yasuoka/journal で、断続的に「日記」を更新中。
人名用漢字以外を子供の名づけに使うには (10)
2009年 6月 3日 水曜日 筆者: 安岡 孝一人名用漢字の新字旧字・特別編 (第10回・最終回)
人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。
常用平易ではなく永年使用
前回(第9回)、名の変更許可では「永年使用」を実情として申立てる、と書きました。問題の漢字の「常用平易」ではなく、「永年使用」を申立てるのです。というのも、子の名ではなく、本人の名なのですから、戸籍法第50条ではなく第107条の2が適用されるのです。
第百七条の二 正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
この「正当な事由」の1つとして、「永年使用」が認められているのです(東京家庭裁判所昭和40年(家)第7435号・宮崎家庭裁判所昭和46年(家)第268号・名古屋高等裁判所昭和52年(ラ)第183号など)。
名の変更許可が認容された場合
認容された場合は、家庭裁判所に、審判書謄本の交付を申請します。申請するのは、もちろん子供本人です。審判書謄本が送られてきたら、子供本人が住所地の市役所(区役所・町役場・村役場)に出向いて、名の変更届と審判書謄本を提出します。ハンコを持っていくのを忘れないように。本籍地と住所地の市役所が違う場合は、戸籍謄本も必要です。市役所によっては、他にいくつか書類を書かなければならないかもしれませんが、これで、戸籍上に、本当の子供の名が記載されることになります。
名の変更許可が却下された場合
却下された場合は、次に取るべき方法には、いくつか選択肢があります。選択肢の1つは、高等裁判所への即時抗告を、家庭裁判所に申立てることです。即時抗告の申立ては、2週間以内に、子供本人がおこなわなければいけません。別の選択肢としては、5年ほど待って(つまりは子供の成人を待って)、家庭裁判所に再び、名の変更許可を申立てるやり方です。その際、別の家庭裁判所で名の変更許可を申立てるために、子供を事前に引越させておくというのも、可能な選択肢の1つでしょう。
あるいは、これらの選択肢のうち、複数を組み合わせるという方法もありえます。極端な話、次々に引越しながら、日本中の家庭裁判所を巡ったって、かまわないのです。常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を、名の変更に許可するかどうかは、裁判官の間でも意見が分かれるところなのです。日本国内には家庭裁判所が50、支部が203、出張所が77もありますから、名の変更を許可してくれる裁判官に、いつか出会えるかもしれません。
まとめにかえて
ですが、第1回の冒頭でも書いたとおり、筆者個人は、やはり常用漢字と人名用漢字の範囲で出生届を書いてほしいのです。それ以外の漢字を子供の名づけに使うのは、あまりにも大きなリスクを伴います。最悪の場合、あなたの子供に、全国の家庭裁判所を放浪する一生を強いかねません。そうでなくても、戸籍上の名と本当の名が違っている間は、さまざまな点で不都合が生じます。それでもあなたは、子供の名づけにその漢字を使いたいのですか?
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【筆者プロフィール】
安岡孝一(やすおか・こういち)
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター准教授。
京都大学博士(工学)。JIS X 0213の制定および改正で委員を務め、その際に人名用漢字の新字旧字を徹底調査するハメになった。著書に『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)、『文字コードの世界』(東京電機大学出版局)、『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。
http://slashdot.jp/~yasuoka/journal で、断続的に「日記」を更新中。
『三省堂国語辞典』のすすめ その70
2009年 6月 3日 水曜日 筆者: 飯間 浩明チェーンロックはどこにある?

【このチェーンをどう呼ぶ?】
お宅の玄関は開き戸でしょうか。もしそうなら、そこに、用心のための鎖がついているはずです。それをどう呼んでいますか。私は、特に意識することもなく、漠然と「チェーン」と言っていましたが、『三省堂国語辞典』では、第二版以来「ドアチェーン」の形で載せています。新聞などでも「ドアチェーン」は使われています。
ほかに、これを「チェーンロック」と言うことはないでしょうか。私自身は、そう言うことがあるような気がします。活字になった文章でも、次のように出てきます。
〈〔ドアにノックがあったので〕二種類のドアロックとチェーンロックを解く。〉(斎藤純「ル・ジタン」『推理小説代表作選集 1994年版』講談社 p.81)
この「チェーンロック」は『三国』の旧版になく、また、調べた範囲では、他の辞書にも見当たりません。最新の第六版にぜひ載せたいと思いました。でも、しばし待て、です。「チェーンロック(名)ドアチェーン。」と説明して、本当にいいのかどうか。

【自転車のチェーンロック】
じつは、ウェブサイトで検索すると、「チェーンロック」がドアチェーンの意味で使われている例は、あまり多くありません。むしろ、バイクや自転車に巻きつける鎖式の錠を指す場合が目につきます。こうなると、厳密な定義を確認する必要が出てきます。
文献では、チェーンロックについてくわしく説明する記述は見つかりませんでした。思いあまって、関係方面に電話で問い合わせてみました。日本ロック工業会、全国防犯協会連合会、それに、業界大手の会社などに伺ったところ、ご応対くださった方々は、ご自分の語感なども交えて、懇切に教えてくださいました。

【自動販売機のチェーンロック】
それによると、「チェーンロック」は、ドアではなく、自転車や自動販売機などの施錠に使うものを指します。かつては「鎖錠(くさりじょう)」とも言ったそうです。
ドアに掛ける鎖は、やはり「ドアチェーン」と言います。最近は、鎖ではなく掛け金式のものが多くなっていますが、これは「ドアガード」などの名で呼ぶそうです。
以上を踏まえて、まず、新規項目「チェーンロック」の語釈を次のように記しました。
〈自転車・自動販売(ハンバイ)機などにつける、くさりのついた錠(ジョウ)。くさり錠。〉
また、「ドアチェーン」の項目にも、〈〔かけがね式は「ドア ガード」と言う〕〉と、あまり知られていない「お得情報」をつけ加えておきました。
◆連載を続けてお読みになる方は⇒「『三省堂国語辞典』のすすめ」アーカイブ
◆記事のタイトルからお探しになる方は⇒「『三省堂国語辞典』のすすめ」目次へ
◆新連載「国語辞典入門」は⇒「国語辞典入門」アーカイブ
◆新連載「国語辞典入門」をタイトルからお探しになる方は⇒「国語辞典入門」目次へ
◆飯間先生の記事はここにも⇒「三省堂WebDictionary」ことばパティオ第8回「「串刺し」に堪える語釈でなければならない」
筆者プロフィール
飯間浩明(いいま・ひろあき)
早稲田大学非常勤講師。『三省堂国語辞典』編集委員。
早稲田大学文学研究科博士課程単位取得。専門は日本語学。古代から現代に至る日本語の語彙について研究を行う。NHK教育テレビ「わかる国語 読み書きのツボ」では番組委員として構成に関わる。著書に『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波書店)、『NHKわかる国語 読み書きのツボ』(監修・本文執筆、MCプレス)、『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』(ディスカヴァー21)がある。
URL:ことばをめぐるひとりごと(http://www.asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/kotoba0.htm)
【編集部から】
生活にぴったり寄りそう現代語辞典として定評のある『三省堂国語辞典 第六版』が発売され、「【サンコク】メディアでの紹介」の記事にある通り、各方面で取り上げていただいております。その魅力をもっとお伝えしたい、そういう思いから、編集委員の飯間先生に「『三省堂国語辞典』のすすめ」というテーマで書いていただいております。
UNIX によるコーパスデータの処理 (10)
2009年 6月 2日 火曜日 筆者: 阪上 辰也学習者コーパス入門 第26回
今回も、先回に引き続き、複数のコマンドの組み合わせについて紹介します。
UNIX のコマンドは、これまで見てきたように、その1つ1つは、単純な機能しかありません。例えば、sort コマンドなら、並び替えるだけですし、uniq コマンドなら、重複行をまとめるだけです。それぞれのコマンドだけでは、行える作業は限られてしまいますが、簡単なコマンドを組み合わせることで、複雑な処理を実行することができるようになります。裏を返せば、複雑な処理というのは、実は、単純な機能の組み合わせの結果とも言えます。
前回の記事でも少し触れましたが、語彙頻度一覧表を作るには、ヘッダー情報などを除いて産出された作文を整形し、1行1単語の状態にして、並び換えおよび重複行の削除を行うという一連の作業が必要です。
今回は、産出された作文のみのデータがあるという前提で、一気に語彙頻度表を作成できるコマンドの組み合わせを紹介します。前回は、語彙とその頻度求めるため、sort コマンドと uniq コマンドを利用しましたが、それらに加えて、cat コマンドと、tr コマンドも使用します。学習者の作文だけを抽出したデータ(nice_nns_all.txt)を準備し、そのファイルに対して、以下のコマンドを実行します(学習者の作文だけを抽出する手順は、第10回の記事を参照してください)。
cat nice_nns_all.txt | tr ‘ ‘ ‘\n’ | sort | uniq -c | sort -nr [Enter キーを押す]
第21回の記事でも紹介したように、「パイプ」を使い、今回は5つのコマンドを1行にまとめて実行しています。それぞれのコマンドにより処理結果が引き継がれながら、次のコマンドが実行され、結果的に、複数のコマンドがまとめて実行されることになります。
上記のコマンドでは、まず cat コマンドにより、ファイルの中身を表示させ(実際には、次の tr コマンドに引き継がれるため、表示されることはありません)、その表示内容を次のコマンド、つまり、tr コマンドで利用できるようにします。tr コマンドでは、引き継がれたデータに対し、「スペースがあったら改行に置換する」という処理を行っています。ここまでで、1行1単語の状態に整形されていることになります。その後のコマンドは、前回と同様の処理ですので、詳しい説明は割愛します。なお、この一連の処理の結果をファイルに保存する場合は、以下のように、ファイル名を指定してからコマンドを実行します。
cat nice_nns_all.txt | tr ‘ ‘ ‘\n’ | sort | uniq -c | sort -nr > freq_kekka.txt [Enter キーを押す]
今回は、5つのコマンドが組み合わさっていますが、これまで個別に見てきたものを組み合わせたであるということを知っていれば、複雑に見えることはないだろうと思います。また、今回紹介したコマンドの組み合わせは、NICE 以外での英語コーパスでも利用可能なものです。
次回は、UNIX によるコーパスデータの処理についてのまとめです。
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▼お知らせ
2008年10月4日に、学習者コーパス「NICE」の正式版を公開しました。2009年4月9日にはバージョンアップを行い、ver. 1.1 を公開しました。無償で利用可能で、特別な手続きは必要ありませんので、ぜひ研究調査にご利用ください。詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
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■筆者プロフィール
阪上辰也(さかうえ・たつや)
名古屋大学大学院 国際開発研究科 特任助教。
専門は、コンピュータを利用した外国語教育。
ウェブサイトは、sakauetatsuya.net。
人名用漢字以外を子供の名づけに使うには (9)
2009年 6月 1日 月曜日 筆者: 安岡 孝一人名用漢字の新字旧字・特別編 (第9回)
人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。
本当の子供の名を使い続ける
前々回(第7回)、たとえ抗告審で敗けたとしても、本当の子供の名を戸籍に載せるチャンスは残されています、と書きました。では、どうすればいいのでしょう。簡単なことです。第1回でも書いたとおり、本当の子供の名を使い続けるのです。子供の名にその漢字を使いたいのなら、親だけでなく、まわりの人たちにも本当の名を認めてもらう必要があるのです。
まずは、健康保険証の被扶養者欄。本当の子供の名を書いてもらえるよう、頑張ってみましょう。うまくいったら、コピーを取って保存しておきましょう。ダメだったからといって、怒ったりメゲたりせず、本当の子供の名を淡々と広めていきましょう。病院や薬局の領収証にも、保育園や幼稚園の名簿にも、本当の子供の名を書いてもらうよう、頼んでみましょう。卒園証書にも書いてもらえるよう、園長先生にお願いしてみましょう。そして、うまくいったものだけ、コピーを取って保存しておきましょう。
子供が小学生になったら、氏名を漢字でどう書くか、子供にちゃんと教えましょう。その漢字は、小学校では習わない漢字ですが、でも子供にとっては大事な漢字なのです。通信簿にも本当の名を書いてもらうよう、先生にも頼みましょう。ただ、低学年だと、そもそも全員ひらがなの通信簿、ということも有り得ますが。卒業証書や卒業アルバムも、本当の名にしてほしいですよね。校長先生に頼んでみましょう。
中学校のクラス名簿なども、本当の名で書いてもらえるよう、子供本人にも頼ませましょう。そして、本人が15歳になった時が、チャンスです。
家庭裁判所に名の変更許可を申立てる
子供本人が15歳になったら、住所地を管轄する家庭裁判所に出向かせましょう。本当の子供の名が書かれた母子手帳・領収証・卒園証書・通信簿・卒業アルバム・クラス名簿などのコピーと、戸籍謄本、そしてハンコを持たせて下さい。家庭裁判所では、家事審判に関する手続案内窓口に行かせて、名の変更許可を申立てるにはどう手続したらいいのか、子供本人に相談させて下さい。変更理由は、本当の名を生まれて以来ずっと使い続けてきたけど、戸籍には違う名が書かれていて不便だから、です。
この時、子供本人が家庭裁判所で書くのは、 名の変更許可申立書です。『申立人』は子供本人です。『申立ての趣旨』には、「申立人の名(××××)を(○○)と変更することの許可を求める。」と書きます。「××××」は戸籍上の名、「○○」は本当の名です。『申立ての実情』は「通称として永年使用した。」で、使用を始めた時期には生年月日を書きます。母子手帳のコピーが、その証拠です。『名の変更を必要とする具体的な事情』には、本人が中学生であること、戸籍上の名は××××だが本当の名は○○でずっと○○を使ってきたこと、まわりの人たちもみんな○○だと思っていること、今後の進学や就職を考えると戸籍名では不便なので○○に名を変更したいこと、などを書きます。手続は全て、子供本人がおこないます。あなたの出る幕はありません。
さて、次回はいよいよ最終回です。名の変更許可申立てに対して、家庭裁判所はどういう審判をくだすのでしょう。
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【筆者プロフィール】
安岡孝一(やすおか・こういち)
京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター准教授。
京都大学博士(工学)。JIS X 0213の制定および改正で委員を務め、その際に人名用漢字の新字旧字を徹底調査するハメになった。著書に『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)、『文字コードの世界』(東京電機大学出版局)、『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。
http://slashdot.jp/~yasuoka/journal で、断続的に「日記」を更新中。
ドイツのお菓子(2)
2009年 6月 1日 月曜日 筆者: 石井 正人クラウン独和辞典―編集こぼれ話―(53)
先年ドイツに滞在したときにうちの子どもが気に入っていたのが、プディング・プレッツェルという奇妙な菓子パンであったが、あんなものは一時の流行で、もうなくなったかもしれない。この名前だけ聞いて、どんなお菓子か想像が付くだろうか?
Brezelというのは、本来「腕」を表すラテン語から来ていて、あの独特の八の字型を、腕を組んだ形に見立てたところからきた名称なのだそうだ。あの形は、パリパリのところと、モッチリしたところと、両方のおいしさが味わえるように工夫された形なのだと聞いている。いずれにしても、ブレツェルというのは、あの八の字型を指す。
だからプディング・プレッツェルというのは、甘くて柔らかいパン生地を八の字型にして、二つの丸いくぼみにプリンがたっぷり入っている。どうも最初これがピンとこなかった。Brezelの特徴といえば、独特の八の字型もさることながら、あの焦げ茶色で、独特の風味と食感の生地だからだ。
だがあれはLaugen(アルカリ液)の生地といって、普通より固めに捏ねて整形したイースト生地を、数%の濃度の苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)溶液=Laugenに浸してから焼くと、ああいう風になるのだそうだ。だからあの生地で焼いたBrötchenだとか、Zopfだとか、はてはCroissantまである。日本のドイツパン屋(たとえば東京・神楽坂のBäcker)でも手に入る。これはこれで子供たちも好きだったから、日本でも手に入るとなると喜んで食べている。
Bienenstichという、クリームをはさみ、飴がけのスライスアーモンドを表面にのせた伝統的なケーキは、表面が蜂の巣に似ているところから名前が来ているのだそうで、蜂蜜は使っていないが、素直な味で日本人にファンが多い。私の妻も大好きだが、妻からそれを聞いたドイツ人の友人がたいそうびっくりし、「だってあんなお菓子はお婆さんの…」と言いかけて、慌てて口を押さえていた。
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【筆者プロフィール】
石井 正人(いしい・まさと)
千葉大学教授
専門はドイツ語史
『クラウン独和第4版』編修委員
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【編集部から】
2008年2月に『クラウン独和辞典』(第4版)が刊行されました。日本初、「新正書法」を本格的に取り入れた独和辞典です。編修委員の先生方に、ドイツ語学習やこの辞典に関するさまざまなエピソードを綴っていただきます。








![『新明解国語辞典 第七版[机上版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の机上版。判型は並判より大きいA5判で、さらに文字が大きく見やすい。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[机上版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kijo.jpg)
![『新明解国語辞典 第七版[小型版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の小型版。並判より一回り小さいA6変型判で、携帯にも便利。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[小型版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kogata.jpg)
![『新明解国語辞典 第七版[革装版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の革装版。丈夫で使うほどに手になじむ。判型は並版・特装版と同じB6判。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[革装版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kawaso.jpg)






































































































































2007年









