地域語の経済と社会 第56回
2009年 7月 11日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第56回「方言付きの食品」
第51回で,「日用品の方言グッズ」つまり「みやげ」でない「方言グッズ」(ティッシュとトイレットペーパー)を紹介しました。今回は,その親戚のような商品を紹介します。
それは,方言が付けられた食品です。みやげではない,日常の食卓に上がるもので,いくつもあります。今回は3点紹介します。
コーヒー牛乳「べごっこコーヒー」(宮城県~岩手県)【写真1】,納豆「彩黄金(あやこがね)」(宮城県,萬歳食品)【写真2】,餃子「これが博多の餃子たい」(福岡県,八洋食品)【写真3】です。これらが「みやげ」でないことは,製品の性質からすぐに分かりますね。
「べごっこコーヒー」の「べごっこ」は牛のことです。納豆はパッケージの中央に「おばんです」(こんばんは)のメッセージがあります。両方とも,東北の有名な方言ですね。餃子は商品名自体が博多弁であるとともに「これしかなかろうもん!」のメッセージも入っています。
なお,納豆と餃子は,私の専属研究助手(妻:第51回でも登場)が見つけてきたものです。
東北地方の「方言みやげ」の食品も2点紹介しておきましょう。両方とも,観光みやげとしてパッケージされています。スナック菓子「いぎなりうまい棒」(宮城県)【写真4】と,「盛岡冷麺物語三品味くらべ」(岩手県)【写真5】です。「いぎなり」(とても)は,外箱に説明があります【写真6】。冷麺には,表の他,裏にも「おあげってくなんせ」(めしあがってください)のメッセージが入っています【写真7】。
謝辞:株式会社サトーフード(岩手県盛岡市)におかれては,「盛岡冷麺物語三品味くらべ」を無償で提供してくださいました。ここに記して深く感謝の意を表します。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,諸方言の形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
2009年 7月 11日














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