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地域語の経済と社会 第110回

2010年 7月 31日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第110回「「おまんた」は不滅です(新潟県糸魚川市)」

 東京在住の新潟県糸魚川市出身の方々で組織する「東京おまんた会」が、2007年から「東京糸魚川会」となりました。その会誌名も、『東京おまんた会々誌』から『東京糸魚川会々誌』へと衣替えされました。

【銘菓 糸魚川 おまんた】
【銘菓 糸魚川 おまんた】

 名称変更の理由として、「おまんた」があまり使われない、歌手・三波春男さん(長岡市出身)の「おまんた囃子」も若い世代は知らない、などが挙げられています(会誌31号)。

 とはいえ、地元では、「ふれあい夕市 おまんた市」(糸魚川駅前・毎週木曜)をはじめ、夏祭り「糸魚川おまんた祭り」等で、「おまんた」が愛用されています。

 さらに、この一品です。「銘菓 糸魚川 おまんた」(御菓子司 三好屋(糸魚川市寺町)製造)
  糸魚川地方の方言「おまんた」にたくした銘菓
  マロやかな味とソフトな舌ざわり
と菓子折に添えられた解説用紙にあるとおりの味で、観光土産としてはもちろん、地元の方にもたいへん好まれているお菓子だそうです。

 方言の解説が後になりましたが、「おまんた」は、「おまん[=あなた]」の複数形で、あなたがたを意味します。ともに、敬意と親愛がこめられた表現です。

 新潟弁ノンネイティブの者にも、なんとも言えない温かな雰囲気を感じさせる「おまんた」。いつまでも大切にしてほしいですね。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

大橋敦夫先生監修の本大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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2010年 7月 31日