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大規模英文データ収集・管理術 第24回

2012年 5月 14日 月曜日 筆者: 富井 篤

6 「分類」の構成・9

(4) 品詞別

これ以降は、すべて純粋の「分類」になります。

この「(4) 品詞別」は、技術英文を「品詞」の面から考察して収集したデータの分類です。各種品詞を分類してありますので、「トミイ方式」の持つすべての機能、すなわち「活用機能」、「学習機能」、および「制作・発表機能」を、100%以上発揮する分類です。

品詞を分類する目的は、決して学校文法を追求しようというものではなく、あくまでも、技術翻訳する上で必要な品詞のみを取り上げ、それを学習し、翻訳の際に活用しようとすることにあります。そのため、品詞には種類がたくさんありますが、「トミイ方式」でもほとんどすべての品詞を取り上げています。その中でも、特に以下の13個の品詞を「小分類」として、重点的に取り上げています。

1 前置詞
2 冠詞
3 関係代名詞
4 関係副詞
5 助動詞
6 名詞
7 代名詞
8 形容詞
9 動詞
10 to-不定詞
11 動名詞
12 分詞(現在分詞および過去分詞)
13 副詞

これから5回にわたってこれらの品詞の分類を説明して行くわけですが、紙面の関係上、これらすべての品詞を取り上げることができませんので、ここでは、最も重要と考えられる次の5つについて取り上げることにします。残った品詞についてももっと広く深く取り上げたいのですが、別の機会に譲ることとします。

1 前置詞
2 冠詞
10 to-不定詞
12 分詞(現在分詞および過去分詞)
13 副詞

今回と次回の2回にわたって1 前置詞を扱い、その後は2 冠詞を本連載の第26回、10 to-不定詞を第27回、12 分詞を第28回それぞれ取り上げることにします。

1 前置詞

日本語には前置詞というものがありませんので、英語の前置詞は、英和翻訳において上手に訳せば自然な日本語に訳すことができ、和英翻訳においては上手に使えば簡潔な英語が書ける、大変重要な品詞です。その全貌を知るため、「小分類」から「細々分類」まで示します。

1 単体前置詞

2 複数語
 (1) 二重前置詞
 (2) 群前置詞

3 他の語との結合
 (1) 動詞との結合
 (2) 形容詞との結合
 (3) 動名詞との結合
 (4) 関係代名詞との結合

4 特殊用法
 (1) 異種の前置詞
 (2) 文頭の前置詞
 (3) 手段・方法を表わす前置詞
 (4) 省略および繰り返し
 (5) 動詞的な前置詞

最初からこのような階層分類があったわけではありません。ごく荒っぽくいいますと、最初は、これらの前置詞はすべて、「前置詞」という箱の中に一括りに放り込んでいたかもしれません。それが、収集していくうちに前置詞に関するデータが数百点くらいになった時点で、まず、「細分類」をし、やがてその「細分類」の中にさまざまな用法があることに気づき、さらに「細々分類」をしていったわけです。

この連載の中で前置詞すべてについて詳述することはできませんので、「前置詞」について、さらに詳しく学習したい方は「前置詞活用辞典」(三省堂、富井篤著)を参照してください。

1 単体前置詞

「単体前置詞」とは、個々の前置詞のことです。この中には、across から始まり without まで、学校英語とは一味違う用法を持つ前置詞が15個取り上げられています。それら15個の単体前置詞が、さらに「極細分類」までなされています。特に、at, by, for, in, on, with などは、非常に細かく、数多く分類されていますので、「学習」にも「活用」にも役に立ちます。for ~などは、「細々分類」まですると、「~がないかどうか」、「―を~するには」、「―して~する」など、前置詞とは思えない意味を持っている前置詞です。この項目は非常に大事ですので、必ず、収集していってください。

2 複数語

(1) 二重前置詞
「二重前置詞」とは、2つの前置詞が直列に繋がっているものです。これを知らないと、ほとんどの日本人が、前置詞が2つ重なっていることに違和感を抱き、使うのに躊躇するはずです。しかし、ひとたび使ってみると、これほど便利な言い回しはありません。例えば、「~の下から」でしたら、それをそのまま英語に置き換え、from under ~でいいわけです。よく注意して収集していくと、「~の上から」「~の間から」「~の後ろから」など、いろいろ集まります。

(2) 群前置詞
「群前置詞」とは、名詞の前後を前置詞で囲み、1つの前置詞の意味を持つものです。例えば、in accordance with ~,by means of ~ などが群前置詞です。これと形の上ではよく似たもので、慣用句といわれるものもあります。例えば、at the price of ~(~を犠牲にして)とか、in proportion to ~(~に比例して)などが慣用句です。もっと厳密にいうと、群前置詞でも慣用句でもなく、単に名詞の前後に前置詞が付いている副詞句もあります。しかし、私達は、文法に沿って英文データを集めているのではなく、自分の使いやすいデータベースを作っているわけですから、慣用句も副詞句も群前置詞の中に入れて分類しています。このようにして収集していくと、群前置詞は非常に幅広い、使い道の多い品詞であることがわかります。

3 他の語との結合

これは、前置詞が他の品詞と結合されている例です。ここには、前置詞が以下の語と組み合わされて使われている用法を入れています。

 (1) 動詞との結合
 (2) 形容詞との結合
 (3) 動名詞との結合
 (4) 関係代名詞との結合

(1) 動詞との結合(2) 形容詞との結合
これらは、あまり重要ではありません。ただ、目で見てわかる通りに収集し、分類して行けばよいことになります。

(3) 動名詞との結合
これは重要です。例えば、この中には、before ___ing, by ___ing, for ___ing, in ___ing, on ___ing, without ___ing などいろいろな形がありますが、たくさんの例文を集めていくと、with ___ing はあまり使わないということがわかります。

(4) 関係代名詞との結合
これも非常に重要です。例えば、after which, at which, from which, in which, with which などがそれです。たくさん収集してみるとわかることですが、これには、2つの言葉をつなぐルールと各前置詞の持つ意味を正確につかんでいないとできないことがわかります。それぞれが1つ収集できたからそれで良いなどとは思わないで、しつこくいくつもいくつも集めてみることです。すると、上述したことがわかってきます。

最後に、文法書にも辞書にもほとんど取り上げられていない前置詞の用法で、筆者が長年翻訳をしながら、「発掘した」といってもよい用法として「特殊用法」がありますが、これは大きなテーマですので、次回に取り上げることにします。

【筆者プロフィール】

富井篤(とみい・あつし)
技術翻訳者、技術翻訳指導者。株式会社 国際テクリンガ研究所代表取締役。会社経営の傍ら、英語教育および書籍執筆に専念。1934年横須賀生まれ。
主な著書に『技術英語 前置詞活用辞典』、『技術英語 数量表現辞典』、『技術英語 構文辞典』(以上三省堂)、『技術翻訳のテクニック』、『続 技術翻訳のテクニック』(以上丸善)、『科学技術和英大辞典』、『科学技術英和大辞典』、『科学技術英和表現辞典』(以上オーム社)など。

2897 2012年 5月 14日
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