三省堂辞書の歩み

第6回 英和故事熟語辞林

筆者:
2012年7月11日

英和故事熟語辞林

明治27年(1894)11月9日刊行
F. W. イーストレーキ、岩崎行親、棚橋一郎、大森俊次、秋保辰三郎共編/本文1279頁/袖珍判(縦91mm)

【英和故事熟語辞林】8版(明治32年)

【本文1ページめ】

書名に「故事熟語」とあるように、慣用句や成句的な連語、ことわざの類いを中心に収録し、人名・地名などの固有名詞も豊富に掲載している。したがって、発音記号や品詞表示はなく、固有名詞以外の項目は単語のみの語釈を載せていない。

イギリスのブルーワーによる故事成語辞典(1870年初版、明治35・1902年に三省堂より翻刻出版)をはじめ、ウェブスター、オギルビーなど、いくつもの英語辞典を網羅的に参照して編集された。編者には、同年刊行の『英和新辞林』と同じイーストレーキ、岩崎、棚橋、秋保のほか、理学の大森が加わっている。本書と『英和新辞林』との完成によって、三省堂の袖珍サイズによる英和辞典は一段落した。

●最終項目

Zymotic.  ── disease. (医)醱酵病.

●「猫」の項目

●「犬」の項目

◆辞書の本文をご覧になる方は

英和故事熟語辞林:

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筆者プロフィール

境田 稔信 ( さかいだ・としのぶ)

1959年千葉県生まれ。辞書研究家、フリー校正者、日本エディタースクール講師。
共著・共編に『明治期国語辞書大系』(大空社、1997~)、『タイポグラフィの基礎』(誠文堂新光社、2010)がある。

編集部から

2011年11月、三省堂創業130周年を記念し三省堂書店神保町本店にて開催した「三省堂 近代辞書の歴史展」では、たくさんの方からご来場いただきましたこと、企画に関わった側としてお礼申し上げます。期間限定、東京のみの開催でしたので、いらっしゃることができなかった方も多かったのではと思います。また、ご紹介できなかったものもございます。
そこで、このたび、三省堂の辞書の歩みをウェブ上でご覧いただく連載を始めることとしました。
ご執筆は、この方しかいません。
境田稔信さんから、毎月1冊(または1セット)ずつご紹介いただきます。
現在、実物を確認することが難しい資料のため、本文から、最終項目と「猫」「犬」の項目を引用していただくとともに、ウェブ上で本文を見ることができるものには、できるだけリンクを示すこととしました。辞書の世界をぜひお楽しみください。
毎月第2水曜日の公開を予定しております。