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地域語の経済と社会 第230回 週末は山梨にいました。 ―山梨の方言グッズ事情2012―

2012年 12月 1日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第230回 週末は山梨にいました。 ―山梨の方言グッズ事情2012―

 山梨県の観光PRのキャッチ・コピーとして、「週末は山梨にいます。」が使われています。

(画像はクリックで全体表示)
【写真1】紙袋
【写真1】紙袋

→【別表1】方言一覧
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 社団法人やまなし観光推進機構作製の紙袋にも、刷り込まれていますが、その紙袋の側面には、「やまなしの方言いろいろ」と題して、50音順に54の単語が掲げられています。

 「やまなし方言」を登場させたねらいについて、お話を伺ってみました。

     *

●「やまなし方言」を紙袋に刷り込んだねらいは、何ですか?

 袋のマチを利用して、山梨の宣伝をしたかったからです。

●単語は、どのようにして選ばれたのですか?

 機構の職員で考え、よく使われていると判断した方言を選びました。

●反響はいかがですか?

 今のところ、特にありません。

【写真2】まっぷ
【写真2】まっぷ
【写真3】絵はがき・手ぬぐい・ハンカチ
【写真3】絵はがき・手ぬぐい・ハンカチ

     *

とのことでした。

 また、甲府市観光協会作製の「甲府駅周辺まっぷ」でも、「鳥もつ煮食ったら ちょっと 寄ってけし」と、甲州弁で呼びかけています。

 近年のB-1グランプリを制し、B級グルメとして、広く知られた甲府の鳥もつ煮を前面に押し出してのアピールです。

 お土産品では、山梨方言のガイドブックとして好評を博している五緒川津平太氏著『キャン・ユー・スピーク甲州弁?』(樹上の家出版〈南アルプス市〉2009.3)からスピン・オフした絵はがき・手ぬぐい・ハンカチが目をひきました。

「かじる」[=掻く. 引っ掻く]
「ひっくりかえさ」[=さかさ]
「くむ」[=交換する]
「あのしんとう」[=あの人たち]
「行っちょ」[=行くな]
「からかう」[=時間をかけて修理や作業をする]

 これぞ甲州弁という語に加え、気が付きにくい方言(「かじる」「くむ」「からかう」など、共通語と同じ語形でありながら、意味・用法の違うもの)が取りあげられています。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

大橋敦夫先生監修の本大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

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2012年 12月 1日