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続 10分でわかるカタカナ語 第8回 ソーシャル

2017年 4月 22日 土曜日 筆者: もり・ひろし & 三省堂編修所

10分でわかる「ソーシャル」の意味と使い方

どういう意味?

 他の語に付いて、「社会的」「社交的」という意を表します。

もう少し詳しく教えて

 ソーシャル(social)は英語の形容詞で、「社会の」「社交の」を意味します。ソーシャルビジネス、ソーシャルメディアなどのように、他の語に付いて使われます。ソシアルダンス(社交ダンス)などのようにソシアルと表記される場合もあります。

どんな時に登場する言葉?

 社会・社交が関連する分野で登場します。特に近年では、福祉・環境などの社会的課題を取り扱う分野、心理・教育分野、さらには IT(情報通信技術)の分野で、ソーシャルを含む新概念が次々と生まれています。

どんな経緯でこの語を使うように?

 古くから使われている言葉です。例えば大正時代に出版された外来語辞典にはすでに「ソシアル」の項目が存在していました。

 近年では、主に「社会的課題」と「IT」の両分野で、ソーシャルを冠する新概念が数多く生まれ、注目を集めています。そのためマスメディアでソーシャルの語を見聞きする機会も増えています。例えば『現代用語の基礎知識』(自由国民社)では、1991年版でソーシャルを含む複合語の項目が11語だったのに対して、2016年版では延べ23語にまで増えています。

ソーシャルの使い方を実例で教えて!

ソーシャルスキル

 挨拶や意思表明、共感など、社会で人とかかわっていくなかで必要不可欠な技能を「ソーシャルスキル」といいます。そのような技能を訓練することは「ソーシャルスキルトレーニング」と呼ばれます。これらは心理・教育分野でよく登場する概念です。

ソーシャルワーカー

 社会的弱者(貧困・障害・差別などの問題で生活に困っている人)のために行う直接的または間接的な支援活動を「ソーシャルワーク(social work)」と呼びます。またこの活動を行う人を「ソーシャルワーカー(social worker)」と呼びます。学校を活動拠点とする場合は「スクールソーシャルワーカー(school social worker / SSW)」、保健・医療を専門とする場合は「医療ソーシャルワーカー(medical social worker / MSW)」となります。

社会的課題のソーシャル

 1987年に「持続可能な開発」という概念が世界的に注目されました。それ以来、国際社会は環境・資源・エネルギー・貧困・教育・人権といった「社会的課題」により大きな関心を向けています。その影響で、ソーシャルを冠した新概念も数多く日本語に入ってきました。

 例えば「ソーシャルビジネス(social business)」は、社会的課題をビジネスの手法で解決しようとする考え方。そのようなビジネスを行うベンチャー企業(革新的な小企業)を「ソーシャルベンチャー(social venture)」と呼びます。

 また「ソーシャルセクター(social sector)」とは、従来的な公共セクター(行政機関など)や民間セクター(民間企業など)とは異なる新たな組織区分のこと。NPO(非営利組織)や NGO(非政府組織)など、社会的課題の解決を目的とする非営利の民間組織を指します。このセクターは、近年、国際社会の中でも大きな存在感を示すようになりました。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)

 IT(情報通信技術)の分野では、ゼロ年代(2000年~09年)の初頭から「ソーシャルネットワーキングサービス(social networking service)」、略して「SNS」が普及しました。インターネット上で結びついた人どうしが情報交換できるサービスです。日本でそのはしりとなったのはmixi(ミクシィ、2004年サービス開始)であり、2010年代に入ってからはスマートフォンの普及に伴ってFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、LINE(ライン)などの利用が急速に広がりました。

 この SNS を含めて、個人どうしの情報交換によって成り立つメディア(電子掲示板、ブログ、動画サイトなども含む)を「ソーシャルメディア(social media)」と総称します。いわばクチコミの電子版とも言える存在です。

言い換えたい場合は?

 複合語のソーシャルを言い換える場合は、まず定まった訳語があるかどうかを調べてみてください。例えばソーシャルワークには「社会福祉援助技術」、ソーシャルワーカーには「社会福祉士」、ソシアルダンスには「社交ダンス」という訳語が存在します。

 定訳の有無に関わらず、多くの場合、単純な言い換えが困難です。例えばソーシャルメディアを「社交媒体」と言い換えても、おそらく読み手や聞き手は意味を理解できないことでしょう。面倒ではありますが「ネットを通じた個人どうしの情報交換で成り立つメディア」といった具合に、概念を簡単に説明してみてください。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

CSRのS ビジネスでよく見聞きするアルファベット略語の中にも、ソーシャル(social)が含まれるものがあります。代表例は「企業の社会的責任」を意味する「CSR」でしょう。CSR は corporate social responsibility の略です。

社会は「仲間」から始まった 英語の social の語源をたどると「社交的な」を意味するラテン語 socialis に行き着きます。その socialis の語源は、同じくラテン語の socius。これは「仲間」を意味する言葉です。つまりソーシャルは「仲間」を語源とする言葉なのです。

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【筆者プロフィール】

もり・ひろし & 三省堂編修所

■もり・ひろし
 新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

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【編集部から】

 「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。
 「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。
 これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。
 毎週土曜日更新。

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2017年 4月 22日