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続 10分でわかるカタカナ語 第26回 リベンジ

2017年 9月 16日 土曜日 筆者: もり・ひろし & 三省堂編修所

10分でわかる「リベンジ」の意味と使い方

どういう意味?

 「雪辱」「再挑戦」「復讐」という意味です。

もう少し詳しく教えて

 リベンジ(revenge)とは英語で、「復讐(ふくしゅう)」を意味する言葉です。すなわち「誰かからひどい仕打ちを受けた人が、その相手に対して報復すること」を意味します。

 しかし日本語のリベンジは、多くの場合、スポーツ分野における「雪辱(せつじょく)」を意味します。つまり「勝負に負けた相手に対して勝つこと」を意味するのです。例えば「前大会の決勝で敗れた相手にリベンジを果たす」といった表現が可能です。

 また一般には、リベンジが「再挑戦」の意味も持つようになりました。その場合「満員でラーメン屋に入れなかったので明日こそリベンジする」などと使われています。

 なお近年ではリベンジポルノ(後述)という言葉も広まっています。この場合のリベンジは、英語の原義「復讐」を意味しています。

どんな時に登場する言葉?

 雪辱・再挑戦のリベンジは、主にスポーツの分野で登場します。この言葉が使われるようになった経緯からとくに格闘技界で好まれる表現ですが、野球など他競技でも用いられます。また近年ではスポーツ界だけでなく一般社会でも、この意味のリベンジがよく使われるようになりました。

 いっぽう復讐のリベンジは、「リベンジポルノ」のように社会問題の分野で登場するほか、映画・ドラマなどの創作作品の題名としてもよく登場します。

どんな経緯でこの語を使うように?

 古い記載例としては、1914年(大正3)発行の勝屋英造編『外来語辞典』(二松堂書店)に「リヴェンジ」の項目があり、「復讐。敵討。」と解説があります。

 しかしながら日本でリベンジの認知度が本格的に高まったのは、1990年代に入ってからのことでした。格闘技「K-1」が1993年に始まり、他の格闘技と同様、敗れた選手と勝利した選手との再試合(リターンマッチ)が組まれることも多くありました。この頃から格闘家やそのファンの間に、雪辱を意味するリベンジが広がり始めました。

 また1999年には、 K-1のファンでもあったプロ野球の松坂大輔投手が、ある試合で負けた際に「リベンジします」と宣言して話題になりました。当時、格闘技ファンではない人にとってリベンジは馴染みのない言葉でした。したがって世間では松坂選手の発言が新鮮に受け取られたのです。「リベンジ」はその年の新語・流行語大賞において年間大賞を受賞。その後「再挑戦」の意味でも使われるようになりました。

 さらに2013年ごろには「リベンジポルノ」(後述)という言葉も知られるようになりました。リベンジの原義である「復讐」の意味も浸透しつつあります。

リベンジの使い方を実例で教えて!

「リベンジする」

 「前回負けた相手にリベンジする」のように、リベンジを動詞化して使うことが可能です。

「リベンジを果たす」

 リベンジを用いた定番の言い回しもあります。雪辱や再挑戦を目標として定めた場合は「リベンジを目指す」「リベンジを狙う」「リベンジを誓う」など、雪辱や再挑戦を成し遂げた場合は「リベンジを果たす」「リベンジ(に)成功(する)」「リベンジ(を)達成(する)」などの表現が可能です。

「リベンジマッチ」

 おもに格闘技の世界では、かつて敗れた相手との再試合のことを「リベンジマッチ(revenge match)」と呼ぶ習慣があります。「復讐戦」「雪辱戦」のことです。「リベンジ戦」と表現する場合もあります。近年では格闘技以外のスポーツでも、この表現をみかけるようになりました。

「リベンジポルノ」

 離婚や失恋などの腹いせに、元配偶者や元恋人の裸体写真や動画を許可なくインターネット上に公開すること(またはその写真や動画)を「リベンジポルノ(revenge porn)」といいます。「復讐ポルノ」という言い方もあります。2010年以降、このような行為が世界的に社会問題化しました。

 例えば日本では2013年に、リベンジポルノの問題を世間に知らしめる出来事が起こりました。ある殺人事件の加害男性が、被害女性(元恋人)の性的な写真や動画をインターネット上に公開していたことが明らかになったのです。

 この事件などが契機となり、2014年11月にはリベンジポルノ防止法(「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」)が成立・施行しています。

題名の「リベンジ」

 復讐劇は、創作作品における定番テーマのひとつです。実際、創作作品の題名には「リベンジ」の語を使ったものが少なくありません。例えば2000年の映画『極道の妻たち リベンジ』、2009年のアメリカ映画『トランスフォーマー/リベンジ(原題:Transformers: Revenge of the Fallen)』、2011年放映開始のアメリカテレビドラマ『リベンジ(原題:Revenge)』、2012年連載開始(2017年にアニメ化)の漫画作品『政宗くんのリベンジ』などの例があります。

言い換えたい場合は?

 「復讐」「報復」「仕返し」、「雪辱」「再戦」、「再挑戦」などと言い換えることが可能です。また「リベンジする」を「借りを返す」と言い換えたり、「リベンジを決意する」を「雪辱を期す」と言い換えたりする方法もあります。

 なお複合語には定訳が存在する場合もあります。例えばリベンジマッチは「雪辱戦」「復讐戦」、リベンジポルノは「復讐ポルノ」と言い換えることが可能です。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

リベンジ転職 バブル崩壊後の就職難、またリーマンショック後の就職難を体験した世代で「リベンジ転職」が広まっていると一部メディアが指摘しています。これは新卒時に自分の希望する業界や企業に就けなかった人が、そのような業界や企業を求めて行う転職活動のことを意味します。

アベンジャーズ 復讐を意味する英単語には、revenge(リベンジ)のほかにも avenge(アベンジ)があります。このふたつの単語にはどのような違いがあるのでしょうか? 大まかに言うと revenge は「私怨」に基づく復讐を、avenge は「正義」に基づく復讐をさします。例えば人気ヒーローが勢揃いするアメリカンコミック(またはその映画化作品)である『アベンジャーズ(Avengers)』は「正義の復讐者」を意味することになります。

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【筆者プロフィール】

もり・ひろし & 三省堂編修所

■もり・ひろし
 新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

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【編集部から】

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 「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。
 これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。
 毎週土曜日更新。

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2017年 9月 16日