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地域語の経済と社会 第148回 ACジャパンの新聞用広告~関西弁の迫真力~
2011年 4月 30日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第148回 「ACジャパンの新聞用広告~関西弁の迫真力~」
テレビを見ていると、ときどきコマーシャルタイムに、社会人として必要なマナーや、この頃おろそかにされがちな公徳心を喚起する短いメッセージなどが流れて、最後に「♪エーシー」と結ぶのを見ることがあります。
東日本大震災直後の、民放の報道番組では、通常のCMは一斉にこの「♪エーシー」に代わり、繰り返し流れてきました。
実は、その新聞版もあるのをご存じでしょうか? 京都で手にした新聞に、次のような広告がありました。平成23年4月1日(金)『毎日新聞』夕刊(大阪本社発行)から、ちょっと長いですが、引用します。
「ちょっとACさん、おせっかいはやめてくれへん」
「なぁなぁ、ときどきACのCMって、テレビで見るやん。
あれってどう思う?」「エ-シ-♪言うやつやろ。あれなぁ、
あれってちょっとおせっかいちゃうの」「なんかええこと言うてんのかも分かれへんけど
なんであんたに説教されなアカンのって感じやねんなぁ」「ACってお役所?」
「役所とはちゃうみたいやけどな」
「昨日なんか、部長からやいやいお説教された後、
やっと家でテレビ見てはぁーってしてるときに
正しいこと言うねんもん。なんか、むかつくわぁ」「ときどき上から目線なんよねぇ・・
ええこと言うてるときもあるねんけどなぁ」「そやなぁ、けどACのCMがなかったらどないやろ?
ちょっと寂しいかなぁ」「ちょっとな・・」
ACジャパンは公共広告を発信する民間の団体です。
おせっかいかもしれませんが、
これからもよろしく、です。
「ACジャパン」(旧・公共広告機構)の事務局によると、我々がテレビでお馴染みのものは「公共広告」と言い、上記は「ACジャパン」という団体そのものを知ってもらうためのもので、「広報広告」というのだそうです。(なお、これと同じ内容の、ラジオ用の音声での作品もあるとのことです)
たまたま関西で手にしたので、関西地域用なのかと思いましたが、そうではなくて、これは今年度の「全国キャンペーン」の作品で、全国の新聞でも見かけることができるものだということです。
関西弁でのストレートな会話が展開されており、あたかもいま関西の家庭のテレビの前で交わされていそうな、いかにもありそうな会話です。AC自体を俎上に載せて、「おせっかい、お説教、お役所? むかつく、上から目線、…」等々、歯に衣着せぬ、辛辣なホンネトークが、リアリティーいっぱいに繰り広げられています。
が、最後は「けど、なかったら、ちょっと寂しいかなぁ/ちょっとな・・」と、その存在価値もしっかりアピールして、「おせっかいかもしれませんが、これからもよろしく、です」と結ばれています。
関西弁のホンネトークの本領発揮、なかなかひねりの効いた広報ではないでしょうか。
《参考》「ACジャパン」のホームページ(http://www.ad-c.or.jp/)には、これまでのテレビ用と、新聞・ラジオ用の作品も収録されています。今年度のテレビ放送分は動画で、これまでの分は代表的なシーンが静止画で示されています。
また全国版の他に、各地域版というのもあり、その中には方言が活用された作品もあります。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第143回 鹿児島市の「キャンセビル」と「よかセンター」
2011年 3月 26日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第143回 「鹿児島市の「キャンセビル」と「よかセンター」」
鹿児島に行ってきました。つい先日3月12日に九州新幹線が全線開業し、新大阪駅から終点の鹿児島中央駅まで最速3時間45分で行けるほど時間距離が縮まりました。が、おりしも東日本を襲った巨大地震の直後だけに、予定されていた祝賀行事などはなく、静かなスタートになったということです。

【写真1 キャンセビル入り口のプレート】
その鹿児島中央駅東口のすぐ前に、スーパー「ダイエー」などが入っているビルがあり、その名を「キャンセビル」という由。一瞬「一体これは何語だろうか?」と思いましたが、実はこれ、鹿児島の方言にちなんだ名前だとのこと。
鹿児島では「キバイヤンセ」〔気張りなさい、元気で頑張りなさい〕のように、「~シヤンセ」は、相手にやさしく〔~しなさい〕と勧めるときに使う敬語表現です。「キャンセ」は「来ヤンセ」をもじったもので、〔どうぞおいでください、いらっしゃい〕と呼びかけています。このビルは、駅前再開発によって、平成11年6月に完成。名前は1200点もの応募作の中から選ばれたのだそうです。
またこのビルの7・8階には「よかセンター」があります。正式な名称は、鹿児島市長を理事長とする「財団法人 鹿児島市中小企業勤労者福祉サービスセンター」が運営する「鹿児島市勤労者交流センター」といい、「よかセンター」はその愛称(鹿児島方言でいうとシコナ(醜名)=ニックネーム)です。
ここには、体育館やトレーニングルームなどの運動施設、多目的ホールや会議室・和室・創作室などの文化施設があり、くつろいだ雰囲気の中で雑誌や新聞を読めるサロン、囲碁・将棋を楽しめる娯楽室なども備えています。駅のすぐ前という非常に便利なところにあり、使用料も安く、市民に盛んに利用されています。
「よか」は言うまでもなく、九州方言を代表する、「高か、安か、速か、楽しか、…」のように語尾が「~か」で終わる、いわゆる「カ語尾」の形容詞で、〔良い〕という意味ですが、もちろん「余暇」を有効に活用して充実した毎日を過ごそうという意味も含まれています。鹿児島市役所のホームページにも、この施設は「勤労者の余暇活用の充実と相互の交流を促進するために設置したもので……」とあります。
以前、この連載の第13回で「方言名の公共施設」を取り上げ、青森駅前のビル「アウガ」〔会おうよ〕と、その中に入っている青森市の男女共同参画プラザ「カダール」〔仲間になる、語る〕を紹介しましたが、この鹿児島市の例も、期せずしてまったく同様の発想で命名されており、日本の北と南で同じようなネーミングが行われているその偶然の一致が、非常におもしろく思われます。
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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第138回 徳島県上勝町の会社の広報紙『しわしわゆこう』
2011年 2月 19日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第138回 「徳島県上勝町の会社の広報紙『しわしわゆこう』」
「しわしわゆこう」とは、方言なのですが、さて、一体どういう意味でしょうか?
実は、『しわしわゆこう』というのは、徳島県のユニークな町おこしの会社が出している広報紙の名前です。徳島県勝浦郡上勝町(かみかつちょう)は、日本料理の彩りや飾りに使う木の葉などをお年寄りが集めて出荷し、活き活きとした町づくりをしていることで知られています。「葉っぱビジネス」と呼ばれ、昭和62(1987)年にスタートしました。
そういう仕事の運営をしている会社「いろどり」が、お年寄りに呼びかけて、この仕事が始まりました。同社のホームページには、次のように説明されています(抜粋)。
徳島県上勝町は、徳島市中心部から車で約一時間程の場所に位置しており、人口は1,997名 854世帯(平成21年9月1日現在)、高齢者比率が49.5%という、過疎化と高齢化が進む町です。しかし一方で、全国でも有数の地域活性型農商工連携のモデルとなっている町でもあります。昭和56年2月に起きた寒波による主要産業の枯渇という未曾有の危機を乗り越え、葉っぱ(つまもの)を中心にした新しい地域資源を軸に地域ビジネスを展開し、20年近くにわたり農商工連携への取り組みを町ぐるみで行っています。(中略)
「葉っぱビジネス」とは“つまもの”、つまり日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、販売する農業ビジネスのことです。 株式会社いろどり代表取締役である横石が「彩(いろどり)」と名づけてスタートしました。
葉っぱビジネスのポイントは、軽量で綺麗であり、女性や高齢者でも取り組める商材であること。現在の年商は2億6000万円。中には、年収1000万円を稼ぐおばあちゃんもいます。(以下、略)
『しわしわゆこう』には、紙名の由来が、次のように書かれています。
しわしわとは『ゆっくり』という意味を持つ阿波弁。『ゆっくりとあせらずに行こうよ』というメッセージを込めたタイトルです。ちなみに『ゆこう』は『ゆこう(柚香)』という徳島県内の総生産量の半分以上を上勝町が占めている香酸柑橘です。
「しわしわ……」という表現からは年輪を刻んだお年寄りたちを連想させます。「ゆこう」は、「(ゆっくりと、あせらずマイペースで)行こう」という意味あいをも感じさせる、なかなかおもしろい、個性的なネーミングです。
季刊、B4版2ページのコンパクトな紙面に、ひと・もの(特産品、料理、観光情報、……)・うごき(行事、書籍紹介、……)などがカラーで掲載されています。人物インタビューでは方言での直接話法を活かしたり、見出しに方言使ったりして、親しみのもてる工夫がなされています。
また、上勝町に関するブログを集めたインターネット上のページも「やるでないで上勝」 (http://www.tm-i.net/kamikatsu/index.htm)と言い、これも〔(なかなか)やるではないか〕という意味の方言です。
なお、この葉っぱビジネスに関する人間ドラマが映画化されて(仮題「そうだ、葉っぱを売ろう!」)、来年公開予定だということです。
《参考》株式会社「いろどり」のホームページはhttp://www.irodori.co.jp/own/index.aspを参照。また、『読売新聞』(平成22年12月19日付)の「ひと物語 道を極める」欄で、上勝町の葉っぱビジネスの記事が、写真入りで紹介されました。
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地域語の経済と社会 第133回 空き店舗を活用した休憩所「よらんせ」
2011年 1月 15日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第133回 「空き店舗を活用した休憩所「よらんせ」」
地元の人たちに親しまれてきた各地の商店街に、近年、空き店舗が目立つようになったという話をよく聞きます。原因として、近郊に大型の商業施設が進出し、若者などは車でそこに集中するので、在来の店は苦戦を余儀なくされていること。また、後継ぎがいなかったり、改装や改築をしようにも費用がかさみリニューアルが難しいことなど、いろいろな理由が挙げられます。
そうやって店を閉めたり、やむなく空き店舗になったりしてシャッターが下りたままの店があると、商店街の活気にも水を差すことになります。空いた建物を借り受けるなどして有効に活用し、買い物の人たちに休憩所として提供しているところは、おそらく全国にあるでしょう。
大分県にも、そういった空間に方言で名前を付けた休憩施設があります。
県南部の海岸部に位置する津久見市の駅前商店街に「よらんせ」という名前の付いた休憩スペースが、津久見商工会議所の手で平成16年8月に設置されました。名前からして、どうぞ気軽に〔お寄りなさい〕と呼びかけています。地元の人たちに親しみをもってもらえる名前を……と、機関紙などで募集して決めたものだということです。
JR津久見駅にも、バスターミナルにも、また港のフェリー乗り場にも近い好立地を活かして、商店街の利用者はもちろん、交通機関の待合所的な役割も果たしています。
方言の「~んせ」というのは、軽い敬意や親しみを込めた表現で、活用形で言うと「行かんせ、来(こ)んせ、せんせ〔しなさい〕、……」などのような命令形と、「行かんすな、来(こ)んすな、せんすな、……」のような禁止形だけが使われています。その他の、例えば「先生が来んした、早う来んせばいいのに……」などといった言い方はできません。
この「~んせ、~んすな」が使われているのは、大分市の東部から佐賀関町(最近は豊後水道の急な潮の流れで身が締まった「関アジ、関サバ」で有名)にかけて、さらにそこからず~っと南にかけての海岸部一帯で、大分県内では、いかにもこの地域らしさを感じさせる表現です。
命令形と禁止形(=否定の命令形)だけが使われるというのは、故ないことではありません。大分県の方言には敬語の要素が非常に少ないと言われていますが、ギリギリ必要なところだけに、すなわち命令形と禁止形という相手に直接働きかける文脈でのみ敬語を使って表現しているわけです。いわば“省エネ、省敬語”の表現法です。
なお、近年、大分県の若い世代では、「早く行きよ、来(き)よ、しよ〔しなさい〕」のような、連用形に「よ」を付けてやわらかい指示やソフトな命令を表す傾向が強くなっており、いわゆる活用形の命令形はストレートな語感が強く感じられるために使用度が下がっています。それはこの地域でも同様で、命令形の「行かんせ」などは「行きよ」などに変わりつつあり、禁止形の「行かんすな」などのほうだけが使われることが多くなっています。
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地域語の経済と社会 第128回 「「トイレはきれいに…」先取りのお礼」
2010年 12月 4日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第128回 「「トイレはきれいに…」先取りのお礼」
観光地など、特に団体旅行で大勢の人が訪れる場所のトイレは混雑します。次の観光ポイントにバスで移動するなど、時間が限られていると非常に慌ただしく、そそくさと用を足さないといけません。「せいては事を仕損ずる」?
きれいに使ってほしいというお願いの掲示はよく目にします。ちょっとひねった、男性の小用への“警告文”=例えば、和歌ふうに「急ぐとも 心静かに手を添えて 外に散らすな 白玉(朝顔)の露」などと短冊に書いて貼ってあるのを、何度か見たことがあります。
方言で書かれたお願いも、まま見られます。旅先で出会った場合には、ちょっとした“旅情”も感じられて、いっそう効果的です。
その具体例、三重県の伊勢神宮の参道近くのトイレにあったのが、次の一文です。何だか、地元の人から、じかにそう語りかけられているような気分になります。
いつもきれいに
つこてもうて、
おおきんな
また、山口市瑠璃光寺そばのみやげもの店で見かけた掲示には、次のように書いてありました。「ようおいでました/うれしゅうあります/ぶち〔非常に〕気持ちがええ」などは、いかにも山口県の方言らしい表現です。
ようおいでました
いっつも綺麗に使うてもろうて、
ほんと嬉しゅうあります。
お客様も皆 喜んじょります。
次ぃ使う時、ぶち気持ちがええ♪
皆様に… 感謝感謝♪♪
いずれも、ただ文章だけでなく、イラストが入っていて目立ちますし、ふっと気分がなごみます。後者には♪まで付いています。しかも使う前から先取りの感謝までされては、ヘタな利用はできません。「トイレはきれいに使いましょう!」
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地域語の経済と社会 第123回 「大分のフットサル・チーム「バサジィ大分」」
2010年 10月 30日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第123回 「大分のフットサル・チーム「バサジィ大分」」
プロ野球やサッカーJリーグをはじめ、各地に本拠地を置く(プロ)スポーツのチームは、何よりもまず地域密着を図り、地元ファンの声援や応援・支援を大切にし、それをパワーにして実績を挙げ、さらに広範囲のファンを獲得しようと、チーム力の強化・向上をめざしています。
その工夫の一つとして、チーム名に地元の方言を取り入れて、その地域らしさを強くアピールする方法があります。外に向かってはその土地らしさがより強く打ち出せますし、内=すなわち地元に対しては「おらがチーム」という親近感を持ってもらうことが可能になります。
フットサル(一種の5人制サッカー)も、最近人気が上昇している競技のひとつです。
Fリーグ(後述)加盟チームは、北は北海道から南は九州まで、全国に10のチームがありますが、大分では2003年に「エスペランサ」というチーム名で創設され、2006年11月に発足した日本フットサルリーグ(愛称、Fリーグ)に加盟。このときに「バサジィ大分」(Vasagey Oita)と改称し、九州地方で唯一の加盟チームとして活躍しています。
Fリーグの公式ホームページでは、各チームを紹介する欄で、
バサジィは、大分弁の「すごい」と「俊敏な」という意味と、名物のアジ、サバを彷彿とさせる造語。九州唯一の参加チームが、地元密着で旋風を巻き起こす。
と紹介されています。が、これだけではまだちょっとわかりにくそうです。
当の「バサジィ大分」のホームページの「チーム名の由来」にはこうあります。
大分弁で「すごい」という意味の「ばされー、ばさねー」と、「俊敏な」という意味の「さじい」を合わせた造語。大分名物の「アジ」「サバ」の音も含んでいる。
もう少し補足しましょう。大分の方言で〔非常に、たくさんの〕を意味する「バサレー」という言い方があります。その「バサ」と、「サジイ」を合わせて「バサジイ」です。「サジイ」は共通語の「耳ざとい、利にさとい」などの「さとい」=〔敏捷だ、すばしこい〕と関連のある語です。つまり、非常にすばしっこい、スピード感あふれるチームであるという意味を表現しているわけです。
また、いわば“隠し味”として、「関アジ・関サバ」(関は、佐賀関町の省略形)として知られる、豊後水道で獲れる新鮮な魚=「サバ」を逆にした「バサ」と「アジ」にもかけられていて、いかにも大分にあるチームであることをアピールしています。
またマスコットキャラクターは、元気な猿の男の子「バサル(VASARU)」君で、バサジィ+サルからなり、猿で有名な高崎山のある大分市のチームであることを示しています。
ホームページには「バサル日記」を連載。その中でバサル君が応援団のことを「応猿団」と言ったり、サポーターのことを「サるポーター」と言ったり、ことば遊びをしていますが、それがなかなか親しみやすくて好評だということです。
《参考》大分フットサルクラブ「バサジィ大分」(大分スポーツプロジェクト)の公式ホームページは、http://www.vasagey.com/ を参照。
写真提供:大分スポーツプロジェクト
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地域語の経済と社会 第118回 口蹄疫に負けるな! 宮崎県
2010年 9月 25日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第118回 「口蹄疫に負けるな! 宮崎県」
ことし、宮崎県で家畜の伝染病「口蹄疫(こうていえき)」が発生して猛威をふるい、「宮崎牛」のブランドなどで知られる宮崎県の畜産は甚大な被害を被りました。
発生が最初に確認されたのは4月20日、県中部の児湯郡都農町(こゆぐんつのちょう)でした。以後、県西南部えびの市に飛び火し、さらに宮崎県内の6市5町に拡大。
宮崎県や農水省、関係団体などが懸命の対応で防疫と拡大防止に奔走しましたが、結果として約29万頭に及ぶ牛や豚が殺処分されることになりました。
発生以降、畜舎の徹底消毒はもちろんのこと、家畜の移動制限や搬出制限、多くの人が集まる行事等の自粛、県内を通行する車などにも徹底した消毒・防疫体制が敷かれました。
その甲斐あって、「非常事態宣言」が解除されたのが7月27日。それからひと月後、8月27日に発生確認から130日目にしてようやく「終息宣言」が出されました。
この間、全国各地から、多くの義援金や励ましの声が寄せられ、力強い応援・支援に支えられて、いま懸命に立ちあがろうとしています。
が、本当の復興・再生はこれからです。風評被害があったり、観光客のキャンセルなども少なくないとのこと。エース級の種牛が残ったのがせめてもの救いですが、ウイルスの侵入経路は未解明のままで、依然として不安は残っています。
元のような元気な町や県の姿に戻るには、何年かかるのでしょうか……。今後、関係者を中心に、県民挙げての努力が続きます。
その渦中にあって、被害が最も集中し、対応に追われている町の一つが、宮崎県中部に位置する児湯郡川南町(かわみなみちょう)です。町の中心部の商店街「トロントロン通り」には「がんばっどぉ!! 川南」という、肉太の筆文字の横断幕が掲げられています。【写真1】
「~すっど」は強い決意や意志を表し、共通語の〔~するぞ〕に当たります。
町商工会のメンバーで話し合い、何とかこの苦境をみんなで力を合わせて乗り切りたいという思いと願いを込めて制作したのだということです。
もうひとつ……。県南西部の中心都市・都城市も、県内はもとより、国内でも有数の畜産の盛んな地域ですが、やはり口蹄疫禍に見舞われました。
都城市役所と国道10号線を挟んで向かい合った明道(めいどう)小学校の運動場の防護ネットにも、方言を活かした横長の大きな幕が掲げられました。【写真2】
「きばっど! みやざき!! 口蹄疫に負けるな !!」と力強い字体で大書され、その周りには子どもたちが書いた牛と豚の顔のイラストとメッセージがびっしりと書かれています。
「きばる」は「気張る」で、〔元気を出す、気力を奮い起こす、一生懸命取り組む〕という意味。「~ど」は先の川南町の場合と同じです。
「がんばるぞ! 負けないぞ!」という決意を表すことは、共通語でも方言でも可能ですが、共通語で表現した場合と比べて、やはり方言のもつ訴求力、迫真力、直接性の強さが印象に残ります。《自分たちの強い思いを、実感を込めた自分たちのことばで表現したい!》 これらの横断幕は、その言語効果を考えての方言活用だったと考えられます。
口蹄疫に負くんなよ! 頑張らんとだめど 宮崎県!!
《参考》川南町のホームページhttp://www.town.kawaminami.miyazaki.jp/index.jsp のトップページ左下にある「広報川南」をクリックすると、『広報かわみなみ』第115号(2010.7.7発行)の表紙=「がんばっどぉ!! 川南」の横断幕の写真が見られます。
都城市立明道小学校のホームページは、
http://www.miyazaki-c.ed.jp/miyakonojo-meido-e/を参照。都城でも口蹄疫が発生したことをうけ、児童たちと何かそれに対する活動をしたいと、PTAの発案で横断幕が企画されたことや、体育館で横断幕制作中の写真などが紹介されています。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第113回 土佐の『龍馬からの恋文』トイレットペーパー
2010年 8月 21日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第113回 「土佐の『龍馬からの恋文』トイレットペーパー」
NHKの大河ドラマ『龍馬伝』が大変な人気で、全国各地の坂本龍馬ゆかりの地は歴史ファンや観光客で大変にぎわっていると聞きます。
関連グッズも続々と登場していますが、そのひとつ、地元・高知では、坂本龍馬からの「恋文(らぶれたー)」を印刷したトイレットペーパーが発売され、話題になっています。
中国語で「手紙」とはトイレットペーパーのことだというのはよく知られた話ですが、まさに龍馬からの手紙がトイレットペーパーになって登場した、というわけです。
これを作ったのは、家庭用の紙製品の製造・加工・販売をしている、高知県土佐市の望月製紙です。
同社によると、NHKの大河ドラマで『龍馬伝』が放送されることが決まった2009年3月、何か龍馬に関するものを開発しようと社内からアイディアを募集。その中から浮かび上がったのが、主力商品の1つであるトイレットペーパーに「龍馬からの手紙(恋文)」を書くことだった由。社の内外に「自分が龍馬になったつもりで「恋文」を書いてください」と呼びかけ、およそ200点ほど集まった応募作の中から、人気投票によって決まったのが、製品化された4作品だったということです。
2010年1月のドラマの放送開始に合わせて販売を始め、現在、高知県内や龍馬ゆかりの長崎県の観光みやげ品売り場などを中心に販売されており、そのユニークさ、おもしろさもあって、旅の記念に、またプレゼント用などに、人気は上々だとのことです。
文面は、まず龍馬が「おー 今日も待ちよったぜよ、まあ、ゆっくりしていきや」とトイレで迎え、そのあと利用者へのメッセージがあり、最後は
悩みがあるがか? 悩みがあるのか? 何でもゆーたらえいがよ 何でも言ったらいいよ ここには誰もおらんき ここには(他に)誰もいないから ほんで 後は水に流したら そして 後は(すべて)水に流したら えいがやき いいんだから
と励ます内容の文面4連が、連綿と繰り返されています。参考までに、共通語訳を付けておきます。
全部を読むと、個室での人生相談の趣きがあります。「恋文」というよりも、龍馬からの「人生の応援歌、処世訓、激励」といったほうがいいでしょうか……?
この手紙のおおむね2連ごとに点線状の切れ目が入っています。
そのように、人生の悩みにも適宜ふんぎりをつけ、うまく切り離されたトイレットペーパーといっしょに、不運や憤懣はすっきり水に流して解消できるといいですねぇ……。
《参考》「望月製紙」のホームページは、http://www.soft1010.com/company/index.html を参照。
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大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第108回
2010年 7月 17日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第108回 大分のローカルヒーロー「PCO」
現在、全国各地で、地域にねざしたローカルヒーローが登場し、祭りやイベントなどに出演して地元の人たちに愛され、活躍しています。(この連載シリーズの第26回「方言キャラクター」も参照)
大分にも「パワーシティオーイタ」(略称、PCO)というローカルヒーローがおり、その仲間やライバル(敵)などとしてすでに40体を制作。その中には方言で名前がつけられたキャラクターもいます。

【写真1】パワーシティオーイタ
このPCOを生み出したのは、H.A.C.(HEROS ATTRACTION CREATIVE)というグループで、2000年にヒーロー好きのメンバーが集まって発足しました。
キャラクターショーを中心とした様々なボランティア活動を展開し、「元気ある大分」をアピールしようと活動しています。
主なキャラクターと、大分の方言にちなんだ名前の登場人物や技などを挙げましょう。
ホームページによると「PCOは、大分を愛するみんなの心が集まって発生したエネルギー体「キョードアイ」が大分の為に頑張る人に宿り誕生したスーパーヒーローで、必殺技の「真羅神拳(しらしんけん)」は大分のみんなの「しらしんけん」な心を体に集中させて敵に叩き込む。大分の平和を乱すどんな困難な敵も打ち砕く」とあります。
「しらしんけん」は大分の方言で、〔一生懸命に〕の意味で広く使われています。

【写真2】敵役のダークシティオーイタ
PCOの最大の敵、永遠のライバルは、大分の悪い心が合体して誕生した「ダークシティオーイタ」(略称、DCO)で、大分の特産物をダークチェンジさせることで怪人に変えてしまい(例:後述のカサワクドン)、大分を悪の心で満たそうとたくらんでいます。
「蒼邪拳(そうじゃけん)」は彼の繰り出す必殺技。PCOの真羅神拳に匹敵する非常に強力なパワーを持っています。「そうじゃけん」〔そうだから〕という大分弁に由来します。
悪役の1人「ジョーカーレイ」が繰り出す光線技が「EBC(イービーシー)」で、大分弁の「いびしい」〔古語「いぶせし」の変化した語。気味が悪い、ゾッとする、汚らしい〕にちなんでの命名。EBCとはイビル・ブースト・セルの略で、悪意増幅細胞(あくいぞうふくさいぼう)という細胞を敵に植え込み「悪い心」にさせるという恐ろしい技です。
「ハニーレディオーイタ」は、PCOの仲間のヒロインです。その得意技は「レディシャーネンカー」で、大分弁の「しゃーねーんか」〔仕方ないのか〕に由来し、傷ついた体や体力を回復させる能力を持っています。

【写真3】ショックン(左)とパックン(右)
(以上、写真提供:H.A.C.)
大分の(自称)ヒーローに「ショックン」と「パックン」がいます。田舎から出てきたカエルタイプの2人組で、大分弁でカエルを意味する「ショックン、バックン」に由来します。(方言ではバックン(Ba-)ですが、ヒーローの名前はパックン(Pa-)です)
その他にも、悪役に「カサワクドン」がいますが、実は先のパックンがダークシティオーイタの手によって怪人に変えられた姿です。
カサワクドンは、大分弁の〔ヒキガエル〕を意味する「カサワクド」に由来します。
シイタケ怪人「ナバロン」は、大分の名産〔しいたけ〕の方言「ナバ」に由来します。
こんなふうに、地元・大分の方言にちなんで命名することによって、見る人たちに、よりいっそう親近感を持ってもらいたいという、H.A.C.のメンバーの思いが伝わってきます。
《参考》「パワーシティオーイタ」の公式ホームページは、http://pcoxhac.web.fc2.com/。
NHK大分放送局のテレビ番組「ししまるテレビ」(平成22年2月5日(金)放送)の中で、PCOのファンの子供たちが、ショーに出てくるキャラクターや技の名前で大分の方言を知り、方言を見直すきっかけになっていることが紹介されました。
※ 実は「ししまるテレビ」は「しらしんけん、まるごと、大分を取り上げるテレビ」という番組のねらいを縮めた語だそうで、これも方言にちなんだ命名です。
また『大分合同新聞』平成22年3月20日(土)夕刊1面でも、PCOのことが大きく取り上げられました。
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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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【編集部から】
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地域語の経済と社会 第103回
2010年 6月 12日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第103回 『方言検定本』~鹿児島と出雲~
近年、地元のことを、楽しみながら、より深く確かに知ってほしいと、「ご当地検定」が各地で実施されていることは、以前、この連載の第68回でも紹介しました。
そのうち、「方言」に絞った検定用の本(問題集と教科書)が、私の知る限りでは、鹿児島県と出雲(島根県)で出ています。
第1回「鹿児島弁検定」は平成21年8月16日に開催され、小学生から90代までの幅広い世代の650人が受検し、特に若い女性が多かったとのこと。(それに先立ち、3月には270人が受検して模擬検定も行われました)
『鹿児島弁検定問題集』は、それを踏まえて発行されたもので、鹿児島弁検定実行委員会の編集・発行で、ことし平成22年1月に出版されています。
検定は初級・中級・上級に分かれており、初級は「鹿児島弁の楽しさを感じてもらう」、中級は「鹿児島弁のすばらしさを感じてもらう」、上級は「鹿児島弁の奥深さを感じてもらう」ことをねらいとし、それぞれ70点以上が合格で、合格率は、初級の「学士」が92%、中級の「修士」が73%でしたが、上級の「博士」は難関で11%しか合格しなかった由。
初級の問題は、寸劇を見て鹿児島弁の意味を共通語になおす(20問)、いかにも鹿児島弁らしい語を記す(20問)、鹿児島弁の語の意味を選択する(60問)、共通語の会話文を鹿児島弁になおす(5問)、鹿児島弁の俗謡「茶碗蒸しの唄」を共通語訳する、など。
中級は、ビデオを見て鹿児島弁の会話を共通語に訳す(21問)、いかにも鹿児島弁らしい語を記す(20問)、鹿児島弁の語の正しい意味を選択する(50問)、適切な擬声語・擬態語を書く(11問)、「シンデレラ物語」を鹿児島弁で書く(10問)、など。
上級は、ビデオを見て鹿児島弁の会話を共通語訳する(30問)、鹿児島弁の語の正しい意味を選択する(20問)、鹿児島弁の語源を書く(15問)、鹿児島弁のことわざの意味を書く(10問)、鹿児島弁に関する本や人物などに関する説明の中から正しいものを選ぶ(10問)、など。
以上のように、各級のねらいや難易度に合わせて、多彩な問題が出題されています。
同書から、そのうちのいくつかの問題を紹介しましょう。【 ⇒ 解答は後述】
初級:次の鹿児島弁の意味を書きなさい。
とぜんね( )、はんとくっ( )、あばてんね( )
中級:鹿児島弁らしい擬声語・擬態語を書きなさい。
「のろのろ歩く」、「頭がくらくらする」、「この魚はぴちぴちしている」
上級:次の鹿児島弁の語源を書きなさい。
「がんたれ、ぐらしい、きらす、ひやなっ、…」
ことしの第2回検定は、今月6月の下旬に行われます。詳しいことは、鹿児島弁検定協会のホームページ http://kagoshimaben-kentei.com などを参照してください。
もう1冊、島根県では『出雲弁検定教科書』(有元光彦・友定賢治 編集、宍道・出雲弁保存会 協力)という本が、CD付きで、平成20年10月に発行されています。
が、これは方言研究者による出雲弁の解説書とでも言うべきものです。その理解度と学習の成果を確認する意味で、第3章に「出雲弁検定試験」の問題が載せられています。
ですから、こちらは一般の人々を対象にして、実際に「出雲弁検定試験」が行われているというわけではありません。
なお、インターネット上には、「北海道方言検定、北海道弁検定、あきた(弁)検(定)、山形弁検定その1・その2・その3、方言けんてー栃木編、方言検定栃木県の方言、千葉県方(言)[房州弁]けんてー、房州弁検定だっぺ、新潟弁検定、名古屋弁検定、名古屋(方言)検定、方言で奇面組検定[名古屋弁?]、三河弁検定、関西弁検定!・同02!、難解?私の地元の言葉[山陽山陰]検定、岡山弁検定・同2、広島弁検定、山口県の方言(検定)、伊予弁検定、土佐弁検定、博多弁検定、(福岡県)八女弁検定、佐賀(弁)検定、鹿児島(弁)検定、難解方言~鹿児島弁~検定、おきなわ(弁)検定、沖縄語けんてい、沖縄の方言(検定)、宮古島検定方言編」の、都合33件があります。問題数は3問から10問までの間です。
注:平成22年6月7日現在。( )や[ ]はわかりやすくするために補足しました。
全国的に見ると、北海道(2)、東北(4)、関東(4)、中部(5)、関西(2)、中国(5)、四国(2)、九州(5)、沖縄(4)という数で、関西と四国がやや少ないと言えるでしょうか?
今後、あちこちでさらに増えそうです。
《参考》『出雲弁検定教科書』については、http://oneline.main.jp/oneline.htm を参照。インターネット上にある各種の検定を知るには、「けんてーごっこ」http://kentei.cc/ で、また全国各地で実施されている多様な「ご当地検定」は、「ご当地検定の森」http://www.1gotouchi.com/ などで検索することができます。
【「鹿児島弁検定」の解答】
初級:とぜんね(寂しい)、はんとくっ(転倒する)、あばてんね(たくさん)
中級:「(ノロンクヮラン)あるっ!」「びんたが(クランクラン)すっ!」「こん魚は(ピッチンピッチン)しちょい!」
上級:(粗悪品=贋垂れ、不憫=業らしい、おから=切らず、花火=火柳)
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2007年









