著者ごとのアーカイブ
地域語の経済と社会 第150回 フィールドワークの好適地・十日町市(新潟県)
2011年 5月 14日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第150回「フィールドワークの好適地・十日町市(新潟県)」
「地域語の経済と社会」の調査対象となる、さまざまな実例が採集できる街・十日町市(新潟県)をご紹介します。(今回の範囲は、JR線・ほくほく線十日町駅から徒歩15分以内です。)
まずは十日町市博物館へ
新潟県下唯一の国宝・火焔型土器を目当てに十日町市博物館へ向かい、ミュージアムショップのコーナーをのぞいてみると――。
そこには、十日町市博物館友の会「方言を楽しむグループ」の皆さんが作成された方言手ぬぐいが3点【写真1~3】、さらに、同会・方言研究グループ発行の方言研究書『はちゃ 中魚・十日町の暮らしと方言①』も並べられています。
いずれも、郷土と郷土の言葉を愛する気持ちが伝わってくる力作です。
商店街を歩く
十日町駅に戻りがてら、地元の物産を販売する「キナーレ」(第85回で紹介)にちょっと寄り道。
駅を背にして、商店街を歩き始めます。有線放送からは十日町弁で、地元の話題が語られています。
随所に貼られた十日町市観光協会のポスターには、
「いいとこだぜの、とおかまち」[=いいところですよ]
「だんだん どうも」[=いつも どうも]
の標語があしらわれています。お店の看板も十日町弁で呼びかけています【写真4】。
歩き疲れたので、喫茶店をさがすと、「ほんやら洞」[=かまくら]というお店がありました。
さらなる方言グッズを求めて、和菓子の木村屋を訪ねると、そこは方言和菓子の宝庫。
「なじょだの」[=いかがですか]
「つぼんこ」[=雪玉]
「おこめし花」[=しょうじょうばかま]
「あちこたね」[=心配ない]
「だんだん どうも」[=いつも どうも]
などのネーミングで、和菓子がずらりと並んでいます。
十日町弁を愛する小林博さん
地元紙・十日町新聞には、次のような広告が載っています。
ようやっと貝類に肉がついてきた。白みの魚も、
いかの赤ん坊もうまくなってきたぜの。
食欲の秋、うめぇもんをちっとなじだの。一ヶでもいいやんだぜの。加賀町の 松乃寿司
広告の主は、小林博さん。実は最初に紹介した方言手ぬぐいや方言研究書は、小林さんが中心になって作成されたもの。十日町弁の広告も、50年以上続けているそうです。
街歩きをたっぷり楽しんで、仕上げに小林さんのお店で十日町弁に浸る。実りの多い一日となることでしょう。
帰路には、駅でもうひと稼ぎできます【写真5】。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第145回 方言土産の定番・方言手ぬぐい健在なり!
2011年 4月 9日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第145回「方言土産の定番・方言手ぬぐい健在なり!」
方言土産の定番と言えば、かつては、のれん・手ぬぐい・絵はがき・湯呑みといったところでしたが、現在、こうした品々は、ちょっと見つけにくくなっています。
が、新潟駅の土産品コーナーで、方言手ぬぐい「特撰新潟弁」を見つけました!
製造は、なんとお隣り長野県の土産品製造の大手メーカー株式会社タカチホ。
そこで、同社の方に、製造・販売にいたるいきさつをおたずねしてみました。
○信州弁ではなく、新潟弁が選ばれた理由は?
取引先である地元の染物屋さんからの発案です。他の地域で出されていた「方言」入りの商品が良く売れていることを知り、新潟でも作ってみたいというご要望にお応えしました。○どのようにして新潟弁(20語)を選んだのですか?
広い県域に配慮し、インターネット等でも検索しながら、代表的と思われるものを選びました。○販売開始は、いつですか。また、売れ行きはいかがですか?
平成15年4月です。ほかに、のれんも作りましたが、手ぬぐいのほうが、良く売れたので、今は手ぬぐいのみです。年間を通して安定した売れ行きですが、帰省客の多い1月・5月・8月は、特に売れます。
とのことでした。
新潟出身の学生や同僚に見せたところ、「なつかしい!」とたいへん好評でした。また、方言手ぬぐいを見たことのない学生が多く、新鮮な印象を持ったようです。定番商品の威光は依然としてあるのでは。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第140回 佐渡の『~ちゃ』
2011年 3月 5日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第140回「佐渡の『~ちゃ』」
佐渡島で
佐渡観光の誘客・PRを目的とした「CHEER UP! ふんばれっちゃ佐渡キャンペーン」が佐渡市で展開されています(2011年3月31日まで)。
ステッカー【下写真(左)】のほか、Tシャツ(標語に佐渡島とトキをデザイン【下写真(右)】)が作られ、佐渡市や観光協会の職員の方々が着用、活動を盛り上げています。
また、相川地区では、商店街や地域の活性化を目指す「こいっちゃまつり」が8年ぶりに復活(2010年9月26日に開催)。
「~ちゃ[=だよね]」は、どことなく暖かみを感じさせる文末表現ですが、「そうだっちゃ」「行くっちゃ」のように、共通語の「よ」の代わりに用いられ、力を込めて使われている感じがします。
佐渡の酒と肴 だっちゃ
すぐに佐渡島へ出向けないという首都圏の方は、居酒屋「だっちゃ」(地下鉄銀座線浅草駅改札そば【下写真(左)】)へ。
そこは、方言Tシャツ(「へちこうぜい[=余計なお世話]」など5種あり【上写真(右)】)を身につけた店主・喜多村さやかさんが切り盛りするお店。佐渡市出身の喜多村さんの佐渡弁とともに佐渡の郷土料理と銘酒が楽しめます。
「だっちゃ」は、ラムちゃん語!?
「だっちゃ」と聞くと、漫画『うる星やつら』の主人公・ラムちゃんを思い出される方も多いのでは?
このラムちゃんの「だっちゃ」について、方言研究家・篠崎晃一氏は、仙台方言説(「仙台だっちゃ」といわれるように、仙台では有名な文末表現であること・原作者の高橋留美子さんが井上ひさしさんの小説にヒントを得たという説も根強い)に対し、宇宙方言説(ラムちゃんは宇宙人であり、自分のことを「うち」と呼んだりして、日本という枠を飛び越えている)を出されています(『しのざき教授のなまらやさしい方言講座 日本語でなまらナイト』小学館、2006)。
が、居酒屋「だっちゃ」では、佐渡方言説が有力。ふじの井酒造(新潟県新発田市)特別本醸造「うる星やつら」のラベルを眺めながら、原作者高橋さん(新潟市出身)のご親族は、佐渡のご出身というお話を聞いていると、説得された気持ちにもなります。
「年齢確認」が必要なフィールドワークですが、「対象年齢」の方は、盃を傾けながら、自説を練ってはいかがでしょう。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第135回 手作りポスターがパワーアップ(新潟県村上市)
2011年 1月 29日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第135回「手作りポスターがパワーアップ(新潟県村上市)」
むらかみ行革プロジェクト
前年度(第90回で紹介)に引き続き、2回目となる「村上ことばポスター展」が開催されました。
新潟県村上地域振興局内におかれた「行政経営改革おもてなし班」が手がける「むらかみ行革プロジェクト」によるもので、村上方言をとおし、村上に愛着を持たせる取り組みの一環です。
方言ポスターの増加
前年度作成の25枚に、今回作成の47枚が加わり、ポスターは72種類に増加。
見せ方も、のぼり・掛け軸・絵馬をかたどったもの等が作られ、多彩になっています。
表現された「村上ことば」を見ると、おいしい食べ物(「いよぼや[=鮭]」「はらこまんま[=いくらご飯]」など)が豊富にあって、地元の方が、自然や町並みとともに、それを誇りにされていることがうかがわれます(特に其の十一・十四など)。
ポスターの活用
展示されたポスターは、村上市内中心部のお店や瀬波温泉のホテル・旅館などに配られ、観光に訪れた多くの人々の目に留まることが期待されています。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第130回「ずら(その2)」
2010年 12月 18日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第130回「ずら(その2)」
JR東日本と関係自治体が中心になって取り組む大型観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン」(2010.10.1―12.31)が始まりました。
町を歩いてみると、いつもの秋よりも、観光のお客様が多いというのが実感です。
それぞれ趣向をこらした観光企画が展開されるなか、「地域語の経済と社会」の観点から注目すべきは、諏訪エリア。
「信州諏訪温泉泊覧会 ズーラ」が開催されています(10.16―11.14)。
ミニミニ御柱・そば打ち講習会・わかさぎ釣りなど、77の体験プログラムが用意され、諏訪地域の温泉とともに楽しめます。
ちなみに、「ズーラ」は第25回で取り上げた「ずら」で、上掲のパンフレットには、
ズーラは、諏訪地方の方言で「ほうずら、いいずら」をヒントに名付けられました。
注:そうでしょ、良いでしょ
と紹介されています。
さらに、現地へ足を運んだ方にオススメなのが、JR下諏訪駅前にある、その名も「方言館」。
駅前商店街の皆さんが、町歩きを楽しむ方々のために設けた無料の休憩所です。
壁に貼られた「諏訪地方の代表的方言のあれこれ」が気に入った方は、別に刷られた「諏訪地方の方言」を頒けてもらえます。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第125回 「信州・上田弁にひたれるお店」
2010年 11月 13日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第125回「信州・上田弁にひたれるお店」
上田と上田弁とラーメンをこよなく愛する柴崎章氏のお店「六文銭ら~めん 真田幸村」(上田市本町)です。
まずは、その外観から。
店名をはさんだ計6枚の看板は、方言によるおすすめメニューになっています。(右から読んでいくと、次のような意味になります。)
- [=六文銭のもつ煮定食は、とてもおいしい]
- [=激辛ラーメンは、無鉄砲に食べるとおなかが痛い]
- [=思う存分、遊んだあとの 生ビール]
- [=あなたも午後のおやつ代わりにみそラーメン]
- [=競争して取り合うようにして、たくさん食べても、あきないねぇ ギョーザ]
- [=大食漢、唐揚げをおかずにして飯4杯]
ラーメンはもちろん、多くの方々に上田弁に親しんでもらいたいとの思いから、かつては地元の新聞に、自作の方言番付を披露したこともある柴崎氏。その力作は、これまた自作の方言カルタ(読み札のみ)とともに、『信州上田藩 上田人養成公式ガイドブック』(私家版)に収録され、店内で、注文の品を待つ間に閲覧することができます。
上田にお越しの際は、足を伸ばされてはいかがでしょう。仮に時間外でも、上田弁による「支度中の看板」が出迎えてくれます。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第120回 「山形県にオランダが!」
2010年 10月 9日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第120回「山形県にオランダが!」
サクランボなどの果物はもちろん、お米(どまんなか)にお蕎麦、おいしい食べ物が豊富な山形県ですが、ネーミングに方言をあしらった楽しい商品を見つけました。
その名も「オランダせんべい」(酒田米菓・酒田市)。庄内産うるち米・植物油脂・食塩のみによる、さっぱりとした味わいのうす焼きせんべいです。
命名の由来については、同社のHPで次のように説明されています。
- 発売当初の昭和37年は、おせんべいと言えば、お醤油味が一般的で、サラダ味は欧風せんべいのイメージが強かった。
- 最上川の流れる庄内平野の田園風景が、オランダの国と似ている。
- 庄内地方の方言で、「私たち」のことを「おらだ」と言うことから、「私たちの米で作った私たちのせんべい」→「おらだのせんべい」→「オランダせんべい」と言い換えた。
つまり、欧風・オランダのイメージと方言とをかけた名づけなのでした。
山形県の方にとっては、なじみやすい語形変化のようで、同県長井市の三浦範靖さん(会社役員)も、自らの創作物語を「オランダ語」(←「おらだの語」)と称してつづっていらっしゃるとの由。
山形県内には、まだまだ類例がありそうですね。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第115回 方言Tシャツ(長野県・下諏訪町)
2010年 9月 4日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第115回「方言Tシャツ(長野県・下諏訪町)」
ありそうでなかった、信州方言をあしらったTシャツ(スピードファクトリーツイスター(下諏訪町)製)を見つけました。
取り上げられている方言(参考までに、共通語訳をつけておきます)は、
「ごしてぇ」=疲れた だるい
「しゃらごしてぇ」=疲れるだけで益がない
「なから」=だいたい おおよそ ほぼ
「だもんで…。」=それですから。
「ごたっ小僧」=ひどいいたずらに手の負えない子ども
「いただきました」=ごちそうさまでした
「まえで」=前の方 前面
「飛んできます」=走っていきます
「「ずく」有ります」(ずく=やる気 活力 根気)
などの語があります。色も、ホワイト・ブラック・オレンジ・ライムグリーンの4色から選べます。
信州らしい方言(ずく・まえで)はもとより、メーカーのある諏訪特有の語(しゃらごしてぇ・ごたっ小僧)に加え、気づかれにくい方言(共通語と形は同じだが、意味・用法の違うもの:いただきました・飛ぶ)が選ばれているのが心にくいところです。
メーカーのお話では、沖縄など他県には方言Tシャツがあるのに、地元にはないことから、遊び半分で作って仲間うちに見せたところ大ウケしたので、製品化したとのこと。
方言については、一目見てわかり、かつ思わず笑ってしまうようなコトバを選び、隠語的な意味を含むものは避けたそうです。
各種のイベント等にも出店、先日の御柱祭でも大変な好評だったそうで、地元の「ごたっ小僧」の写真を提供していただきました。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第110回
2010年 7月 31日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第110回「「おまんた」は不滅です(新潟県糸魚川市)」
東京在住の新潟県糸魚川市出身の方々で組織する「東京おまんた会」が、2007年から「東京糸魚川会」となりました。その会誌名も、『東京おまんた会々誌』から『東京糸魚川会々誌』へと衣替えされました。

【銘菓 糸魚川 おまんた】
名称変更の理由として、「おまんた」があまり使われない、歌手・三波春男さん(長岡市出身)の「おまんた囃子」も若い世代は知らない、などが挙げられています(会誌31号)。
とはいえ、地元では、「ふれあい夕市 おまんた市」(糸魚川駅前・毎週木曜)をはじめ、夏祭り「糸魚川おまんた祭り」等で、「おまんた」が愛用されています。
さらに、この一品です。「銘菓 糸魚川 おまんた」(御菓子司 三好屋(糸魚川市寺町)製造)
糸魚川地方の方言「おまんた」にたくした銘菓
マロやかな味とソフトな舌ざわり
と菓子折に添えられた解説用紙にあるとおりの味で、観光土産としてはもちろん、地元の方にもたいへん好まれているお菓子だそうです。
方言の解説が後になりましたが、「おまんた」は、「おまん[=あなた]」の複数形で、あなたがたを意味します。ともに、敬意と親愛がこめられた表現です。
新潟弁ノンネイティブの者にも、なんとも言えない温かな雰囲気を感じさせる「おまんた」。いつまでも大切にしてほしいですね。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第105回
2010年 6月 26日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第105回「魚沼方言かるた(新潟県魚沼市)」
魚沼市文化協会は、昨年、設立10周年記念として、「魚沼方言かるた」の作製を企画。市民から応募のあった2818句から45句を選び、同地方の風土や方言をあしらった札がそろいました。
「あ」……足半[あしなか=わらぞうりの一種]と ふうこうかぶり[=頬かぶり]で 盆踊り
「ん」……んまげだの[=おいしそうだのう] 炊きたてまんま コシヒカリ
取り札の表は、画家・田中博之さん(魚沼市特使)の絵、その裏には、句と解説が付いています。
また、読み句のCDに、さらにもう一枚「魚沼の昔ばなし」のCDが付き、「狐火事」(堀之内)「まぼろしの鮭」(小出)ほか計6話が収められています。読み手・語りとも、魚沼昔ばなしの会の皆さんが担当。方言を中心に、魚沼地域の民俗文化の継承を願う気持ちが伝わってきます。
◆この連載を続けてお読みになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」アーカイブへ
◆記事のタイトルからお探しになる方は
⇒「地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―」目次へ
【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。


































![『新明解国語辞典 第七版[机上版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の机上版。判型は並判より大きいA5判で、さらに文字が大きく見やすい。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[机上版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kijo.jpg)
![『新明解国語辞典 第七版[小型版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の小型版。並判より一回り小さいA6変型判で、携帯にも便利。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[小型版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kogata.jpg)
![『新明解国語辞典 第七版[革装版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の革装版。丈夫で使うほどに手になじむ。判型は並版・特装版と同じB6判。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[革装版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kawaso.jpg)























































































































































2007年









