フランスAOCワイン事典

定価
5,500円
(本体 5,000円+税10%)
判型
AB判
ページ数
416ページ
ISBN
978-4-385-16220-1

フランスワインはワイン文化の真髄!
400あまりあるAOCワインのほぼすべてを網羅した初の事典!

ソムリエ試験の参考書としても最適!

※AOC(アー・オー・セー)とは、フランスの農産物における原産地統制呼称。厳しい条件をクリアしなければ、産地名の表示が許されません。

小阪田嘉昭 監修/佐藤秀良、須藤海芳子、河清美 編

  • 原産地を名乗れる400種あまりのフランスAOCワインのほとんどを網羅した待望の事典。
  • 産地の歴史・文化や、ワインの特徴、テロワールについて詳細に解説。
  • ブドウ品種などデータも充実。
  • 付録には、産地地図、用語集、地質年代表など。
  • アルファベット順索引、五十音順索引つき。
  • ボトル画像つき。4色刷。

特長

関連リンク

さらに詳しい内容をご紹介

『フランスAOCワイン事典』を推薦します

小飼一至

国際ソムリエ協会(ASI)会長
日本ソムリエ協会会長

本書の出現を嬉しく思う

ワインが人々に与える喜びは大きく計り知れない。私はソムリエとして、またワインを楽しむ者の一人として、本書の出現を嬉しく思う。まず、必要な情報が詳しく、内容が充実している。ワインの特徴や、その特色を決定づけるテロワールをはじめ、多くのデータを提供し、合わせる料理についても触れている。ワインを味わう上で、料理との相性を考える楽しみはまた格別である。本書を基本にして、食材豊富な和食や中国料理、また家庭の総菜へと発展させることも出来る。また読者は、飲用温度などの基本知識を少し増やし、ちょっとした工夫をすることで、目前の一本のワインが更に美味しくなることに気づくだろう。

本書はプロのソムリエやサービスにあたる人たちだけでなく、広くワインを造る人、売る人、飲む人にとっても心強く頼れる存在になると思う。

田崎真也

1995年世界最優秀ソムリエ
国際ソムリエ協会(ASI)副会長
日本ソムリエ協会副会長

フランスワインの解説書としては画期的

日本語で紹介されるフランスワインの解説書としては画期的なものでしょう。フランス語のカタカナ読みも正確に表現されていて、AOCに必要な条件を知ることができるうえ、栽培面積や生産量についてのデータも併記されています。さらにAOCごとのテロワールについてもしっかりと書かれており、各テロワールと味わいの関係を知る上でも、大変便利な資料と言えるでしょう。また、ソムリエにとって重要な料理との相性の欄には、それぞれの土地の伝統的な料理やフロマージュ(チーズ)なども紹介されているので、ワインとの組み合わせの定石も覚えることができます。ワインの色調や香り、味わいの表現は、伝統的なスタイルの場合の特徴を理解することができ、テイスティングをする上でもかなり役に立ちそうです。

本書の構成

  • 14の地方別配列(地方ごとにワイン名のABC順配列)。
  • 364項目を収録。

付録

ブドウ品種一覧、チーズ一覧、料理名一覧、用語集、アルファベット順索引、五十音索引、など。

見本ページ

『フランスAOCワイン事典』刊行に寄せて

須藤海芳子

この事典のタイトルを目にし、「AOC」とは何か疑問に思われた方もいらっしゃることと思います。AOCは、一般にAOC(アペラシオン・ドリジヌ・コントロレ)法と呼ばれるフランスの法律で、食料自給率が120%を超えるといわれ、美食で世界に知られる農業国フランスにおいて、生産者(作る側)だけでなく、消費者(食べる側)の両方を守る大きな役割を担っています。

INAO(原産地・品質管理全国機関)という機関が、それぞれ任意の農産物について、原料や生産地域、生産方法など、法令で厳格に規定された基準を満たした場合にのみ、特定の呼称を名乗ることを認めています。原産地呼称を誤用や盗用から守り、消費者に正しい情報を提供する法律なのです。ワインの銘醸地として有名な「ボルドー」「ブルゴーニュ」「シャンパーニュ」、チーズで有名な「カマンベール」のほか、オリーヴ、オリーヴオイル、肉、野菜、蜂蜜など、その適用範囲は多岐に渡ります。

少し話は変わりますが、以前、シャンパーニュ(シャンパン)をイメージした香水が、ある会社から発売されたことがあります。シャンパーニュの地方委員会は、その呼称の使用停止を求めて訴訟を起こしました。結果、その会社は、名称を変えて販売せざるを得なくなってしまいました(パリ控訴院1993年12月15日判決)。まったく異なるカテゴリーの商品に対しても、「シャンパーニュ」の名称は保護されているということなのです。近年、産地偽装の横行がメディアを賑わす我が国では、とても信じられないような本当の話です。

さて、本書では、400あまりあるAOCワインのほぼすべてを紹介しています。先に記した「ボルドー」「ブルゴーニュ」などは世界的に有名な産地で、日本にも多く輸入されていますが、この本では、有名産地以外の、例えば年間生産量が数千本にしかならないような産地の情報も得ることができます。それぞれ、ブドウ品種、生産量、飲用最適温度、合わせる料理、といった基本データとともに、ワインの特徴、テロワールまで、詳しく案内しています。
また、私たち編者は、フランスのワイン産地に興味深い歴史や文化があることに着目し、概説では、ワインそのものだけではなく、その「背景」についても記すよう心懸けました。ナポレオン、ルイ16世、ピカソなど、歴史上の人物が姿を現します。藤田嗣治や開高健などの日本人も登場しています。印象的なエピソードとともに、ワインがより身近に感じられるような一冊になったと思います。

ワインを片手にフランスを旅する、そんな気分で愉しんでいただければ嬉しいです。

【筆者プロフィール】
須藤海芳子(すどう・みほこ)
1968年生まれ。明治学院大学文学部フランス文学科卒。(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ(フランスチーズ鑑評騎士)。著書に、『シャンパン&スパークリングワイン』(主婦の友社)など。

刊行記念ミニ試飲会の様子

10月2日(金)の18時30分~22時、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIにて、『フランスAOCワイン事典』刊行記念ミニ試飲会を行いました。

編者である佐藤秀良先生と須藤海芳子先生のアドバイスを聞きながら、コトー・デュ・トリカスタンやボルドーなど、事典で紹介されているAOCワインを試飲していただくイベントです。10分程度のセミナーも全部で3回開催しました。

セミナーでは、「ワインの特徴」や「テロワール」の執筆をご担当された佐藤先生が、ボルドーとブルゴーニュの飲み比べや、ボージョレーのクリュの飲み比べなど、テイスティングの基礎をお話しくださいました。右手と左手にボルドーとブルゴーニュを持って、色、香り、味わいを比較してみると、事典に書いてある通りの特徴が実感できます。

ボージョレーの飲み比べでは、製造方法による味わいの違いを丁寧にご説明くださったうえで、日本ではまだ認知度の低いヌーヴォー(新酒)以外のボージョレーの魅力もご紹介くださいました。

主にワインにまつわるエピソードをご執筆くださった須藤先生は、AOCという制度がいかに厳しいものであるか、「シャンパーニュ」訴訟の例をあげてわかりやすく説明してくださいました(詳しくは『フランスAOCワイン事典』ページ内、須藤先生の「刊行に寄せて」をご参照ください⇒『フランスAOCワイン事典』へ)。また、ピカソやナポレオンのエピソードを例にあげ、ワインが造られた土地の文化や歴史などを知ることで、ワインを飲む時間がいっそう豊かで楽しくなるというお話をしてくださいました。

プロのアドバイスを聞きながらワインを試飲する機会はあまりないせいか、お客様が熱心に先生方のお話を聞いていらっしゃるのが印象的でした。セミナーの後では、会場にいらっしゃる先生方に直接質問をすることができましたので、ワインについての知識を深めていただけたことと思います。また、イベントを通して「ワインを片手に楽しむ事典」という本書のコンセプトをみなさまにお伝えできたのではないかと思います。当日ご来店いただいたみなさま、ありがとうございました。たくさんの方々にご来場いただき、盛況のうちにイベントを終了することができました。

なお、このイベントは株式会社日本リカーの協賛により開催されました。