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WISDOM in Depth: #5

2007年 11月 20日 火曜日 筆者: 田畑 圭介
【編集部より】
辞書の凝縮された記述の裏には,膨大な知見が隠れています。紙幅の関係で辞書には収めきれなかった情報を,WISDOM in Depth と題して,『ウィズダム英和辞典』の編者・編集委員の先生方にお書きいただきます。第5回は編集委員の田畑圭介先生です。

名詞の複数形

一般に数えられる名詞(可算名詞)は -s によって対象が複数存在することが示される。-s は2つ以上あるものに付ければよいと思えば簡単に使いこなせるように感じられるが,語によっては予想に反する場合も出てくる。多くの英和辞典では[通例-s]や[しばしば-s]といった表記の有無で,予期せぬ誤用を防ぐ工夫がなされている。ただし[しばしば-s]は付ける語によっては頻度上単数複数のどちらでもよいのではないかと誤解される恐れがある。ウィズダム英和辞典ではこうした誤解が生まれぬよう語に応じた注記が付されている。ここでは facility の複数形を例として紹介したい。

facility は「施設」「設備」「機能」「才能」といった意味を表す語である。三省堂コーパスを使い facility の左1語目に出現する語を機能語をとばして見てみると,sports, storage, medical, research, leisure, productionといった語が上位に挙がってくる。いずれも「施設」「設備」の意味に該当する表現である。ただしそれぞれの表現で単複の使用頻度を調べると,単数形の使用が極めて少ない語があることに気づく。次の表は各語の単複の頻度をまとめたものである。

単数形の頻度 複数形の頻度
sports ~ 1 38
storage ~ 16 20
medical ~ 12 13
research ~ 13 11
leisure ~ 0 19
production ~ 6 9

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