カテゴリー:コラム

『日本国語大辞典』をよむ―第6回 オノマトペ④:セミの名前と鳴き声

2017年 4月 23日 日曜日 筆者: 今野 真二

第6回 オノマトペ④:セミの名前と鳴き声

 夏目漱石『吾輩は猫である』の七に「人間にも油野郎、みんみん野郎、おしいつく/\野郎がある如く、蟬にも油蟬、みん/\、おしいつく/\がある。油蟬はしつこくて行かん。みん/\は横風で困る。只取つて面白いのはおしいつく/\である。是は夏の末にならないと出て来ない」という行(くだ)りがある。

 東京近辺では、夏になってもセミの鳴き声があまり聞こえなくなってきたように感じる。筆者は神奈川県鎌倉市のうまれなので、小学生の頃には、夏になるとセミがうるさいくらい鳴いていた。上の文章中で夏目漱石は採りあげていないが、あちらこちらから響き合うように聞こえてきたヒグラシの鳴き声が懐かしく、もう一度あんな風に鳴いているヒグラシを聞いてみたいと思う。
 ヒグラシはカナカナと呼ばれることもある。

かなかな〔名〕(その鳴き声から)昆虫「ひぐらし(日暮)」の異名。

 ヒグラシの鳴き声を「カナカナカナカナ…」と聞きなすのは、自然に思われる。また、ヒグラシの鳴き声は同じ聞こえ(「カナ」)がずっと繰り返していくので、いわば単純な鳴き声ともいえよう。それに比べて、ツクツクホウシの鳴き声は「複雑」だ。

つくつくぼうし〔名〕(1)(「つくつくほうし」とも)カメムシ(半翅)目セミ科の昆虫。(略)七月下旬から一〇月初旬頃までみられ、八月下旬に最も多い。「つくつくおーし」と繰り返し鳴く。北海道南部以南、朝鮮、中国、台湾に分布する。つくつく。つくつくし。おおしいつく。くつくつぼうし。つくしこいし。ほうしぜみ。寒蟬。

 「語誌」欄には「(1)平安時代にはクツクツホウシ(ボウシ)と呼ばれていたようである。(略)(2)鎌倉時代になると、ツクツクの形も辞書にのり始め、ツクツクとクツクツの勢力争いといった形になる。しかし室町初期には「頓要集」などツクツクの形のみ記したものも登場し、室町後半にはこれが主流となる。(略)(5)現代ではその鳴き声を「おーしいつくつく」ときくこともある」とある。

 平安時代には「クツクツホウシ(ボウシ)と呼ばれていた」に驚かれた方もいるのではないだろうか。『日本国語大辞典』には次のように見出し項目がある。

くつくつぼうし〔名〕昆虫「つくつくぼうし」に同じ。

 使用例も少なからずあがっており、その中には1275年に成ったと考えられている『名語記(みょうごき)』も含まれている。「クツクツ」を繰り返せば「クツクツクツクツ…」となり、この音の連続は切りようによっては、つまり聞きようによっては、「ツクツク」になる。実際のヒグラシの鳴き声は「ツクツク」あるいは「クツクツ」がずっと繰り返されるわけではないが、とにかく「ツクツク」と「クツクツ」とは仮名の連続としてみると違うが、音の連続としては「近い」。

 さて、上の『日本国語大辞典』の記事で気になった点がある。引用の中に「つくつくおーし」、「おーしいつくつく」と書かれている。「現代仮名遣い」においては、平仮名で書く場合には長音に「ー」を使わない。そして一方では「おおしいつく」と書いている。筆者は、なぜ非標準的な書き方を使ったのかとすぐに思ってしまう。おそらく「おおしいつく」の発音は「オーシイツク」という長音を含んだものではなく「オオシイツク」である、ということだろうと思う。そうであれば、「つくつくおおし」と書くと「ツクツクオオシ」という発音だと勘違いされるから、ここはそうではなくて「ツクツクオーシ」という長音を含んだかたちなのだ、ということを示した書き方なのだろう。しかし、それがうまく「読み手」に伝わるだろうか、と気になる。因果なものです。

 筆者が小学生の頃に、夏休みに奈良県にいる叔母の家に泊まりにいったことがあった。すると今まで聞いたことのないセミが鳴いているのでびっくりした。それがクマゼミだった。現在では温暖化のためか、東京でも時々耳にすることがあるので、次第に生息域を拡げていったのだろう。クマゼミの鳴き声は筆者の聞きなしでは「シャワシャワシャワシャワ」というような感じだ。『日本国語大辞典』をみてみよう。

くまぜみ【熊蟬】〔名〕カメムシ(半翅)目セミ科の昆虫。日本産のセミ類のうち最も大きく体長四~五センチメートル、はねの先端までは七センチメートルに近い。体は全体に黒く光沢がある。(略)盛夏のころシャーシャーと続けて鳴く。西日本ではセンダン、カキなどに多い。関東地方以南の各地に分布。うまぜみ。やまぜみ。わしわし。

 『日本国語大辞典』の語釈記述をした人の聞きなしは「シャーシャー」のようだが「ワシワシ」という聞きなしもあることがわかる。見出し項目「わしわし」をみると、「大勢がしゃべりたてているさまを表わす語。わいわい」とあって、「方言」の【一】の(3)に「大きな蟬(せみ)の鳴き声を表わす語」とあり、【二】に「虫、くまぜみ(熊蟬)」とある。

 「クマゼミ」の「クマ」は黒色及び大きいことに由来していると思われる。「クマ(ン)バチ」と同じようなことだ。語釈中にみられる「ウマゼミ」は大きさを「ウマ(馬)」で表現しているのだろう。大きいものは「クマ」「ウマ」と名づけるというところもまたおもしろい。

 小さいセミとしてはニーニーゼミがいる。ニーニーゼミは夏前に鳴きだすセミとして印象深かったが、これも最近ほとんど鳴き声を聞いたことがない。

にいにいぜみ【―蟬】〔名〕(略)各地に普通にすみ、梅雨あけの頃から現われ、鳴き声はニーニーまたはチーチーと聞こえる。日本各地、朝鮮、中国、台湾に分布する。ちいちいぜみ。こぜみ。

 ここまでくるとアブラゼミが気になるが、見出し項目「あぶらぜみ」の語釈には「セミ科の昆虫。体長(翅端まで)五・六~六センチメートル。日本各地で最も普通に見られるセミ(略)あかぜみ。あきぜみ」とあって、「アカゼミ」「アキゼミ」と呼ばれることがあることがわかる。 

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※特に出典についてことわりのない引用は、すべて『日本国語大辞典 第二版』からのものです。引用に際しては、語義番号などの約物および表示スタイルは、ウェブ版(ジャパンナレッジ http://japanknowledge.com/)の表示に合わせております。

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【筆者プロフィール】

今野真二(こんの・しんじ)

1958年、神奈川県生まれ。高知大学助教授を経て、清泉女子大学教授。日本語学専攻。

著書に『仮名表記論攷』、『日本語学講座』全10巻(以上、清文堂出版)、『正書法のない日本語』『百年前の日本語』『日本語の考古学』『北原白秋』(以上、岩波書店)、『図説日本語の歴史』『戦国の日本語』『ことば遊びの歴史』『学校では教えてくれないゆかいな日本語』(以上、河出書房新社)、『文献日本語学』『『言海』と明治の日本語』(以上、港の人)、『辞書をよむ』『リメイクの日本文学史』(以上、平凡社新書)、『辞書からみた日本語の歴史』(ちくまプリマー新書)、『振仮名の歴史』『盗作の言語学』(以上、集英社新書)、『漢和辞典の謎』(光文社新書)、『超明解!国語辞典』(文春新書)、『常識では読めない漢字』(すばる舎)、『「言海」をよむ』(角川選書)、『かなづかいの歴史』(中公新書)がある。

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【編集部から】

現在刊行されている国語辞書の中で、唯一の多巻本大型辞書である『日本国語大辞典 第二版』全13巻(小学館 2000年~2002年刊)は、日本語にかかわる人々のなかで揺らぐことのない信頼感を得、「よりどころ」となっています。
辞書の歴史をはじめ、日本語の歴史に対し、精力的に著作を発表されている今野真二先生が、この大部の辞書を、最初から最後まで全巻読み通す試みを始めました。
本連載は、この希有な試みの中で、出会ったことばや、辞書に関する話題などを書き進めてゆくものです。ぜひ、今野先生と一緒に、この大部の国語辞書の世界をお楽しみいただければ幸いです。隔週連載。

続 10分でわかるカタカナ語 第8回 ソーシャル

2017年 4月 22日 土曜日 筆者: もり・ひろし & 三省堂編修所

10分でわかる「ソーシャル」の意味と使い方

どういう意味?

 他の語に付いて、「社会的」「社交的」という意を表します。

もう少し詳しく教えて

 ソーシャル(social)は英語の形容詞で、「社会の」「社交の」を意味します。ソーシャルビジネス、ソーシャルメディアなどのように、他の語に付いて使われます。ソシアルダンス(社交ダンス)などのようにソシアルと表記される場合もあります。

どんな時に登場する言葉?

 社会・社交が関連する分野で登場します。特に近年では、福祉・環境などの社会的課題を取り扱う分野、心理・教育分野、さらには IT(情報通信技術)の分野で、ソーシャルを含む新概念が次々と生まれています。

どんな経緯でこの語を使うように?

 古くから使われている言葉です。例えば大正時代に出版された外来語辞典にはすでに「ソシアル」の項目が存在していました。

 近年では、主に「社会的課題」と「IT」の両分野で、ソーシャルを冠する新概念が数多く生まれ、注目を集めています。そのためマスメディアでソーシャルの語を見聞きする機会も増えています。例えば『現代用語の基礎知識』(自由国民社)では、1991年版でソーシャルを含む複合語の項目が11語だったのに対して、2016年版では延べ23語にまで増えています。

ソーシャルの使い方を実例で教えて!

ソーシャルスキル

 挨拶や意思表明、共感など、社会で人とかかわっていくなかで必要不可欠な技能を「ソーシャルスキル」といいます。そのような技能を訓練することは「ソーシャルスキルトレーニング」と呼ばれます。これらは心理・教育分野でよく登場する概念です。

ソーシャルワーカー

 社会的弱者(貧困・障害・差別などの問題で生活に困っている人)のために行う直接的または間接的な支援活動を「ソーシャルワーク(social work)」と呼びます。またこの活動を行う人を「ソーシャルワーカー(social worker)」と呼びます。学校を活動拠点とする場合は「スクールソーシャルワーカー(school social worker / SSW)」、保健・医療を専門とする場合は「医療ソーシャルワーカー(medical social worker / MSW)」となります。

社会的課題のソーシャル

 1987年に「持続可能な開発」という概念が世界的に注目されました。それ以来、国際社会は環境・資源・エネルギー・貧困・教育・人権といった「社会的課題」により大きな関心を向けています。その影響で、ソーシャルを冠した新概念も数多く日本語に入ってきました。

 例えば「ソーシャルビジネス(social business)」は、社会的課題をビジネスの手法で解決しようとする考え方。そのようなビジネスを行うベンチャー企業(革新的な小企業)を「ソーシャルベンチャー(social venture)」と呼びます。

 また「ソーシャルセクター(social sector)」とは、従来的な公共セクター(行政機関など)や民間セクター(民間企業など)とは異なる新たな組織区分のこと。NPO(非営利組織)や NGO(非政府組織)など、社会的課題の解決を目的とする非営利の民間組織を指します。このセクターは、近年、国際社会の中でも大きな存在感を示すようになりました。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)

 IT(情報通信技術)の分野では、ゼロ年代(2000年~09年)の初頭から「ソーシャルネットワーキングサービス(social networking service)」、略して「SNS」が普及しました。インターネット上で結びついた人どうしが情報交換できるサービスです。日本でそのはしりとなったのはmixi(ミクシィ、2004年サービス開始)であり、2010年代に入ってからはスマートフォンの普及に伴ってFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、LINE(ライン)などの利用が急速に広がりました。

 この SNS を含めて、個人どうしの情報交換によって成り立つメディア(電子掲示板、ブログ、動画サイトなども含む)を「ソーシャルメディア(social media)」と総称します。いわばクチコミの電子版とも言える存在です。

言い換えたい場合は?

 複合語のソーシャルを言い換える場合は、まず定まった訳語があるかどうかを調べてみてください。例えばソーシャルワークには「社会福祉援助技術」、ソーシャルワーカーには「社会福祉士」、ソシアルダンスには「社交ダンス」という訳語が存在します。

 定訳の有無に関わらず、多くの場合、単純な言い換えが困難です。例えばソーシャルメディアを「社交媒体」と言い換えても、おそらく読み手や聞き手は意味を理解できないことでしょう。面倒ではありますが「ネットを通じた個人どうしの情報交換で成り立つメディア」といった具合に、概念を簡単に説明してみてください。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

CSRのS ビジネスでよく見聞きするアルファベット略語の中にも、ソーシャル(social)が含まれるものがあります。代表例は「企業の社会的責任」を意味する「CSR」でしょう。CSR は corporate social responsibility の略です。

社会は「仲間」から始まった 英語の social の語源をたどると「社交的な」を意味するラテン語 socialis に行き着きます。その socialis の語源は、同じくラテン語の socius。これは「仲間」を意味する言葉です。つまりソーシャルは「仲間」を語源とする言葉なのです。

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【筆者プロフィール】

もり・ひろし & 三省堂編修所

■もり・ひろし
 新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

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【編集部から】

 「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。
 「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。
 これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。
 毎週土曜日更新。

【関連書籍】

●『コンサイスカタカナ語辞典 第4版』
定評あるカタカナ語辞典の第4版。約56,300語収録。詳細は こちら

●『見やすいカタカナ新語辞典』
大きく見やすい活字でカタカナ新語が引ける。約13,000語収録。詳細は こちら

人名用漢字の新字旧字:「戸」と「戶」

2017年 4月 20日 木曜日 筆者: 安岡 孝一

第131回 「戸」と「戶」

131door-old.png新字の「戸」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「戶」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。でも実は、旧字の「戶」が、子供の名づけに使えた時期もあったのです。

昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、戶部に、旧字の「戶」が含まれていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、 そこでも旧字の「戶」が収録されていました。

昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、旧字の「戶」が収録されていました。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、旧字の「戶」は当用漢字になりました。ただし、当用漢字表のまえがきには「字体と音訓の整理については、調査中である」と書かれていました。当用漢字表の字体は、まだ変更される可能性があったのです。

字体の整理をおこなうべく、文部省教科書局国語課は昭和22年7月15日、活字字体整理に関する協議会を発足させました。活字字体整理に関する協議会は、昭和22年10月10日に活字字体整理案を国語審議会に報告しました。この活字字体整理案では、「戶」を「戸」へと整理することが提案されていました。

報告を受けた国語審議会では、昭和22年12月から昭和23年5月にかけて、字体整理に関する主査委員会を組織しました。この間、昭和23年1月1日に戸籍法が改正され、子供の名づけに使える漢字が、この時点での当用漢字表1850字に制限されました。当用漢字表には旧字の「戶」が収録されていたので、「戶」は子供の名づけに使ってよい漢字になりました。新字の「戸」は、子供の名づけに使えなくなりました。

昭和24年4月28日に内閣告示された当用漢字字体表では、新字の「戸」が収録されていました。活字字体整理案に従った結果、新字の「戸」が当用漢字となり、旧字の「戶」は当用漢字ではなくなってしまったのです。当用漢字表にある旧字の「戶」と、当用漢字字体表にある新字の「戸」と、どちらが子供の名づけに使えるのかが問題になりましたが、この問題に対し法務府民事局は、旧字の「戶」も新字の「戸」もどちらも子供の名づけに使ってよい、と回答しました(昭和24年6月29日)。つまり、昭和24年の時点で、旧字の「戶」も新字の「戸」も、どちらも出生届に書いてOKとなったのです。

昭和56年3月23日に国語審議会が答申した常用漢字表では、新字の「戸」が収録されました。旧字の「戶」は、カッコ書きにすら入っていなかったのです。昭和56年4月22日、民事行政審議会は、常用漢字表のカッコ書きの旧字355組357字のうち、当用漢字表に収録されていた旧字195字だけを、子供の名づけに認めることにしました。旧字の「戶」はカッコ書きに入っていないので、今後は子供の名づけには認めない、と決定したのです。昭和56年10月1日、常用漢字表は内閣告示され、新字の「戸」は常用漢字になりました。同じ日に、旧字の「戶」は子供の名づけに使えなくなってしまいました。

平成23年12月26日、法務省は入国管理局正字を告示しました。入国管理局正字は、日本に住む外国人が住民票や在留カード等の氏名に使える漢字で、13287字を収録していました。この13287字の中に、新字の「戸」と旧字の「戶」が含まれていたのです。この結果、日本で生まれた外国人の子供の出生届には、新字の「戸」に加え、旧字の「戶」も書けるようになりました。でも、日本人の子供の出生届には、新字の「戸」はOKですが、旧字の「戶」はダメなのです。

【筆者プロフィール】

安岡孝一(やすおか・こういち)

京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター教授。京都大学博士(工学)。文字コード研究のかたわら、電信技術や文字処理技術の歴史に興味を持ち、世界各地の図書館や博物館を渡り歩いて調査を続けている。著書に『新しい常用漢字と人名用漢字』(三省堂)『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。

http://srad.jp/~yasuoka/journalで、断続的に「日記」を更新中。

続 10分でわかるカタカナ語 第7回 スマート

2017年 4月 15日 土曜日 筆者: もり・ひろし & 三省堂編修所

10分でわかる「スマート」の意味と使い方

どういう意味?

 「手際がいい」「洗練された」「ほっそりして格好がいい」に加えて、「賢い」という意味でも使われます。

もう少し詳しく教えて

 英語のスマート(smart)はもともと「洗練された」、「賢い」、「すばやい」など多くの意味をもっています。日本語では「手際がいい」「洗練された」「ほっそりした」「格好いい」という意味で使われます。近年では、「賢い」の意味での使用も見られるようになっています。

 「洗練された」という意味の「スマート」は、行動・態度・姿形(すがたかたち)を表現するときに登場します。例えば「彼の振る舞いはスマートだ」といえば、彼の行動・態度について「粋である」「気が利いている」といった意味を表します。また「彼の服装はスマートだ」だといえば、彼の姿形(服装)について「お洒落(しゃれ)だ」「格好いい」といったニュアンスを表しています。いずれも「洗練」という意味にまとめられるでしょう。

 この意味に付随するのが、「姿形がほっそりしている」「やせている」という意味です。例えば「彼はスマートな体型だ」とか「スマートな形の機体だ」と言えば、身体や機体が「細い(細くて格好いい)」ことを意味します。実は英語の smart には、この意味が存在しません。

 さらに近年では、「スマートフォン(smartphone)」のように英語の「賢い」の意味をもつ語が移入されて使われるようになりました。これらは、何かがIT(情報通信技術)によって高機能化している様子を表すものです。

どんな時に登場する言葉?

 「洗練」を意味するスマートは、行動・動作・態度・外見などを表現する場合に登場します。また「細い」ことを意味するスマートは、人や物の外見をほめる際に登場します。そして「賢い」を意味するスマートは、ITを応用した機能・製品・サービス・概念などを表現する際に登場します。

どんな経緯でこの語を使うように?

 「洗練」を意味するスマートは、少なくとも明治時代には使われていた表現だと思われます。また「細い」ことを意味するスマートも、少なくとも昭和初期には使われていた表現であるようです。

 いっぽう「賢い」という意味のスマートが盛んに使われるようになったのは、ごく最近のことです。具体的にはゼロ年代(2000年~09年)の後半以降に、マスメディアでスマートを含む複合語をよく見かけるようになりました。この時期は、スマートフォンが世界的に普及しはじめた時期にあたります。

スマートの使い方を実例で教えて!

スマートな行動

 「洗練されている」や「ほっそりして格好良い」を意味するスマートは、「スマートな」「スマートに」「スマートさ」などの形で使うことができます。例えば「スマートな行動」「長身でスマートな人」「彼のやり方はスマートさを欠く」といった具合です。

スマートフォン

 ITの世界には様々な「スマートデバイス(smart device)」、すなわち「ITによって高機能化した装置」が存在します。例えば「スマートフォン」は高機能化した携帯電話端末のこと。「スマート家電」といえば、自動節電機能のついたエアコンや、外出先から中身が確認できる冷蔵庫などが挙げられます。このほか「スマートウォッチ(smartwatch)」「スマートスピーカー(smart speaker)」「スマートグラス(smartglasses /眼鏡型のコンピューター端末)」などの装置も存在します。どれも、ITを応用することによって、自動で動作を制御したり、従来のものにはない高度な機能が付加されたりしていることが特徴です。

スマートグリッド

 環境やエネルギーの分野でも「ITによる高機能化」を意味するスマートが登場します。高機能化によって、エネルギー利用の効率化を図る取り組みが進んでいるためです。例えばその対象が送電網(電力の供給網)の場合は「スマートグリッド(smart grid)」、街全体の場合は「スマートコミュニティー(スマートシティー)(smart community)」、各家庭の場合は「スマートハウス(smart house)」と表現できます。

スマートキー

 自動車の分野でもスマートを冠する言葉があります。例えば「スマートカー(smart car)」はITで高機能化した自動車全般のこと(自動運転車など)。また「スマートキー(smart key)」は、鍵となる機器を持ち歩いて自動車に近づくだけで、自動的に解錠などを行う機能をさします。

言い換えたい場合は?

 行動・態度の「洗練」を意味するスマートは「洗練されている」「気が利いている」「手際が良い」「粋な」「颯爽(さっそう)としている」「格好良い」などと言い換えることができます。

 また外見の「洗練」を意味するスマートは「洗練されている」「格好良い」「洒落ている」「さっぱりしている」「粋な」「身奇麗な」などと言い換えることが可能です。またカタカナ語でもよければ「スタイリッシュな」「クールな」(→クール)「シックな」なども使えます。

 外見の洗練のうち「細い」を意味するスマートは「ほっそりしている」「やせている」「すらっとしている」などの言い換えが可能です。カタカナ語でもよければ「スリムな」とも表現できます。

 「賢い」を意味するスマートは、(擬人的に)「頭のいい」「利口な」、または「高機能」や「次世代」と言い換えることが多いようです。スマートフォンを「高機能携帯電話」、スマートグリッドを「次世代送電網」とする場合などがそうです。いっぽう高機能・次世代にこだわらない方法もあります。例えばスマートシティーを「環境配慮型都市」と言い換える用例も存在します。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

語源は「痛み」 英語の smart には「痛み」や「ひりひりする」といった意味もあります。実は smart のもともとの意味は「肉体的な痛み」なのです。それがいつしか「精神的な鋭さ」を指すようになり、やがて「洗練」や「賢さ」の意味に繋がっていきました。

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【筆者プロフィール】

もり・ひろし & 三省堂編修所

■もり・ひろし
 新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

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【編集部から】

 「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。
 「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。
 これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。
 毎週土曜日更新。

【関連書籍】

●『コンサイスカタカナ語辞典 第4版』
定評あるカタカナ語辞典の第4版。約56,300語収録。詳細は こちら

●『見やすいカタカナ新語辞典』
大きく見やすい活字でカタカナ新語が引ける。約13,000語収録。詳細は こちら

シベリアの大地で暮らす人々に魅せられて
―文化人類学のフィールドワークから― 第一回 はじめに

2017年 4月 14日 金曜日 筆者: 大石 侑香

第一回:はじめに


トナカイ牧夫の奥さんたちと筆者

 私は現在、東北大学東北アジア研究センターで文化人類学を研究しています。文化人類学とは、世界のさまざまな文化を理解し、人類社会・文化の多様性と普遍性について研究する学問で、この学問の特徴的な研究方法にフィールドワークがあります。自分と異なる文化を内側から深く理解するために、民族集団の中に実際に長期間滞在して調査をします。

 ロシア連邦内西シベリア地方の北方少数民族のひとつであるハンティ人(以下、ハンティ)を研究対象に選び、2011年から2012年の間、2015年の秋、2016年の春・秋と通算11か月程度の現地調査を行いました。


ハンティ-マンシ自治管区とヤマロ-ネネツ自治管区の位置(クリックで拡大)

 シベリアには約40の少数民族がおり、ハンティもそのひとつで、西シベリアのオビ川【注1】中流域とその支流域に約3万人が暮らしています。固有言語であるハンティ語【注2】を持っており、現在でも年配の方を主として半分以上がハンティ語を理解し話しますが、ソ連時代に学校教育でロシア語を学ぶようになったため、ロシア語も普及しています。都市部で生活する者は三分の一程度であり、その他の三分の二は人口10人以下~2000人程度の集落や村で定住生活をするか、森の中でトナカイを飼育しながら天幕(テント)に住み移動生活をしています。小さな集落や森においても、完全な自給自足ではありませんが、漁撈(ぎょろう)【注3】や狩猟、採集、トナカイ牧畜を複合的に営んで生活しています。

 なぜシベリアの北方少数民族を調査対象に選んだのかというと、それは私が生まれ育った環境と関係しています。私は静岡県の中山間地域の出身で、祖父は樵(きこり)でした。彼は山を所有する地主の所で働き、祖母はその家に奉公に出ていました。そこで二人は知り合ったようです。林業は第二次世界大戦後から1960年代までは非常に活気のある産業でしたが、木材輸入の自由化以降、急激に衰えていきました。林業従事者とその家族が村から去っていき、過疎化が進み村の社会構造が変化しました。そして、樵たちも生き方を変えていきました。

 私はそうしたことを見たり聞いたりしながら育ち、次第に自然環境から食料等を生産する人々の社会や文化が、世界的な政治経済の動きの影響を受けてどのように変化するのか、ということに興味を持つようになりました。さらに、より急激で大規模な変化であったソ連の崩壊とそれに伴う国家体制転換の影響を現地の人々はどのように受け止めて、自らの暮らしを変えているのだろうかという興味に発展し、大学院に進学してシベリアの北方少数民族を対象に研究を始めました。しかし、実際にフィールドワークを行ってハンティたちと過ごすうちに、そうした社会・文化変容への興味以上に、圧倒的な広大で厳しい自然の中で暮らす彼らの生活や生業技術そのものにより魅かれていきました。そこには、ハンティたちの奥深い自然観や知恵がありました。

 そうした経緯を経て、現在ではトナカイ牧畜や漁撈といった生業を中心に研究を行っています。次回から私のフィールドワーク体験について書いていきたいと思います。


いろいろな模様のトナカイ

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  1. オビ川
    ロシア連邦,西シベリアを北流して北極海のオビ湾に注ぐ大河。アルタイ山脈に源を発し,西シベリア低地を貫流する。冬季は結氷。長さ3680キロメートル。(『大辞林 第三版』「オビ」)
  2. ハンティ語
    ウラル語族、フィン・ウゴル語派、ウゴル諸語の中のオビ・ウゴル諸語に属する。(『言語学大辞典』)
  3. 魚介類や海藻などをとること。また,その作業。(『大辞林 第三版』)。漁業が産業としての経済活動を指すのに対して、漁撈は魚を獲る行為そのものを指す。

◆この連載の目次は⇒「シベリアの大地で暮らす人々に魅せられて―文化人類学のフィールドワークから―」目次へ

【筆者プロフィール】

■大石侑香(おおいし・ゆか)
東北大学東北アジア研究センター・日本学術振興会特別研究員PD。修士(社会人類学)。2010年から西シベリアの森林地帯での現地調査を始め、北方少数民族・ハンティを対象に生業文化とその変容について研究を行っている。共著『シベリア:温暖化する極北の水環境と社会』(京都大学学術出版会)など。

*

【編集部から】

文化人類学を研究している大石侑香先生の連載がスタートしました。第一回では先生が研究対象にしているロシア連邦西シベリアに住むハンティ達の概要、そしてなぜこの地域に興味を持ったのかを紹介しています。次回はフィールドワークを開始するまでの話です。

広告の中のタイプライター(5):Oliver No.9

2017年 4月 13日 木曜日 筆者: 安岡 孝一

タイプライターに魅せられた男たち・補遺

『Popular Science Monthly』1919年2月号

『Popular Science Monthly』1919年2月号(写真はクリックで拡大)

「Oliver No.9」は、シカゴのオリバー・タイプライター社が、1915年から1922年頃にかけて製造したタイプライターです。この時期のオリバー・タイプライター社は、奇数No.を国内向けモデル、偶数No.を輸出向けモデルとしていました。この「Oliver No.9」はアメリカ国内向けであり、次の「Oliver No.10」は輸出向けでした。

「Oliver No.9」は、28キーのダウンストライク式タイプライターで、左右に14個ずつ翼のようにそびえ立った活字棒(というよりは活字翼)が特徴的です。28個のキーからは、左右14個ずつのキーに分かれて、背面の奥へとシャフトが伸びています。各シャフトは、それぞれが活字翼に繋がっており、キーを押すと対応する活字翼が打ち下されて、プラテンの上に置かれた紙の上面に印字がおこなわれます。これにより、打った文字がその瞬間に見えるのです。28個の活字翼には、それぞれ活字が3つずつ埋め込まれていて、プラテン・シフト機構により、84種類の文字が印字できます。キーボード下段の左右端にある「CAP」を押すと、プラテンが奥に移動し、大文字が印字されるようになります。キーボード中段の左右端にある「FIG」を押すと、プラテンが手前に移動し、数字や記号が印字されるようになります。この活字翼と印字機構は、創業者オリバー(Thomas Oliver)の発明によるものですが、オリバーは1909年2月9日に亡くなっており、「Oliver No.9」そのものにはタッチしていません。

「Oliver No.9」は、重さが約28ポンド(13キログラム)もあり、当時としても、かなり重たいタイプライターでした。そのためか、本体下部の左右には、持ち上げるための取っ手がついています。また、2色インクリボン(通常は赤と黒)を装着可能だったのですが、それは、上の広告からは読み取れません。ちなみに、右活字翼の枠の上に付いているのは、ペンホルダーです。

「打った文字がその瞬間に見える」タイプライターは、1910年代には、もはや珍しくなくなっていました。「Oliver No.9」は、その意味では時代遅れになりつつあったのです。「Oliver No.9」の発売当時の価格は100ドルだったのですが、1917年には49ドルに値下げし、1919年には57ドルに値上げしています。上の広告にもあるとおり、月々3ドルずつの月賦払いも可能でした。ただ、月々3ドルだと、総額49ドルでは割り切れないので、割り切れる57ドルに値上げしたのだろうか、という憶測も働いてしまいます。また、57ドルはアメリカ国内向けの価格で、対カナダ向けは72ドルだったようです。

【筆者プロフィール】

安岡孝一(やすおか・こういち)

京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター教授。京都大学博士(工学)。文字コード研究のかたわら、電信技術や文字処理技術の歴史に興味を持ち、世界各地の図書館や博物館を渡り歩いて調査を続けている。著書に『新しい常用漢字と人名用漢字』(三省堂)『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。

http://srad.jp/~yasuoka/journalで、断続的に「日記」を更新中。

モノが語る明治教育維新 第9回―世界、そして地球を学ぶ (1)

2017年 4月 11日 火曜日 筆者: 唐澤 るり子

第9回―世界、そして地球を学ぶ (1)

 開国間もない日本の子どもたちは、世界の「形」をどのようにして学んだのでしょうか。

 黒船来航は、「泰平の眠りを覚ます上喜撰(じょうきせん)たつた四はいで夜もねむれず」(「上喜撰」は宇治茶の品名の上喜撰と蒸気船の掛詞)と狂歌に詠まれるほど庶民に衝撃を与えましたが、一方で、これをきっかけに幕末の寺子屋師匠の中には世界や地球に興味を持つ人が現われました。茨城県土浦の寺子屋師匠、沼尻墨僊(ぬまじりぼくせん)[安永4年~安政3年]もその1人、生来多芸多才な人物で、竹ひごで作った骨組みに木版刷り世界図を貼り合わせ、折りたたみ可能な傘式地球儀を考案しました。安政2年には百数十個の地球儀を世に出したところ好評で、自らもその地球儀を使って門弟たちに地理学や天文学を教えたそうです。

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「萬国山海地球輿地全図」

 当館所蔵の精耕堂(第2回で紹介した栃木県真岡市の寺子屋)関係資料の中にも、「地球萬国山海輿地(よち)全図説」という幕末に流布した一枚刷り世界地図が残されておりますし、そこで使用された往来物『永代年代記大成』(弘化3年)の巻頭には「萬国山海地球輿地全図」という名の世界地図が描かれており、日本の外の世界を知る地理教材として扱われたと考えられます。この頃になると為政者ばかりでなく、普通の人々もまた、世界の中の日本を意識するようになっていたのでしょう。

 維新後は、先駆的な開明学者である福澤諭吉が世界各地の風俗や歴史を七五調であらわした『世界国盡(せかいくにづくし)』(明治2年)が人気を博しました。「世界は広し 萬国はおおしといへど 大凡(おおよそ)五に分けし名目は 亜細亜阿非利加欧羅巴 北と南の亜米利加に 堺かきりて五大洲・・」という書き出しは、世界を俯瞰(ふかん)した内容の面白さと暗誦した時のテンポの良さで、寝言にも言うぐらい口ずさまれていたそうです(『名ごりの夢』の中で語られた著者今泉みねの思い出)。

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『世界国盡』に描かれた世界地図

その口絵には、それまでの卵形の世界地図とは異なり、円形の東と西の半世界図が描かれており、日本国は東の片隅に置かれ世界の広さが強調されています(「萬国山海地球輿地全図」のような卵形の地図はマテオ・リッチが17世紀初めに作製した「坤輿(こんよ)万国全図」をルーツとしています)。

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 また、諭吉が著した日本最初の科学入門書ともいうべき『訓蒙窮理図解(くんもうきゅうりずかい)』(明治元年)では地球儀や地球の絵を描いて引力や昼夜、四季が生じる原理を分かりやすく説明しています。

 この『世界国盡』と『訓蒙窮理図解』の2冊は明治5年文部省が小学校教科書として公示した中に含まれ、次回ご紹介する新しい学校教育の中身にも少なからず影響を与えたと考えられます。

(次回へつづく)

◆この連載の目次は⇒「モノが語る明治教育維新」目次へ

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【筆者プロフィール】

『図説 近代百年の教育』

唐澤るり子(カラサワ・ルリコ)

唐澤富太郎三女
昭和30年生まれ 日本女子大学卒業後、出版社勤務。
平成5年唐澤博物館設立に携わり、現在館長
唐澤博物館ホームページ:http://karasawamuseum.com/
唐澤富太郎については第1回記事へ。

※右の書影は唐澤富太郎著書の一つ『図説 近代百年の教育』(日本図書センター 2001(復刊))

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【編集部から】

東京・練馬区の住宅街にたたずむ、唐澤博物館。教育学・教育史研究家の唐澤富太郎が集めた実物資料を展示する私設博物館です。本連載では、富太郎先生の娘であり館長でもある唐澤るり子さんに、膨大なコレクションの中から毎回数点をピックアップしてご紹介いただきます。「モノ」を通じて見えてくる、草創期の日本の教育、学校、そして子どもたちの姿とは。
更新は毎月第二火曜日の予定です。

『日本国語大辞典』をよむ―第5回 オノマトペ③:オノマトペの「揺れ」

2017年 4月 9日 日曜日 筆者: 今野 真二

第5回 オノマトペ③:オノマトペの「揺れ」

 筆者の勤務している大学の学科では卒業論文が必修科目になっている。オノマトペは学生が興味をもちやすいテーマで、オノマトペをテーマにして卒業論文を書きたいと申し出る学生が少なくない。そんな時に必ずといってよいほど話題にのぼるのが宮沢賢治だ。

 『風の又三郎』は次のような歌で始まる。

どっどど どどうど どどうど どどう、

青いくるみも吹きとばせ

すっぱいかりんもふきとばせ

どっどど どどうど どどうど どどう

 また「月夜のでんしんばしら」には「ドッテテドッテテ、ドッテテド、でんしんばしらのぐんたいは はやさせかいにたぐいなし ドッテテドッテテ、ドッテテド でんしんばしらのぐんたいは きりつせかいにならびなし。」という「軍歌」がみられる。「どっどど どどうど」は風の音を表現している擬音語のようでもあるし、風の強さを表現している擬態語のようでもある。なんとなくではあるが、「雰囲気」は伝わってくる。しかしそれはやはり「雰囲気」に留まるのであって、その「雰囲気」の受け取り方は「読み手」によって、少しずつ異なる可能性がある。

 前回オノマトペの「揺れ」と表現したのはそのようなことだ。擬音語であれば、何らかの「音」をもとにしてうまれるのだから、そうしてうまれたオノマトペは、多くの人がすぐに理解することができ、多くの人が共有できるはずだ。実際にそういうオノマトペも多い。しかし、最初に「音」をどのように、言語音としてキャッチするか、というところに「個性」がはたらくともいえ、その「個性」がユニークな人はユニークなオノマトペをうみだす。だから、オノマトペであれば、すぐにわかる、とばかりはいえない。

 『日本国語大辞典』にもたくさんのオノマトペが載せられている。小型の国語辞書では、オノマトペに多くのページをさくことはできないだろう。だから、これは大型辞書である『日本国語大辞典』の特徴の1つといってもよいかもしれない。さて、みなさんは次のオノマトペがどんな「雰囲気」を表現しているかわかるでしょうか。「セリセリ」「ソイソイ」「ソゴソゴ」「ソッソ」「ゾベゾベ」。答はこちらです。

せりせり〔副〕(多く「と」を伴って用いる)(1)動作などの落ち着かないさま、せきたてるさまを表わす語。せかせか。(2)せせこましいさまを表わす語。こせこせ。(3)言動などのうるさいさまを表わす語。

そいそい〔副〕(「と」を伴って用いることもある)歯切れよく静かに物をかむ音などを表わす語。

そごそご〔副〕(「と」を伴って用いることもある)(1)気落ちして元気のないさまを表わす語。すごすご。(2)かわいたものやこわばったものなどが、触れるさまを表わす語。

そっそ〔副〕(多く「と」を伴って用いる)(1)静かに行なうさまを表わす語。そっと。(2)わずかなさまを表わす語。ちょっと。

ぞべぞべ〔副〕(「と」を伴って用いることもある)(1)つややかなさまを表わす語。(2)長い着物などを着て、動作が不活発なさまを表わす語。そべらぞべら。ぞべりぞべり。(3)((2)から)てきぱきせず、だらしのないさまを表わす語。ぞべらぞべら。

 見出し項目「そいそい」には使用例として、「漢書列伝竺桃抄〔1458-60〕」の「蚕の桑葉をそいそいと食て、あげくに食尽様にするぞ」があげられており、カイコが桑の葉を食べる時の音を「ソイソイ」で表現していることがわかる。もりもり食べるという「雰囲気」ですね。見出し項目「そごそご」には(1)の語釈中に「すごすご」とある。「ソゴソゴ」と「スゴスゴ」とは「ソ」と「ス」とが入れ替わっている。もっといえば、母音が[o]から[u]に入れ替わっているので、「母音交替形」ということになる。こういうこともある。落ち着きのない人に「なんだかセリセリしてるね。どうしたの?」と言ったり、落ち着きのないこどもに「セリセリしないっ!」と言ってみたら、どんな反応がかえってくるでしょうか。

 最後に1つ。次のような見出し項目があった。

こんかい[吼噦]【一】〔名〕狐の鳴声から転じて、狐のこと。【二】狂言「釣狐」の別称。

 【一】の語義の使用例として、「虎明本狂言・釣狐〔室町末-近世初〕」の「わかれの後になくきつね、なくきつね、こんくゎいのなみだなるらん」、「雑俳・西国船〔1702〕」の「ひょっと出てこんくゎいのとぶ階がかり」などがあげられ、【二】の語義の使用例として、「堺鑑〔1684〕中・釣狐寺」の「世に云伝釣狐の 狂言 又吼噦共いへり」があげられている。「辞書」欄には「書言・言海」とある。「書言」は江戸時代、享保2(1717)年に刊行された辞書、『書言字考節用集』(全13冊)のことで、その「言辞 九上」(第11冊)に「吼噦(右振仮名コンクハイ)」という見出し項目がある。明治24年に完結した『言海』には、「こんくわい(名) 吼噦 [狐ノ鳴聲ヲ以テ名トス]狐釣ノ狂言ノ名」とある。「吼」は〈ほえる〉という字義をもっているが、『大漢和辞典』巻2(904ページ)に載せられている「吼」字に「コウ」「ク」という音は認められているが、「コン」はない。また「吼噦」という熟語もあげられていない。

 『日本国語大辞典』の見出し項目「こんかい」をよんだ時には、漢字列「吼噦」があてられていることもあって、「コンカイ(コンクヮイ)」という発音の漢語があって、それはキツネの鳴き声に基づいてできた漢語だと想像してしまった。そうであれば、日本でも中国でもキツネの鳴き声を「コン」と聞きなしたことになり、「おもしろいですね」でめでたくこの回も終わるところだった。ところが、どうも漢語「コンカイ(コンクヮイ)」はなさそうなので、そうなると「吼噦」は日本であてられたのではないかということになる。やはりことばは一筋縄ではいかないが、その「どっこい、そんなに単純ではないぞ」というところが言語のおもしろさでもあると思う。

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※特に出典についてことわりのない引用は、すべて『日本国語大辞典 第二版』からのものです。引用に際しては、語義番号などの約物および表示スタイルは、ウェブ版(ジャパンナレッジ http://japanknowledge.com/)の表示に合わせております。

◆この連載の目次は⇒「『日本国語大辞典』をよむ」目次へ

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【筆者プロフィール】

今野真二(こんの・しんじ)

1958年、神奈川県生まれ。高知大学助教授を経て、清泉女子大学教授。日本語学専攻。

著書に『仮名表記論攷』、『日本語学講座』全10巻(以上、清文堂出版)、『正書法のない日本語』『百年前の日本語』『日本語の考古学』『北原白秋』(以上、岩波書店)、『図説日本語の歴史』『戦国の日本語』『ことば遊びの歴史』『学校では教えてくれないゆかいな日本語』(以上、河出書房新社)、『文献日本語学』『『言海』と明治の日本語』(以上、港の人)、『辞書をよむ』『リメイクの日本文学史』(以上、平凡社新書)、『辞書からみた日本語の歴史』(ちくまプリマー新書)、『振仮名の歴史』『盗作の言語学』(以上、集英社新書)、『漢和辞典の謎』(光文社新書)、『超明解!国語辞典』(文春新書)、『常識では読めない漢字』(すばる舎)、『「言海」をよむ』(角川選書)、『かなづかいの歴史』(中公新書)がある。

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【編集部から】

現在刊行されている国語辞書の中で、唯一の多巻本大型辞書である『日本国語大辞典 第二版』全13巻(小学館 2000年~2002年刊)は、日本語にかかわる人々のなかで揺らぐことのない信頼感を得、「よりどころ」となっています。
辞書の歴史をはじめ、日本語の歴史に対し、精力的に著作を発表されている今野真二先生が、この大部の辞書を、最初から最後まで全巻読み通す試みを始めました。
本連載は、この希有な試みの中で、出会ったことばや、辞書に関する話題などを書き進めてゆくものです。ぜひ、今野先生と一緒に、この大部の国語辞書の世界をお楽しみいただければ幸いです。隔週連載。

続 10分でわかるカタカナ語 第6回 クール

2017年 4月 8日 土曜日 筆者: もり・ひろし & 三省堂編修所

10分でわかる「クール」の意味と使い方

どういう意味?

 「冷えている・冷たい」や「冷静・落ち着いている」、「かっこいい」という意味でも使われます。

もう少し詳しく教えて

 クール(cool)は、英語の形容詞で「涼しい」「冷えた」という意味を表します。例えば、冷蔵・冷凍による宅配サービスの名称に「クール」が登場するのも、その一例です。また、これも英語の意味からですが、「落ち着いた」「冷静な」という意味でも使われます。「クールな外見」「クールな態度」「クールな知性と熱い情熱を合わせ持つ」「自分は自分、他人は他人とクールに割り切る」や「クールな配色」などのように使われます。さらにまた近年では、英語のくだけた用法で「かっこいい」という意味でも使われるようになっています。「この曲は、最高にクールだ」「クールなクリエーター」「クールに着こなす」などです。

どんな時に登場する言葉?

 「冷たい・涼しい」という意味のクールは、温度が関係する幅広い場面で登場します。また「冷静である」という意味のクールは、性格・思考・態度などが関連する幅広い分野で登場します。そして「かっこいい」を意味するクールは、おもに文化(芸術・デザインなど)に関連する場面で登場します。

どんな経緯でこの語を使うように?

 温度や態度に使う「冷たい」「冷静な」などの用法は、古くから見られます。

 いっぽう「かっこいい」意味は、比較的最近使われるようになってきました。

 もともと英語の cool に「かっこいい」という意味が加わったのは、1930年代のことでした。1940年代後半にはジャズ音楽の世界にクールジャズ(cool jazz)とよばれる形態が登場。同時期に人気だった別形態・ビバップが「躍動感」を持っていたのに対し、クールジャズは「冷静なかっこよさ」を持っていました。このクールジャズの人気もあり「かっこいい」という意味でよく使われるようになりました。

 日本に「かっこいい」の意味のクールが広まったのは1990年代のことです。例えば検索サービスの『ヤフー!ジャパン』(1996年開設)では、スタッフが「素晴らしい」と認定したサイトへのリンクに「COOL マーク」を付記する取り組みを行っていました。また『現代用語の基礎知識』(自由国民社)では1998年版(97年発売)の若者欄に、かっこいい意味のクールが初めて登場しています。

クールの使い方を実例で教えて!

クールだ

 「冷静である」や「かっこいい」という意味のクールは、「クールだ」「クールな」「クールに」などのように使われます。例えば「この音楽はクールだ」「クールなナンバー(=曲)」「クールな装い」「どんな客にもクールに対応する」といった表現が可能です。

クールジャパン

 日本は、独自のサブカルチャー(アニメ・マンガ・ゲーム・音楽・ファッション・食などにおける新興の大衆文化)が開花している国です。この日本をさして、近年「クールジャパン」と表現する機会が増えました。これは1990年代後半に英国で流行した概念である「クールブリタニア」(Cool Britannia)に倣った表現で、ゼロ年代(2000年〜09年)の中期に広まった概念でした。もちろんこの場合のクールは「かっこいい」意味を持ちます。

クールビズ

 暑い夏を省エネルギーで快適に過ごすライフスタイルを「クールビズ」と呼びます。また、そのためのビジネス用軽装のことをさすこともあります。環境省が2005年に提唱した概念で、同年の新語・流行語大賞ではトップテンに入賞しました。このクールビズという語形のうち「ビズ(biz)」の部分は、ビジネス(business)を省略した言葉。いっぽう「クール」の部分は「涼しい」と「かっこいい」をかけた表現になっています

言い換えたい場合は?

 低温のクールは、意外なことに日常会話での登場機会があまり多くありません。したがって言い換えについては省略します。ただし「クールな色」のように、温度を比喩として用いる色彩表現はよく見かけます。その場合は「冷たい色」「涼しげな色」などの表現を使ってみてください。

 冷静のクールは「冷静である」「落ち着いている」「すましている」「冷淡である」「冷ややかである」「感情に左右されない」などの表現が使えます。例えば「クールな頭脳と温かい心を持つ」は「冷静な頭脳と温かい心を持つ」と置き換え可能です。

 かっこよさのクールは「かっこいい」「よい」「すごい」「決まっている」「お洒落な」「いけてる」「洗練されている」「見事な」「秀逸な」「面白い」「最高な」(よい意味で)「やばい」などと表現できます。例えば「この音楽は最高にクールだよ」という表現は「この音楽は最高にかっこいいよ」と言い換え可能です。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

テレビ業界の「クール」 日本のテレビ業界に固有の業界用語に「クール」があります。「あの番組は1クールで終わってしまった」という時のクールです。これは四半期(3か月)をひとまとまりとする放送期間の単位を意味します。一見すると「冷たさ」とも「冷静」とも「かっこよさ」とも関係しないため不思議に思えますが、それもそのはず。実はこの場合のクールは、英語の cool ではなく、フランス語の cours(クール)を語源とする言葉なのです。 cours とは「流れ」のこと。英語でいう course(コース)に近い意味だと考えれば、わかりやすいかもしれません。

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◆この連載の目次は⇒「続 10分でわかるカタカナ語」目次へ

◆以前の連載は⇒「10分でわかるカタカナ語」へ

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【筆者プロフィール】

もり・ひろし & 三省堂編修所

■もり・ひろし
 新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

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【編集部から】

 「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。
 「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。
 これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。
 毎週土曜日更新。

【関連書籍】

●『コンサイスカタカナ語辞典 第4版』
定評あるカタカナ語辞典の第4版。約56,300語収録。詳細は こちら

●『見やすいカタカナ新語辞典』
大きく見やすい活字でカタカナ新語が引ける。約13,000語収録。詳細は こちら

人名用漢字の新字旧字:「罪」と「辠」

2017年 4月 6日 木曜日 筆者: 安岡 孝一

第130回 「罪」と「辠」

130tsumi-old.png新字の「罪」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「辠」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。「罪」と「辠」は、元々は別々の意味だったらしいのですが、秦の始皇帝が「辠」という字を嫌って、同じ音の「罪」という字に「つみ」の意味をなすりつけた、という伝説があるそうです。

昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表2528字を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、网部に新字の「罪」が収録されていましたが、旧字の「辠」は収録されていませんでした。文部省は12月4日に標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「罪」だけが含まれていて、旧字の「辠」は含まれていませんでした。

昭和21年4月27日、国語審議会に提出された常用漢字表1295字には、网部に新字の「罪」が含まれていて、旧字の「辠」は含まれていませんでした。国語審議会が11月5日に答申した当用漢字表でも、新字の「罪」だけが含まれていました。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、新字の「罪」は当用漢字になりました。昭和23年1月1日に戸籍法が改正され、子供の名づけに使える漢字が、この時点での当用漢字表1850字に制限されました。当用漢字表には新字の「罪」が収録されていたので、「罪」は子供の名づけに使ってよい漢字になりました。旧字の「辠」は、子供の名づけに使えなくなってしまいました。

昭和56年3月23日、国語審議会が答申した常用漢字表1945字には、新字の「罪」が収録されていましたが、旧字の「辠」はカッコ書きにすら入っていませんでした。昭和56年10月1日に常用漢字表は内閣告示され、新字の「罪」は常用漢字になりました。その一方で旧字の「辠」は、常用漢字にも人名用漢字にもなれなかったのです。

平成23年12月26日、法務省は入国管理局正字を告示しました。入国管理局正字は、日本に住む外国人が住民票や在留カード等の氏名に使える漢字で、13287字を収録していました。この13287字の中に、新字の「罪」と旧字の「辠」が含まれていたのです。この結果、日本で生まれた外国人の子供の出生届には、新字の「罪」に加え、旧字の「辠」も書けるようになりました。でも、日本人の子供の出生届には、新字の「罪」はOKですが、旧字の「辠」はダメなのです。

【筆者プロフィール】

安岡孝一(やすおか・こういち)

京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター教授。京都大学博士(工学)。文字コード研究のかたわら、電信技術や文字処理技術の歴史に興味を持ち、世界各地の図書館や博物館を渡り歩いて調査を続けている。著書に『新しい常用漢字と人名用漢字』(三省堂)『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。

http://srad.jp/~yasuoka/journalで、断続的に「日記」を更新中。

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