言語経済学研究会:地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
■目次
- 第111回 田中宣廣さん「方言メッセージで大観光キャンペーン」
- 第110回 大橋敦夫さん「「おまんた」は不滅です(新潟県糸魚川市)」
- 第109回 山下暁美さん「おいしい方言(和歌山県)」
- 第108回 日高貢一郎さん「大分のローカルヒーロー「PCO」」
- 第107回 井上史雄さん「スコットランドの英語方言と赤いヒース」English dialect in Scotland and red heath
- 第106回 田中宣廣さん「『方言』と『しゃれ』のコラボ」
- 第105回 大橋敦夫さん「魚沼方言かるた(新潟県魚沼市)」
- 第104回 山下暁美さん「おいしい方言(山形県)」
- 第103回 日高貢一郎さん「『方言検定本』~鹿児島と出雲~」
- 第102回 井上史雄さん「ハワイの英語ピジン方言をみる」Watching English Pidgin dialect in Hawaii
- 第101回 田中宣廣さん「『市』を挙げての方言メッセージ~『おおきに』と『おでんせ』」
- 第100回 大橋敦夫さん「上越(新潟県)の「方言ソング」」
- 第99回 山下暁美さん「おいしい方言(愛知県)」
- 第98回 日高貢一郎さん「若い女性が方言で愛を告白『方言CD』」
- 第97回 井上史雄さん「ハワイで見た日本語方言」 Japanese dialects observed in Hawaii
- 第96回 田中宣廣さん「ワンポイント方言メッセージ」
- 第95回 大橋敦夫さん「長野市松代町に見る方言表示」
- 第94回 山下暁美さん「おいしい方言(大阪府)」
- 第93回 日高貢一郎さん「『大分合同新聞』の「方言連載」」
- 第92回 井上史雄さん「“ウザイ”新方言のコマーシャル」Commercial messages of a new dialect expression by “uzai”
- 第91回 田中宣廣さん「駅弁シリーズ(2) ―奈良時代の日本語も生きる―」
- 第90回 大橋敦夫さん「よう来てくったっせ―手作りポスターでお出迎え(新潟県村上市)―」
- 第89回 山下暁美さん「海外の方言事情(台湾語の看板)」
- 第88回 日高貢一郎さん「高知県四万十市の「あきついお」」
- 第87回 井上史雄さん「方言切手と方言詩」Dialect postage stamps and dialect poem
- 第86回 田中宣廣さん「方言看板・ポスター『類』」
- 第85回 大橋敦夫さん「もてなしの方言(長野・新潟/落穂ひろい)」
- 第84回 山下暁美さん「おいしい方言(静岡県)」
- 第83回 日高貢一郎さん「NHK宮崎放送局の「いっちゃがTV」」
- 第82回 井上史雄さん「新潟弁の方言カルタ ― 新方言「なまら」の使い方」
- 第81回 田中宣廣さん「ケセン語メッセージ」
- 第80回 大橋敦夫さん「北信濃方言に親しめるお店」
- 第79回 山下暁美さん「『京ことば』で綴る写真展」
- 第78回 日高貢一郎さん「宮崎県警の「てげてげ運転」追放運動」
- 第77回 井上史雄さん「イギリスの方言みやげ ― ヨークとニューキャッスルの訛り」Dialect souvenir in England ― Accent of York and Newcastle
- 第76回 田中宣廣さん「出雲弁」
- 第75回 大橋敦夫さん「信州・松本に、えべや!」
- 第74回 山下暁美さん「ドイツの方言(ベルリン編)」
- 第73回 日高貢一郎さん「大分県豊後高田市の「方言まるだし弁論大会」」
- 第72回 井上史雄さん「韓国の官製方言グッズ――民俗文化の年と方言大会」
- 第71回 田中宣廣さん「『天地人』は米沢に」
- 第70回 大橋敦夫さん「地域で愛されている「方言手ぬぐい」」
- 第69回 山下暁美さん「もてなしの方言(北東北地方)」
- 第68回 日高貢一郎さん「「津軽ひろさき検定」と方言」
- 第67回 井上史雄さん「世界唯一の方言チョコレート―リトアニアの方言区画」The world’s only dialect chocolate — Dialect division of LITHUANIA (LIETUVA)
- 第66回 田中宣廣さん「世界最小の方言グッズと方言メッセージ」
- 第65回 大橋敦夫さん「「に」の王国・南信州」
- 第64回 山下暁美さん「もてなしの方言(南東北地方)」
- 第63回 日高貢一郎さん「宮崎県椎葉村に見る方言表示」
- 第62回 井上史雄さん「方言駅弁「ずうずう弁」とのお別れ」
- 第61回 田中宣廣さん「みちのくの夏」
- 第60回 大橋敦夫さん「共通語に訳しにくい方言でコマーシャル」
- 第59回 山下暁美さん「もてなしの方言(九州地方)」
- 第58回 日高貢一郎さん「「関西弁」の英訳対照本」
- 第57回 井上史雄さん「究極の方言みやげ保存法」
- 第56回 田中宣廣さん「方言付きの食品」
- 第55回 大橋敦夫さん「信州人の好きなことば―『ずく』をめぐって―」(その2)
- 第54回 山下暁美さん「もてなしの方言(中国・四国地方)」
- 第53回 日高貢一郎さん「「日本国憲法」の方言翻訳本」
- 第52回 井上史雄さん「お菓子のバーチャル方言博物館」
- 第51回 田中宣廣さん「日用品の方言グッズ」
- 第50回 大橋敦夫さん「信州弁をあしらった紙袋」
- 第49回 山下暁美さん「もてなしの方言(北陸・近畿地方)」
- 第48回 日高貢一郎さん「方言翻訳の妙味と効果」
- 第47回 井上史雄さん「恋をはぐくむ沖縄方言」
- 第46回 田中宣廣さん「『かきくけこ』―5文字で完結する観光の方言メッセージ―」
- 第45回 大橋敦夫さん「お隣さんの方言の流入―「じょんのび」を例に―」
- 第44回 山下暁美さん「もてなしの方言(関東・甲信越地方)」
- 第43回 日高貢一郎さん「自転車を「降りチャリ、押しチャリ」」
- 第42回 井上史雄さん「方言コマーシャルの系譜とアクセントのアッパーライン(ルビによる上線)」
- 第41回 田中宣廣さん「観光の方言メッセージの応用型・発展型」
- 第40回 大橋敦夫さん「隠れた「こなもの」王国・信州」
- 第39回 山下暁美さん「もてなしの方言(東海地方)」
- 第38回 日高貢一郎さん「福岡の「はやかけん」「SUGOCA」」
- 第37回 井上史雄さん「観光歓迎方言 東日本編」
- 第36回 田中宣廣さん「観光の方言メッセージの基本型」
- 第35回 大橋敦夫さん「方言かるた(おまけ)」
- 第34回 山下暁美さん「知ったかぶりカイツブリ」
- 第33回 日高貢一郎さん「「方言かるた」あれこれ」
- 第32回 井上史雄さん「観光歓迎方言「おいでませ山口へ」の系譜 西日本編」
- 第31回 田中宣廣さん「方言ネーミング,方言看板・ポスター,方言メッセージの注意点」
- 第30回 大橋敦夫さん「方言絵はがきの今」
- 第29回 山下暁美さん「“ほっこり”なべに“はんなり”豆腐でまったりする」
- 第28回 日高貢一郎さん「方言でひと言添えて…「のし袋」」
- 第27回 井上史雄さん「古株じゃん 新米じゃね」
- 第26回 田中宣廣さん「方言キャラクター」
- 第25回 大橋敦夫さん「ずら―長野・山梨・静岡を結ぶきずな」
- 第24回 山下暁美さん「京都ことばはノリノリどすえ!!」
- 第23回 日高貢一郎さん「「どげんかせんといかん」のその後」
- 第22回 井上史雄さん「食品の特有語「しるい」」
- 第21回 田中宣廣さん「テレビの方言活用」
- 第20回 大橋敦夫さん「方言によることばあそび」
- 第19回 山下暁美さん「お隣の国、韓国の方言事情」
- 第18回 日高貢一郎さん「国民体育大会(おおいた国体)と方言」
- 第17回 井上史雄さん「方言Tシャツの使用価値――大阪と沖縄――」
- 第16回 田中宣廣さん「おらほ」
- 第15回 大橋敦夫さん「一茶の『方言グッズ』」
- 第14回 山下暁美さん「一日で全国の方言を聞く方法」
- 第13回 日高貢一郎さん「方言名の公共施設」
- 第12回 井上史雄さん「外国の方言みやげ」
- 第11回 田中宣廣さん「岩手弁 方言詩の世界」
- 第10回 大橋敦夫さん「信州・佐久では鯉が出世魚」
- 第9回 山下暁美さん「方言をしゃべる自販機」
- 第8回 日高貢一郎さん「交通標語と方言」
- 第7回 井上史雄さん「辞書にない方言『おくしょい』の値打ち」
- 第6回 田中宣廣さん「むがすあったずもな ~ どんどはれ」
- 第5回 大橋敦夫さん「信州人の好きなことば―「ずく」をめぐって―」
- 第4回 山下暁美さん「方言をしゃべるキティちゃん」
- 第3回 日高貢一郎さん「『方言絵はがき』はいま…」
- 第2回 井上史雄さん「富山方言の一期一会・一語一円」
- 第1回 田中宣廣さん「岩手の酒っこ ひゃっこぐしておあげんせ」
■筆者プロフィール
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。

井上史雄(いのうえ・ふみお)
明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)、『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。

山下暁美(やました・あけみ)
明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科教授。博士(学術)。
専門は、日本語教育学・社会言語学。研究テーマは、移民百年を迎えた、ブラジル、アメリカ合衆国などにおける日本語の変化、外国人の日本定住化による共生時代の日本語教育政策。
著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著、アルク)、『海外の日本語の新しい言語秩序』(単著、三元社)、『スキルアップ文章表現』(共著、おうふう)、『スキルアップ日本語表現』(単著、おうふう)、『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(単著、国書刊行会)、『ふしぎびっくり語源博物館4 歴史・芸能・遊びのことば』(共著、ほるぷ出版)などがある。
■このシリーズのねらい
方言には,私たちのふだんの生活の会話で使うという,もともとのそして中心的な役割のほか,観光,営業,また,公共などの目的で,工夫された使い方の例が日本全国にあります。外国にもあります。
例えば観光客向けの,方言を列挙した,のれん,湯のみ茶わん,手ぬぐい,絵はがき……などの,みやげもの商品があります。これらは「方言みやげ」また「方言グッズ」といい,私たちの研究会(後の方で説明します)では,まとめて「方言みやげ・グッズ」と呼んでいます。また,観光地のバスガイドが,お話のなかに土地の方言を入れることがあります。お客たちに,共通語とは異なる言語が話されている土地にいることを,ただの説明でなく,『実物』で知らせる演出です。
観光産業は,遠くから来たお客に,その土地の特性を感じ取らせることで利益を得ます。これらは,その有力な手段の一つに言語を利用するものです。古いお寺やお城などの歴史的建造物,有名な山や海などの自然,名物の食べ物などと同様の,観光資源として,言語が利用されているのです。
最近は,「方言みやげ・グッズ」の種類が増えています。方言を聞かせるのも,バスガイドのお話の付録だったものから発展して,時間をかけて語り聞かせる「方言パフォーマンス」が各地で毎日決まった時間に行われています。方言で歓迎のことばを書いた「方言メッセージ」が,地方の駅や街頭には珍しくなくなっています。
観光資源でなくても言語の工夫された使い方はたくさんあります。おもにその土地の人々に向けた,親しみを深めてもらうための使い方です。営業目的で店の誘い文句や地方CMでの語りを方言にするなどの「方言メッセージ」です。お店や公共の建物,テレビやラジオの番組,映画,歌謡曲,また,芸能人の名前などに方言を使う「方言ネーミング」も同様です。その他にも大きく広がっています。
「方言みやげ・グッズ」や「方言パフォーマンス」など,言語そのものを商品にして利益を得る利用と,「方言ネーミング」や「方言メッセージ」など,言語の工夫した使い方を通して利益にみちびく利用は,「言語の商業的利用」と言えましょう。言語の商業的利用や,それと似た拡張された活用を研究するのは,言語研究の新しい分野です。これを私たちは「言語経済学」と呼び,「言語経済学研究会」をつくって研究を進めています。
このシリーズでは,私たち言語経済研究会が,今回のような方言の使い方などを例に,言語の,ふつうより工夫された使い方を紹介していきます。皆さん,楽しみにして読んでください。よろしくお願いします。












































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2007年









