地域語の経済と社会 第192回 「グーグルマップにみる大阪方言「マイド」の世界進出」 Global advance of Osaka dialect “Maido” according to Google Maps
2012年 3月 10日 土曜日 筆者: 井上 史雄地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第192回 「グーグルマップにみる大阪方言「マイド」の世界進出」
Global advance of Osaka dialect “Maido” according to Google Maps
女優淡島千景(あわしま ちかげ)さんが亡くなりました(2012年2月)。代表作「夫婦善哉(めおとぜんざい)」(1955年)では、淡島さん一人が東京っ子で、ほかはみんな関西人だったので、共演の浪花千栄子(なにわ ちえこ)さんから大阪弁を教えてもらったそうです。大阪弁については、映画の世界で早くから「方言リアリズム」があったのです。テレビ、NHK連続ドラマの「おはなはん」(1966)の伊予弁は、先駆者を持っていたわけです。
今でも日本の方言の中で大阪ことばが一番元気です。大阪のみやげ品で方言を使ったものが増えているし、マスコミでも全国に大阪弁が流れます。また、国外でも使われています。「Okiniおおきに」という店が海外にもあることは、第127回で紹介しました。
今回はグーグルマップで「Maido まいど」を調べてみました。図のように主にアメリカ、ヨーロッパとアジアに見られます。Okiniとそっくりです。店名として使われることは、地図の左側の欄で見られます。この店名を見て、日本人は関西系の店で庶民的な雰囲気だと、判断するでしょう。大阪弁の経済効果です。実際は分かりませんが。
グーグルインサイトはもっと強力で、国ごとの数値のエクセル集計ができます。これを解説した論文が、『明海日本語』17号に出ます。3月末にはインターネットでも読めますから、ご興味のあるかたは検索してください。
また、日本の方言店名の世界展開について、英語論文がインターネットジャーナルDialectologiaに載りました。画像が多いので、ダウンロードに時間がかかります。残念。
www.publicacions.ub.edu/revistes/ejecuta_descarga.asp?codigo=725
(PDFファイルダウンロード〔10.2MB〕)
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

井上史雄(いのうえ・ふみお)
明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)、『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』『経済言語学論考 言語・方言・敬語の値打ち』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。
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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第191回 「大阪弁の薬」
2012年 3月 3日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第191回 「大阪弁の薬」
この冬は特に寒く,私も体調を崩してしまいました。病気の治療には,病院の受診のほか,市販薬の服用もあります。今回は薬の話です。なお,今回は読者の皆さんに,特別に希望があります。おしまいまで「いちびり精神」(第141回)をもって,「薬の話」であることを否定しないで読み続けてください。
市販薬のなかに『大阪弁の薬』があります。大阪は,商人の町と言われますが,薬の町でもあるのです。製薬企業の本社や主要支社も多くあり,大阪弁の薬も,そういう土地柄のなかで作られています。
薬の名称は,『オモシロクナール』【写真1】,『アタリヤスクナール』,『ヨクスベール』と,似た名前が別の薬にあるもので,特に大阪弁でもない[注]のですが,「成分」が大阪弁なのです。
たとえば,『オモシロクナール』には,「ウケテショウガアレフェン」(受ケテショウガアレヘン=受けてしょうがない)や「ワライトマラフェン」(笑イ止マラヘン=笑いが止まらない),の,大阪弁の薬効成分や,「コナイウケルノナーゼ」(このように受けるのはなぜ),また,「スベルキセン」(おもしろくなくて白けるという気はしない)が入っています。【写真2】
また,『ヨクスベール』には,「ミンナワラワフェン」(ミンナ笑ワヘン=皆笑わない),「メッサスベルン酸」(メッサスベル=とても白ける),「コナイスベルノナーゼ」(このように白けるのはなぜ),など,さらに,『アタリヤスクナール』には,「アタリトマラフェン」(アタリトマラヘン=良い評価が止まらない),「ハマルキセン」(面白くなる気がしない)が入っていて,しっかり効きそうです。
「良薬は口に苦し」と申します。大阪弁の薬,3種とも効き目は折り紙付きですが,味については,十分な『臨床治験』ののち,報告します。
なお,大阪弁の薬は,大阪市内などの吉本ショップのほか,ネットでも販売しています。http://www.yoshimotoclub.co.jp/itemlist.phpからどうぞ。
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[注]「スベル」は,おもしろくなくて白ける,という意味の関西方言です。その対義語が「ウケル」で,「ウケル」か「スベル」かは,笑いのことのほか,物事一般の評価の表現としても用いられます。「すべらない、神戸土産。」という広告もあり【写真3】,方言メッセージと言えましょう。薬の名称にも大阪弁「スベル」が入っていると考えることもできます。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第190回 「若手経営者の方言選択(長野市)」
2012年 2月 25日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第190回 「若手経営者の方言選択(長野市)」
長野市内で、店名に方言を用いた例が目立ちはじめました。
まずは、JR長野駅を出て、すぐの所に、ランチから営業の居酒屋 NaKaRa。
おしゃれなローマ字表記にお店の工夫が感じられますが、「なから」は、[だいたい、おおよそ、ほぼ]を意味します。「なからできた」[だいたいできた]のように使います。『枕草子』にも、用例のある語ですが、ここ信州では、老若問わず、現在も日常語です。
さらに、北に向かうと、信州を代表する郷土食の一つ、蕎麦の名店に行き当たります。
「あんき」は、[安心]を意味し、「子どもしつけちゃったから(一人前にしたから)あんきだよ」のように使います。
長野県下全域で使われていた語ですが、若者たちは、ほとんど使わなくなっています。そのせいか、お会計の際に、店名について尋ねられることも多いそうです。県外の方は、その意味を知って安堵し、県内の方は、「そう言えばおばあちゃんが使っていた」と懐かしがられるとか。レジで、もうひと押し、方言を話題に、お客様とのコミュニケーションがはかられています。
さらにさらに足をのばすと、農産物・菓子・パン・雑貨を販売している「SlowCAFE ずくなし」が。
「ずくなし」は、[怠け者・ものぐさ・活力がない]などを意味し、これも信州人の日常語で、自ら方言と自覚して使っている語でもあります。
なお、「ずく」については、この連載の第5回・第55回でも扱われています。
3店舗とも、創業の意欲に燃える若手経営者のお店という点が共通しています。また、お客様をお迎えするという立場から、感情表現に関する語を選んでいる点がポイントとなっています。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
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地域語の経済と社会 第189回 「方言湯呑みのつぶやき」
2012年 2月 18日 土曜日 筆者: 山下 暁美地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第189回 「方言湯呑みのつぶやき」
これまで全国各地で方言湯呑み(ゆのみ)を見つけると見過ごすことができなくて購入し、持ち帰って箱に入れて保存していました。特に最近では地震が頻発していることから陳列することもできず、日の目をみることのなかった湯呑みですが久しぶりに取り出してみました。かなり集まったと思っていましたが地域が重複していたり、まったく同じ湯呑みを2個買ったりしていることがわかり、ちょっとがっかりしました。
集まった湯呑みは、重複を省いて全部で19個、北海道から沖縄に至る19地域でした。じっと観察していると、いくつかのことがわかりました。まず、表記法で縦書きと横書きでは、縦書き型が多く73%(14:数字は湯呑みの件数)、あとは、縦・横書き型、縦・横・ななめ書き型(ななめは旗に書かれたようなもので基本的に縦書き)、横・ななめ書き型の4種でした。横・ななめ書き型というのは、大阪弁湯呑み【写真1】と土佐弁湯のみ(表記どおり)です。大阪弁湯呑みのトップに書かれている横綱の方言は、さっぱりわやや(全くだめです)、あきまへんわ(だめです)で、大阪文化のへりくだり表現と考えられます。
湯呑みに共通していることは、ほとんどの方言形がひらがなで表記されていることです。つまり、音声をひらがなに置き換えて書いていることになります。ただし、沖縄と奄美大島は、カタカナで表記されています【写真2(左)】。沖縄地方では、方言に対するイメージとカタカナとが結びつく理由があるのでしょう。標準語訳は、ひらがな・漢字まじりです。方言がひらがな表記のみで、標準語訳がひらがな・漢字まじりが57%(11件)を占めています。また、AMAKUSA NO HOUGENなどと表題をローマ字表記している地域があります【写真2(右)】。例が長崎、天草などに見られることから、織田、豊臣時代のキリスト教布教当時のバテレン(ポルトガル語のパードレpadre)のイメージを伝えようとしたのでしょう。
方言の意味は、標準語と表記されている場合と、そのまま下に訳が書かれている場合とにわかれます。語彙としては、父母、兄弟、嫁、息子、娘など家族の名称を湯呑みの正面筆頭にあげている例が多いです【写真3(左)】。湯呑み番付で家族名称が横綱級なのは、特に青森、岩手などの東北地方です。地域によっては家族同様に大切なべこ(牛・会津)があげられています。「チュラカーギー(美人・沖縄)」、「よかにせ(ハンサム・沖縄)」、「めんこい(かわいい・北海道)」、「のんのか(きれい・長崎)」などのほめことばや、「やっきり(腹が立つ・静岡)」「アグマサ(ねむたい・奄美大島)」など気持ちの吐露に使うことばもあります。
今回は、湯呑みの正面(方言番付で横綱と呼ばれる)のことばを中心に述べましたが、全体を見るとまた新しい発見があるかもしれません。方言湯呑みをお持ちのかたのご意見をお寄せください。各地のお茶を持ち寄って、方言湯呑みでお茶を楽しむ会があってもいいですね。
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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

山下暁美(やました・あけみ)
明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科教授。博士(学術)。
専門は、日本語教育学・社会言語学。研究テーマは、移民百年を迎えた、ブラジル、アメリカ合衆国などにおける日本語の変化、外国人の日本定住化による共生時代の日本語教育政策。
著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著、アルク)、『海外の日本語の新しい言語秩序』(単著、三元社)、『スキルアップ文章表現』(共著、おうふう)、『スキルアップ日本語表現』(単著、おうふう)、『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(単著、国書刊行会)、『ふしぎびっくり語源博物館4 歴史・芸能・遊びのことば』(共著、ほるぷ出版)などがある。
【編集部から】
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地域語の経済と社会 第188回 「宮崎県北部の情報誌『べらくり』」
2012年 2月 11日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第188回 「宮崎県北部の情報誌『べらくり』」
宮崎県の北部地域の情報を広く発信しようとしている情報誌に『べらくり』があります。「べらくり」とは地元の方言だということですが……。
『べらくり』は、A4判8ページだて、オールカラーのフリーペーパーです。
表紙に誌名の由来があり「べらくりとは…『根こそぎ、全て』といった意味の方言で、地域の情報を根こそぎ取り上げていきたいという想いを表しています」と書かれています。
が、「べらくり」は『日本方言大辞典』(徳川宗賢他、小学館、平成1)にも『全国方言辞典』(東条 操、東京堂、昭和26)にも、また地元の『宮崎県方言辞典』(原田章之進編、風間書房、昭和54) や県北の隣接地域・延岡地域の方言を集めた『延岡のことば』(小嶋政一郎、光輪舎、昭和44) にも載っていないことばです。
『べらくり』の発行元は、宮崎県の平成23年度「中山間地域新産業・雇用創出強化事業」の助成金を受けて活動している「がんばろや日向ブランド協議会」(略称GBK)で、同誌裏表紙の解説によると「宮崎県北部ひむかエリアを活動範囲として、フリーペーパーやホームページ上でのウェブショップを通じ、広く情報発信を行い、地域特産品や観光資源をPRすると共に、地域の魅力を再認識してもらうことを目的としています」とのこと。
これまでに、プレ創刊号の「瓦版」(平成23年6月)からスタートして、第1号(同8月)、第2号(10月)、第3号(11月)、第4号(12月)まで発行されています。
毎号1万部を印刷し、県北地域の各市役所や支所、役場などの公共機関、公民館、道の駅やレストラン、スーパーなど多くの人が立ち寄る施設などに置いてあるということです。
第3号を開くと、「耳川水系が育んだ森のおくりもの」と題した特集で、上流部の椎葉村で草木染めをしている女性2人、中流域の美郷町(みさとちょう)南郷区でカヌーやギターを作っている男性、下流域の日向市で今では日本で2軒しかないという天然樟脳を作っている男性を紹介する記事があります。
また「べらくりスタッフが行く!」と題して美郷町西郷区にある森の科学館の活動の紹介や、「風のひと土のひと」(外から移り住んだ人、元からの地元の人)、「BERAKURI KIDS」=いまどきの子供事情。取材先で出会った子供たちの将来の夢を聞いちゃいました! や、「ひむかの特産品をあなたにお届けする べらくり便」としてインターネットや電話で注文できる農産物や工芸品の紹介、それに日向市東郷町坪谷にある「若山牧水生家」の紹介、などが紙面を飾っています。
その他、各号からは、この地域の“ひと・もの・うごき”に焦点を当て、誌名にあるように、丹念な取材を通して「べらくり」伝えたいという思いが伝わってきます。
なお、この『べらくり』はこの2月に第5号までを発行してひとまずその役割を終えますが、その後も継続して発行できるよう検討中だとのこと。同じく県北日向地区で発行されている『KireI』(きれい)という月刊のタウン情報誌(フリーペーパー、16ページ)の中で、その一部門と位置づけて掲載を続けていく予定だということです。
《参考》
①インターネットの検索エンジンに「べらくり 方言 宮崎県」と入力して検索すると、何件かヒットします。
②また、宮崎県の北東端の北浦町(現在は延岡市)の『ふる里ことば・北浦の方言集』(平成15)には「ベラクリ 全部」として載っています。
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(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。
方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載。
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地域語の経済と社会 第187回 「「いいじゃんくまもと」の方言借用」 Dialect borrowing in “Ii-jan Kumamoto”
2012年 2月 4日 土曜日 筆者: 井上 史雄地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第187回「「いいじゃんくまもと」の方言借用」
Dialect borrowing in “Ii-jan Kumamoto”
羽田からのモノレールで、方言広告に気が付きました。
「いいじゃん天草 いいじゃんくまもと いいじゃん阿蘇」
と書いてあります。以下のような事情で、広告の原図が手に入りました。今は見られませんから、特別にお目にかけます【写真1】。
さて、「じゃん」は山梨(または愛知県三河)起源とされ、横浜から東京に伝わり、今全国に広がっています。広島では「ええじゃん広島」をキャッチフレーズにしていました【第27回】。「じゃん」はついに熊本にまで達したのかと思いました。
思いついて熊本県観光課をネットで探して、問い合わせました。熊本市シティプロモーション課で広告を出したことを教えてくれました。そこに以下のようなメールを出しました。
《「じゃん」を使ったのは、熊本で使っているからでしょうか、それとも羽田に近い横浜の方言として有名だと判断したのでしょうか。》
すぐに返事が来ました。
《主に首都圏で使われる表現ということで使用致しました。あえて当地域の方言を使用せず、広告を掲出する地域の方の共感を誘う手法を用いておりますため、首都圏の皆さまに向けて「いいじゃん」という表現を使用した次第です。》
広告などで別の地域の方言を借用する例は、この連載第153回、第175回でも扱われています。また、『日本語学』(2009年1月号)のエッセイ「ことばの散歩道」128回でも九州の「うまかんべ」と千葉の「うまか」を報告しました。
「方言リアリズム」が崩れたわけです。そういえば広島県宮島で「これは うまいじゃ しゃもじ」というお菓子を見つけました【写真2】。買ったあと店の人に聞いたら、「うまいじゃ」とは言わないそうです。でも広島めかした言い方だと考えればいいし、食べてみたらおいしかったから、許しましょう。
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明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
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英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
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地域語の経済と社会 第186回 「続続土佐日記」
2012年 1月 28日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第186回 「続続土佐日記」
高知で調査した方言の拡張活用例の報告の3回目です。
高知方言の「こじゃんと」を取り上げます。
「こじゃんと」には,二つの意味があります。一つは,数もしくは量の多いこと(共通語なら「たくさん」)です。もう一つは,程度の甚だしいこと(共通語なら「とても」)です。「こじゃんと」は,二つの意味の両方ともで,拡張活用されています。

左:【写真1 龍馬も雅治も『こじゃんと』】
右:【写真2 大とっくりで『こじゃんと』】

【写真3 『こじゃんと』おるき】

【写真4 子どもも『こじゃんと』】

【写真5 『こじゃんと』安心】

【写真6 締めは『こじゃんと』】
はじめに,数また量の多いことの拡張活用例です。まず,“「龍馬」も?「雅治」も『こじゃんと』飲みゆう”【写真1】は,一昨年のNHK大河ドラマに重ねたメッセージですね。(用例の引用に『こじゃんと』は,二重カギ括弧『 』で挟みます。以降同じです)“『こじゃんと』飲んでよ”【写真2】も,同じような用法です。また,“土佐の海には旨い魚が『こじゃんと』おるき ”【写真3】と,食品そのものでなく,食材でのアピールも,とても興味深い用例です。
次に,程度の甚だしいことの拡張活用例です。まず,土佐名物「(カツオなど魚の)たたき」の広告です。“いろんな魚をタタキで食べたら『こじゃんと』おいしい!”【写真4】は,女の子,つまり,子どもに発言させた例です。方言は古いもの,あるいは,年寄りだけのもの,という先入観を逆手にとった(もしくは,誤りとしての先入観を正した)拡張活用法だと思います。これは,幟になっていますが,卓上版もあります【写真4をクリックして表示】。また,共済の広告“『こじゃんと』! 安心!”【写真5】は,高知出身者ではない私から見ましても,高知の人が本当に全面的に頼って安心する感じがよく伝わってきます。おしまいの例は,一昨年(2010年)1月に開催されました「土佐・龍馬 であい博」のポスターです。“高知は『こじゃんと』うまい!”とありますが,「こじゃんと」のところだけ白抜きにして強調しています【写真6】。ポスターの大部分を,いろいろな高知方言で表現し,結びのまさしく《締め》に「こじゃんと」を使っています。この使い方からも,高知の人にとりまして「こじゃんと」は,代表的な高知方言(土佐弁)であることが理解できます。
なお,私は,高知出身の先輩より,昨年末に土佐文旦(とさぶんたん:柑橘果物の一種)を「こじゃんと」贈っていただきました。「こじゃんと」おいしいものでした。
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(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第185回 「ご当地マスコットがしゃべった!」
2012年 1月 21日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第185回 「ご当地マスコットがしゃべった!」
「ゆるキャラ」と称され、全国各地で親しまれているご当地マスコット。名産品などにちなんで作られるものが多い中にあって、ありそうでなかったのが、ご当地のコトバをしゃべるマスコット。
が、ありました!その名も「いまばりゆるきゃら バリィさん」(愛媛県今治市)。

【いまばりゆるきゃら バリィさん「ステッカー」】
2009年5月、瀬戸内しまなみ海道(尾道市~今治市)10周年を盛り上げようと製作されました。
焼き鳥日本一のまち・今治生まれということで、トリがモチーフ。今治タオルの腹巻をし、来島海峡大橋形の王冠をかぶり、手には船の形の財布を持っています。そして、今治地方の方言を使いこなすことも、大きな特徴とされています。
「いまばりのことしっとるで? なんでもきいとん おしえたるけん!」のセリフにたがわず、今治弁講座も開いてくれています。
このほかにも、ゴーフレット・クッキー・ドーナッツ・お酒・フィナンシェ・ふりかけ・Tシャツ・クリアファイル・カレンダー・年賀状・ぬいぐるみ・ストラップ・ノートといった提携商品が作られています。
あえて今治弁を語らせた点について、製作サイドでは、
「今治弁がどんなものなのか、たくさんの人に知ってもらいたいと思っています。それと同時に、今治から県外に出られている方々には、なつかしんでもらいたいと思っています。方言は、人の心をあたたかい気持ちにする力があると思いますので、これからも今治弁で話していくつもりです。」
とおっしゃっています。
東京都内のアンテナショップでも、懐かしがっているお客さんが多く、地元で親しまれているマスコットだということがよくわかります。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第184回 「広島の方言」
2012年 1月 14日 土曜日 筆者: 山下 暁美地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第184回 「広島の方言」
勢い良く自転車を走らせているのは、競輪のポスターです【写真1】。「ぶちカマシチャリんさい。」の広島弁の説明も書かれていたのでそれを参考にご紹介します。「ぶち」は「すごく、とても」など、強調の表現で「ぶちはがええ」(すごく腹が立つ)などと言います。
「カマシ」はチャンスをねらって一気にスパートをかける戦法を意味します。また「~シチャリんさい」は「~してあげなさい」というやさしい命令形です。親しい相手を励ましているようです。「チャリ」(自転車・チャリンコの略・詳しくは第43回参照)と「~シチャリ」(~してやり)をかけています。
「のりんさいくる」【写真2】もよく似た例です。「乗りんさい」(乗りなさい)と「サイクル」(自転車)に方言をじょうずに乗せています。
さて、次の【写真3】はおみやげとして販売されていました。真っ赤な布にハートマークの鯉が泳いで、「恋じゃけえ」と書かれています。宮島のもみじも描かれています。広島弁は「じゃけえ」「じゃけん」「じゃけえの」(だから)などを文末に使います。
「はんざき」【写真4】というのは「オオサンショウウオ」の別名ですが、広島市に日本一大きいオオサンショウウオの標本があることから、「はんざき」のいろいろな動作が広島の方言絵葉書で紹介されています。「はんざき」とは、からだを半分に裂いても生きていそうだからとか、からだが半分にさけるほど口が大きいなどという由来があります。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

山下暁美(やました・あけみ)
明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科教授。博士(学術)。
専門は、日本語教育学・社会言語学。研究テーマは、移民百年を迎えた、ブラジル、アメリカ合衆国などにおける日本語の変化、外国人の日本定住化による共生時代の日本語教育政策。
著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著、アルク)、『海外の日本語の新しい言語秩序』(単著、三元社)、『スキルアップ文章表現』(共著、おうふう)、『スキルアップ日本語表現』(単著、おうふう)、『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(単著、国書刊行会)、『ふしぎびっくり語源博物館4 歴史・芸能・遊びのことば』(共著、ほるぷ出版)などがある。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
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地域語の経済と社会 第183回 「「けん」を競う大分の方言」
2012年 1月 7日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第183回 「「けん」を競う大分の方言」
大分県の観光情報を発信している「ツーリズムおおいた」(旧 大分県観光協会)では、大分空港開港40周年を記念し、空港の利用を促進するために、昨年=平成23年10月からことしの3月まで、多くの人たちにぜひ大分に来てほしい、実際に大分を回ってそのよさを知ってほしいというアピールのひとつとして、『まっちょるけん おおいた』という冊子を作ってキャンペーンを展開しています。
「まっちょる」は〔待っている〕、「けん」は〔~から、~ので〕に当たり、〔(皆さんを)待っているので、(ぜひ)大分(県においでください)〕という意味ですが、「けん」はチケットの意味の〔券〕にもかけてあります。(第38回で紹介した福岡の乗車カード「はやかけん」も、〔早いから〕という意味と、チケットの〔券〕との掛けことばになっていました)
表紙には「九州大分は意外に近い! 大分にしかない、大分だけの魅力がてんこ盛り。旅のプランはあなた次第。」とあり、裏表紙には命名の由来が……。「「けん」には、「大分県」の「県」と、クーポン券の「券」、そして「心を込めてお待ちしています」という「まっちょるけん」の意味合いが込められています」と述べられています。
A5判30ページの冊子には、食事代や利用額が5%~10%OFFになったり、施設によっては入園料が20%OFFになったり、通常の宿泊料金から3150円引きの宿があったりと、活用するとお得なクーポン付き「まっちょる券」が55枚収録されています。
同様な例として、平成21年には、大分市観光協会が『たべてみるけん いってみるけん おおいた虎の巻』という、小型の紹介冊子2冊を作っています。
このうちの『食 たべてみるけん』の冊子には「大分ふぐ、関あじ・関さば、とり天… 大分ならではの味が楽しめる 全54店」の情報が、また『楽 いってみるけん』には「近場の穴場から県内各エリアまで 2時間~日帰りで行ける 全22コース」が紹介されており、この2冊が赤くて目立つ1つのケースに入れられています。

【写真2 NHK大分放送局のキャンペーンのロゴ】
(写真提供:NHK大分放送局)
また、分野は違いますが、地域密着をめざすNHK大分放送局も、開局70周年記念のキャンペーンとして、平成23年4月から「しんけん 好きやけん おおいたけん」=〔本当にすきだから 大分県〕というキャッチフレーズで局としての姿勢と意気込みを表現し、「ぜひ大分放送局の作った番組を見てください」と呼びかけています。
こちらは、「―けん、―けん、―けん」と、韻を踏んで「けん」の3段重ねになっています。
「しんけん」は「しらしんけん、しゅらしんけん」が転じたもので、大分では〔非常に、本当に、一生懸命に〕の意味でいちばん広く使われている、強調のことばの代表例です。(第18回「大分国体と方言」、第108回「大分のローカルヒーロー」も参照)
このキャッチフレーズを活かし、「しんけん好きなもの」というテーマで県内の全18市町村を取材。各地域・各世代の人々やグループに数多く登場してもらい、番組と番組の間の短い時間を活用して、30秒の「ミニ番組」として放送しました。
その多くは方言を交えながら自分たちの日頃の活動などを紹介。そして最後には「○○に来ちょくれ~」〔~に来てくださ~い〕とか、「□□を食べに来んかえ~」〔□□を食べに来ませんか~?〕といったお誘いやメッセージで結んでおり、実に1000人以上の人たちが画面に登場しているということです。
《参考》
①社団法人ツーリズムおおいたの『まっちょるけん おおいた』は、
http://www.visit-oita.jp/info/kamihanki/machoruken.htmlで、
②大分市観光協会の『おおいた虎の巻』は「パンフNavi」で見ることができます。http://www.pamph-navi.jp/art/view_dynamic/pdfView.php?src=pam10007694。
また、③NHK大分放送局のホームページは http://www.nhk.or.jp/oita/を参照。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。
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![『新明解国語辞典 第七版[机上版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の机上版。判型は並判より大きいA5判で、さらに文字が大きく見やすい。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[机上版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kijo.jpg)
![『新明解国語辞典 第七版[小型版]』7年ぶりに改訂『新明解国語辞典』の小型版。並判より一回り小さいA6変型判で、携帯にも便利。2色刷。紙面内容は並版と同一。 『新明解国語辞典 第七版[小型版]』](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp-images/smk_kogata.jpg)
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2007年









