漢字雑感 第6回 漢字辞典における総画索引

2015年 9月 14日 月曜日 筆者: 岩淵匡

漢字辞典における総画索引

 日本の漢字辞典には、部首索引、音訓索引、総画索引の三種が準備されているのが一般的である。たとえば、『新明解現代漢和辞典』(三省堂 2012初版)には、巻頭にこの三種が準備されている。横組みの印刷など、印刷の仕方によっては、後二者は巻末に置かれることもある。小文では、三省堂の、この辞典を例に説明してみることにする。この文章をお読み下さっている方々も、試みにお手元に、出版社はどこでも良いので、漢和辞典があれば、実際に経験してみてほしい。筆者は、手元の辞書の、訓索引と部首索引とを併用することが多い。部首は214種しかないので、まず探すと言うときには便利だからである。総画索引と音索引は極力避ける。これは、漢字辞典をできる限り、早くスピーディに使うためである。

龗(u9f97)
この字は、「雨」「龍」「罒」からなり、
音はレイ、龍部17画、総画数33画、龍、
神霊の意の漢字である。概して、
総画数の多い漢字ほど、部首を見つけやすい。

 総画索引は、個々の漢字の部首も読みもはっきりしない場合に用いられる。たとえば、「龗」などについてみれば、読みは不分明であっても、部首が「龍」であると見当づけることができれば、たいへん楽に、辞書の中でこの字にたどり着くことができる。ましてや、画数を数えて33画の該当箇所を「総画索引」の中から見つけ出し、辞書中の該当箇所にたどり着くといった方法をとることはまずないであろう。

 簡単な漢字でも部首の見当がつかない場合は、やむを得ず総画索引に頼ることになる。たとえば、「褒」などは、「衣」であることに気づけば、最初から部首索引に依るのである。しかし、「衣」であることに気づかない場合は、何回か、また、何通りかの検索方法を試みてしまうのである。この字は、「衣」が二つの部分に分解されているため、慣れない内は、「衣」であることに気づかず、探しあぐねてしまう場合もあるが、最上部の「なべぶた」に気づけば、比較的容易に「衣」にたどり着ける。もし、読みがホウであることが分かっていれば、さらに簡単であるが、この字の場合は、ホウの音を持つ。音訓索引には、ホウ音の漢字が150字以上ある。その中から探すのは、決して楽ではない。総画数を数えて該当の箇所を見ることを考えなければならない。ところが、索引には誤植のある場合もある。このためかなりの時間を要してしまう。そしてようようの思いで該当字にたどり着くのである。あるいは、この字の訓が「ほめる」であることが分かれば、さらに検索が楽になるのである。この字の場合、同訓の字は、10字程度である。この字の訓が「ほめる」であることを知れば、検索が、大変、楽になるのであるが、常にと言って良い程、音による検索をする人もいる。それでは、総画索引を使っているのと同じである。

 漢字辞典では、なるべく効率よく漢字検索を行わないと、漢字辞典を使う意欲が薄れてしまうこともなきにしもあらずである。このことは、訓による検索をしてみるとよく分かるであろう。それは該当する漢字が非常に少なくなるからである。そこで、総画索引を使うことを極力やめ、また、音索引を使うこともできる限り避けることが、効率よく漢字辞典を使う、手始めとなる。

 実は、部首索引を使っていても、同様のことはしばしば起きる。同じ部首の漢字で、画数が同じである漢字は意外に多い。その中から探すのは、やはり大変なのである。たとえば、部首が大変分かりやすいものの一つである、「さんずい」の字の内、総画数が11画の漢字は、60字程ある。此を総画索引で探すとなるとなかなか大変である。また辞典の該当画数の部分を見ても、本文11ページ程の分量があるのである。ともかく、辞典を見ても漢字を探せないと言うこともでてくるのである。これは、漢字検索に際しての、索引の選択が悪いからである。この場合の手っ取り早い解決法は、辞書に準備されているすべての索引を、何回となく試してみることである。こうすることによって、場合場合の索引選択についての、カンが生まれてきて、手早く検索することが可能となる。

 

【筆者プロフィール】

岩淵匡(いわぶち・ただす)
国語学者。元早稲田大学大学院教授。

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【編集部から】

辞典によって部首が違うのはなぜ? なりたちっていくつもあるの? 編集部にも漢字について日々多くのお問い合わせが寄せられます。
この連載では、漢字についての様々なことを専門家である岩淵匡先生が書き留めていきます。
読めばきっと、正しいか正しくないかという軸ではなく、漢字の接し方・考え方の軸が身につくはずです。
毎月第2月曜日の掲載を予定しております。


漢字雑感 第4回 漢字検索のための道具(1) 漢字番号索引

2015年 7月 13日 月曜日 筆者: 岩淵匡

漢字検索のための道具(1) 漢字番号索引

 漢字辞典を使う目的は,一体,何であろうか。通常,辞書類を使うといえば,国語辞典を思い浮かべる人が多いであろう。漢字辞典は,人によっては,特殊なものであろうが,人によっては,日常的に必要な場合もある。使われている漢字の一一について,よみ方や意味を知ることが不可欠である場合も少なくない。こういう場合には,国語辞典はあまり役に立たない。こうした際には,どのように漢字辞典を使えば良いのだろうか。

 そこでまず直面するのが,漢字の調べ方である。誰しもわかっていそうで,意外に,最も能率の悪い方法で辞書を使っている人も少なくない。それは,各辞典が準備している索引のうち,「総画索引」を使う方法である。

04_1.jpg
『角川新字源 改訂版』では「総画索引」に
右にページ数、左に漢字番号が表示されている。
(株式会社KADOKAWA『角川新字源 改訂版』)

 一般的に,漢和辞典には,部首索引,総画索引,音訓索引が準備されており,一部の辞書には漢字番号索引も準備されている。これらのうち,最も効率の良い索引は漢字番号索引であるが,すでに記したように,現行の辞書では,角川書店から出版されている,『角川大字源』及び『角川新字源』,それに,大正年間に出版された,『大字典』が元祖である。現行版は,講談社から,かつて再刊された『大字典』と,新字体にも対応させた,同社の『新大字典』である。

 なお,漢字番号は辞書ごとに決められているので,全辞書に共通するわけではない。この番号が付されている場合は,音訓索引,総画索引における,各漢字の辞典中の所在はいずれも漢字番号が併記されているが,ページ数は必要ではなくなる。

 漢字番号を記載してある辞書としては,大修館が戦時中から刊行を始めた,『大漢和辞典』ほか,各種あるが,番号がついているというだけで,その便利さを体験できるものは,現在のところ,すでに記したように,『大字典』『新大字典』『角川新字源』『角川大字源』ぐらいである。図書館等でこれらの辞典を使い,漢字番号での漢字検索の便利さを確かめてみてほしい。

 

【筆者プロフィール】

岩淵匡(いわぶち・ただす)
国語学者。元早稲田大学大学院教授。

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漢字雑感 第3回 漢字を検索するための情報

2015年 6月 8日 月曜日 筆者: 岩淵匡

漢字を検索するための情報

 個々の漢字についての基本的な情報は,漢和辞典から得ることができる。『新明解現代漢和辞典』(三省堂 2012)および『角川新字源 改訂版』(角川書店 1968, 1994改訂)によりその一例を示すと、次の通りである。

『新明解現代漢和辞典』の紙面 なお,「漢字番号」は「親字番号」「検字番号」などともいう。一般に使われている漢字辞書のうち、『新大字典』(講談社 1993。全漢字に漢字番号を付す),『大字典』(啓成社1917初版,1931昭和新版,1963七訂新版,1964三版,戦後版は講談社刊。全漢字を各索引で漢字番号により表示),『角川大字源』(角川書店 1992),『角川新字源』(角川書店 1968,1994改訂)などにも、漢字番号が付記されている。漢字番号による漢字検索が可能である。

 

   
漢字番号
(『新字源』による)
8208 8209   →漢字番号索引
よみ へん
あたり・
→音訓索引
部首・部首内画数 辵 2 辵 15 辵 13 →部首索引
総画数 5 19 17 →総画索引
JISコード 4253 7820 7821  
ユニコード 8FBA 908A 9089  
    異体字 異体字  
    旧字体 別体字  
漢字の種類 常用 教育      
配当学年 4学年      
筆順 略 ※『筆順指導の手びき』(文部省)に準じたもの      
意味・用法  
熟語例 略 ※辺地、辺鄙;一辺、底辺など  
なりたち [形声]「辶(=ゆく)」と,音「臱ベン→ヘン」とから成る。垂直ながけのへりをゆく。(『新明解現代漢和辞典』による)  

 

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学習者コーパス“NICE”を検索する (9)

2008年 12月 16日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス“NICE”を検索する (8)

2008年 12月 2日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス“NICE”を検索する (7)

2008年 11月 18日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス“NICE”を検索する (6)

2008年 11月 4日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス“NICE”を検索する (5)

2008年 10月 21日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス “NICE” を検索する (4)

2008年 10月 7日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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学習者コーパス “NICE” を検索する (3)

2008年 9月 23日 火曜日 筆者: 阪上 辰也

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