報告:深谷先生の辞書引き学習体験会(9月18日)

2010年 9月 22日 水曜日 筆者: ogm

★辞書をどんどん自分のものにしていく子どもたちの姿が印象的でした★

イベント会場で初めて手にしたはずの辞書。1時間半のイベントがお開きになる頃には、もう立派な「マイ辞書」になっていました。

旭屋書店池袋店イベントの様子9月18日に旭屋書店池袋店主催でおこなわれました“「辞書引き学習」開発者・深谷圭助先生の「辞書引き学習」体験会”。体験会の終盤には、なんと貼った付箋が300枚を超える子が続々と。きっと、ページをめくるたびに、自分の知っていることばが目に飛び込んでくるのでしょう。えんぴつを持つ手が止まらない様子でした。スタッフは予備で用意してあった付箋もなくなるのではないかと、実はちょっと心配でした……。

旭屋書店池袋店イベントの様子皆さんに使っていただいた辞書は『三省堂 例解小学国語辞典』。一心不乱に辞書を引いている後ろから、どんなことばを調べているのかのぞくと、(当たり前のことかもしれませんが)みなそれぞれ違うことばを引いています。そのことばそれぞれに、その子の個性が現れていて、初めて会ったはずなのに、なんだか普段の生活まで垣間見ているような気にさえなります。辞書は、本当にどの子にも扉が開かれているんだなぁと感じた瞬間でもありました。

ぜひ皆さまにご体験いただきたいこの体験会。今度は10月31日(日)にリブロ 池袋本店さん主催にて開催予定です。興味をお持ちの方は、ぜひご検討をと思います。お近くでない方にはたいへん恐縮ですが、ぜひご家庭で、学校で 辞書引き学習を体験していただきたく、「辞書引き学習」基本のステップのご紹介や、深谷先生のインタビューをこのウェブサイトに掲載していますのでそちらもご覧くださいませ。また、今後もイベントを開催する際にはお知らせを掲載いたしますので、どうぞご覧いただければと思います。

* * *

【編集部からのお知らせ】

■最新のイベント情報は右にあります「おすすめ記事」からご覧ください。今後のイベント情報、また、これまでの報告など関連情報は以下からもご覧いただけます。
 ⇒辞書引き学習についての情報

■「辞書引き学習」基本のステップは五つ! 今すぐ始めたい方はこちらをご覧ください。
 ⇒「辞書引き学習」とは(監修:深谷圭助)
 「やってみよう!」 「辞書引き学習」への取り組み―先生方・保護者の方へ―

■このウェブサイトにて、深谷先生のインタビューを掲載しています。以下をご覧ください。
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《前編》
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《後編》

■編集部で立命館小へうかがいました。以下に訪問記を掲載しています。
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

★深谷先生から推薦をいただいております

例解小学国語辞典 第四版
編者:田近洵一
B6判 1,216ページ 1,995(本体1,900)円 ISBN 978-4-385-13821-3
[ワイド版] A5判 2,205(本体2,100)円 ISBN 978-4-385-13822-0

 

例解小学漢字辞典 第三版 新装版
編者:林 四郎(主幹)・大村はま
B6判 1,152ページ 1,995(本体1,900)円 ISBN 978-4-385-13817-6
[ワイド版] A5判 2,205(本体2,100)円 ISBN 978-4-385-13818-3

 

★立命館小学校で使われています

クラウン学習国語百科辞典
監修:金田一春彦 編者:三省堂編修所
A5判 1,200ページ 3,990(本体3,800)円
ISBN 978-4-385-15048-2


報告:深谷先生の辞書引き学習体験会(5月8日)

2010年 5月 14日 金曜日 筆者: ogm

★2時間弱、200枚の付箋を辞書に貼るお子さんも★

先生のお話が終わった後もなお辞書を夢中になって読んでいるお子さんの姿は、体験会の充実ぶりをそのまま伝えているようでした。

三省堂書店成城店イベントの様子5月8日に三省堂書店成城店主催でおこなわれました「親子で深谷先生の辞書引き学習を体験しよう」。先生のお話に引き込まれるうちに(なぜか毎回引き込まれてしまいます)あっという間に2時間弱がすぎたなぁと思っていましたが……サイン会に並ぶお子さんたちから その2時間の成果を見せていただくと、なんと、付箋を200枚以上貼ったお子さんが二人もいらっしゃる。感想を聞いてみると、皆さん「おもしろかった」「楽しかった」という声が返ってきます。皆さんに使っていただいた辞書は『三省堂 例解小学国語辞典』。こちらについてのご感想は「軽くてびっくりした」「いつもこれを使っています」「いつも使っている辞書より見やすい」という編集部にとってうれしい声もいただきました。

三省堂書店成城店イベントの様子今回のイベントでは、予習してからいらっしゃった方も多く、アンケートには「本だけではわからなかったことが、とてもよくわかった」という声がいくつも寄せられています。お話のあとの質疑応答でも、保護者の方から、どのようなところで困っているか、具体的な状況を踏まえた質問がたくさんありました。それに対する先生の丁寧なご説明には、皆さんとても納得したご様子でした。先生自らがお話ししてくださるこの体験会、「とにかく付箋を貼ればいいのか」「どのような辞書を選んだらいいのか」「保護者はどのように接したらいいのか」「どうしてこの学習法が役に立つのか」……などなどの疑問がきっと晴れるはずです。

ぜひ皆さまにご体験いただきたいこの体験会。今月は29日(土)に八王子のくまざわ書店さん主催にて開催予定があります。まだお席に若干の余裕があるようですので、興味をお持ちの方はぜひご検討をと思います。お近くでない方にはたいへん恐縮ですが、ぜひご家庭で、学校で 辞書引き学習を体験していただきたく、深谷先生のインタビューをこのウェブサイトに掲載していますのでそちらもご覧くださいませ。また、今後もイベントを開催する際にはお知らせを掲載いたしますので、どうぞご覧いただければと思います。

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 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《前編》
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《後編》

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 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

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「辞書引き学習」体験会の様子を動画で公開中

2010年 4月 22日 木曜日 筆者: ogm

「辞書引き学習」体験会が気になる方 必見!

 「辞書引き学習」の開発者である深谷圭助先生が、みずから指導をしてくださる「辞書引き学習」体験会。お子さんが辞書をどんどんひくようになる姿は、いつ見てもうれしく思いますし、保護者の方のアンケートにも「子どものことをたくましく思った」という意見が多数寄せられます。

2009年2月28日 三省堂書店成城店イベントの様子 そんな毎回大盛況の「辞書引き学習」体験会のもようを このたび動画でアップしました!

 5月8日に開催予定の三省堂書店・成城店主催「辞書引き学習」体験会、きっと気になっていらっしゃる方も多いはず。迷っているなら、ぜひご覧ください。

前回の三省堂書店・成城店主催「辞書引き学習」体験会動画はこちら↓↓
深谷圭助先生の「辞書引き学習」体験会のご紹介

 1時間の濃~い体験会をぎゅーっと圧縮していますので、ほんとはもっとご覧になっていただきたいところですが、いらっしゃっていただくのが一番。ほんのちょっとでどうかお許しくださいませ。

さらに気になった方、遠方の方へ

「辞書引き学習」基本のステップは五つ! 今すぐ始めたい方はこちらをご覧ください。
 ⇒「辞書引き学習」とは(監修:深谷圭助)
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このウェブサイトにて、深谷先生のインタビューも掲載しています。どうぞご覧ください。
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《前編》
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《後編》

編集部で立命館小へうかがいました。以下に訪問記を掲載しています。
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

各地の辞書指導や辞書を使った学習のもようをリポートします。
 ⇒「辞書引き学習」訪問記:千葉・水の江小

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報告:深谷先生の辞書引き学習体験会(3月7日)

2010年 3月 9日 火曜日 筆者: ogm

★熱気あふれる「辞書引き学習」体験会でした★

3月7日に丸善日本橋店主催でおこなわれました「丸善・新生日本橋店3周年記念『親子で深谷先生の辞書引き学習を体験しよう』」。この春も、ご参加の皆さまの熱気あふれる会となり、大盛況のうちに終了いたしました。

丸善日本橋店イベントの様子この春に小学1年生になるお子さんも熱心に辞書を繰り、開いたページの知っていることばにどんどん付箋を付けていきます。今回、とくに参加者の方のアンケートで多かったのが「知らないことばを引くのでなく、知っていることばを引くということが、目からウロコでした」というご感想です。

どうしても大人は「辞書は知らないことばを引くもの」と思いがちですが、そのような先入観がないまま辞書に触れ、知っているはずのことばと自分の認識とを比べるという経験を通し、ことばをとらえなおす、またそれが自分の体験として蓄積されていく。これが、自ら学ぶということにつながっていく。これは今、世界で求められている学力、子どもにつけるべき力とされているものと通じるものがあります。

当日のうちに付箋がいっぱいに子どもたちはまさにその様子で、2時間のうちに100枚もの付箋をつける子もいました。そして自分で付箋をつけた辞書をほこらしく見せてくれました。保護者の方からは「子どものたのもしい姿を見ることができた」という声や、「子どもに負けないように自分も勉強しようと思った」という声がありました。ご参加くださった皆さまがご満足の様子で会場を後にされました。

今回残念ながらご参加いただけなかった方も、ぜひご家庭で、学校で辞書引き学習を体験していただきたく、編集部では深谷先生のインタビューをこのウェブサイトに掲載しています。また、今後もイベントを開催する際にはお知らせを掲載いたしますので、どうぞご覧くださいませ。

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「辞書引き学習」基本のステップは五つ! 今すぐ始めたい方はこちらをご覧ください。
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 「やってみよう!」 「辞書引き学習」への取り組み―先生方・保護者の方へ―

このウェブサイトにて、深谷先生のインタビューを掲載しています。以下をご覧ください。
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《前編》
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生《後編》

編集部で立命館小へうかがいました。以下に訪問記を掲載しています。
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

★深谷先生から推薦をいただいております

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編者:田近洵一
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★立命館小学校で使われています

クラウン学習国語百科辞典
監修:金田一春彦 編者:三省堂編修所
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「辞書引き学習」訪問記:千葉・水の江小

2009年 7月 31日 金曜日 筆者: ogm

編集部では、立命館小学校に引き続き、「辞書引き学習」の現場を見ようと千葉県市原市立水の江小学校(鎌田正男校長、児童数838人)をおとずれました。⇒「『辞書引き学習』の立命館小訪問記」はこちら

水の江小では「自ら学び、豊かな心でたくましく生きる子」を教育目標に掲げ、ひとりひとりがすすんで学ぶ子に育つようにと、いろいろな活動がなされています。そのなかに「ことばとなかよし」という時間があります。毎週水曜日、登校から朝学活までの15分間、全学年で「辞書引き学習」をする時間として、昨年度から取り組まれているとのことです。(*)水の江小では、この時間帯を朝自習の時間に位置づけています。1年生も2学期から取り組みます。

訪問したのは7月のはじめ。写真のように、どの学年も真剣。つい先ほど元気に登校してきたばかりの子たちが、しっかり席について熱心に辞書を引いています。

 
 

教務主任の藤川雄先生から、昨年度の取り組みについて、児童からの声を集めた資料を紹介していただきました。

1・2年生では、辞書を引くのが好きになったと答える児童は約9割と多く、辞書を引いて「たくさんのことばがわかった」と実感している子も約9割。「ことばとなかよし」の時間以外にも、積極的に辞書を引く姿が見られるようになったそうです。また、辞書でわからないことばを引くだけでなく、自分の知っていることばを調べて喜んだり、自分が知っていたのと違う意味もあることを知って興味を深めたり……という様子が見られたとのことです。

3年生以上では、「辞書引き学習」を続けたほうがいいと思っている児童が8割以上と、その取り組みが役に立っていると感じている子が多いようです。その理由として「いろいろなことばを知ることができる」「自分のためになる」「達成感がある」「ほかにも、おもしろいことばが見つかる」「わからないことをそのままにすることはよくない」といった声があがっています。

このような児童の積極的な姿を見て、先生方からは「集中力がついてきた」「成就感・達成感を味わうことで意欲・自信がもてるようになった子がいる」との声が寄せられ、「辞書引き学習」は有意義だ、ぜひ続けるべきだという声が多くあがったそうです(なんと100%!)。そして今年度、さらに言語活動を重視した授業へつながるようにと展開していくとのことです。

取り組みを見学させてくださった水の江小学校の皆さま、ありがとうございました。

* * *

「辞書引き学習」はいろいろなところで広がりを見せています。編集部では今後もそういった取り組みをご紹介していきたいと考えております。


インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生

2009年 4月 17日 金曜日 筆者: ogm
【編集部から】

 いま書店では、小学生向け辞書のコーナーが活況を呈しています。辞書を編集する側としてはとてもうれしいニュース。しかも、一時のブームではなく、徐々に広がっています。
 学校だけでなくご家庭でもできる実践だからこそかもしれません。三省堂では、この取り組みを皆さんにも知っていただきたいと、「辞書引き学習法」の提唱者である立命館小学校校長・深谷圭助先生に直接教えていただける体験会を、書店の皆さんと考えました(⇒深谷圭助先生の「辞書引き学習体験会」のご紹介)。
 当日は予想以上の大盛況。子どもたちの目が輝いていく、それを見た親御さんの目が光っていく、それを見てわたしたち編集部の目尻が下がっていく……魔法にかかったような時間を過ごし、「これはたくさんの方に知っていただきたい」とあらためて実感いたしました。
 ただ辞書を与えるだけでは、子どもたちはどうやってそれを使っていけばいいかわかりません。大人たちが知っておきたいいくつかのコツと心がまえがあるようです。この機会を逃した方、遠方の方にもぜひ知っていただきたいという想いから、深谷先生にインタビューさせていただき、ウェブサイトに掲載することにしました。

メモ:辞書引き学習法とは
小学1年生から自分の辞書を持ち、生活のさまざまな場面で辞書を引くことをすすめる学習法。国語科の時間だけでなく、他教科の授業時間も、給食の時間も、家のリビングでも……。
引いたページには付箋をし、引いた項目をメモする。付箋にはあらかじめ通し番号をふっておき、自分がどのくらい辞書を引いたか実感できるようにする。深谷先生の著書『小学校1年で国語辞典を使えるようにする30の方法』(明治図書)、『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』(すばる舎)によって、教育関係者や保護者の間に広まった。

辞書は知への扉 さまざまな世界への入り口を自分の手もとに――
深谷圭助先生インタビュー

「辞書引き学習」を始めたきっかけ

――先生の取り組みが幅広く保護者・教育界・出版界の注目を集めています。子どもたちへの指導法はさまざまありますが、この付箋を活用した辞書引き指導を選び、これまで取り組んでいらっしゃった、そのきっかけというのはどんなことだったのでしょうか。

深谷先生 辞書を小学生、しかも小学1年生に使わせようと考えたのは、愛知県の刈谷市立亀城小学校で教えていたときです。
 子どもが本当に夢中になって取り組み、かつ確かな力、何か壁にぶつかっても自分で乗り越えていく力をつける教材は何だろうと考えていたときに、国語辞典に出会いました。そして、小学1・2・3年生の教室で取り入れ始めました。始めてみると、小学1年生のほうが辞書をどんどん引くようになる。そのうちに、何でもまず自分で辞書を調べるというふうになって、これは効果がある、と。

――取り組みを始めた当初、どのような状況だったのでしょうか。

深谷先生 はじめは家にある辞書をどれでもいいから持ってくるようにと言ったんです。そうしたら、「とっても大事なものだ」と言っておばあちゃんが持たせてくれたという、40年前のものを持ってくるような子がいたんですね。
 古いだけでなく、難しい漢字ばかりで読めない。子どもにとっては使いにくいことこのうえないもので……これでは子どもたちが入り口でつまずいてしまうと思い、保護者の方に辞書を買っていただくように文書を出したんです。子どもが読めるように、総ルビの新しいものを、と。

辞書を自分のものにしていく子どもたち

――そのとき保護者の皆さんの反応はいかがでしたか。

深谷先生 決して皆さんが大賛成というわけではありませんでした。字を書くのもおぼつかないのに、辞書なんてまだまだ早いという声もありました。半信半疑だったのかもしれないのですが、そのうち、子どもたちの変わっていく様子を見て、保護者の方たちも変わっていきました。

――子どもたちの様子はどのように変わっていったのでしょうか。

深谷先生 子どもたちは、知っていることば、目に入ってきたことばをとにかく辞書で引いていくんですね。自分の知っているものが辞書にあるか、徹底的に調べる。大人からしたら、辞書というのは、わからないことばがあるときに使うものだと思いがちなのですが、子どもたちはわかっていることばから調べるんですね。そして自分の実感と合うか合わないか、合わないなら自分の側に問題があるのか、辞書の側に問題があるのか、違う資料ではどうか、今度は友だちの辞書や家から図鑑を持ってきて調べだす。それを苦とも思わないんです。
 そうやって調べている様子をまずほめる、そうすると子どもたちはさらに意欲的に調べるようになる。そのうちに何か気になることが出てくるんですね。ある植物のことが気になる。国語辞典で調べてみたけれど、何か物足りない。図鑑で調べてみる、植物園に行ってみる、植物園の係の人に聞いてみる……というふうに、気になったことを追究するようになる。そこでまた、「君は○○の博士だね」というふうにほめると、自分に自信を持つようになる。
 この過程で、たとえば植物園の人に問い合わせるときにはどのようなことばづかいをしたらいいか、手紙はどのように書いたらいいかなども教えることができます。辞書を引くこともそうですが、生活と離れたところでことばの学習をするのではなく、必要に応じてことばの学習を体験しながらできる。
 辞書引き学習から出発して、体験に結びついたことばの学習ができ、またその追究が、自分で課題を見つけ、それに対して解決する手段を考える力につながっていくんです。

付箋を活用するメリット

――うかがっていますとなるほど、と思うのですが、やはり一般には、辞書を小学1年生から使うのは難しいのではないかと思われていると思うのですが、具体的にどのような指導をなさっているのか、少し教えていただけないでしょうか。

深谷先生 そこが付箋を活用するポイントです。「これだけ調べた」というのを目に見える形にすることで、子どもたちの自信になります。教室では、はじめこちらが用意した付箋を使うようにしますが、その後は子どもたちに任せています。ご家庭で実践する場合、低学年のうちは字の大きさも筆圧も安定しませんので、幅が25mmくらいある付箋を用意すると書きやすくていいでしょう。

――そうすると、子どもたちは付箋の数を競うようになったりしませんか。

深谷先生 ご家庭では、はじめはいっしょに辞書に書かれている内容を確認するといいかもしれません。辞書に親しむうちに、子どもたちは自分から辞書の内容を読むようになります。
 教室では、もちろん、付箋の数を競わせるということが目的ではなく、どれくらい引いたかが、どれくらい辞書に親しんだかの目安になり、また子ども自身の達成感につながるので、10・50・100・200・300……1000枚に達成した日を記入するプリントをつくることもあります。100枚を超えるころには、辞書への抵抗がなくなり、500枚を超えると、子どもによっては探したいことばを実にスムーズに引けるようになります。このころになると、子どもたちの関心の対象が「辞書の内容」へと移っていきます。

――だいたいどれくらいの期間でどれくらい引くようになるのですか。

深谷先生 もちろん子どもによって違いますが、半年くらいで2000~3000枚の付箋がつく子もいます。

1冊目の辞書が付箋でいっぱいになったら…

――わたしたち編集部が立命館小を見学したときは、秋の終わりごろでしたが、すでに1年生でも、付箋で辞書がふくれあがっていました。どんどん引くようになると、付箋はどんどん付けられ、辞書がますます厚くなっていくと思うのですが、そうなったとき同じものを買い替えるのか、それとも2冊目に何か別のものを用意するのかということが、気になるところです。

深谷先生 ほかの子の使っている辞書を見てうらやましくなって、2冊目の辞書として友だちと同じ辞書を買ってほしいと保護者の方に言う子もいれば、もっと大人向けの辞書を求める子もいます。専門的なことを調べるようになると、図鑑なども持ち込むようになります。
 誕生日などのプレゼントにお子さんのほうから「辞書を欲しい」と言うようになると、お父さんお母さんのほうでもむしろ非常に喜んで辞書を買ってくださる傾向があるようです。

――立命館小学校では、子どもたちがいろいろな国語辞典を使っていました。また、「辞書引き学習体験会」の際、先生は、学校と家庭で別の辞書を使うことを提案なさっていましたが、複数の辞典をすすめる理由はどんなところにあるのでしょうか。

深谷先生 いろいろな辞書に触れることで…… ⇒この続きは来週掲載いたします。

《後編》の目次
  ■辞書や資料はさまざまなものを
  ■さまざまな知への入り口となる辞書
  ■自らの道を切り拓いていく子どもたちに
  ■子どものころは、まず、紙の辞書を
  ■大人にとっても辞書は良きパートナー

【プロフィール】

深谷圭助(ふかや・けいすけ)
1965年生まれ。愛知教育大学卒業。名古屋大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。
1989年愛知県刈谷市立亀城小学校に着任。国語辞典を学校生活のさまざまな場面で取り入れることで、児童が主体的に学ぶ指導法(辞書引き学習)を展開。この実践を『小学校1年で国語辞典を使えるようにする30の方法』(明治図書)にまとめ、教育界の注目の的に。
2005年立命館小学校の設置メンバーとなり、06年4月から同校教頭、08年4月には校長に就任。辞書引き学習の普及にと、校内だけでなく全国各地を飛び回りながら、学習法のさらなる向上のため研究活動に没頭する毎日。
おもな著書に『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』(すばる舎)、『辞典・資料がよくわかる事典―読んでおもしろい もっと楽しくなる調べ方のコツ』(PHP研究所)、「辞書引き学習自学ドリル」シリーズ(MCプレス)などがある。

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【編集部からのお知らせ】

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 ⇒辞書引き学習についての情報

三省堂では、書店さんといっしょに「辞書引き学習」の体験会を考えました。活動のもようは以下をご覧くださいませ。
 ⇒深谷圭助先生の「辞書引き学習体験会」のご紹介

編集部で立命館小へうかがいました。以下に訪問記を掲載しています。
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

★深谷先生から推薦をいただいております

例解小学国語辞典 第四版
編者:田近洵一
B6判 1,216ページ 1,995(本体1,900)円 ISBN 978-4-385-13821-3
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★立命館小学校で使われています

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「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

2009年 1月 30日 金曜日 筆者: ogm

三省堂の辞書編集部で、立命館小学校へ授業見学にうかがいました。そのいきさつは前回をご覧ください

先週の続き⇒さて、気になる授業の様子ですが……

教室は、窓際に机が並ぶ通常の教室スペース、その手前、廊下との間に同じくらいのオープンスペースがあります。オープンスペースは各クラスの間も可動式のしきりになっていて、教室空間そのものもゆったり。

机の上には……2冊の辞書が置かれていました。漢字辞典と国語辞典。まず1年生の教室からうかがったのですが、入学から半年ほどのものが、前回の冒頭の写真にある辞典です。もうたくさんの色とりどりのふせんが付いています。

 
 

どのクラスでも、机の上に辞書が置かれています。別の授業で児童がいない教室も、机の上に辞書が置いたままであったり。「国語の授業に力を入れている学校なんだなぁ」と受け取られたでしょうか。もちろん、国語に力を入れていることには変わりはありませんが、辞書引き学習は「国語」だけでおこなわれているのではありません。教室でおこなわれる全ての授業が、辞書を手元に置いての授業なのです。

そして、今年から立命館小学校で試みられているのが、百科項目も入っている辞典での実践です。項目数23万8000*の『大辞林』も使われているとのこと、その様子ものぞいてきました。

*ウェブ版は2008年12月下旬に25万8000に増補

 

ちょうどそのとき、先生が「『錦』のついたことばはほかにどんなことばがある?」と投げかけると、あちこちで「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」と手が挙がり、
「○○辞典には……とあります」
「□□には……って書いてあります」
と元気な声が。もちろん大人向けの辞書なので、読めない字もある。そこは先生がフォローして、とにかく辞書によって得られることをみんな精いっぱい受け止めている。クラスのほかの子が持っている辞書と比べてみて、辞書の内容がそれぞれ違うこと、そのおもしろさにも気づいている。もうすっかり辞書と友達になっていて、何かあったら友達に聞くのと同じように、辞書にも聞いているよう。

好奇心旺盛、興味がいろんなところに向くその時期に、辞書が近くにあることは大切なことだと、今さらながら、辞書の編集に携わっている者ながら、しみじみと感じ入りました。

* * *

【編集部から】

辞書引き学習法について、深谷先生にインタビューをさせていただきました。
このウェブサイトにて、掲載いたします。乞うご期待!

前編を掲載いたしました。以下をご覧ください。
 ⇒インタビュー「辞書引き学習」の深谷圭助先生

「辞書引き学習」基本のステップは五つ! 今すぐ始めたい方はこちらをご覧ください。
 ⇒「辞書引き学習」とは(監修:深谷圭助)
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A5判 1,200ページ 3,990(本体3,800)円
ISBN 978-4-385-15048-2

 


「辞書引き学習」の立命館小訪問記

2009年 1月 23日 金曜日 筆者: ogm

紅葉の彩りも深まったころ、京都・北大路にある立命館小学校にお邪魔してきました。立命館小は2006年4月に開校、現在は5年生までが学んでいます(はじめ3年生と1年生の募集だったため)。

私たち、辞書の編集部が訪れた理由は、小学生の辞書利用の様子を直接この目で見るため。立命館小は「辞書引き学習」を授業(というよりも学校生活全般)に取り入れ、児童の興味・好奇心や学習意欲を喚起し、実践している学校として、保護者の方、教育界や、出版界などの注目の的となっています。

深谷圭助校長先生は、「辞書引き学習法」の提唱者。『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』(すばる舎)、『辞典・資料がよくわかる事典―読んでおもしろい もっと楽しくなる調べ方のコツ』(PHP研究所)、「辞書引き学習自学ドリル」シリーズ(MCプレス)など多数のご著書があります。

ことばへの興味・関心が高まっている小学1年生から辞書に親しみ、辞書引き学習を身につけることは、学力向上につながり、辞書を引くことそのものの楽しさを知ることができる、ということが、それぞれのご著書からうかがえるのですが……やはり自分の目で、小学生がどのように学習しているのか見たいという思いがあり京都まで出かけました。

立命館小に着くと、深谷校長先生が校内を案内してくださいました。まず、どこも広い廊下、ゆったりとしたスペースです。校内には、畳敷きの伝統文化室、ロボットのプログラム・操作ができる部屋、図画工作の授業として茶道の茶碗をつくるなど陶芸に親しむ陶芸室、演劇や合唱など舞台の練習・発表ができるシアターもあります。メディアセンター(図書室)にはさまざまなジャンルの本があり、調べ学習に最適な資料もかなりの量、絵本や小説などは月ごとのテーマで置かれるものが変わるとのことでした。

さて、気になる授業の様子ですが……⇒続きは来週掲載いたします!

【編集部からのお知らせ】

「辞書引き学習」基本のステップは五つ! 今すぐ始めたい方はこちらをご覧ください。
 ⇒「辞書引き学習」とは(監修:深谷圭助)
 「やってみよう!」 「辞書引き学習」への取り組み―先生方・保護者の方へ―

最新のイベント情報は右にあります「おすすめ記事」からご覧ください。今後のイベント情報、また、これまでの報告など関連情報は以下からもご覧いただけます。
 ⇒辞書引き学習についての情報

三省堂では、書店さんといっしょに「辞書引き学習」の体験会を考えました。活動のもようは以下をご覧くださいませ。
 ⇒深谷圭助先生の「辞書引き学習体験会」のご紹介

編集部で立命館小へうかがいました。以下に訪問記を掲載しています。
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記1
 ⇒「辞書引き学習」の立命館小訪問記2

★深谷先生から推薦をいただいております

例解小学国語辞典 第四版
編者:田近洵一
B6判 1,216ページ 1,995(本体1,900)円 ISBN 978-4-385-13821-3
[ワイド版] A5判 2,205(本体2,100)円 ISBN 978-4-385-13822-0

 

例解小学漢字辞典 第三版 新装版
編者:林 四郎(主幹)・大村はま
B6判 1,152ページ 1,995(本体1,900)円 ISBN 978-4-385-13817-6
[ワイド版] A5判 2,205(本体2,100)円 ISBN 978-4-385-13818-3

 

★立命館小学校で使われています

クラウン学習国語百科辞典
監修:金田一春彦 編者:三省堂編修所
A5判 1,200ページ 3,990(本体3,800)円
ISBN 978-4-385-15048-2

 


英語辞書の将来と利用者の役割 (2)

2008年 9月 26日 金曜日 筆者: 関山 健治

英語辞書攻略ガイド (14)

連載の最終回は,主に利用者,教員の視点から,これからの英語辞書について考えてみたいと思います。

インターネット時代の辞書批評のあり方

一昔前の英語辞書は,いわゆる「英語名人」「辞書名人」と称されるような,天才的な辞書執筆者,編集者のライフワークとして編纂されていたものがほとんどでした。そのためか(専門家による研究書等での書評,分析を除けば)多くの英語学習者は辞書の内容を絶対視し,辞書の内容に疑問を唱えることをタブー視する雰囲気さえあったように思います。

しかし,最近では,ネット掲示板やブログの普及により,一般の英語学習者でも辞書の内容についての批評や,時には悪意に満ちた誹謗中傷さえも簡単にできるようになりました。辞書執筆者,編集者にとっては,利用者の意見を収集したり,誤植や誤記の指摘を受け,増刷時に修正をする機会が今まで以上に増えたことで,英語辞書の発展にも大きな影響を及ぼしていますが,一方で,一部の心ない書き込みにより,辞書の改善とは関係ないレベルでの不毛な議論が今まで以上にはびこっているのは大変残念です。

とくに,同レベルの辞書の新刊,改訂が相次いだときなどは,「○○という単語はX, Y辞書には載っているのにZ辞書には載っていない。だからZ辞書は劣っている」といった論調での,木を見て森を見ない辞書批評や,さらには「X辞書の編集主幹は○○大学の教授だから,××大学の教授が編纂しているY辞書よりも信頼できる」といったトンデモ発言が,一晩で何十件という単位で匿名掲示板に書き込まれることもあります。

辞書の内容と全く関係のない,出版社や編者の誹謗中傷や,恣意的に選別した特定の語や語義が収録されているか否かで辞書全体を評価するような風潮などは,決して好ましいことであるとは言えません。利用者である私たちは,辞書の内容を常に批判的にとらえる一方で,よりよい辞書に発展していく「種まき」としての,健全な辞書批評をしたいものです。

ことばを尊ぶ姿勢を伝える辞書指導をめざして

従来の辞書指導は,辞書の引き方や情報の読み取り方を教える,いわば技能重視の内容が中心でした。しかし,ネットの普及により,誰もが無料で膨大な情報を得られるのが当然という今の世の中では,ことばの大切さや,ことばに対する畏敬の気持ちも伝えていくことが必要なのではないでしょうか。

私を含め,辞書に携わっている研究者の中には,中学生や高校生の頃,知りたいことをいつでも的確に教えてくれる辞書を「偉い」と感じ,人一倍辞書を引く中でことばへの興味を深めていった人もたくさんいます。辞書の重さに文句を言いつつも,その重さが,ことばに対する畏敬の気持ちにつながっていたと言えます。しかし,どんなにたくさんの辞書が入っていてもポケットに収まってしまう電子辞書からは,冊子辞書のような,通常の書籍とは一線を画した「重厚さ」や「特別感」といった,辞書という書物独特の「オーラ」を感じることはできません。英語以前に,「ウザい」「キモい」に代表される,人を傷つける日本語が氾濫していることも,辞書メディアの変化と少なからず関係があるというのは言い過ぎでしょうか。

「ハレ」の日の賞品に冊子辞書を

こんな時代だからこそ,(時代錯誤だとお叱りを受けるかもしれませんが)皆勤や成績優秀者への副賞や卒業記念品として,生徒,学生に冊子辞書を贈呈してみてはいかがでしょうか。

私のクラスでは,週2回の講義に1年間無遅刻無欠席で皆勤した学生全員に,『ウィズダム英和辞典』を進呈しています。最初は,「電子辞書を持っているのに冊子辞書なんて…」と言っていた学生も,冊子辞書の良さに気づくと「覚えた単語にアンダーラインが引けるし,カバンに押し込んでも壊れないし,一生の記念になる紙の辞書もいいものですね」などと好意的な評価を寄せるようになります。今までの努力をねぎらい,よりいっそうの勉学を期待する象徴として,膨大な情報が目で見え,身体で感じることのできる形になって凝縮された冊子辞書は,ことばの大切さを伝える上でも最適なものと言ってよいでしょう。

おわりに

連載の最初にもお話ししましたが,英語学習が「辞書に始まり,辞書に終わる」ことは,昔も今も変わりません。技能としての英語運用力を養うことに加え,ことばを尊び,ことばを使う人間を尊ぶことをめざした指導が,これからの英語教育現場では望まれています。折しも,相撲界が大麻騒動で揺れる中,「心技体」のバランスのとれた能力を身につけさせることは,相撲の稽古だけでなく,英語教育においても同様に求められているのではないか,ということを強く感じます。

半年間という限られた期間の連載ですので,舌足らずな点も多かったかと思いますが,本連載が,諸先生方の英語教育現場での辞書指導に何かのご参考になりますことを祈念しております。なお,本連載で詳しく扱うことができなかった,辞書の情報の詳しい読み取り方などについては,拙著『辞書からはじめる英語学習』(2007年,小学館)もあわせてごらんいただければ幸いです。


【筆者プロフィール】

関山健治(せきやま・けんじ)
1970年愛知県生まれ。南山大学大学院外国語学研究科英語教育専攻修士課程修了(応用言語学),愛知淑徳大学大学院文学研究科英文学専攻満期退学(英語辞書学・語用論)。現在,沖縄大学法経学部准教授。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007,小学館),『ウィズダム英和辞典第2版』(共同執筆,三省堂,2006),訳書に『英語辞書学への招待』(共訳,大修館書店,2004),『コーパス語彙意味論』(共訳,研究社,2006)などがある。


【編集部より】
英語辞書界にこの人ありと言われる関山健治先生に,英語の辞書に関する有益な情報を集中連載していただきました。ご愛読ありがとうございました。
→これまでの連載記事一覧


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