4 手書きの字体について

常用漢字表では、「表の見方及び使い方」に「字体についての解説」が付され、

  1. 明朝体の字形には細かなデザイン差によってさまざまな種類があること
  2. 明朝体と筆写の楷書(手書きの字)との間では字形のうえでいろいろな違いがあること

の2点が、具体例を挙げて説明されています。

とくに2. は、私たちが漢字を手で書く上で重要なことが示されていますので、以下に引用します。

なお、引用文中の「1(5)」のしんにょうと「3」の例は、「追加された漢字の一覧」に掲載した漢字表の「備考」欄に*印が示されている26字の漢字と、対応関係にあります。

第2 明朝体と筆写の楷書との関係について

常用漢字表では、個々の漢字の字体(文字の骨組み)を、明朝体のうちの一種を例に用いて示した。このことは、これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであっても、1、2に示すように明朝体の字形と筆写の楷書の字形との間には、いろいろな点で違いがある。それらは、印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。

さらに、印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差は、3に示すように、字体(文字の骨組み)の違いに及ぶ場合もある。

以下に、分類して、それぞれの例を示す。いずれも「明朝体―手書き(筆写の楷書)」という形で、左側に明朝体、右側にそれを手書きした例を示す。

1 明朝体に特徴的な表現の仕方があるもの

(1)折り方に関する例

衣 去 玄

(2)点画の組合せ方に関する例

人 家 北

(3)「筆押さえ」等に関する例

芝 史 入 八

(4)曲直に関する例

子 手 了

(5)その他

心 しんにょう たけかんむり

 

2 筆写の楷書では、いろいろな書き方があるもの

(1)長短に関する例

雨 戸 無

(2)方向に関する例

風 比 仰 いとへん しめすへん ころもへん 主 言 年

(3)つけるか、はなすかに関する例

又 文 月 条 保

(4)はらうか、とめるかに関する例

奥 公 角 骨

(5)はねるか、とめるかに関する例

切 改 酒 陸 あなかんむり 木 来 糸 うしへん 環

(6)その他

令 外 女 叱

 

3 筆写の楷書字形と印刷文字字形の違いが、字体の違いに及ぶもの

以下に示す例で、括弧内は印刷文字である明朝体の字形に倣って書いたものであるが、筆写の楷書ではどちらの字形で書いても差し支えない。なお、括弧内の字形の方が,筆写字形としても一般的な場合がある。

(1)方向に関する例

淫 恣 煎 嘲 溺 蔽

(2)点画の簡略化に関する例

葛 嗅 僅 餌  箋 ? 賭 ?

(3)その他

惧 稽 詮 捗 ? 喩

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