三省堂 近代辞書一覧
左から右へとおよそ刊行年順に34冊並んでいます。スワイプするか矢印をクリックしてご覧ください。
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特別企画
明治14年(1881年)4月8日、神田神保町で、三省堂は古書店として誕生いたしました。
そして、2011年、三省堂書店と出版社の三省堂は、ともに創業130周年を迎えることができました。
130周年を記念して、2011年11月4日(金)~11月20日には「三省堂 近代辞書の歴史展」と題し、三省堂書店神保町本店1階にて、明治以降の辞書の歴史をふりかえる展示をいたしました。
このページでは、実際に展示した、三省堂の資料室に保管されてきた貴重な辞書を多くの方にもご覧いただけるよう、書影とそれぞれの概要を掲載いたしました。
辞書の世界をぜひお楽しみください。
各辞書については「ことばのコラム『三省堂辞書の歩み』」にてご紹介しているものもあります。
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収録語数約3,000、総革の英和辞典。 四社同盟版という共同出版の形。体裁や内容は、今日から見ると貧弱なものではあったものの、製造が追いつかなくなるほどよく売れたという。 明治21年には『和英袖珍字彙』(高橋五郎著、六社同盟版)が刊行されている。
ウェブスター辞書に準拠するもので、明治中期の英学会を風靡した。イーストレーキは麹町に住む米国人。
この辞書の編集に「三省堂編修所」は起源する。
タテ95mm×ヨコ65mmの本当の袖珍(ポケット)版。学生に人気が高く、長く版を重ねた。
同じ判型で、翌24年に『和英袖珍 新字彙』(イーストレーキ・神田乃武共著)、27年に『英和故事熟語辞林』(秋保辰三郎・棚橋一郎・岩崎行親・大森俊次・イーストレーキ共著)などが刊行された。
大槻文彦『言海』のブームが続くなか、語彙を豊富に、説明は平易明快に、挿絵は多くと実用向きに徹した結果、後の『辞林』登場までにかなり版を重ねた。
各分野の研究が進み、専門用語が必要とされたのに応えて、各分野の専門家に付訳を依頼した英和辞典。
さらに増補されて明治44年には編者12人による『模範英和辞典』(三五判、2,016ページ、定価2円)となる。
日本語の見出しはローマ字表記され、漢字が当てられている。
『新訳英和辞典』と同判型。
同年に袖珍版も刊行。
それまでの漢字の字引は、漢字を部首別にマスの中に入れて並べただけのものだった。この辞典は、英和辞書の方式にならって、一字一字に意義を分別し、出典を挙げ、そのあとに熟語と解釈を配列する形式をとる画期的なもの。現在の漢和字典はすべてこの方式によっている。
時代に即応して新しい語を多く収録し、語釈もそれ以前の辞典よりすぐれる。
明治44年版では大幅な増補。
代表的な国語辞典として版を重ねる。
※写真は明治44年刊の改訂増補版
出版文化史にその名を深く刻む、日本初の本格的百科辞典。
明治31年に発足、当初は一巻ものとして企画されたが、しだいに企画内容がふくらみ、最終的には全十巻として完結。
この編集に多大な経費を要し、三省堂は刊行途中に倒産を余儀なくされたが、これを惜しむ声多く、百科完成会が設立されて完成。
当時一般的であった発音表記をやめ、新しい発音記号(ジョーンズ式)を採用。当初抵抗もあったが、文部省がその新しい発音記号のほうを採用したこと、また、新開発の極薄のインディア紙を本文用紙に使用した抜群の品質の良さから、年間発行部数数十万部という驚異的な記録を残した。
翌年、和英も刊行したが、初版第一刷発売当日に関東大震災が起き焼失した。
英和部548ページ、和英部548ページで構成。
極薄のインディア紙に印刷した袖珍版(110mm×56mm)。
「gem」は宝石の意。
明治40年刊の『辞林』を大幅増補改訂して改称したもの。
新語、百科関係の用語も含み、充実した総合国語辞典として一世を風靡。後に出版される国語辞典の土台となる。
※写真は昭和9年刊の新訂版
多くの専門語のほか、図表を入れた百科事典的性格をもつ、当時最も権威あるとされた英和辞典。
井上哲次郎・大森房吉ほか110余名が執筆。
収録語彙総数約15万語。
『広辞林』が大型であるため、現代語を中心に小型で携帯できるように編集したもの。
昭和14年までに100版を重ねる。
第一次世界大戦後の自然科学の進展に合わせて専門用語を豊富に収録した学生向け独和辞典。
特に医学用語は詳しい。
フランスで刊行された『20世紀ラルース(Larousse)』などを参考に編集された、最新の仏和辞典として定評があった。小型ながら用例を重視した編集。
歴史的仮名遣いでなく表音式の見出し仮名を採用。現代語の収録、アクセント表示、生新な語釈の小型国語辞典。中学校の指定辞書として広く使用された。小型国語辞典の代名詞的存在。
特漉きの紙に、ベントン母型彫刻機で作成した5.5ポイント活字による組版は美麗な紙面を構成。
『広辞林』とちがって、百科事典的なものでなく、「ことば」の辞典として編集。見出しは表音式仮名遣いにより、アクセントを付す。文法・語史情報が充実。
高校生向けに“古典の言葉をもれなく載せた簡明な手ごろの辞典”として企画。用例文に注釈を施すなど、後の学習用古語辞典のもととなる。
昭和14年刊『クラウン英和辞典』の戦後復興版。
『クラウン英和辞典』は用例の豊富な辞書として絶賛されたが、戦時下のため昭和18年230版で発行停止。『新クラウン英和辞典』は、戦後の米国中心の英語をふまえて改訂された。
易から難へと配列された適切で豊富な用例は、英語学習者に最も適した辞書として全国の教師から推薦された。
「デイリーコンサイス」は“なるべく小さい容器の中に、なるべく多くの語句を収録”を企図した辞書。携帯用英和辞典として、大学生・旅行者などに愛用された。
新語を多く収録。
携帯用の「デイリーコンサイス」シリーズの和英版。
かなで引ける和英辞典は当時珍しかった。
戦後制定された当用漢字表、同音訓表、現代かなづかい、送りがなのつけ方などにもとづいて編集された実用小型国語辞典。簡便さが好評で版を重ねる。
昭和9年に刊行した『学習百科辞典』にかわって、戦後の新教育制度に合わせて新しく企画した一冊もの学習百科事典。 保護者に好評で、初年度には18万部を発行。以後の百科ブームの先鞭をつけた。
初めて英語を学ぶ中学生のために編集された英和辞典。
カナによる発音表示と、ていねいでわかりやすい説明が定評。現在も版を重ねる。 同じ編者で『初級クラウン和英辞典』が昭和44年に発行された。
戦後の新しい教育の中で、学習指導要領にそった国語辞典として、保護者・児童に大歓迎された。
小学生向けの漢和辞典は、昭和46年に刊行。
漢和辞典が引きにくい、という学生の声に応えて、従来の部首引きだけでなく、検索のための新部首を設けて引きやすくした漢和辞典。便利な辞書として好評で、10年間で275万部を販売。
『生物小事典』三輪知雄・丘英道 監修/昭和38(1963)年刊
『地理小事典』三野与吉 監修/昭和38(1963)年刊
『世界史小事典』井上幸治・村瀬興雄・護雅夫 監修/昭和39(1964)年刊
『化学小事典』三宅泰雄 監修/昭和39(1964)年刊
『日本史小事典』井上光貞 監修/昭和40(1965)年刊
『物理小事典』藤岡由夫 監修/昭和42(1967)年刊
『地学小事典』小林貞一・畠山久尚・渡辺武男 監修/昭和42(1967)年刊
『明解国語辞典』の姉妹版として同じ編者で編集。
新語とわかりやすい解説が好評で、初年度85万部を発行、昭和48年までに117刷のヒット商品。
編集主任見坊の新語の収集、選定にかけた努力は「見坊カード」として有名。
昭和18年の『明解国語辞典』を承ける。アクセントを示すことは同じだが、見出しを現代かなづかいにし、語釈・用例も充実して内容が一新された。文明批評的な記述も見られる語釈にはファンも多く、「新解さん」の愛称も生まれた。
このクラスの国語辞典としては当時最大の22万語を収録。
国語項目の解説は、現在使われている意味から書き起こすわかりやすい記述で、発売後100万部を販売。見出しにはアクセントを表示。
第三版からはウェブ版「デュアル・大辞林」も利用できるようになった。
三省堂独自のコーパス(大規模な言語資料のデータベース)を全面的に活用した初の英和辞典。項目選定・語義解説・用例・語法解説など、すべてが英語の実例分析からなる。
第二版から、購入者はウェブ版「デュアル・ウィズダム英和辞典」が利用可能に。
昭和16年に着手し、当初は奈良・平安・鎌倉・室町・江戸編の刊行を目指したが、戦争などの紆余曲折により変更。昭和42年に上代編、昭和60年に室町時代編の第一巻を刊行。2000年12月、室町時代編の第五巻の刊行をもって完結。
「世界言語編」は、約3,500の世界の緒言語の名称・系統・分類・分布・話者人口・音韻・形態・統語・方言・語彙・語史などを、具体的に生き生きと記述。
「術語編」は、伝統的言語学の各分野の術語1,500あまりに、深い思索から生まれた解説を付したターム編。「世界言語編」によって得られた言語データも踏まえ、従来の術語辞典とは異質の水準の高さを示す。
別巻「世界文字辞典」は、古今東西の文字300あまりを対象に、その名称・系統・歴史・使用状況・文字組織・字形などを、文字表や文字見本を付して記述。この別巻にて全巻完結した。