新クラウン和英辞典 第6版

定価
3,190円
(本体 2,900円+税10%)
判型
B6変型判
ページ数
1,360ページ
ISBN
978-4-385-10389-1
寸法
18.2×11.5cm
  • 改訂履歴
    1961年3月1日
    初版 発行
    1968年1月1日
    改訂版 発行
    1972年12月15日
    第3版 発行
    1981年11月1日
    第4版 発行
    1986年1月10日
    第5版 発行
    1995年1月1日
    第6版 発行

新語を大幅に拡充、40,000語収録。

山田和男 編/猪狩博、竹前文夫 改訂

  • 新語を大幅に拡充、40,000語収録。
  • 英米の新聞、雑誌、小説から例文を採用。
  • 会話表現、句読法、関連語などのコラムを新設。
  • 英作文に役立つ慣用語法表(付録)。

特長

さらに詳しい内容をご紹介

第6版まえがき

 本辞典は1961年の初版から、1986年の第5版に至るまで、山田先生が自ら編者として改訂に手を加えてきたものであり、その用例は先生が収集された30万枚に及ぶカードによるものであることは、第5版への序からでも明らかである。正しく山田先生の手作りの辞書であったわけである。

 1991年に改訂の依頼を受けて、私たち編集委員二人がまず考えたことは、従来の「新クラウン和英辞典」のもつ品格を保ちつつ、いかに現代の使用者の必要に応じたものに工夫できるかということであった。それに初版以来30年の月日が経っており、用例の英語にも訳語の日本語にも現代にそぐわないものが出てきており、これらはできるだけ改めていく必要が生じていた。また新語を加えることも当然の作業となった。これまでの編集は、限られた頁数の中にできるだけ多くの内容を盛り込むという主旨で括弧記号が多用されていた。今回の改訂では、「本辞典使用者のために」で説明されているとおり、記号類の使い方を整理した。元来、中級者以上を対象にした辞書であったが、今回の改訂で初心者にも使いやすい、見やすい辞書になるように気を配ったつもりである。

以下に改訂の主な項目を挙げておく。

●本文の見直し

(1)基本語では、できるだけ語義区分を整理して、読みやすく、調べやすくし、そのうちの重要語3,000位は色刷りにして、重要性を視覚に訴えるようにしたこと。

(2)5版までの訳語、用例のうち、前後関係がないと通じにくいものは整理・加筆し、卑俗なものは標準的な表現に改めたこと。

(3)慣用表現は語義ごとにまとめて、太字で記載したこと。例えば、あな穴、孔の「穴をあける」では、本文の物理的な「穴をあける」の説明のほかに、「欠損」「空位」の意味で、慣用表現を別に記述した。

(4)複合語は太字にして、¶(記号)の後に載せた。旧版よりかなりの増加となっている。

(5)日本の風物、行事などで、訳語だけでは誤解をまねきやすいものには、なるべく〔 説 〕として説明訳を載せた。例えば、和(あ)え物、地蔵、厄年など。

(6)【関連語】の項を設けて、60語位には見出し語と関連する百科語(句)を列挙した。

●新語の追加

(1)語彙を日本語辞典などを検討して加えた。例えば、哀願、ぬくぬくと、など。

(2)現代的な語やカタカナ語を追加した。例えば、単身赴任、人間工学、リストラ、ドラスティック、など。

●囲み罫で発話の助けになる工夫をしたこと

(1)英文を書く上での、最小限度の約束ごとを囲み罫で15箇所番よど載せた。

(2)囲み罫を使い、場面に応じてイラストも用い、「関連語句」「基本表現」をまとめて収録した。勿論個々の単語は個別の見出し語で調べることができるし、会話での基本表現をまとめておくことで、使用者側の便をは かった。

 今回の改訂は、手作り辞書の良さをなんとか生かしながらの改訂であった。それでも、4年にわたる改訂作業において、三省堂編集部の全面的な助力と、執筆協力者たちの献身的な努力で、予定の期日こ改訂作業が終わり、出版できる運びとなったことは私たちの望外の喜びである。

1994年 10月

猪狩 博・竹前文夫

第5版への序

 この辞書は、三省堂の他の多くの辞書と同様、小型ながら圧縮された豊富な内容をもち、実用上、大型辞書とくらべて劣らないものにすることを目標にして編んだものである。

 本書の見出語は、初版から第4版まではローマ字によっていたが、かな見出しの方が引きやすいという声が高まってきたので、今回の第5版から、利用者の便を考えてかな見出しに改めることにした。

 この辞書の初版ができてからすでに25年になる。幸いなことにその間、期待した以上に多くの人に利用していただいた。これも一つには先輩、友人をはじめとするいろいろな人の推薦のおかげにちがいなく、また一つには上に述べた目標に向かって努力したことが、成果の程は別として世間に認められたからだと思う。まことに作り甲斐があったわけで、編者冥利と感謝にたえない。

 この第5版によって初めて本書を知る学習者も多いと思うので、この辞書を効果的に使っていただくためにも、以下に初版以来の特色や方針を記しておこう。

 紙面とページ数の制約は小型辞書の宿命で、見出し語にしても、専門語、新語、外来語もできるだけ収録する一方、現代の標準語に焦点をあわせて古いことばは省かざるを得なかった。しかし、訳語間の意味合いのちがいや、語法、文法上の注意などはできるだけ示してある。

 『訳語は平易、適切なものを与えることを第一の方針として、それに努力したことは言うまでもない。しかし、ただ「平易」ということばかりを考えて、そのため利用者の書いたり話したりする英語が舌足らずになってしまうようなことがあってはよろしくない。だから、英語でごく普通に使われるものは、多少むずかしくても、この方針にとらわれずに入れてある。また、口語、俗語も、これも普通に使われるものに限ってだが、できるだけ多く示した。これは、我々日本人が実際に英語で表現する必要に迫られる機会が以前とくらべてはるかに多くなった現在、我々の英語をできるだけ「生きたもの」にする上から、それをすることが新しい時代の要求にこたえる和英辞書として是非必要だと考えたからである。』(初版への序、1961年)

 このような訳語、そして訳文は編者自身の用例カードに基づくものである。『よく、辞書は新しいほどよいといわれる。理由は、前に出た類書の長をとり短をすてることができるから、というのである。しかし、これは本辞書の場合、ことにこれまで2回の改訂には該当しない。それに用いた資料は、すべて編者が長年にわたって英米の書物、新聞雑誌から直接収集したもので、類書からの借用は一例もない。訳語、訳文の一つ一つが実際の用例(全部でおよそ15万)に支えられている。』(第3版への序、1972年)この用例カードは今も着実に増えつづけている。

 また、第3版から、巻末付録として『慣用語法表』をつけた。これは比較的初学者が本文でとくに英語らしい慣用的表現に出会って、その意味や用法を理解できなかった場合、できるだけ多くの類例に接して、そこからそれを学ぶ便宜を提供するのが目的であって、本書の大きな特色といえよう。『これこそ従来のどの辞書にもなかった新しい試みで、それだけに、まだまことに不完全で、せいぜい功罪相半ばするものに過ぎないが、編者はかねてから和英辞書の付録には、おきまりの不規則動詞表その他のほかに、何かこのような本文の記述と直接関係があり、それを補う種類のものがあることが望ましいと考えていた。不備ながら年来のアイデアの一つを実現することができたことを幸いに思っている。もちろん、この表は今後本文と共に改善して行くつもりである。』(第3版への序)

 『この辞書には利用者が求めている以外の情報が与えられている場合が、類書とくらべて多いかも知れない。例をあげると見出語だきしめるのところに¶(記号)抱き締めたくなるようなcuddlesome〔 baby 〕が、いちにちのところに¶(記号)一日市長〔 be appointed 〕Mayorfor a Day。がある。それぞれの箇所(見出語)を引いてこういうことを知ろうとする人は、おそらく一人もいまい。その意味では無駄である。しかし私は長年英作文を教え、自分でも英語を書いてきた経験から、この種の一見無駄なことを知っておくと、何かのことで役に立つ場合が案外多いことを知っている。それで、敢てこういう無駄――「遊び」といってもいい―をやっているのである。是非この点を理解していただきたい。』(第4版への序、1981年)

 最後になったが、この辞書の編修には多くの方々に援助をいただいた。とくに第3版では猪狩 博、高木道信、河邊昌雄、永井みち子、小笠原和英の5氏に、第4版ではこのうち最後の3氏に、いずれも原稿作成について多大な協力を得た。

 以上の諸氏に深謝したい また、仕事の全般にわたって終始お世話になった三省堂外国語辞書出版部の方々に厚くお礼申し上げる。

1985年 12月

山田和男