コンサイスカタカナ語辞典 第5版

定価
3,630円
(本体 3,300円+税10%)
判型
B6判
ページ数
1,568ページ
ISBN
978-4-385-11064-6
  • 改訂履歴
    1994年9月1日
    初版 発行
    2000年9月1日
    第2版 発行
    2005年1月20日
    第3版 発行
    2010年2月10日
    第4版 発行
    2020年9月10日
    第5版 発行

カタカナ語として押し寄せる情報を理解するために必須の辞典、最新の改訂第5版。

三省堂編修所 編

語数を約2,200語増補し、類書中最大級の総項目数約58,500語。

インフォデミック、エッセンシャル-ワーカー、クラスター、ソーシャル-ディスタンス、マッチング、AR、COVID-19、ECMO、EPUB、LGBTなど最新の情報を分かりやすく解説。

特長

さらに詳しい内容をご紹介

 平成22年(2010)に本書第4版を刊行して後,10年ぶりに改訂第5版を世に出すことになりました。この10年の間,元号は令和に代わり,人や情報の行き来する速度はいや増すばかりですが,まさに今この編集の最終段階では,世界そして人類が「COVID-19」による「パンデミック」という未曽有の事態のただ中にあります。

 「オーバーシュート」「ソーシャル-ディスタンシング」「ロックダウン」「エアロゾル」「テレワーク」「ウェビナー」「オンライン授業」「ECMO」「Zoom」など,かつてない事態に際し,多くの見慣れない言葉を日々の暮らしの中で目にし,耳にすることになりました。

 思えば,本書前版刊行後のこの10年は多くの災害や事故に見舞われる中,スマートフォンやAI(人工知能),電子マネーの急速な普及など情報化の一層の進展もあいまって,私たちの生活の中には次々と新しい言葉が加わってきました。そして,そのほとんどがカタカナ語であることに対して,意味が分からないという批判の声も多く見られます。言うまでもなく言葉は,私たちの日々の生活や思考を含めた文化の容れ物であり,言葉なくしては私たちは1日たりとも過ごすことはできないでしょう。その暮らしと社会を支える言葉の中に多くのカタカナ語が進出してきている状況を日本語の危機ととらえ,カタカナ語の濫用や氾濫と言われることもありますが,その状況を批判するためには,私たちが実際どのようにカタカナを使用しているのか,漢字やひらがなとはどのように遣い分けているのかを観察してみることも必要でしょう。

 社会が大きく変動した幕末から明治初期にかけては,翻訳語を中心に多くの漢語が日本語の中に登場しました。これは海外の文化を取りこみ,社会制度を急速に整えていくために必要なことでした。一方,カタカナ語は外国語の音写にはじまり,それが定着した外来語として使われて行く中で次第にその数を増して行き,動植物名や擬音語・擬態語(オノマトペ),さらには「塵(ゴミ)」「螺子(ネジ)」「発条(バネ)」などの漢字の代用,「ヤバい」「マジ」などの口頭語の表現などにも大きく広がっています。日本語の表記方法である「漢字仮名交じり文」は,現在は「漢字ひらがな交じり文」ですが,実態として「カタカナひらがな交じり文」に近づいているかのようにも見えます。そのように,かつての漢字の位置にカタカナ語が並び立っているということは,新しい事態に直面し,新しい知識や概念を取り入れ,表現するに際しての役割を,今やカタカナ語が担っているということにほかなりません。その賛否はともかくも,社会生活を営んで行くためには,これらの言葉を理解して行く必要があります。カタカナ語はもはや現代の新知識・新概念を理解するために必須のものである,と言わざるをえません。本書はその目的に資することを願って編まれました。

 「カタカナ語辞典」というタイトルには,外来語にとどまらず,それ以外にも広がるカタカナ表記の語を広く対象とするという意図があります。今回はそれに加え,「GAFA」や「LGBT」などアルファベットで表記される略語や「3D」「5G」など数字との組み合わせの語,さらには「BOPビジネス」「N95マスク」「V字回復」などの複合語についても丹念に収録いたしました。また,これらのカタカナ語もれっきとした日本語の仲間であることから,今回の版からは,長音をその直前の母音と同じとみなして配列する国語辞書順配列を採用し,引きやすくしました。

 また,今回の版では,『大辞林』の新語も手掛ける新語ウォッチャー,もり・ひろし氏に新語関係項目の執筆および校閲について,ひとかたならぬご尽力をいただきました。ここに記して感謝いたします。

 これからの新しい時代,カタカナ語と正しくつきあって行くためにも,本書が読者の方々に寄り添い,お役に立てることを願ってやみません。

 

令和2年(2020) 7月
三省堂編修所