新しい常用漢字と人名用漢字 漢字制限の歴史

定価
1,650円
(本体 1,500円+税10%)
判型
四六判
ページ数
240ページ
ISBN
978-4-385-36523-7

平成22年11月30日に内閣告示された常用漢字表と同時に改められた人名用漢字を軸に、半世紀以上にわたる漢字制限施策の歴史と運用の実態を解き明かす

三省堂辞書サイトの人気連載から精選した記事に書き下ろしを加えて、わかりやすく解説。

安岡孝一 著

この漢字、子供の名づけに使えますか?

  • 新しい常用漢字と人名用漢字は、なぜ、このような形になったのか。
  • 第一章「常用漢字と人名用漢字の歴史」では、日中戦争から現在に至る漢字制限施策の歴史を、マクロな視点から書くことにします。
  • 第二章「人名用漢字の新字旧字」では、50組の代表的な新字旧字について、それぞれのミクロな歴史を、それぞれの組ごとに書き記します。
  • そして、第三章「人名用漢字以外を子供の名づけに使うには」では、家事審判制度と戸籍行政の関係を解きほぐしながら、現代の人名用漢字がどのような形で運用されているかを示します。

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はじめに

平成22年11月30日、新しい常用漢字表が内閣告示されました。同じ日に戸籍法施行規則も改正されて、子供の名づけに使える漢字は、常用漢字2136字、人名用漢字861字の合計2997字となりました。 しかし、常用漢字や人名用漢字は一朝一夕にできたわけではありません。常用漢字表が内閣告示されたのは 昭和56年。その前身となる当用漢字表が内閣告示されたのは昭和21 年。人名用漢字も、最初に内閣告示された のは昭和26年のことです。半世紀以上にわたる漢字制限施策が、常用漢字や人名用漢字には色濃く残っている のです。 新しい常用漢字と人名用漢字は、なぜ、このような形になったのか。この本では、常用漢字と人名用漢字を、三つの異なる視点からとらえることにしました。第一章「常用漢字と人名用漢字の歴史」では、日中戦争から 現在に至る漢字施策の歴史を、マクロな視点から書くことにいたします。これに対し、第二章「人名用漢字の新字旧字」では、50組の代表的な新字旧字について、それぞれのミクロな歴史を、それぞれの組ごとに書き記 します。そして、第三章「人名用漢字以外を子供の名づけに使うには」では、家事審判制度と戸籍行政の関係を解きほぐしながら、現代の人名用漢字がどのような形で運用されているかを示します。

著者プロフィール

安岡孝一(やすおか こういち)

京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター准教授。 京都大学博士(工学)。JIS X 0213の制定および改正で委員を務め、その際に人名用漢字の新字旧字を徹底調査した経験を持つ。著書に『キーボード配列QWERTYの謎』(NTT出版)、『文字コードの世界』(東京電機大学出版局)、『文字符号の歴史―欧米と日本編―』(共立出版)などがある。//slashdot.jp/~yasuoka/journalで、断続的に「日記」を更新中。