
三省堂編修所から
戦後の学問的成果を反映させた新しい人名辞典の編纂を目標に,1968年に編集は開始され,監修者に第一線の歴史学者を迎え,編集方針の確定をはじめとする編纂作業が進められた。各分野の専門家の協力を得て,およそ古代1,500,中世1,500,近世3,500,近・現代6,500の項目が決定された。その間に検討を加えた人名カードは8万枚に及ぶ。1970年から執筆は始められ,原稿の整理・調査・再点検などが監修者・執筆者・編集部で繰りかえし行なわれた。
また調査事項・事実確認などのため,公共図書館・衆参両院事務局・政党・官庁・大学,諸会社・民間諸団体,さらに御遺族や関係の方々などに御協力をあおぎ,資料の提供をはじめ調査に御尽力をいただいた。ここに監修者をはじめ関係者各位に厚くお礼を申しあげる。
限られた時間のなかで及ぶ限りの努力は尽したとはいえ,たとえば近代の人物であってついに生没年を確認できなかったものがあり,また文献のうち明治時代の刊行が判明しながら,その初版刊年を確かめられないものがいくつか残った。編集部としては,今後もこれらの諸点をはじめ,より正確で誤りのない辞典の完成をめざして,引きつづき努力を惜しまないつもりでいる。読者諸兄姉の御協力がいただければ幸いである。(1976.1.30)
三省堂編修所
この10余年間に読者の方から様々のご教示をいただいた。編集部では、それらのご意見をなるべく取り入れた改訂版をと心がけたが、種々の事情から十全にはなしえなかった。しかし、1,000余名の新項目を追加し、架空・伝承・作中人物も思い切って採録した。この改訂の試みはまだ不十分であるが今後さらに、採録の範囲や解説方法を研究していきたい。なお、監修者のおひとりだった藤井松一先生は1980年にお亡くなりになった。心からご冥福を祈るとともに、先生の指針に従い一層充実した人名事典をつくりあげていきたい。(1990.3.1)
三省堂編修所
初版本の編集をはじめてから30有余年がたつ。この間20世紀末から21世紀への激変は社会の深部にも及んでいる。今回の改訂では1,000か所以上の補訂と500余名を追加したが,今後とも調査研究につとめ一層信頼のおける事典にしていきたい。(2001.7.29)