【第一部】用字用語 一 かなの使い方
【音節の種類】
かなは日本語の音節を表す文字である。
1直音 撥音・促音を除いてかな一文字で書き表される音。
あるく[歩く] かい[貝] かきぞめ[書き初め] ぺこぺこする
2拗音 ねじれた音。「や」「ゆ」「よ」を右下に小さく書き添える。
しゃかい[社会] ちゅうい[注意] かいじょ[解除]
3撥音 はねる音。「ん」で表す。
けんり[権利] しんねん[信念]
4促音 つまる音。「つ」を右下に小さく書き添える。
かっき[活気] はしって[走って]
5長音 のばす音。
かあさん くうき[空気] とうだい[灯台]
6清音 すんだ音。
すすむ[進む] はし[橋] れきし[歴史]
7濁音 濁った音。右肩に濁点(゛)をつける。
ふで[筆] もみじ[紅葉] ゆずる[譲る]
8半濁音 右肩に半濁点(゜)をつける。
さんぽ[散歩] はっぽう[発砲]
【ひらがなで書いたほうがよい単語】
常用漢字で書けるかどうかが目安である。ただし、常用漢字で書けても、読みやすさや漢字が本来もつ意味からはなれているかどうかを考慮して、ひらがなで書いたほうがよい単語がある。おおよその目安は、次のとおりである。
1名詞
(1)常用漢字で書けない単語のうち、言い換えや別の常用漢字で置き換えのできないもの。
あいさつ[挨拶] あぐら[胡座] あっせん[斡旋] 竹ざお[竹竿] 手ぬぐい[手拭い]
注 動植物名を学術的なものとしてとらえたときには、常用漢字で書けるものであっても、かたかなで書くことが多くなってきている(「かたかなで書く単語」参照)。
(2)外国語に由来する感じが薄れた外来語。
かるた たばこ きせる
2形式名詞
こと[事] 音楽を聞くことが好きだ。
もの[物] 決して謝るものか。
とき[時] 彼が来るときはいつも雨だ。
ところ[所] 聞くところによると、あいつは、もうすぐ結婚するらしい。
3代名詞
あなた[貴方] わたし[私] おれ[俺] これ[此れ] それ[其れ] だれ[誰] ここ[此処] そこ[其処] どこ[何処] どなた[何方]
注 次のものは漢字で書ける。
私(わたくし) 僕 我 君 彼 彼女 自分 何
4動詞・補助動詞
動詞は、意味によって、漢字とひらがなを使い分けるほうが望ましい(「漢字とかなを使い分けたほうがよい単語」参照)。
5形容詞
ありがたい[有難い] おもしろい[面白い] おかしい[可笑しい] かわいい[可愛い] すばらしい[素晴らしい] うらやましい[羨ましい] うれしい[嬉しい] ゆゆしい[由々しい] つまらない[詰まらない]
6連体詞
ある[或] いわゆる[所謂] この[此の] その[其の] わが[我が]
7副詞
あえて[敢えて] あまり[余り] あらかじめ[予め] いずれ[何れ] およそ[凡そ] かなり[可成り] せいぜい[精精] せっかく[折角] ぜひ[是非] だんだん[段段] なお[尚] ほとんど[殆ど] ますます[益益] もし[若し] やはり[矢張り] わずか[僅か]
注 漢字で書くほうが多いものには、次のようなものがある。
案外 一概に 主に 格別 現に 強いて 徐々に 絶えず 何しろ 奮って 優に
8接続詞類
あるいは[或いは] および[及び] さて[扨] しかし[然し] しかも[然も] すなわち[即ち] ただし[但し] ところが[所が]
9感動詞
ああ おい おお へえ もしもし
注 強調するときは、かたかなで書くことがある。
10助詞
くらい[位] ながら[乍ら] まで[迄] ばかり[許り] など[等] ほど[程]
11助動詞
べき[可き] ようだ[様だ] そうだ[相だ]
12接頭語・接尾語
お葬式 お名前 ご覧ください ご結婚 青み 高め 子どもたち
13いわゆる当て字
すてき[素敵] めでたい[目出度い] とかく[兎角] やはり[矢張り] おくゆかしい[奥床しい] さすが[流石] ちょっと[一寸] わんぱく[腕白]
【漢字とかなを使い分けたほうがよい単語】
意味や使い方によって、漢字とかなを使い分けると、読みやすくなる単語がある。
上げる 本を棚に上げる。
本を読んであげる。
言う 意見を言う。
人間という生物。
行く 町へ行く。
消えていく。
入れる 口の中へ入れる。
人の意見をいれる。
上 台の上に置く。
ご一読のうえ、返送願います。
内 内をかためる。
見ているうちに、気分が悪くなった。
得る 高収入を得る。
やむをえません。
限り 限りなく広がっている。
命令がないかぎり、動くな。
切る 紙を切る。
この紙には書ききれない。
下さる 先生が本を下さった。
はやく返してください。
来る 明日は三時に来る。
ちょっと行ってくる。
事 事は重大だ。
食べることが趣味だ。
出す 返事を出す。
動きだす。
通り にぎやかな通り。
そのとおりです。
時 時は金なり。
帰りついたときはだれもいなかった。
所 新しい所へ移る。
今、書いているところだ。
中 家の中へ入る。
雨のなか、ありがとうございます。
見る 映画を見る。
小説を書いてみる。
持つ ステッキを持つ。
あと五年はもつ。
物 重い物を運ぶ。
そんなことをするものではない。
【かたかなで書く単語】
1外国の地名・人名
アメリカ フランス ロシア ベルリン アダムズ アリストテレス
2外来語
アナウンサー インフレーション エチケット ケーブルカー
注 日本語にとけこんでいて、外国語に由来する感じが残っていないものは、ひらがなで書いてもよい。
たばこ てんぷら じゅばん
3外国の貨幣や度量衡の単位
ドル ポンド ユーロ メートル リットル ヘクトパスカル
4擬音語・擬声語
カタカタ ガチャン ワンワン メーメー
5俗語・隠語
インチキ デカ ピンはね
6動植物名
タヌキ キツネ サケ マス タマネギ スミレ ヒノキ
注 動植物の意識が薄れたもの、動植物名が比喩的に使われたもの、加工されて動植物そのものの形がなくなったものなどは、ひらがなで書いてもよい。
かまぼこ こいのぼり のり巻き わしづかみ
注 漢字で書いてもよい(常用漢字表にとりあげられている)動植物名。
動物→犬 牛 馬 蚊 蚕 鯨 猿 象 鶏 猫 羊 豚 蛇 蛍
植物→麻 稲 芋 梅 漆 菊 桑 桜 芝 杉 竹 茶 菜 松 豆 麦 桃 柳 綿
総称として→魚 貝 木 草 鳥 虫 藻
7「学術用語集」で決められている語
カセイソーダ タンパク質 リン酸
8際立たせる場合(ふつうは、ひらがなで書く)
(1)擬態語
ニヤニヤ ダラリ ノッソリ
(2)感動を表す語
アラ オット マア
(3)その他、意味やニュアンスを強調する場合
交渉はヤマを迎えた。
この人、ちょっと、ヘンです。
9漢字の音読みを強調するとき
「愛」の音読みは「アイ」である。