超級クラウン中日辞典

定価
6,600円
(本体 6,000円+税10%)
判型
B6判
ページ数
1,840ページ
ISBN
978-4-385-12188-8

新しさ超級!学習に、ビジネスに!

新語充実の最新中日辞典!新登場!

松岡榮志(主幹)費錦昌、古川裕、樋口靖、白井啓介、代田智明 編著

  • 総項目数91,500(親字11,500、熟語80,000)
  • 親字には中国の通用字7,000字を完全収録。すべての親字に部首・画数・四角号碼などを表示
  • 現代の息吹をあざやかに伝える有力新聞3年分の全記事からなる中国語コーパスを活用
  • 中国政府認定の新語や政治・経済・医学・ITなどの術語が充実
  • 親字・見出し語に品詞を明示。(~儿)や(~的)で派生語を表示
  • 「由来」「参考」「表現」「用法」マークなどの豊富な参考情報。「同義語」「反義語」も充実
  • 初学者にも使いやすい「音訓索引」「部首索引」「総画索引」

特長

さらに詳しい内容をご紹介

「超級クラウン中日辞典発刊に寄せて」

編集主幹 松岡榮志先生

 今日は、二月六日、北京では「年三十」である。朝からあちこちで、爆竹が鳴り始めている。「年三十」とは、農(陰)暦の「大晦日」のこと。書き言葉では「除夕」とも言うが、テレビなどのアナウンサーは、もっぱら「年三十」を使っている。明日は、農暦の元旦、つまり「春節」なのである。

 中国では、新暦の元旦は祭日ではあるが、取り立てて騒いだりはしない。もっとも、今年は北京オリンピックの年なので、その記念番組は放送していたが、今ひとつ盛り上がりに欠けていた。ところが、春節は別物である。近くに、「超市発」という名のスーパーマーケットがあるが、この二,三日の混みようは、すさまじい。大きなカートを押したおじさん、おばさん、老若男女が、山のように食料品やら雑貨品を買っていく。レジの前は、長蛇の列である。おまけに、あちこちの電視台(テレビ局)がこの店の賑わいをニュースで報じるので、またまた客が増える。

 この「超市発」の「超市」は、「超級市場」のこと。英語の、supermarketの直訳である。「超級市場」ということばは、1980年代に中国の社会にお目見えし、やがて「自選市(商)場」に取って代わられた。というのは、はじめは外国人相手の友誼商店などにできたのだが、規模が小さかったため、「超級」と呼ぶのはおかしいとされた。そして、自分で手にとって商品を選べる(中国ではその頃、買い取るまで商品をさわるのは難しかった)ので、「自選市(商)場」と呼ばれたのだった。やがて、日本でも「スーパー」と略称されたように、中国でも略して「超市」と呼ばれ、「超市発」のように、「発財(大金をもうける、の意)」と組み合わせて使われるようになった。もちろん、今ではあちこちに大きなスーパーや百貨店、コンビニが軒を連ねている。

 これを書いていると、テレビのニュースでは、米国の大統領候補選挙を報道している。そうだ、今日は「超級星期二」(スーパー・チューズデー)だった。

 今や、北京は「超級」にあふれている。『超級クラウン中日辞典』は、こうした北京や中国の「現在」を読み取るために、最近の新聞の3年間の記事を駆使して、「生きている語彙」を80000語選び出した。新語や百科語彙の解説はもちろん、その内容でも「超級」をめざしている。語釈や句例が豊富な「日中小辞典」や楽しい付録も満載で、皆さんの学習やビジネスにも強い味方になることを願っている。

 8月8日は、いよいよ北京オリンピックの開会式。テレビ観戦の時にも、ぜひこの辞典を手許において、競技や街のようすを存分に楽しんでいただきたい。

 (北京友誼賓館にて:2008/02/06)


【筆者プロフィール】 松岡榮志(まつおか・えいじ)

1951年生まれ。東京教育大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程を経て、現在東京学芸大学教授、一橋大学大学院連携教授。 専攻は中国古典文学、中国語学。著書に『歴史書の文体』(樹花舎)、共著に『超級クラウン中日辞典』『クラウン中日辞典』(主幹、三省堂)、『日本の漢字・中国の漢字』『ユニコード漢字情報辞典』(ともに三省堂)、『漢字とコンピュータ』(大修館書店)、編訳書に『中国学レファレンス事典』『ことばと社会生活』『ことばの社会機能』(いずれも凱風社)などがある。

超級クラウン中日辞典の内容

[重要親字]

使用頻度の高い重要親字は囲み記事で用法・豆知識などわかりやすく解説。

[日中小辞典]

内容充実、意味の違いや句例もも表示。

[多彩な付録]

文化情報(映画、流行歌、京劇など)・発音解説・各種地図(行政区画、方言、歴史など)・会話表現集・祝祭日一覧・レファレンス案内ほか。

[挿絵]

人物・しぐさ・楽器・生活用具など中国の雰囲気を伝える挿絵を満載。

序文【はじめに】

中国の現代生活がよくわかる辞典,これが本辞典のめざすところである.

ここ数年,中国はまさに世界中の熱い視線を浴びている.2008年8月8日開幕の北京オリンピック大会,2010年の上海万国博覧会.こうした世界的なビッグイベントに向かって,中国の社会は日々発展を続けている.街には巨大なビル群が建ち並び,高速道路には自動車が車体を擦らんばかりにあふれている.大変な活気だ.そんな中で毎日暮らしていると,めまいを覚えるほどである.

今年の3月から,20年ぶりに北京で生活することになった.ただ,北京には毎年7,8回は来ているので,内心そんなに変わってはいないだろうと思っていたのだが,実際に暮らしてみると毎日毎日急激に変化しているのが,手に取るように感じられる.そんな急激な現代生活の変化を反映するかのように,ことばも大きく変化している.新聞やテレビには,自動車や不動産のカラー広告.新聞には,デパートやスーパーの大売り出しの分厚いチラシ.携帯電話も,日々新商品が店頭に並んでいる.中国の友人の言語学者でさえも,毎朝新聞を読むと,必ず知らないことばや新しい表現に出くわす,と嘆息するほどだ.

本辞典では,そうした現代中国の言語生活をできるだけ網羅的にとらえ,的確かつ簡潔に記述するよう工夫を凝らした.その第一として,中国で良く読まれている新聞の3年間(2000~2002)のすべての記事をもとに,詳細な語彙の資料データ(コーパス)を作った.その大量かつ詳細なデータを利用して,既刊の『クラウン中日辞典』を始め,『現代漢語詞典』,『漢英詞典』,『応用漢語詞典』など数種の辞典の見出し項目をすべてチェックし,必要な見出し項目を約20,000項目追加した.それは,実際にその3年間によく使用された語彙,いわば「生きている」語彙である.さらに,中国の費錦昌,徐莉莉両氏のリードのもと,中国の気鋭の言語学者がチームを作り,新語を広く収集し,その中から選りすぐって約2,000項目を新たに書き起こした.こうした結果,親字約11,500項目,熟語約80,000項目,総計91,500項目という「超級」の辞典となった.そこで,本辞典を『超級クラウン中日辞典』と名付けたのだが,それは単に分量の多寡を誇りにするのではなく,品質においても「超級」であることをめざしたからである.

一般語彙のほか,『クラウン中日辞典』では,樋口靖氏の執筆にかかる基本親字の解説が好評を博したが,今回はさらに古川裕氏が加筆,充実を図った.また,『クラウン中日辞典』では後半に「日中小辞典」と銘打って日中語彙索引を付したが,今回は見出し語を全面的に改めたうえ,前回は紙幅の都合から割愛せざるを得なかった句例や意味分類による使い分けのブランチを大幅に増補し,約8,000語の辞典として充実をはかった.同じく,付録については,現代の中国社会を知るための基礎知識や読み物を多数取り上げた.さらに,現地の新しいようすを反映する挿絵や写真なども相当数追加することができた.

本辞典は,その名の通り『クラウン中日辞典』を基礎とし,さらに大きく発展させたものである.基礎の部分は,松岡,樋口,白井,代田の4人による編著であり,共同でその責を負うものである.新たに追加された語彙については,松岡が選定に当たり,そのすべ てを校閲した.また,付録の読み物などは,専門の方々にできるだけわかりやすく簡潔に書いていただいた.今後は,読者諸氏からの要望に応じて,その充実をいっそう心がけたいと思っている.

最後に,関久美子さんには執筆はもとより新原稿の校閲・整理など多大なご尽力をいただいた.ここに,それぞれの分担や責任を明らかにするとともに,企画段階から完成に至るまで温かい励ましをいただいた三省堂外国語辞書編集室の柳百合編集長,とりわけ編集担当者として実務に励まれた近山昌子さんをはじめ,本書の完成に力を尽くしてくださった多くの方々に深くお礼を申し上げる次第である.

本辞典が,現代中国を知る上での確かな拠り所として,多くの方々に支持されることを心から願っている.

 2007年12月 北京にて

松岡 榮志