三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
類語ニュアンス辞典
ニュアンスの微妙な違いを軽やかに解説。日本語の語彙表現の感性を磨く!
意味が微妙に違う言葉、書き分けに悩む言葉、そのような「類語」のニュアンスに焦点を当てた、エッセイ風の「読む辞典」です。
◎本書の特徴
- 日本語表現研究の第一人者が、軽やかな語り口で類語を比較し細かいニュアンス・用法を詳説。
- 小説・詩歌などからの実例を豊富に紹介。
- 編者自身のエピソードを交えた実感あふれる筆致。
- 本文の理解を深める助けになるよう、上下段に姉妹書『新明解類語辞典』の解説を掲載。
- 自然・人間・感覚・感情・活動・場所…と分野ごとに日本語語彙の広がりを見渡すことのできる内容構成。
- 見出し語を五十音から探せる索引。
◎本書の「使い方」
- 日本語の語彙のもつ微妙なニュアンスを確かめる!
- 筆者のユーモアあふれる語りに耳を傾ける!
- 創作・メール・手紙・レポート・ブログの表現の精度を一段上げる!
- 文学作品の具体例から、文章表現の機微を感じ取る感性を磨く!
◎序文より
(略)そういう紛らわしい語群のそれぞれの意味や語感の違いと、たがいの使い分けに焦点をあてて、ことばのニュアンスをわかりやすく解き明かすのが、この本の目的である。辞典と銘打つ以上、ある程度以上の語数には言及したいが、事の性格上デリケートな問題が多く、微妙な側面をさらりとふれたのでは知性にも感性にも鋭く響かない。そこで、広く全体を眺めわたし、各分野から特に説明を要する玄妙な語群にしぼり、それぞれを個人的な感性で大胆に掘り下げ、文学作品からの実例も引きつつ、読者の関心をゆさぶり、奥深く語りかけたい。
(略)
この本は、引く辞典ではなく、あくまで読む辞典を心がけた。とはいえ、小説のように最初のページから順に通読することを必ずしも期待してはいない。読者それぞれ、ふうっと心のそそられる興味深いページから始め、あちこち飛び火しながら読みあさるのも一興。
特長
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著者プロフィール
中村明(なかむら・あきら)
1935年、山形県鶴岡市生まれ。
国立国語研究所室長、成蹊大学教授を経て、早稲田大学の教授となり、現在は名誉教授。
著書は『作家の文体』『悪文』『人物表現辞典』(筑摩書房)、『比喩表現辞典』(角川書店)、『日本語レトリックの体系』『日本語文体論』『日本語 語感の辞典』『日本語のニュアンス練習帳』(岩波書店)、『新明解類語辞典』(三省堂)、『感情表現辞典』『類語分類 感覚表現辞典』『日本語の文体・レトリック辞典』『文章を彩る 表現技法の辞典』(東京堂出版)、『美しい日本語』『日本語の作法』『五感にひびく日本語』(青土社)など多数。『角川新国語辞典』『集英社国語辞典』編者。『日本語 文章・文体・表現事典』(朝倉書店)、『三省堂類語新辞典』編集主幹。
目次
本書で取り上げた見出し語の例
(【 】は章タイトル)
【自然】
天(天空、天上)、太陽(日輪、日、お日様、お天道様、白日、……)
【人間】
顔(顔面、つら、おもて、かんばせ、面立ち、……)、命(生命、人名、一命、露の命、寿命、天寿、……)
【感覚】
匂い(臭い、香り、香、香気)、しょっぱい(塩辛い、からい)
【感情】
嬉しい(楽しい、喜ばしい、……)、泣く(慟哭、号哭、号泣、涕泣、嗚咽、……)
【活動】
訪ねる(訪れる、訪問する)、やる(くれる)、囲む(取り巻く)
【場所】
中央(真ん中、真ん真ん中、ど真ん中)、台所(勝手、キッチン)
【物品】
カレー(ライスカレー、カレーライス、カリー)
【時間】
夕方(夕刻、たそがれ、薄暮、日暮れ、宵の口、……)
【言語】
ある(いる、ない、いない)、ふくらむ(ふくれる)、ひらく(あく、閉じる、閉まる)