三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
日本語の類型
日本語というのはどのようなタイプの言語なのか?
アルタイ諸言語の第一人者である著者が、チュルク語・モンゴル語・ツングース語のアルタイ諸言語と、及び朝鮮語、ニブフ語、日本語を合わせた「アルタイ型言語」の広汎な対照研究の集大成としての論文集。全21章にわたり、さまざまな対象、さまざまな視点から日本語と日本語以外のアルタイ型言語の対照を試み、かつ日本語の諸方言や古文にも目配りをすることで、日本語の類型のみならず、その成立過程についての考察も含む。言語を全体が連動したひとつの共時的なシステムととらえ、その全体の連動に「類型」を見いだすべく、全体像を把握するさまざまな角度からの考察を行う。日本人の起源を探る学術プロジェクト(通称「ヤポネシアゲノム」)言語班のメンバーでもある著者の重要な論考。
特長
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著者プロフィール
風間伸次郎(かざま・しんじろう)
1965 年東京都生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1992 年北海道大学大学院文学修士取得。専門はアルタイ諸言語の現地調査による記述研究、言語類型論。主要業績は『ウデヘ語テキスト』など。(2022年現在)
目次
まえがき
第0章 アルタイ諸言語の分布と系統
第1章 ことばの癖いろいろ
第2章 日本語の類型について
第3章 アルタイ型言語の語順特性およびそれと内的関連性を持つ諸特徴について
第4章 日本語(話しことば)は従属部標示型の言語なのか?
第5章 アルタイ諸言語における複数形式の定性について
第6章 アルタイ諸言語の場所表現における名詞的性格について
第7章 地域的・類型論的観点からみた無生物主語について
第8章 アルタイ諸言語と朝鮮語、日本語におけるいわゆる「再帰代名詞」の対照研究
第9章 アルタイ型言語における感情述語
第10章 アルタイ型言語における命令形の反語用法・条件用法について
第11章 対照言語学的観点からみた相対テンスについて
第12章 ナーナイ語の複文について
第13章 アルタイ型言語における「補助動詞」の分布について
第14章 条件と継起の連続性について
第15章 アルタイ型言語における準動詞と言いさしについて
第16章 アルタイ型言語における主要部内在型関係節について
第17章 コピュラ文の諸相
第18章 語順と情報構造の類型論
第19章 アルタイ型言語におけるモダリティの意味領域地図について
第20章 東北アジアの諸言語を中心とする証拠性に関する対照研究
第21章 八丈型基層言語と日本語の重層性