三省堂類語新辞典

品切れ
定価
7,480円
(本体 6,800円+税10%)
判型
A5判判
ページ数
1,728ページ
ISBN
4-385-13645-9

気持ちにぴったりの言葉を探したい、使える言葉をふやしたい―

文章を書くとき、俳句・短歌を詠む時に必携
引きやすさ・使いやすさ・楽しさを徹底追求した、まったく新しいタイプの類語辞典。

中村明(主幹)芳賀綏、森田良行 編

  • 実生活や教育の現場で、短歌・俳句の実作で、必要十分な5万項目余を収録。
  • 引きやすさ抜群の、実生活に即した3大分類・18ジャンル。
  • 5万項目余すべての掲載ページをずばり示した五十音順索引。
  • ニュアンスの違いがわかる的確な解説と、コロケーションがわかる豊富な用例。
  • 俳句愛好家のために、語釈付きの類語辞典では初めて季語を明示。
  • 鑑賞やスピーチの言葉選びに役立つ、古典から現代までの名言名句を欄外に掲載。
  • それぞれの語群の冒頭を色刷にした、類語辞典では初の見やすい2色刷紙面。
  • 指すモノが一目でわかり、図解辞典としても使える本文中のイラスト422点。
  • 巻末に日本の四季が一望できる「カラー歳時記」を収録。

特長

さらに詳しい内容をご紹介

第40回造本装幀コンクール展 日本図書館協会賞受賞

三省堂 類語新辞典は、日本図書館協会賞を受賞いたしました。

[装幀]中垣信夫+豊田あいか+布野友紀

[印刷・製本]三省堂印刷株式会社

推薦のことば

林 巨樹(国語学者)

シソーラス仕立ての有難さ

「国語の字引きはダメだねえ。殊に言ひ換へ語には、殆ど無力だ」と、福田恆存さんが嘆かれた。福田さんは評論・戯曲に堪能な人だつたが、かたはらシエクスピア劇の新訳にもながく苦心してゐられた。右の言葉は、その頃の呟きだつたらう。あるひは「私の国語教室」にかかはりがあつたかも知れない。福田さんは滅多にカタカナ語を用ひられない人だつたが、シノニムとかシソーラスとかの言葉も行き来したやうに思ふ。

シソーラス仕立ての有難さは、たとへば「木の種類」の項には、「老い木」「老木」「老樹」……「大木」「大樹」「巨木」「巨樹」「低木」「灌木(「低木」の旧称)」「高木」「喬木(「高木」の旧称)」が並んでゐるところである。当用漢字のわくのために立ち去つていつた「喬木」「灌木」の類がちやんと載つてゐるのが、めでたい。

竹西 寛子(作家)

適切な選択と運用の促し

私はこの『類語新辞典』の頁を起してゆくうちに、日本人はいかに多くの言葉で心のきめこまやかに生きてきたのか、改めて思い知らされた。辞典つくりの、言語生活全般にわたる見渡しの広さと、見通しのよさを感じた。知識の量は多いにこしたことはない。ただ言葉に関する限り、用語を多く知りさえすれば運用もよろしくかなうとはゆかないところが厄介である。本書が用語の知識の提供にとどまらず、時と場に応じての適切な選択と適切な運用の促しに豊かであるのが私には有難い。言葉の生死に関るのは紛れもなく一個人の自由ではあるけれども、その言葉で生きるということが、人間だけの、どれほどかけがえのない行為であるか、検索への応じ方を通して本書はゆっくりとそれを示してくれる。

山田 太一(作家・脚本家)

丁寧で心のこもった成果

はじめの必要を忘れて、つい読み耽ってしまう。通常の国語辞典なら、雨は「あ」と「う」ではじまる言葉以上にひろがりにくいが、ここでは「ぢ」(じ)ではじまる地雨もあれば「し」ではじまる秋霖にもたちまち辿り着く。そこには白雨、 雨、霖雨、村雨、時雨も走り梅雨もやらずの雨もそぼ降る、も集っている。

分類が複雑すぎず、目的の頁がすぐ見つかる。その欄外に一行ずつの歌や句や文章の引用という趣向もあり、一度ひらくとちょっと寄ったつもりがついつ長 居をしてしまう。類語に不可欠なニュアンスについてのコラムも気取りのない簡潔な文章で、気がつくとそれを捜して頁をめくっている。丁寧で心のこもった辞典の出現を喜んでいる。

三木 卓(作家・詩人)

言葉の綾なす宇宙

言葉は、その人々が必要なものから、その程度に応じて生まれた。農耕で生きる人々にとって、風の具合や雨の様子への関心は、通りいっぺんのものではなかったはずである。その細やかなちがいは、自分で判断したり、相手に伝えたりするために、言葉になったのである。

また、めざましい探求をつづけている現代諸科学は、次々に名づけるべき事象と出会っている。

こうして成り立っていった言葉を、〈類語〉として整理・記述した本書は、頭からよみつづけていくと、これは言葉の綾なす深い宇宙へわけ入っていく思いがあり、興趣尽きない。

心が探し求める言葉を探して、この辞典を引く。まずはその威力を確めよう。処々に置かれたコラム「類語のニュアンス」も、自分の中の言葉を育てる楽しい寄り道である。

杉戸 清樹(独立行政法人国立国語研究所長)

言葉の豊かな世界に引き込まれる

このことを言う言葉が確かにあったはずだ。今のこの気持ちを表現するあの言葉が思い出せない。そんな言葉さがしに、言葉を見出しにして五十音順に並た 国語辞典は原理的に不向きだ。意味や気持ちそのものを分類して見出しに並べた類語辞典が本領を発揮する。

『三省堂類語新辞典』は、類語辞典としての基本はもちろん備えつつ、言葉さがしの手助けになる親切な工夫に満ちている。例えば「類語のニュアンス」の詳細なコラム記事、使い分け・語感などの豊富な注記、的確で生き生きとした用例など。利用者は、さがしていた言葉を見つけたあと、思わず読みふけり、言葉の豊かな世界に引き込まれるだろう。日本語による言語生活を広げ、深めるために欠かせない辞典が生まれたことを喜び、心から推薦する。

小川 洋子(作家)

日本語は美しい

あまりにも身近で、必要不可欠な道具であるため、かえってありがたさに気づかないまま、ぞんざいに扱ってしまうことの多い日本語。しかし、この辞典を傍に置けば、日頃何気なく使っている言葉たちが、どれほど豊かな表情を持っているかに気付かされる。見知らぬ言葉を見つけたり、長く忘れたままだった言葉と再会できたりもする。

ああ、そうか……ほう、なるほど……などとつぶやきながらページをめくっていると、つい時間を忘れてしまう。一つの言葉を掌に取り、四方八方から眺め、撫で回しているうち、静かにそれは、宝石のような光を放ちはじめる。

日本語とは、何と美しいものなのか。そのことを教えてくれる辞典である。

本文の構成 類語辞典に必要なすべてを網羅し、見やすく、引きやすい紙面構成

五十音順索引 探したい言葉のページが直接わかる

目で見て楽しむ歳時記 美しいカラー写真とイラストによる季節ごとの日本の花鳥と風物

※画像は画面用に最適化してますので、実際の紙面の大きさとは異なる場合があります。また、見本用に合成しているページもありますので、実際の紙面内容と異なる部分もあります。

メディアでの紹介

  • TBSテレビ 2006.1.11「あなた説明できますか?」本辞典の編集主幹として中村明先生が「叱る」と「怒る」の違いを解説
  • 「旬なテーマ」 2006年2月号 語彙のバリエーションを広げるには重宝する1冊
  • 静岡新聞 2006.1.17 得情報 Delivery スタディ
  • 神戸新聞 2006.1.15 引きやすさ徹底追求
  • 千葉日報 2005.12.26 引きやすさ徹底追求
  • 北海道新聞 2005.12.25 俳句事典と類語辞典
  • 新潟日報 2005.12.22 より引きやすく
  • 岩手日報 2005.12.21 引きやすさを徹底的に追求
  • 長崎新聞 2005.12.21 三省堂が類語新辞典
  • 信濃毎日新聞 2005.12.20 引きやすさを徹底追求
  • 東京新聞 2005.12.11 日本文化を一望できる辞典
  • メディアでの紹介ページへ

読者カードより

  • 点であった言葉たちが線となり面となる、そんな感覚を味わった。「類語のニュアンス」や名言名句なども新鮮で、ついつい頁をめくってしまいます。(千葉県・女性)
  • 待望の書籍に満足。元気が出てきました。(岡山県・男性)
  • 俳句をつくっていくのに役立ちそう。(宮城県・男性)
  • これから一生にわたって使用します。充分に活用し、人生の一頁にしたい。(福島県・男性)
  • 類書、文字が小さくて困っていたところ。すばらしい辞典、ありがとう。(群馬県・男性)
  • ことばの世界の再認識に有効。手紙好きには助かる。頭のトレーニングにもなる。(東京都・女性)
  • 「竹馬」を見たとき、読み方が二通りあることがわかってよい。(神奈川県・男性)
  • よくできている。文字が大きいから引きやすい。(神奈川県・男性)
  • 他社の辞典を利用しているが、この辞典に惚れ込んで購入した。(愛知県・男性)
  • 見やすいし、開いたところを何となく読んでしまいます。(徳島県・男性)

刊行にあたって

中村 明『三省堂類語新辞典』編集主幹 早稲田大学教授

撮影=岩橋 昇

ことばがなかったら、夏目漱石の小説も小津安二郎の映画も存在せず、モーツァルトやセザンヌを語ることもできない。いとしい相手に思いを伝え、献立を考えるにも、患者が体の不調を訴え、医者が指示を下すにも、表情や手ぶりでは心もとない。ことばは人生に潤いをあたえ、命をも救う。むろん、万能ではない。落日の海の色、林を渡る風の音、ワインの味や香り、あるいは憤り、ためらい、晴れがましさ、そういう感覚や感情を描くのは苦手だ。が、思考活動を自在にする。日本語は日本人の生活を支え、この国の文化を築いてきた。

日本語も万全とはいかず、ことばの意味はたいてい一つとは限らない。「井伏鱒二の本」「再婚した弁護士の妻」など何種類かの意味にとれる。「奥さん生まれたらしいね」「うちの娘は男の子」で話が通じ、「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」という交通標語が目的をはたすのは、聞き手や読み手が常識を働かせ、ことばの奥にある話し手や書き手の意図をくみとろうとするからだ。コミュニケーションは発信者と受信者との共同作業なのである。たがいを思いやる人のやさしさが、世の中をなめらかに動かす。

この本はそういう円滑なコミュニケーションを支える日本語をみがくことを最終目標に、日常の生活場面で具体的に役立つ、血の通った、楽しい類語辞典をめざした。日本語を分類するのではなく、とりまく【自然】【人間】【文化】の環境のもと、ともに生きている〔土地〕〔動物〕〔人体〕〔活動〕〔学芸〕〔産物・製品〕〔抽象〕〔認定・形容〕…といったジャンル、暮らしに密着した《天候》《樹木》《病気》《親族》《職業》《感情》《家庭》《行為》《経済》《交通》《芸術・芸能》《住》《時》《位置》《たしからしさ》《つながり》…といった領域の各分野ごとに必要なことばを採集するという方向で語彙選定をおこなった。

ことばを引いて意味を知る国語辞典とは逆に、意味からことばを探しだすところに類語辞典の本領がある。国語辞典では単語単位にすべての意味を記述するが、類語辞典は意味が中心だから、「円」は《学問》と《単位》、「かね」は《化合物》と《経済》に、それぞれの語群で現れる。同一分野でも意味が違えば別の語群に出る。「天気」は空模様の意では「天候」の次に現れ、晴れの意では「晴天」「好天」の次に出る。観点が違っても同様で、「秋刀魚」や「鱧」は《魚類》と《食》とに現れ、後者では調理法に言及する。

ことばが浮かばないと国語辞典は引けない。こういう意味をどう表現するか、そんなときが類語辞典の最初の出番だ。異性に心ひかれる気持ちであれば、【人間】の部の〔感性〕というジャンルの〈好〉という領域を引くと、「熱愛・思慕・鍾愛…」「熱を上げる・惚れ込む・恋い焦がれる・ぽうっとなる・憎からず思う…」「慕わしい・恋しい・愛しい…」「ふわふわ・くにゃくにゃ…」といった語群が意味と用例つきで並んでいる。すぐに思いつく「雨」や「小雨」から「涙雨・微雨・細雨・煙雨・小糠雨…」といった語群を引いて最適の語を選ぶときが第二の出番だ。それに備え、めざす語群にすぐにたどりつく便利な五十音順索引を考案した。

表現面に役立つよう、そのほかさまざまな工夫を重ねた。ことばの慣用的な結びつきを重視して用例を豊富に掲げた(「雨」に八例、「時間」に七例、「緩い」に七例)のも、適宜 古風・文章・会話・俗語 といった位相や季語を示したのも、「風」の近くに「起こる・立つ・出る・吹き募る・吹き渡る…」という動詞や「そよそよ・ビュービュー」といったオノマトぺを配したのも、「その気になる」「本腰を入れる」「如何ともしがたい」「事志と違う」「時を移さず」「一癖も二癖もある」「目にも留まらぬ」「応接に暇が無い」といった連語・慣用句などの長い単位をとりあげたのも、その一例である。

意味分析の専門家の書き下ろしたコラム[類語のニュアンス]は、「ほこり・ちり・ごみ・くず」「照る・光る・輝く」「怖い・恐ろしい」といった紛らわしいことばの微妙なニュアンスの差を解説してあり、これは表現と理解の両面に役立つだろう。

以上の実用性とともに、肩こりのほぐれる楽しい辞典にすることにも力を注いだ。類語辞典の伝統を破って、図解の有効な項目に多数のイラストを挿入したのはその試みだ。各ページの欄外に、「智恵子は東京にが無いといふ、ほんとのが見たいといふ。」「ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ」といった項目関連の名言名句をちりばめたのも、言語文化論の専門の立場から、日本語に映る日本人の姿を描いた三つの扉エッセイを掲げたのも同様だ。巻末の[カラー歳時記]は、日本人の暮らしに深くかかわる花・鳥・風物・行事を写真とイラストでたどり、美しい日本の四季をめぐる楽しい旅である。

「違法・非合法・不法・無法」ということばの意味を区別する知識がまず必要だ。「文士」という語には時代の空気と凛然とした響きを感じ、「ものかき」という語には生計を支えるために書くといった自虐的なにおいがあるという。「作家」「文筆家」「著述家」それぞれにみな違う。そういう語感を嗅ぎ分けるセンスもほしい。どの葉を見ても「緑」で間に合わせる人もあれば、「鶯茶・老い緑・鶸色・萌黄色・抹茶色・苔色・山葵色・木賊色…」と形容し分ける人もいる。それは表現の細かさの問題ではない。感じ方の繊細さが違うのだ。理解し表現する語彙が増すにつれ、考え方や感じ方の幅が広がる。教養とは遊び心であり、この世を心ゆたかに生きるための知恵である。味わい深く生きたいと、テラスや公園のベンチで、あるいは芝生や畳に寝ころんで、好きなページを開く。思い思いに楽しんでいるうちに、やがて風がページをめくるかもしれない。 ことばがなかったら、夏目漱石の小説も小津安二郎の映画も存在せず、モーツァルトやセザンヌを語ることもできない。いとしい相手に思いを伝え、献立を考えるにも、患者が体の不調を訴え、医者が指示を下すにも、表情や手ぶりでは心もとない。ことばは人生に潤いをあたえ、命をも救う。むろん、万能ではない。落日の海の色、林を渡る風の音、ワインの味や香り、あるいは憤り、ためらい、晴れがましさ、そういう感覚や感情を描くのは苦手だ。が、思考活動を自在にする。日本語は日本人の生活を支え、この国の文化を築いてきた。

日本語も万全とはいかず、ことばの意味はたいてい一つとは限らない。「井伏 二の本」「再婚した弁護士の妻」など何種類かの意味にとれる。「奥さん生まれたらしいね」「うちの娘は男の子」で話が通じ、「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」という交通標語が目的をはたすのは、聞き手や読み手が常識を働かせ、ことばの奥にある話し手や書き手の意図をくみとろうとするからだ。コミュニケーションは発信者と受信者との共同作業なのである。たがいを思いやる人のやさしさが、世の中をなめらかに動かす。

この本はそういう円滑なコミュニケーションを支える日本語をみがくことを最終目標に、日常の生活場面で具体的に役立つ、血の通った、楽しい類語辞典をめざした。日本語を分類するのではなく、とりまく【自然】【人間】【文化】の環境のもと、ともに生きている〔土地〕〔動物〕〔人体〕〔活動〕〔学芸〕〔産物・製品〕〔抽象〕〔認定・形容〕…といったジャンル、暮らしに密着した《天候》《樹木》《病気》《親族》《職業》《感情》《家庭》《行為》《経済》《交通》《芸術・芸能》《住》《時》《位置》《たしからしさ》《つながり》…といった領域の各分野ごとに必要なことばを採集するという方向で語彙選定をおこなった。