三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
日本語「形成」論 日本語史における系統と混合
日本語はどのように生まれたのか。
南北の言語が日本列島にて混合したとする「形成」論の立場からその起源に迫る。
オーストロネシア語研究の泰斗が個別の語彙の意味変化もふまえ実証的に論考した、渾身の書。
特長
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著者略歴
崎山 理(さきやま・おさむ)
1937年、大阪市生まれ。
東京外国語大学外国語学部卒業を卒業後、京都大学大学院文学研究科言語学専攻単位取得退学、インドネシア大学・ガジャマダ大学文学部給費留学。京都大学博士(文学)。
大阪外国語大学外国語学部・広島大学総合科学部助教授、国立民族学博物館助教授・教授、滋賀県立大学人間文化学部教授を経て、国立民族学博物館・滋賀県立大学名誉教授。
著書に『南島語研究の諸問題』(弘文堂、1974年)など。編著書に『日本語の形成』(三省堂、1990年)、『消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題』(国立民族学博物館調査報告39、2003年)ほか。
目次
◆第1部 従来の日本語系統論
第1章 日本語の形成過程と言語接触
1.1. 日本語の系統論と形成論
1.2. いくつかの時代錯誤―アイヌ語説、タミル語説など
1.3. 言語混合とピジン・クレオール
1.4. 日本語の形成とオーストロネシア語族
1.5. オーストロネシア語族の特徴
◆第2部 日本語形成論への展望
第2章 ツングース諸語の言語要素
第3章 世界における混合語
◆第3部 古代日本語におけるオーストロネシア語系語彙・文法要素
第4章 日本語の混合語的特徴
4.1. オーストロネシア祖語から古代日本語へ
4.2. 祖語形の継承
4.3. 音変化の法則
4.4. オーストロネシア祖語音*R の変化
4.5. 日本語の表記上の問題点―とくに「ハ行転呼音」について
4.6. オーストロネシア語系語彙の古代日本語への変化
第5章 民俗語彙例―音変化と意味変化
5.1. イネ関連の語彙
5.2. 風・季節・方位名
5.3. 色彩名
5.4. 植物名
5.5. ヤドカリ(アマン)神話の起源
5.6. 琉球語の場合
第6章 接辞の起源
第7章 人称代名詞の体系
第8章 語彙からみた稲作の歴史
第9章 地名に読む渡来の時期
9.1. 従来の「南方系言語」語源説
9.2. ハイ期(縄文時代後期)
9.3. ヨネ期(縄文時代晩期~弥生時代初期)
9.4. ハヤト期(古墳時代)
第10章 日本語とオーストロネシア諸語の「特異な対応」