固有名詞英語発音辞典

品切れ
定価
6,600円
(本体 6,000円+税10%)
判型
B6変型判
ページ数
976ページ
ISBN
978-4-385-15196-0
寸法
18.2×12.6cm

固有名詞の発音を組織的に扱ったユニークな辞典。

大塚高信、寿岳文章、菊野六夫 編

  • 固有名詞の発音を組織的に扱ったユニークな辞典。
  • 本辞典は一般的な地名・人名はもちろん,西洋古典文学,難解なアイルランド地名,英米の村・小都市名(諸外国は人口2万以上の都市)をも含み,92,500項目を採録。
  • 発音表記はジョーンズ式。

特長

さらに詳しい内容をご紹介

はしがき

 どこの国でも固有名詞の発音はやっかいである.普通の読みどおりにゆかない場合が少なくないからである.英語で書かれたものの中に出てくる固有名詞の発音には,万人が多かれ少なかれ困っていると思うが,それでも,使用度の高い語であったら,たとえばLeicester(発音記号、省略),Cholmondeley(発音記号、省略),Kurath(発音記号、省略)のようなものは,普通の辞典にも発音辞典にものっているから,困らない.ところMagdaleneがになると,[][][](発音記号、省略)と大体三通りの発音があり,やっかいだが,発音辞典を見ればそれぞれの場合がわかる.困るのは知名度の低い地名や人名,ことに外国の地名・人名や外国に由来する英米人の名前である.それらが英語で書いた文の中に出てくる場合,とにかく音に出して何とか言わなくてはならぬ.このときとまどうのは,われわれ英語を母国語としない外国人ばかりではなく,英米人自身でも自信のないことが多い.

 外国の地名・人名で使用度の高い語には,英語化した(Anglicized)発音が確立し,辞書にもその発音が明示されているけれども,そうでない語には,まだ英語流の発音が一般的になっていないので,原語音に近い英語音で発音されることになる.したがって,このような場合には,人によって発音のしかたが多少違ってくる.そして皮肉にも,われわれ外国人が必要とするのは,こういった語についての発音である.当然あってしかるべきなのに,固有名詞発音辞典というものが世に出ない一つの理由は,ここに求められよう.

 この辞典では,英語国民の間で確立している固有名詞の発音は無論のこと,英語で書かれた文――音素およびその配列が英語的である文――の中で,あまり耳障りにならぬように外国音の固有名詞を英語音に転写する試みが,かなり大胆に行なわれている.だから,「まずこのように発音したならば,英語の文の中ではおかしくないだろう」というくらいのところを目安にした場合も少なくない.

 音声記号と表音方式は,わが国でもっとも一般的になっている,いわゆるJones式によることにした.記載事項の選択その他に関しては内外の諸著に多大の恩恵をうけたが,転写は編者たちの責任において行なわれていることを記して,感謝の意を表わすと同時に責任を明らかにしておきたい.

 この仕事をはじめてから10年以上の月日が流れた.その間いくたびか挫折しかかった.それほどこの仕事は困難なのである.しかし困難ではあっても,誰かが手をつけないかぎり,いつまでたっても道は開けないだろう.この辞書の編者たちは,いわば未開の地にはじめて鍬を入れただけで,解きほぐされていない部分も多かろう.これを拓いて沃地に造成するには,編者たちもさらに努力するつもりであるが,今後他の人々の好意に俟つところ多いであろう.不安な気持の奥にそうした好意を期待しつつ,あえてこれを世に送るわけである.

1969年 6月

編者