コンサイス20世紀思想事典 第2版

品切れ
定価
5,280円
(本体 4,800円+税10%)
判型
B6変判
ページ数
1,056ページ
ISBN
4-385-15370-1
  • 改訂履歴
    1989年4月20日
    初版 発行
    1997年10月30日
    第2版 発行

「思想」を一つの核として、社会・芸術・科学・宗教・哲学などのあらゆる分野からキーワードをもとめ、20世紀を解読する事典。

木田 元、栗原 彬、野家啓一、丸山圭三郎 編

「思想」を一つの核として、社会・芸術・科学・宗教・哲学などのあらゆる分野からキーワードをもとめ、20世紀を解読する事典。

歴史叙述、人名解説付き。

執筆者265名。

特長

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「コンサイス20世紀思想事典」の内容より

第2版改訂にあたって

 この事典の初版の刊行が1989年、あれから8年が経過し、今世紀も余すところ3年というところまできた。幸いこの事典は予想外に多くの読者を得て、われわれの所期の目的は達成されたように思う。しかし、この8年間に東西ドイツの統一、誰も予想しなかったソ連邦の解体、東欧諸国の社会主義政権の崩壊、各地の民族紛争、中国の解放政策・香港の返還と、思いつくままに挙げてもいくつもの大きな事件が起こり、世界政治の構図が激変した。またパソコンの急速な普及によって世界の隅々までインターネットが張りめぐらされ、情報社会の構造が大きく変わり、遺伝子操作技術の発達によって現実にクローン動物がつくりだされ、無人探査機が火星にまで届くようになった。  当然この事典も90年代に入ってからの政治情勢や科学技術のこうした変化に応える必要に迫られた。こうしてわれわれは一昨年来大幅な改訂作業を進めてきたが、ようやくその作業も終わろうとしている。初版での思いがけない欠落も埋めることができたと思う。冒頭の「20世紀の歴史と風景」にも1990年代が追加された。この事典が20世紀思想のいっそう完全な決算書になり得たと信じている。  第2版の編集にあたっては、木村靖二、篠原資明、野谷文昭、村井吉敬の諸氏に絶大なご協力をいただいた。厚くお礼申し上げる。また、この間病に倒れた編集委員丸山圭三郎氏の冥福を祈りたい。初版以来この事典の編集を担当され、この改訂を最後の仕事にして三省堂を去られる横山民子さん、本当にご苫労さまでした。 1997年 10月 1日

編集委員 木田 元 栗原 彬 野家啓一

監修のことば

 20世紀も間もなく90年代に入ろうとしているが、振り返ってみればこの1世紀、人類は信じられないような激動を経験してきた。科学・技術の発達によるわれわれの物質生活の変化はいうまでもない。マルコーニが大西洋横断無線通信に成功したのがやっと1901年であったのに、いまではほとんど全世界がエレクトロニック・メディアで結ばれている。ライト兄弟が最初の動力飛行機で260メートルの距離を飛んだのがやっと1903年であったのに、いまでは人類は月まで有人口ケットを飛ばしている。たしかに、われわれの生活は変わり、便利にはなった。しかしその反面、そうした科学・技術の発達が、偶然の過失によって人類の絶滅を招きかねない核戦争の危機や、いかなる結果を生ずるか予測しがたい遺伝子操作、公害と環境破壊、貧富の極端な格差、教育の荒廃など、さまざまな問題を引き起こしてもきた。この間、世紀のはじめには揺るぎないものに思われた欧米中心の世界政治の構図も、2次にわたる大戦の結果大きく様相を変えた。かつての植民地や従属国からなる第三世界の発言力が増大し、欧米の地位が相対的に下落したし、東西の対立が南北の対立に転じつつある。  こうした情勢に対応して、今世紀の思想の動きも激しかった。間近かなだけに、たしかにその動きには眺望しにくいところがある。しかし、いったい20世紀が何であったのかを、少なくとも思想の面で整理し、その在庫調査をして、これを21世紀に伝えるのはわれわれの責務であろう。そして、なんとかそれを果たすことのできる時期がきているようにも思われる。そこで、この事典では、1890年から1990年まで、つまり前世紀末から私たちが立っている今世紀末までをおおよその目安にして、世界的視野に立ち、科学・芸術・宗教・哲学・社会・風俗の諸分野を展望し、およそ一つの思想としての形をとったもの、そしてそれを読み解くためのキー・ワードを集め、総合的なパノラマをつくろうと試みた。これを現代思想用語辞典として使うことはたぶん可能であろうし、たしかにそれもこの事典のねらいの一つではある。しかし、私たち編集委員の本来の意図は、これをこのままタイム・カプセルにつめて後世に残してもよいような「20世紀思想の決算書」をつくろうというところにあった。そして、多面的な構成によって、かなりの程度までその目論見を達成したと自負している。これから21世紀を生きようとしている若い人たちが、今世紀の遺産を承け継いで、新しい世紀の新しい思想を形成してゆくためにこの事典を役立ててくださることを切に望みたい。  多くの方々に、こころよく執筆をお引き受けいただいたことを感謝している。望みうる最高の執筆者をそろえることができたと思っている。図版作成をお願いした西本真一氏、付録の作成に協力していただいた村岡晋一氏にも謝意を表したい。また編集を担当された横山民子氏をはじめ三省堂編集部の方がたに心からお礼を申し上げたい。 1989年 1月

編集委員  木田 元 丸山圭三郎 野家啓一 栗原 彬 野家啓一

構成内容と手引き

構成内容と手引き(コンサイス20世紀思想事典)