三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
三省堂 現代川柳鑑賞事典
田辺聖子氏が「いま、もぎたて、新鮮!現代をかけぬける旬の川柳たち」と推薦。
秀句7,000をテーマ別に分類して収載。
第23回熊日出版文化賞受賞『三省堂現代川柳必携』の続編。
- 時実新子・尾藤三柳・礒野いさむ・橘高薫風・吉岡龍城から、新進の、なかはられいこ・やすみりえ・倉富洋子まで現代川柳の精鋭250人の秀句を鑑賞。
- 見開き2ページで、鑑賞1句に、略歴・作品10句ずつを添えた、初の本格的川柳鑑賞の事典。
- 読みやすく、ハンディな造本で携帯に便利。
特長
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編著者略歴
田口 麦彦(たぐち・むぎひこ)
1931(昭和6)年アメリカ、アラメダ市生まれ。川柳噴煙吟舎副主幹。日本大学法学部卒。日本川柳ペンクラブ常任理事、(社)全日本川柳協会常任幹事、読売新聞西部版「笑福川柳」選者、NHK熊本文化センター講師。第18回三條東洋樹賞、第22回熊本県文化懇話会新人賞、『三省堂現代川柳必携』にて第23回熊日出版文化賞受賞。 著書に『三省堂現代川柳必携』(編)・『川柳表現辞典』(編著)・『川柳入門はじめのはじめ』・『川柳とあそぶ』・『現代川柳入門』など。
まえがき
わずか十七文字で、どれほどのことが表現できるであろうか。多くの人がそう思うであろうが、そうは思わないで一生をそれに賭ける人たちがいる。俳句とともに、世界で最も短い文芸である川柳のたのしさ、鋭さ、深さに魅せられて日々詠み続ける作家たち。
そういう人たちの作品が、もっと世の人に知られてよいのではないか―そんな思いに駆られてこの事典を刊行することとなった。
既刊の『三省堂現代川柳必携』を作品紹介のX軸とすれば、これは作家ひとりひとりにスポットを当てたY軸。両者あわせて立体的に川柳の楽しくも雄大なパノラマを見ていただけるであろう。
現代川柳の精鋭二五〇名の秀句各一句を取り上げて鑑賞し、読者の方に読物としてたのしんでいただくことを心がけた。と同時に、作家の略歴と、代表的な作品10句を添えてアンソロジーとして資料的価値を備えるようにした。現代社会における多様な価値観と反映して、現代川柳も多種多彩である。
一見、混沌のようであるが、川柳は時代の空気を呼吸し、人間批評・社会批評がオリジナリティであることを感じていただければ幸いである。最後に、刊行にあたって掲載作家はもとより、多くの方からご協力いただいた。また、世に出る力添えを賜った三省堂出版局の松村武久、田中慶太郎両氏に心から感謝したい。
2003年 12月
田口 麦彦
作家別索引(五十音順)
あ
青木 十九郎 大不況キャンパスにいて遠く聞く――2 赤松 ますみ うす暗い廊下で過去と擦れ違う――4 あき みはら 食卓の向こうで椅子は冷えてゆく――6 あきた じゅん ノンストップの電車は奈落行きだろう――8 あべ 和香 図書館の北窓にいるハムレット――10 天根 夢草 海がまだ見える三十歳の朝――12 淡路 放生 八月の寒さか児童相談所――14 安西 まさる 滅私奉社家族にみはなされる秋――16 安藤 富久男 火口覗く 夫婦に長い歳月よ――18 石川 重尾 雲が行く 有象無象は生き残る――20 石曽根 民郎 想い出のひと多くみな月のなか――22 石田 明 花火果つもとの闇より深き闇――24 石田 柊馬 短針は古い左翼を知っている――26 石部 明 あかんべえしてするすると脱ぐ国家――28 石森 騎久夫 駅の名は忘れた 花が咲いていた――30 伊豆丸 竹仙 四万十は神代の水がまだ流れ――32 和泉 香 夕方の人のかたちのたよりなさ――34 泉 比呂史 合格のいちにち笑うことばかり――36 礒野 いさむ 人を傷つけた一文悔いて冬――38 一戸 涼子 身も蓋もあって書籍店迷路――40 市村 京子 父が搗き母が丸めた白い餅――42 今川 乱魚 栗がたんとありますように栗ごはん――44 岩井 三窓 聖戦だったなゲートルを巻いた頃――46 岩崎 眞里子 たんぽぽも 夫の髭ものびはじめ――48 岩淵 黙人 笑ってるうちに首輪を嵌められる――50 上岡 喜久子 個性ゆたかに味方一万敵五万――52 上野 豊楽 人間が好きでセッセと一行詩 ――54 宇田川 圭子 卵割る女ひとりの音となる ――56 内田 順子 少年は二学期柿の実を見上げ ――58 撫尾 清明 本堂で弥陀と二人の立ち話 ――60 卜部 晴美 今日よりも若い日はない髪を撫で――62 江尻 麦秋 七人の敵が名刺の裏にいる ――64 江畑 哲男 父さんも家族 冷蔵庫を開ける ――66 近江 あきら この家に祭りの日から来た金魚――68 大家 北汀 熱血漢ドンキホーテと言われても――70 大内 順子 鮭のぼる川のほとりの老人病棟 ――72 大木 俊秀 誰だカレーをこんなに辛くした奴は ――74 太田 紀伊子 主婦の顔置き去りにしてライブ館――76 太田 虚舟 炎天を無欲になれぬおとこたち――78 大西 泰世 なにほどの快楽か大樹揺れやまず――80 大野 風柳 いなないた馬に故郷はすでに無し――82 大場 可公 今日もまたいのちの電話鳴り止まず ――84 岡崎 たけ子 どうせならたけ子情死と書かれたし ――86 岡崎 守 風船を放つ春天への奢り――――88 荻原 鹿声 少年法からはみ出した長い脚 ――90 荻原 非茶子 桜咲いて退職教師落ちつかず ――92 荻原 柳絮 マスクして恋人の瞳が生きている――94 奥 美瓜露 人間にすこし広めの檻がある ――96 奥田 みつ子 誰よりも好きで嫌いなのが自分 ――98 奥山 晴生 麒麟老い検尿カップ持たされる ――100
か
柿山 紘輝 青空が陥落地点からも見え ――102 柏原 幻四郎 人の世の重い電話が不意に鳴る――104 加島 一郎 種あかし見せぬ手品に馴らされる ――106 片岡 湖風 母さんと叫んだ兵の墓なりし ――108 片倉 沢心 生涯現役脳の振り子は振りやまぬ ――110 片野 智恵子 見なければ知らねば澄んだままの秋 ――112 片柳 哲郎 月の視野 誰か双刃を研ぎ居たり ――114 加藤 かずこ 壊されたハートが溜まる石の街――116 加藤 翠谷 職さがすおとこをせかす風にあう ――118 加藤 久子 Gパンがぱりんと乾く前衛俳句――120 金築 雨学 欠席の葉書に理由など入れず ――122 狩野 満子 すべり台すとーんとここが現住所 ――124 鎌田 京子 いつも発熱 旅人が来る夜は ――126 加茂 如水 五月病せせらぎの音聞かそうか――128 辛島 静府 セットした妻N響のキップ持つ――130 かわたやつで 無い袖を振っております見えますか ――132 河内 月子 時々は叫んで自分たしかめる ――134 河内 天笑 ヴァイキングゆっくり食べたことがない――136 川俣 喜猿 祭日の旗にほどよい風があり ――138 岸本 吟一 これ墓碑とせん母百句父百句 ――140 北村 泰章 風が甘い妻よ砂丘に登ろうか ――142 橘高 薫風 革命さはじめてコーラ飲んだ日は ――144 木野 由紀子 フライパンわたしの狂を裏返す――146 木村 木念 極楽の音は聞けない聴診器 ――148 木本 朱夏 おもいきり顔を洗ってあれは 夢 ――150 國清 佳子 愛されているフルートのいい音色 ――152 久場 征子 豪雪に生まれた日から親不孝 ――154 久保田 元紀 病院の坂には白い明日ばかり ――156 熊谷 岳朗 電池切れただそれだけで風が止む ――158 倉富 洋子 無言電話のむこうに月は出ているか ――160 倉本 朝世 空き家から大きな心音が漏れる――162 桑野 晶子 だれに似る骨肉ならん鯖をしめ――164 小池 正博 絶滅種数え尽くして青い空 ――166 河野 副木 花の酔い捨てて救急医に戻る ――168 小島 蘭幸 恋人の前でワントライを決める――170 小林 由多香 親に似た靴のゆがみを笑い合う――172 小松原 爽介 猿の芸ですかバンザイばかりして ――174 近藤 ゆかり 今年見る蝶もキャベツも新しき――176
さ
西郷 かの女 投函すきっとこっちを向くように ――178 西条 真紀 きのうは遠い とおいきのうの帯しめて180 斎藤 大雄 手で囲うマッチいのちの音で燃え ――182 酒井 路也 きびしさに耐えてレールが二本ある ――184 榊原 八狼 昇るほかない減反の縄梯子 ――186 酒谷 愛郷 ながいこと医者を信じて 口をあけ ――188 坂根 寛哉 この道をゆく中天に塔があり ――190 佐々木 久枝 春を待つ雪の土下座に及ばない――192 笹田 かなえ 火口見る 添えないひとのうしろから ――194 定本 イツ子 死の医学ほしいと看取る夜勤の灯 ――196 定本 広文 牛の歩で足りる新世紀は長い ――198 佐藤 岳俊 凍土掘る馬の埴輪に会えるまで――200 佐藤 幸子 影ふみ遊びわがサガレンは遠き島 ――202 佐藤 俊一 会社には流線型の僕がいる ――204 佐藤 とも子 包丁握る息吸うべきか吐くべきか ――206 佐藤 美枝子 農一揆 まだ降参はしていない――208 佐藤 みさ子 人付き合いゴリラ付き合い目を伏せて ――210 佐藤 容子 言い訳の嫌いな奇形魚が泳ぐ ――212 佐藤 良子 おにぎりの味を忘れるはずがない ――214 佐藤 美文 ピアノ連弾頭の隅にある残暑 ――216 猿田 寒坊 リヤカーにまだ積んである戦後処理 ――218 早良 葉 生きものは飼わずつんざく声もなし ――220 塩見 一釜 民の素手怒濤の如く国を変え ――222 塩見 草映 いい人のままで定年きてしまい――224 雫石 隆子 のぼりつめて紅白餅を食べている ――226 篠崎 智子 遮断機が上がる渡ってしまおうか ――228 柴崎 昭雄 錠剤をむさぼる朝の木馬かな ――230 柴田 午朗 八時六分広島駅にひとが待つ ――232 庄司 登美子 こどもの日母の日 五月って嫌い ――234 菖蒲 正明 カウンセラー生徒の秘密背負い込む ――236 新家 完司 犯罪に近い宴の食べ残し ――――238 末村 道子 出世したハープ奏者を遠く見る――240 須川 千恵 次の世もきっと女で髪洗う ――242 菅原 孝之助 少年の視野渺々と浜続く ――――244 杉野 草兵 五十歳でした つづいて天気予報 ――246 鈴木 柳太郎 本当の自分に触れるひげを剃り――248 雀地 真弓 バラの棘ひとつ除いて花束に ――250 須田 尚美 喉のあたりを狙い撃ちするコマーシャル252 鷲見 湖水 大きな雲だ両手ひろげて父だ父だ ――254 墨 作二郎 車座で読むアンネの日記 ビートルズ ――256 関 水華 初日燃ゆ言葉選びの果てに 核――258 園田 恵美子 しあわせなほうから名乗るめぐり逢い ――260
た
田頭 良子 AB型母と同じで父に似る ――262 高瀬 霜石 ヒーローの肩幅で出る映画館 ――264 高田 和子 また雪に埋まるであろう冬の墓――266 高田 寄生木 死者五人 出稼ぎ村のひとつの苗字 ――268 鷹野 青鳥 冬の鉛筆ころげて死刑廃止論 ――270 高橋 馨子 時々は死んだふりして生き延びる ――272 田口 麦彦 北京上海快晴銃殺刑日和 ――――274 竹内 すみこ 目に青葉 人間だけが不確かで――276 竹田 光柳 日本の平和にルビが振ってある――278 竹本 瓢太郎 晩学の哀しきまでに捗らず ――280 田代 時子 やすやすとユダになりたる風見鶏 ――282 田中 新一 楽になる距離にナイフが置いてある ――284 田中 伯 黙祷の一分間の半世紀――――286 田中 博造 ビルへ飛び込む鴉を見てるテロリスト ――288 千島 鉄男 介護するイチゴ大福むしゃむしゃと ――290 ちば 東北子 改憲へゆらぐ五月の儀杖兵 ――292 津田 暹 能力主義草履温める部下がない――294 手嶋 吾郎 闇に目がなれて裏切者が見え ――296 土居 哲秋 くずいもが転ぶと捕虜がみな転ぶ ――298 時実 新子 愛妻記神話のごとく読み終わり――300 冨永 紗智子 水を替えてと叫ぶ水中花とわたし ――302 冨安 清風子 笛吹けばみんなが右を向く怖さ――304 外山 あきら 炭坑節を踊ったあれは 幻か ――306
な
長井 すみ子 キッチンは苦手えんぴつ尖らせて ――308 永石 珠子 ひもじさも知らずに父を越す背丈 ――310 仲川 たけし 改造へもしやもしやのモーニング ――312 中島 和子 O型の女にひもじさはないか ――314 永田 俊子 鶴の瞑想或は人より深からん ――316 中野 恵空 霊柩車生者も浴びる花吹雪 ――318 なかはられいこ ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、320 中村 地青 老老介護子供は遠く離れたり ――322 浪越 靖政 削除キー確かに断末魔を聞いた――324 楢崎 進弘 故郷は遠くてポストまで歩く ――326 成田 孤舟 四面楚歌春は暦の上に来る ――328 鳴海 賢治 殺戮をしている時間めしを食う――330 西出 楓楽 敵はまだすらすら針に糸通す ――332 西來 みわ 親離れ子離れタンポポ吹いてみる ――334 野沢 省悟 吹雪来る空爆の音かすかに混じる ――336 野沢 行子 さくらんぼ次郎を愛してからの窓 ――338 野中 いち子 娘にも遺そう母の紙芝居 ――――340 野谷 竹路 贅沢は素敵独身貴族です ――――342
は
橋本 征一路 落下傘がひらかぬときは諦める――344 橋本 天呑 柿が熟れ栗が稔って亡母のこと――346 畑 美樹 愛は瞬間 ほうれんそうの茹でかげん ――348 浜口 剛史 鬼は外転がる豆はみな私 ――――350 濱本 千寿 なみへむかうたかにうまれしめはなだち352 早川 双鳥 美しい川が校歌にまだ残り ――354 原井 典子 定速で走り続ける霊柩車 ――――356 東川 和子 字幕では〈愛しているよ〉のリフレイン ――358 樋口 仁 トースターポンと跳ね上がるは我身 ――360 樋口 由紀子 浴槽に浮かべています国家など――362 久田 美代子 階段があるから欠にするはがき――364 尾藤 三柳 はじめに言葉ありて よごれつづける ――366 平賀 胤寿 生きるとは にくやの骨のうずたかし ――368 平田 朝子 水を飲む時人間の音がする ――370 広瀬 ちえみ このバスでいいのだろうか雪になる ――372 普川 素床 こわいなあ静かに笑うぼくなんて ――374 吹田 朝児 また雪になったとしまい湯の妻に ――376 福岡 竜雄 花束は楽屋で水に飢えている ――378 福田 文音 トンネルの長さになれていく臓器 ――380 福家 珍男子 真夜中に友だちを選る指を折る ――382 藤沢 岳豊 迎え撃つ冬へ貧しき雪囲い ――384 藤村 秋裸 砂時計の中のこわれそうな時間 ――386 ふじむらみどり 言霊が降るのでそっと受けとめる ――388 藤村 涼子 ペーパーカップいちどだけみた陽の光 ――390 藤本 静港子 セットポジションに切り換える定年後 ――392 古谷 恭一 戦争が幾つかあって麦畑 ――――394 保木 寿 保護司の目正面に見て立ち直る――396 細川 聖夜 明日を見るためにキリンの長い首 ――398 細川 不凍 母の手の鳴る方へ 魚形のおまえ ――400 堀 恭子 レモンティー辛い話は聞き飽きた ――402 本庄 快哉 玄関の灯りは父を待つあかり ――404
ま
前田 芙巳代 櫛を売るのは魂よりもすこしあと ――406 前原 勝郎 上弦の月より淡き他人の死 ――408 松岡 恵美子 塾の窓 遠い花火はまだ続く ――410 松岡 葉路 ホールインワンを喜劇にする保険 ――412 松田 悦子 生きなされ 韮の小さな花を摘む ――414 松田 京美 生も死もとても重たい象の足 ――416 松田 ていこ 黒髪の先まで耳となって待つ ――418 松田 浩子 鳴りつづく電話みつめているラスト ――420 松永 千秋 ジグソーパズル一片埋まらない家族 ――422 松本 仁 天皇の馬 なだれ込む 競馬場――424 松本 幸夫 見かけだおしの男が転ぶ朝の駅――426 嶺岸 柳舟 干魚の目からひろがる拿捕の海――428 宮村 典子 渇愛の隙間に落とすメール音 ――430 宮本 凡器 寿という字娘を連れていく ――432 宮本 美致代 喪が明ける一気に鯖の首はねる――434 宮本 めぐみ 愛された記憶大根干している ――436 村井 見也子 男から見えぬところで煮こぼれる ――438 村田 けん一 防人の如く単身荷をまとめ ――440 森 志げる 朝ドラの頃イチローは打っている ――442 盛合 秋水 冬銀河妻も魚座よサハリンよ ――444 森中 恵美子 にんげんの罪になるのか桃の傷――446 森本 夷一郎 塀があるここ中やろか外やろか――448
や
八木 千代 今はたましいの時間で月の下 ――450 八坂 俊生 宇宙から届く画像にある驕り ――452 矢須岡 信 観光旅行でヒロシマを見るのかい ――454 安永 理石 屋根に石積んでこの島逃げはせぬ ――456 安野 栄子 幸せな人と短く会ってくる ――458 やすみ りえ 真夜中のmail送ってひとりきり ――460 柳谷 かなめ 全方位汽笛一声 原爆忌 ――――462 山倉 洋子 戦争反対ナスもトマトも熟れている ――464 山崎 蒼平 蝶になれない少年少女しゃがむ街 ――466 山下 繁郎 栗ほじるレジスタンスは置き忘れ――468 山長 岳人 兎小屋ですがなんだかあったかい――470 山本 翠公 悪友と呼び悪友と思わない ――472 山本 忠次郎 寝押し癖人間の皮獣の皮――――474 山本 乱 物欲しいかたちにひらく私の掌 ――476 矢本 大雪 月はいま幸せだったころの位置 ――478 吉岡 茂緒 飽食や醜くむくむ朝の顔――――480 吉岡 龍城 母がつくる巻きずしの具はあふれてた ――482 吉田 健治 青年みるみる銀髪となるマラソン――484 吉田 州花 北の窓ながらえて剥ぐ目貼かな ――486 吉田 成一 北上川人になど生まれるもんじゃねえ ――488 万 迷多 旅立ちの日はいつだろうジャンプ傘 ――490
わ
脇坂 正夢 すぐ結婚すべしコンピューターの馬鹿 ――492 渡辺 和尾 声上げて三月の川跳び越える ――494 渡辺 隆夫 第二国歌ラジオ体操第二のように――496 渡辺 康子 くちづけも死もキラキラと春の奥――498 渡辺 裕子 コレクトコール受けるこめかみから雨に――500