三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
図解 日本の文字
「見て」わかる。「読んで」わかる。ちょっと難しい文字の本。
- 好評の「図解シリーズ」第二弾!
- 日本語の文字や表記についてもっと知りたい、学習したいと思っている人の待望の入門書。
- 見やすい二段組みレイアウト。
- 上段は平易で具体的な解説、下段は解説に対応する図表や、理解をより深める脚注・関連資料など。
- 図版・グラフ・文字資料・地図等、約150点を掲載。
特長
さらに詳しい内容をご紹介
まえがき
日本語は、漢字・平仮名・片仮名、そしてローマ字という複数の文字体系で書かれます。たとえば、「猫」「ねこ」「ネコ」「NEKO」のように書くことができます。一つのことばに対して、このような多様な書き方ができる言語は世界に類例がありません。ローマ字は別にしても、どの表記を用いればよいかと困惑した経験もあるのではないでしょうか。現代はパソコンや携帯電話などの情報機器の発達によって、手書きするだけでなく、キーを打ち、文字を選ぶということも多くなってきました。インターネットの発達によって、大量の文字情報をすばやく手に入れることもできます。
このように、文字はますます私たちの身近な存在として格段にその重みを増しています。また、日本語の文字表記は多様である反面、多元的な歴史的背景を持ち、複雑な点も少なくありません。そこで、不明な点を解決したい、初歩から学びたいというような、日本語の文字や表記に興味を持つ方々のために本書を編集しました。
先に刊行した『図解日本語』に倣って、図や表などをできるだけ多く掲載し、見やすく読みやすくするとともに、できるだけ平易に解説することを心がけました。本文の説明を補足する事柄や、それぞれの事項と関連する情報などは脚注に示した場合もあります。初歩的な知識からやや専門的な内容に至るまで、広く、また必要に応じて、深く学習できるように工夫しました。
興味を持った章から読み始めてください。とりあえずは知りたい部分だけ読むというのもよいでしょう。文字について何か疑問に感じる事柄が生じたら、すぐに手にとって読んでください。本書によって、日本語の文字表記に対する理解がより深まれば幸いです。そして、広く日本語に対して興味を持ってくださることを期待しています。
著者一同
執筆者略歴
沖森卓也(おきもり・たくや)
1952年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専攻修士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学名誉教授。編著『日本古代の表記と文体』(吉川弘文館、2000)『日本語の誕生-古代の文字と表記-』(吉川弘文館、2003)など。
笹原宏之(ささはら・ひろゆき)
1965年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、早稲田大学社会科学総合学術院教授。主要著書に『日本の漢字』(岩波新書、2006)、『国字の位相と展開』(三省堂、2007)など。
常盤智子(ときわ・ともこ)
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻(日本語日本文学専門分野)博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、白百合女子大学准教授。主要論文に「J.リギンズ『英和日用句集』の成立過程─『南山俗語考』との関連を中心に─」「国語と国文学」第81巻第10号(至文堂、2004)など。
山本真吾(やまもと・しんご)
1961年生まれ。広島大学大学院文学研究科国語学国文学専攻博士課程後期退学。博士(文学)。現在、東京女子大学現代教養学部教授。主要著書に『平安鎌倉時代に於ける表白・願文の文体の研究』(汲古書院、2006)など。
(2024年8月現在)