三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系 古代から現代までの変遷を見通す
- 定価
- 4,180円
(本体 3,800円+税10%) - 判型
- A5判
- ページ数
- 592ページ
- ISBN
- 978-4-385-36307-3
- 3月24日 販売会社搬入予定
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改訂履歴
- 2025年3月31日
- 発行
古代日本語から現代日本語までの変遷を見通す画期的論考
古代日本語から近代日本語への大きな転換点である、中世末期日本語の文法研究に長年取り組んできた著者の、これまでの研究をまとめる集大成。日本語の変遷を考えるうえで極めて重要な言語であるにもかかわらず、そのテンス・アスペクト・モダリティ体系がこれまでよく分かっていなかった中世末期日本語の不明部分を明らかにし、古代語から現代語までの変遷を明快に見通せるようにした画期的論考。
特長
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著者プロフィール
福嶋 健伸(ふくしま たけのぶ)
実践女子大学文学部国文学科教授。博士(言語学)。1973年、東京生まれ。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、2003年3月、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科言語学専攻(日本語学)修了。2003年4月、実践女子大学文学部国文学科助手に着任。専任講師、准教授を経て、2017年4 月より現職。2011年4月より1年間は、米国University of WashingtonのDepartment of Linguistics のVisiting Scholar。主要論文は「中世末期日本語の~ウ・~ウズ(ル)と動詞基本形―~テイルを含めた体系的視点からの考察―」(京都大学文学部国語学国文学研究室『国語国文』80-3, 2011 年3 月)、「新しい学説はどのように古典文法教育に貢献するのか ― ~ム・~ムズの違和感を言語類型の変化とテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷から説明する―」(日本語文法学会『日本語文法』18-2, 2018 年9 月)など。
目次
まえがき
序章 本書の目的と意義等
第1部 中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系を記述する
第1章 中世末期日本語の~タと~テイル・~テアル
第2章 中世末期日本語の~テイル・~テアルと動詞基本形
第3章 中世末期日本語の~ウ・~ウズ(ル)と動詞基本形―~テイルを含めた体系的視点からの考察―
第4章 中世末期日本語の~テイル・~テアル―進行態を表している場合を中心に―
第5章 中世末期日本語のウチ(ニ)節における~テイルと動詞基本形
第6章 中世末期日本語の~テアルの条件表現―状態表現として解釈できない~テアレバが存在する―
第7章 中世末期日本語の~タにおける主格名詞の制限について―文末で状態を表している場合を中心に―
第1部 付章 ~テアルの変遷
第1部のまとめ 中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の記述
第2部 中世末期日本語の体系を踏まえて古代日本語から現代日本語への変化を読み解く
第8章 従属節において意志・推量形式が減少したのはなぜか― 日本語の変遷を「ムード優位言語ではなくなる」という言語類型の変化として捉える―
第9章 中世前期日本語の「候ふ」と現代日本語の「です・ます」の統語的分布の異なり―文中には丁寧語があるが文末にはない場合―
第10章 中世前期日本語の「候ふ」と現代日本語の「です・ます」との異なり―「丁寧語不使用」の観点から―
第11章 日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷― どのようにして古代日本語の体系から現代日本語の体系になったのか―
第2部のまとめ 古代日本語から現代日本語への変化
第3部 「国語教育」「現代日本語のアスペクト研究」「形式と意味の関係の記述方法」「日本語学史」への関わりを示す
第12章 「 む」「むず」の違和感を「言語類型の変化」と「テンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷」から説明する
第13章 古典文法書間で「む」「むず」の記載内容はこんなにも違う・その1―「古典文法教育が苦痛であること」の本当の理由―
第14章 古典文法書間で「む」「むず」の記載内容はこんなにも違う・その2―「む」と「むず」の違いを大学等の入試問題で問うことは妥当か―
第15章 現代日本語の格体制を変更させている~テイル・その1―「池に鯉が泳いでいる」「冷蔵庫にビールが冷えている」とはいうが「池に鯉が泳いだ」「冷蔵庫にビールが冷えた」とはいわない―
第16章 現代日本語の格体制を変更させている~テイル・その2―小説のデータを用いたニ格句の分析―
第17章 アスペクト研究における形式と意味の関係の記述方法を問い直す―~テイルの発達を踏まえて―
第18章 モダリティの定義に二つの立場があることの背景―「意志・推量」「丁寧さ」「疑問」「禁止」の各形式の分布が文末に偏ってくるという変化に注目して日本語学史と日本語史の接点を探る―
第3部のまとめ 「国語教育」「現代日本語のアスペクト研究」「形式と意味の関係の記述方法」「日本語学史」への関わり