−定型句について−
定型句(phraseology)とは,一定の文脈に頻出する語群のことで,従来の成句(idioms)だけでなく,コロケーション(collocations)や慣習的に用いられる文(institutionalized sentences)をも含む概念である。
成句はそれを構成する1語1語の意味を足し合わせても全体の意味を表さない(opaque)ものを指し,日常英語では比較的使用頻度は高くない。定型句はその形式が定型であることに注目し,その意味は文字通りの意味の(transparent)ものから,語用論的にさまざまな発展を遂げたものまで含め,その範囲は広い。また,定型句は,日常英語で会話を始めたり,話題を転換したり,話題をまとめたりする談話辞(discourse markers)と呼ばれるつなぎ言葉としてもしばしば現れる。定型句を適切に使うことで,会話を流暢なものにするし,何よりも,定型句のような既成の語群を一切使わず,すべての語群がその場で組み立てられる言語活動というのは難しい。
『ウィズダム英和辞典』では,表現活動を豊かにする定型句は用例を太字の斜体にし,特に語用論的に発展を遂げたものには積極的に注記を与えて便宜を図った。以下の項目で確認されたい。
Thank you [Congratulations] again! とにかくありがとう[おめでとう], 改めてお礼[お祝い]申し上げます ([!](コーパス) 一度Thank you [Congratulations].とお礼[祝辞]を述べて関連する話をした後締めくくりとして用いる). [s.v. again (副) 1]
Breakfast in bed tomorrow for you. 明日は朝食を寝床に持っていってあげるわ ([!] breakfast in bedは大事にされることやぜいたくの象徴としてしばしば用いられる). [s.v. breakfast (名)]
It is hard [difficult] to imagine my father at a children’s party. 子供のパーティに出ているうちの父なんて想像するのは難しい ([!] it is C to imagine …の構文のCの主なものはhard, difficult, easy, impossible, possibleなど). [s.v. imagine (他) 1]
I wouldn’t [would never] dream of insulting you. ((話)) 君を侮辱(ぶじょく)しようなどとは夢にも思わない. [s.v. dream (自) 3]
You wouldn’t think it to look at her, but she writes all these romantic stories. ((主に英)) 彼女を見て見かけによらないと思うだろうが, 彼女がこれらの恋愛小説を全部書いているのだ ([!] itはbut以下の内容をさす). [s.v. think (他) 1f]