10分でわかるカタカナ語

第2回 インフラ

2004年11月15日

どういう意味?

道路・通信・公共施設など「産業や生活の基盤となる施設」のことです。

もう少し詳しく教えて

インフラはインフラストラクチャー(infrastructure)の略で、もともとは「下部構造」という意味です。これが転じて「産業や生活の基盤として整備される施設」をさすようになりました。狭い意味では、道路・鉄道・上下水道・送電網・港湾・ダム・通信施設など「産業の基盤となる施設」をさしますが、広い意味では学校・病院・公園・福祉施設など「生活の基盤となる施設」もさします。このいずれの場合も「社会で共有する性格」を持っている点が特徴です。例えば、個人所有の住宅は生活基盤であってもインフラとは呼ばれませんが、自治体がニュータウンを整備するような場合は社会共有的な性格を持っているので「住宅インフラ」などと呼ばれます。

どんな時に登場する言葉?

政治・経済・産業・都市などの分野で、産業基盤や社会基盤を整備する問題を語る際によく登場します。例えば「インフラ整備が遅れているので、地方では公共事業の推進が必要ではないか?」「次世代の携帯電話を普及させるため、通信インフラを構築する」などの言い方をします。

どんな経緯でこの語を使うように?

インフラストラクチャーも、その略語であるインフラも、古くから使われていた用語です。ただ、1990年代の後半頃から、この語がマスコミに登場する頻度が増え始めました。この時期は丁度、インターネットの爆発的な普及が進んでいる時期(つまりネットインフラが整備された時期)と一致します。

インフラの使い方を実例で教えて!

インフラを整備する

インフラは、多くの場合「整備(する)」という言葉と対になって用いられます。名詞化して「インフラ整備」と言う場合もあります。

通信インフラ

○○インフラという形で、特定分野の基盤施設を表す事ができます。「産業インフラ」「通信インフラ」「交通インフラ」などの言い方があります。例えば「通信インフラの整備」と表現した場合、「公共のために通信施設や通信網を作り上げること」という意味になります。

社内インフラ

「社会共有的な施設を表す」という原則から、やや離れてしまいますが、「社内インフラ」などの局所的な用法もたまに見られます。例えば、会社内の各部署にLAN(ローカルエリアネットワーク)を整備するような際、「社内の通信インフラを整備する」という言い方をする場合があります。

言い換えたい場合は?

一般にインフラは、漢字で「社会資本」などと表現されます。政治・経済・産業・都市などの専門家に向けた発言や文章であれば、このような言い換えを用いても大丈夫でしょう。もっとも、そのような専門家であればインフラの語形を用いた方が、意味が通じやすいかもしれません。

一方、一般の人を相手にする場合は、「産業基盤」「社会基盤」「通信基盤」「交通基盤」などの語を場面に応じて使い分けてみて下さい。例えば「次世代の携帯電話を普及させるため、通信基盤を構築する」という言い方が可能です。文脈から意味が明確である場合は、単に「基盤」と言い換えるのもひとつの方法です。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

インフラとは「下」のこと 接頭語のインフラ(infra-)は、本来「下に」を表す言葉です。この接頭語を持つ単語には、infrahuman(ヒトより下位の)、infrared radiation(赤外線; 可視光線の赤色よりも「低い」周波数であることから)などがあります。

インフラストラクチャーの理解度 国立国語研究所の調査では、インフラストラクチャーの意味が分かる人は国民の25%未満でした。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

あなたはマスコミ報道や日常会話の中で、突然意味の分からないカタカナ語に出会い、困ってしまったことはありませんか?

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