続 10分でわかるカタカナ語

第20回 ディスクロージャー

2017年7月22日

どういう意味?

「情報の開示」という意味です。

もう少し詳しく教えて

ディスクロージャー(disclosure)とは、もともと英語で「情報の開示」を意味します。

disclosure は、dis-(打ち消し)と close(「閉じる」)が結びついた動詞 disclose がもとになっています。したがって disclosure とは「閉じないこと」、ひいては「情報を隠さないこと」を意味するわけです。以上の意味はカタカナ語のディスクロージャーにも引き継がれています。

なお一部ではディスクロージャーを「ディスクロ」と省略して呼ぶこともあるようです(例:ディスクロ誌など)。

どんな時に登場する言葉?

多くの場合、ディスクロージャーは「企業による経営内容の公開」を意味します。したがってこの言葉は経営分野でよく登場します。また行政による情報公開のこともディスクロージャーと言います。さらにコンピューターの分野でも脆弱(ぜいじゃく)性情報の公開のことをディスクロージャーと呼びます。

どんな経緯でこの語を使うように?

日本でディスクロージャーという言葉や概念が本格的に注目されたのは1990年代後半のことでした。バブル経済崩壊後の金融市場で「金融ビッグバン」と呼ばれる制度改革が進んだことが背景にあります。これは日本の金融市場を、自由で公正で国際的な市場に変革するための取り組みでした。このうち公正化(利害関係者の保護)を実現するための取り組みとして、ディスクロージャー制度、つまり企業による情報公開制度が拡充されたのです。

ディスクロージャーの使い方を実例で教えて!

「ディスクロージャーの充実」

ディスクロージャーという言葉を使って、次のような言い方ができます。「ディスクロージャーの充実」「ディスクロージャーの強化」「ディスクロージャーの徹底」「ディスクロージャーを行う」など。いずれも「ディスクロージャー」を「情報開示」に置き換えても意味が通じるところに注目してください。

「ディスクロージャー誌」

銀行・信用金庫などの金融機関は「ディスクロージャー誌(ディスクロ誌)」と呼ばれる資料を半期ごとに公開しなければなりません。その金融機関における最新の「財務状況や業務内容」を公開する必要があるのです。

これは銀行法や信用金庫法などの規定に基づいており、「預金者が自己責任で健全な取引先を選べるようにする」ことを目的にしています。ディスクロージャー誌は銀行の本支店に冊子として置いてあるほか、ウェブサイトでも閲覧が可能です。

企業の「ディスクロージャー」

ディスクロージャーが関係するのは金融機関だけではありません。あらゆる企業における情報公開のこともディスクロージャーと言います。企業のステークホルダー、すなわち利害関係者(株主や取引先など)を保護するため、企業は経営に関する情報を適宜開示しなければなりません。

企業のディスクロージャーには、大きく分けて「法定開示」「適時開示」「任意開示」という3つの種類があります。このうち法定開示とは、会社法や金融商品取引法(旧証券取引法)に基づく情報開示のこと。また適時開示(タイムリーディスクロージャー)とは、証券取引所の規定により「株価に重要な影響を与える情報」をその都度開示することを意味します。インサイダー取引(=未公開の重要情報を持つ人物による不公正な証券取引)を防ぐことが目的です。さらに任意開示とは、IR(投資家向け広報)・PR(広報)といった方法による自主的な情報開示をさします。

近年では環境報告書、CSR 報告書(→CSR) などを自主的に公開する企業も増えています。社会が企業に対して開示を求める情報の種類は、多様化する傾向があるようです。

脆弱性の公開

コンピューターセキュリティー(=コンピューターの安全性を維持する活動)の分野では、ある情報システムで脆弱性(=安全を脅かす弱点)が発見された際、その情報を公開することをディスクロージャーと呼んでいます。また脆弱性の情報を「即時かつ完全に」公開することをフルディスクロージャーとも呼びます。

言い換えたい場合は?

単純に言い換える場合は「開示」「公開」「公表」「発表」などの言葉を試してください。また「情報開示」「情報公開」のように「情報」という表現を付け加える方法もあります。

定まった代替表現を使う方法もあります。例えば、企業のディスクロージャーは「企業情報開示」、行政のディスクロージャーは「情報公開」、タイムリーディスクロージャーは「適時開示」と表現できます。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

未確認飛行物体 UFO(未確認飛行物体)や地球外生命体などの存在を信じている人たちの中には、政府などの公的機関に対して「機密情報」を開示させる活動を行っている人もいます。このような活動でもディスクロージャーという言葉が登場します。

筆者プロフィール

もり・ひろし & 三省堂編修所

新語ウォッチャー(フリーライター)。鳥取県出身。プログラマーを経て、新語・流行語の専門ライターとして活動。『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「流行観測」コーナーや、辞書の新語項目、各種雑誌・新聞・ウェブサイトなどの原稿執筆で活躍中。

編集部から

「インフラ」「アイデンティティー」「コンセプト」等々、わかっているようで、今ひとつ意味のわからないカタカナ語を詳しく解説し、カタカナ語に悩む多くの方々に人気を博したコンテンツ「10分でわかるカタカナ語」が、ふたたび帰ってきました。

「インテリジェンス」「ダイバーシティー」「エビデンス」など、日常生活の中で、新たなカタカナ語は引き続き、次々に生まれています。世の中の新しい物事は、カタカナ語となって現れてくると言っても過言ではありません。

これら悩ましいカタカナ語をわかりやすく考え、解説してゆきます。

毎週土曜日更新。