どういう意味?
「情報の開示」という意味です。
もう少し詳しく教えて
ディスクロージャー(disclosure)とは、もともと英語で「情報の開示」を意味します。
disclosure は、dis-(打ち消し)と close(「閉じる」)が結びついた動詞 disclose がもとになっています。したがって disclosure とは「閉じないこと」、ひいては「情報を隠さないこと」を意味するわけです。以上の意味はカタカナ語のディスクロージャーにも引き継がれています。
なお一部ではディスクロージャーを「ディスクロ」と省略して呼ぶこともあるようです(例:ディスクロ誌など)。
どんな時に登場する言葉?
多くの場合、ディスクロージャーは「企業による経営内容の公開」を意味します。したがってこの言葉は経営分野でよく登場します。また行政による情報公開のこともディスクロージャーと言います。さらにコンピューターの分野でも脆弱(ぜいじゃく)性情報の公開のことをディスクロージャーと呼びます。
どんな経緯でこの語を使うように?
日本でディスクロージャーという言葉や概念が本格的に注目されたのは1990年代後半のことでした。バブル経済崩壊後の金融市場で「金融ビッグバン」と呼ばれる制度改革が進んだことが背景にあります。これは日本の金融市場を、自由で公正で国際的な市場に変革するための取り組みでした。このうち公正化(利害関係者の保護)を実現するための取り組みとして、ディスクロージャー制度、つまり企業による情報公開制度が拡充されたのです。
ディスクロージャーの使い方を実例で教えて!
「ディスクロージャーの充実」
ディスクロージャーという言葉を使って、次のような言い方ができます。「ディスクロージャーの充実」「ディスクロージャーの強化」「ディスクロージャーの徹底」「ディスクロージャーを行う」など。いずれも「ディスクロージャー」を「情報開示」に置き換えても意味が通じるところに注目してください。
「ディスクロージャー誌」
銀行・信用金庫などの金融機関は「ディスクロージャー誌(ディスクロ誌)」と呼ばれる資料を半期ごとに公開しなければなりません。その金融機関における最新の「財務状況や業務内容」を公開する必要があるのです。
これは銀行法や信用金庫法などの規定に基づいており、「預金者が自己責任で健全な取引先を選べるようにする」ことを目的にしています。ディスクロージャー誌は銀行の本支店に冊子として置いてあるほか、ウェブサイトでも閲覧が可能です。
企業の「ディスクロージャー」
ディスクロージャーが関係するのは金融機関だけではありません。あらゆる企業における情報公開のこともディスクロージャーと言います。企業のステークホルダー、すなわち利害関係者(株主や取引先など)を保護するため、企業は経営に関する情報を適宜開示しなければなりません。
企業のディスクロージャーには、大きく分けて「法定開示」「適時開示」「任意開示」という3つの種類があります。このうち法定開示とは、会社法や金融商品取引法(旧証券取引法)に基づく情報開示のこと。また適時開示(タイムリーディスクロージャー)とは、証券取引所の規定により「株価に重要な影響を与える情報」をその都度開示することを意味します。インサイダー取引(=未公開の重要情報を持つ人物による不公正な証券取引)を防ぐことが目的です。さらに任意開示とは、IR(投資家向け広報)・PR(広報)といった方法による自主的な情報開示をさします。
近年では環境報告書、CSR 報告書(→CSR) などを自主的に公開する企業も増えています。社会が企業に対して開示を求める情報の種類は、多様化する傾向があるようです。
脆弱性の公開
コンピューターセキュリティー(=コンピューターの安全性を維持する活動)の分野では、ある情報システムで脆弱性(=安全を脅かす弱点)が発見された際、その情報を公開することをディスクロージャーと呼んでいます。また脆弱性の情報を「即時かつ完全に」公開することをフルディスクロージャーとも呼びます。
言い換えたい場合は?
単純に言い換える場合は「開示」「公開」「公表」「発表」などの言葉を試してください。また「情報開示」「情報公開」のように「情報」という表現を付け加える方法もあります。
定まった代替表現を使う方法もあります。例えば、企業のディスクロージャーは「企業情報開示」、行政のディスクロージャーは「情報公開」、タイムリーディスクロージャーは「適時開示」と表現できます。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
未確認飛行物体 UFO(未確認飛行物体)や地球外生命体などの存在を信じている人たちの中には、政府などの公的機関に対して「機密情報」を開示させる活動を行っている人もいます。このような活動でもディスクロージャーという言葉が登場します。