「to-不定詞」は、分詞および動名詞とともに準動詞と呼ばれるものの1つです。
そして不定詞には、その用法として、一般的には
1 名詞的用法
2 形容詞的用法
3 副詞的用法
の3つがありますが、「トミイ方式」では、さらに
4 助動詞 be PP + to不定詞
5 分割不定詞
6 否定形
7 受身形
8 完了形
9 文頭のto不定詞
10 easy (hard) to 不定詞
11 複数のto不定詞
12 for ___ to不定詞
13 分割不定詞
を加え、合計13個に「細分類」しています。
スペースの関係上、ここでは、次の3つについて説明します。
3 副詞的用法
4 助動詞 be PP + to不定詞
13 分割不定詞
本来ならば、4 助動詞 be PP + to不定詞は3 副詞的用法の中に、9 文頭のto不定詞は1 名詞的用法の中に、そして10 easy (hard) to 不定詞は2 形容詞的用法の中に、それぞれ入れるべきですが、1 名詞的用法、2 形容詞的用法、および3 副詞的用法を強調するためにこのように分類してあります。
3 副詞的用法
副詞的用法のto-不定詞は、さらにその意味によって、一般的には
(1) 「目的」を表わす場合
(2) 「結果」を表わす場合
(3) 「理由」を表わす場合
(4) 「原因」を表わす場合
に分けられています。しかし、最近の英例文収集の結果として、筆者は、さらに
(5) 「様態」を表わす場合
を加え、5つに「細々分類」しています。
ここでは
(1) 「目的」を表わす場合
(2) 「結果」を表わす場合
のみについて取り上げることにします。
(1) 「目的」を表わす場合
これは、「副詞的用法」のto不定詞を「~するために」と訳すものです。例文を2つ挙げてみます。
Effective areas must be large to obtain needed sensitivity.
→ 必要な感度を得るためにHowever, it is used to insulate walls of buildings that have been built without insulation.
→ 建物の壁を断熱するため
これらのto不定詞は、紛れもない「副詞的用法」の「目的」を表わすto不定詞です。
(2) 「結果」を表わす場合
ところが、これは学校時代の後遺症かもしれませんが、初心者は、このto-不定詞が出て来ると、何でもかでも、「目的」と捉え、「~するために」、「~するために」と、あたかも条件反射のように訳してしまいます。
酷い場合には、
Oxygen combines with hydrogen to form water.
という英文ですら
酸素は水を作るために水素と結合する。
と訳してしまいます。これはto formというto-不定詞を無条件に「目的」と捉えているからです。しかし、「酸素」にはそのような意思や願望があるわけがありません。そのようなとき、to formを「結果」と捉え
酸素は水素と結合し(その結果として)水を生成する(または、水になる)。
としなければなりません。このようなto-不定詞の例文をたくさん集め、実際に和訳してみると、「目的」と「結果」の区別がはっきりしてきます。
筆者の個人的な印象ですが、実務文を読んでいると、「目的」よりも「結果」のほうが圧倒的に多い感じがします。そのため、極端な言い方ですが、「副詞的用法」のto不定詞が出てきたら、ます「結果」として訳し、どうしても意味がおかしいようだったら、その時点で「目的」に直すというくらいドラスティックな手法を使ってもよいのではないかと思っています。
4 助動詞 be PP + to不定詞
「副詞的用法」のto-不定詞には「結果」もあるのだということが分かると、次のような英文も、自然な日本語に訳すとことができます。
In some cases, these parts can be added to solve mounting problems.
to solveというto-不定詞を「目的」と捉えて直訳すると
これらの部品は、取り付け上の問題を解決するために加えられることができる。
となり、非技術系の人でもわかるように、自然な日本語にはなりません。一方、このto-不定詞を「結果」と捉え、ちょっと頭を働かせて意訳すると
これらの部品を加えると、取り付け上の問題を解決することができる
となり、誰が見ても自然な日本語になります。すなわち、次のような覚え方をすると理解しやすいということです。
these partsをaddすると、mounting problemsをsolveすることがcanである
これを一般化して書くと
Aを___すると、Bを~することができる
となります。
このようにして
can [must、shouldなど] be PP + to不定詞
の例文をたくさん集めて和訳し、自然な日本語になるまで続けると、大きな財産になります。そして、このような構文を完全に理解し自分のものにすると、和文を英訳する時も、参考書や辞書の中から飛び出してきたような英語ではなく、格調の高い英文に訳すことができるようになります。
ただ
Aを___すると、Bを~することができる
という和文を英訳する場合、必ずしも
A can be ___ed to ~ B. ……………… ①
という表現しか使えないわけではありません。
If [When] A is ___ed, B can be ~ed. ……………… ②
とも書けます。初心者には ① はなかなか発想できないと思いますが、①も②も、意味はあまり変わりませんので、② で書いても良いわけです。
あえて ① と ② の違いを挙げるならば、① は「Aを___する」に力点を置き、② は「Bを~する」に力点が置かれている程度です。
13 分割不定詞
「分割不定詞」とは、to不定詞において、toと動詞の間に副詞がはいっているもので、昔は、文系の先生方は、なるべくこれを避けるようにと主張していました。それは、昔、ラテン語ではto不定詞は、toと動詞がone wordであったため、その間に違う言葉(普通は、副詞)を入れることがよくないとされていたからです。
ところが、現代では、特に実務文では、副詞の「斜視」を防ぐため、むしろ勧められているように思われます。
to remotely access your modem
to fully describe the correct installation
to easily compile programs
to easily and quickly install the device
枚挙に暇がありません。
次に挙げる例文は分割不定詞を使っていないため、副詞が「斜視」を起こしてしまっている例です。
It is necessary constantly to supply fresh energy to it.
is necessary constantlyとなっているのか、constantly to supplyとなっているのか曖昧になっています。常識的には、constantly to supplyであろうと推測はできますが、そうであるならば、はっきりと
It is necessary to constantly supply fresh energy to it.
と書くべきです。
次回は、12 分詞(現在分詞および過去分詞)です。