「Smith-Corona Galaxie」は、SCMが1959年に発売した機械式タイプライターです。SCMは「Smith-Corona Galaxie」に対し、機械式タイプライターとしては珍しく、5年保証を謳っていました。上の広告は1964年のもので、「Smith-Corona Galaxie」発売からちょうど5年が経過しており、今(1964年)購入すれば次は1969年まで5年保証、というSCMの戦略が、前面に押し出されています。
「Smith-Corona Galaxie」は、44キーのフロントストライク式タイプライターです。プラテンの手前に44本の活字棒(type arm)が配置されていて、各キーを押すと、対応する活字棒が、インクリボンとともにプラテンの前面を叩き、印字がおこなわれます。インクリボンは黒赤の2色で、右上のレバーで切り替えます。活字棒の先には、活字が2つずつ埋め込まれていて、通常は小文字が印字されます。キーボード最下段の左右端にあるシフトキーを押し下げると、タイプバスケット全体が下に沈んで、大文字が印字されるようになります。
「Smith-Corona Galaxie」のキーボードは、いわゆるQWERTY配列です。上の広告に見えるキーボードでは、最上段のキーは、大文字側に!"#$%_&'()*+が、小文字側に1234567890-=が、それぞれ配置されています。その次の段は、左端にバックスペースキーがあって、大文字側にQWERTYUIOP¼が、小文字側にqwertyuiop½が配置されており、右端に「TAB」キーがあります。「TAB」ストップの設定と解除は、さらに右の「SET」と「CL」ボタンでおこないます。キーボードの次の段は、左端にシフトロックキーがあって、大文字側にASDFGHJKL:@が、小文字側にasdfghjkl;¢が配置されており、右端に「M-R」(マージンリリース)キーがあります。最下段は、左右端にシフトキーがあって、大文字側にZXCVBNM,.?が、小文字側にzxcvbnm,./が、それぞれ配置されています。コンマとピリオドが重複しているため、44キーで86種類の文字となっているのです。
「Smith-Corona Galaxie」は、同社の「Smith-Corona Coronet」とは異なり、電動の部分は全くありません。複数のキーを同時に押すと、複数の活字棒が印字点で衝突して引っかかってしまい、そのまま動かなくなる(ジャミング)という欠点がありました。それでも、印字の強さを左上のレバーで設定(LはLight、MはMiddle、HはHeavy)できるようになっており、小型の機械式タイプライターとしては、高い性能と5年保証を誇っていたのです。